新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

もう一度WBCの野球を振り返っておけば

2023-03-27 08:23:38 | コラム
印象的だった事柄:

解説者たちやマスコミ報道にもなかった私が興味を持った色々な点を、独自の視点から取り上げてみようと思う。

*栗山英樹監督の変化した表情:
国内での予選リーグの頃に「栗山英樹監督の顔付きが日を追って憔悴していくように見える」と表現してあった。「あれほど日本の野球を代表する選手団を任された責任感と、こんな場所で1試合でも負けることは許されないと事と、優勝する事への重圧」に苦悩しておられたのだと見ていた。だが、マスコミは一向にその点には触れなかった。解説者もマスコミも余り触れていなかったが、選手の使い方は絶妙だったと感心している。と言うことは「コーチ陣に人を得ていた事」に他なるまい。

だが、昨日、日テレにリモート出演していたブルペンキャッチャーで帯同していたと聞かされた鶴岡慎也が「栗山監督の苦悩する表情を目の当たりにして云々」と語ったのをいて、矢張り自分の見方が誤りではなかったと確認して安心した。栗山監督がその重任と重責に懸命に耐えて優勝までに持って行かれた功績に改めて心からなる敬意を評したい。決勝戦が終わった途端に辞意を表明されたのも最も至極だと理解した。

*鶴岡慎也ブルペンキャッチャー:
栗山監督、ではなかった前監督のコーチ陣の選択にも唸らされたが、このブルペンヤッチャーに鶴岡を帯同していた人事にも「たいしたものだ」と感心させられた。鶴岡は日本ハム育ちの経験豊富な捕手で(カタカナ語にすれば「大ベテラン」)確か何処かでコーチまで務めていた。その彼を如何なる条件で使ったのか知る由もないが、補欠のような立場で連れて行き、投手たちの調子を整える役に就けていたとは「たいした監督さんだ」とここでも感心させられた。

*山田哲人と牧秀悟の使い分け:
守備力だけを考えれば、菊池涼介を入れるべきではないかと見ていた。だが、監督は山田哲人と牧秀悟を選ばれた。昨シーズンの出来では打つ方での苦悩が続く山田よりも牧の方が上のようだったが、守備力では山田の方が範囲も広く堅実で微妙な判断かと見ていた。現場、特にアメリカに行ってからは、牧は思ったよりも打つ方が不安定だったし、山田の守備は安心して見ていられた。

特にあの決勝戦の9回でのダブルプレーの際の源田へのトスの正確さ・綺麗さには唸らされた。源田の一塁への送球も芸術的な美しさがあった。山田はホームランが出なかったが打撃面でも何故か安心して見ていられた。これも監督の見事な選手起用と言えると思う。

*吉田正尚のバックホーム:
吉田正尚をMVPに推す人がいたのも道理だと思う。回数の記憶はないが、あのメキシコ戦で彼がレフトからの返球で2塁からの走者をアウトにしたのは見事だったと褒めて良いと思う。送球は少し3塁寄りに逸れたが、甲斐(だったか?)の素早い「タッグドアウト」(tagged out、これ本当の野球用語だ)で追加点を防ぎ、あの9回裏の大逆転の準備ができた。吉田と甲斐の功績だ。一般論で、MLBの外野手の本塁送球は不正確だから、イチロー君のそれが「レーザービーム」などと賞賛されてしまうのだ。

吉田はあの9回裏に大谷の2塁打の後で選んだ四球の効果が絶大で、代走に起用された周東の快速を活かす事に繋がった。あの場面で彼が打つだけの人ではないと証明されたと見た。監督が周東を代走に出した時宜を得た選手起用とともに褒めておきたい。

*決勝戦の投手起用:
あれは見事だった。今永と戸郷は2回投げたが、他の5人が1回だけ投げるのであれば、MLBの投手たちにもひけを取らない150km台の速球にMLBの打者の弱点である落ちる球、即ちフォークボールを絶妙にコントロールして投げれば、打てないのは当然だ。今永とダルビッシュはホームランを打たれたが、MLBの腕力他の身体能力に優れた選手たちにコースを間違えればホームランになってしまうことを立証しただけ。あのリレーで勝ったからと言ってMLBよりも上だと思うのは時期尚早だろう。

*結び:
あの大会に出場した選手たちが、その素晴らしくもまた貴重な経験をしたことを、留守番だった同僚(何で「ティームメート」なんてカタカナ語を使いたがるのか!)たちにも充分に伝達して、アメリカの良いところと学ぶべきではない点を伝えて、可及的速やかに大谷が指摘した「未だMLBの方が上」のレベルに到達して、3年先のWBCも連覇できるように、技術的且つ精神的な水準を向上させて(「レベルアップ」のことだ)もらいたいものだ。



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