空想「全輸出国が思い切って値下げをしたら」:
トランプ大統領が「4月3日から発効させる」と宣言した全ての輸入自動車に対する25%のtariffについて、BBCは下記のように論じていた。
“ドナルド・トランプ米大統領がアメリカに輸入される自動車および自動車部品に対する25%の関税を発表したことを受け、各国が反応している。また、多くの経済大国が報復措置を行うと述べている。
ドイツは、アメリカの関税には「屈しない」と述べ、ヨーロッパは「断固として対応するべきだ」と主張した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この動きを「時間の無駄」で「一貫性がない」ものと非難した。中国も、アメリカ政府が国際貿易規則に違反していると非難している。“
本稿はこのような反対の議論を更に展開しようという所にはない。こんな事を空想してみたという話。
即ち、「BBCが取り上げたヨーロッパの国々だけではなく、我が国も加わって思い切った対抗策として、一斉にアメリカ向けの輸出価格を、25%相当分かそれ以上の値下げを断行したらどうなるか」と、仮定の話を考えて見たのである。因みに、ドイツはメキシコに3百万台の生産能力がある工場を保有して、多くのドイツブランドの車をアメリカに輸出しているとかだ。
関税にはそもそも「国内産業の保護」という面があるのだし、私はその点では関税が大いに役に立っていると認識していた。解りやすい例には、アメリカの報道官が誤って700%だと言ってしまった、我が国がアメリカからの輸入米に関税をかけて米作り農家を保護している事がある。だが、この度の25%には「国内の自動車産業の保護」という名目(大義名分?)があるとは聞こえていない。
トランプ大統領自身が「国内にアメリカ産の車が少ししか走っていない事に業を煮やした」とは聞いた気がするが、それは「輸入車が多いのが怪しからんので、貿易赤字を増やす大きな原因である事」を問題にされたのだろう。それほど、アメリカ市場にはアメ車が走っていないのは確かな事実なのだ。だからと言うべきか何と言うべきか「関税によって保護すべき自動車産業があるのか?」なのではないか。
以前にも取り上げた事で、専門家は「トランプ大統領のtariff policyは国際緊急経済権限法(INTERNATIONAL EMERGENCY ECONOMIC POWERS ACT、略称: IEEPA)に基づいている」と解釈している。嫌味を言えば「アメリカの自動車産業は既に衰退しているので、tariffで保護されるべき対象ではない」のではないか。廉売攻勢をかけられると、誰が迷惑するのだろうか。
石破内閣は上記のような諸々の点を衝く準備を整えて、首相乃至は武藤経産大臣がワシントンDCに赴いてトランプ大統領とその側近に方針変更(我が国の除外でも良いか)を申し入れて置くべきだったのではないか。産経新聞社の石井聡氏は「首相はトランプ大統領と電話で懇談するほどの親密さを築いておられないのでは」との懸念を表明していた。今や拱手傍観ではなく、電話会談を試みるべき時ではないか。
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