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新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

フジテレビの問題

2025-04-03 07:03:24 | コラム
「天下の一大事なのか」と思う:

私は「我が国にとって一大事ではないが、多くの経営上の問題点を提起したのではないか」と思っている。

この事よりも、国として重要度の点から見れば、先ほどトランプ大統領が正式に公表した「相互関税で、我が国に24%」などとは比べものにはならないminor league的問題だと認識して見ている。私は「報道機関は同業が起こした案件なので、連日のように忠実に詳細に報道した為に、恰も天下の一大事の如くになったのだ」と言いたいのだ。

問題にしたい点を挙げていこう。先ずは、昨夜の反町なき後のPrime Newsで、明治大学商学部の三和裕美子教授が指摘された「清水社長を含めた新経営陣の役員たちには何らの責任は問われないのか」に賛成したいのだ。「あるのではないか」と思うからだ。

清水社長は引責辞任した港前社長から社長職を引き継がれたのだが、私は「後任」と紹介されて出てこられた時から、余りにも淡々としておられ、その言辞には「表情一つ替えていなかったし、難局を担当する緊張感も責任感も見えなかった事」に拍子抜けしていた。「責任感」といえば、この問題を起こした時には役員だったのだから、彼が圏外にいて無過失(無瑕疵?)だったのかと、大いに違和感があった。

その後も、テレビの画面で再三再四見かけたが、表情はあのままで(つい先頃指摘したポーカーフェイスではないimpassive(無感動というか、感情を外に表さない)である事は変わっていなかった。「一体全体、この方は自分がどれほどの重責を担い、会社の命運を背負っているという切羽詰まった思いはないのか」と言いたいほど冷静に見えた。

しかも、清水社長は第三者委員会の厳格にして的確にフジテレビという会社の経営上と運営上の問題点を指摘して、個人名を挙げなかっただけで、責任を負うべき地位と立場にあった人たちを抉り出していた事に対して「慎重に検討して厳しく処置していく」と語ったのは「責任を負うべき者たちは厳正に処分するが、自分は免責である」と責任を回避した台詞と聞こえた。それで良いのだろうか。

正すべきで処分すべきは「長い年月かけて醸成してきたフジテレビという会社の体質であっても、過失があった高位高職者を処分すべき事」ではないのではないのか。あの会社の体質(端なくも中居問題によって公にされてしまったとでも言うか)については、全く無縁な世界の住人である私でさえも、聞き及んでいたのだ。その環境の中で役付役員にまで昇進された清水氏が圏外に立っておられたとは思えない。

他の役員や管理職者たちも、そういう環境下で育成されてきたのではないのか。中居を歓待する体質の会社で育ったのではなかったのか。そこを新経営陣が何処まで矯正していくかではないのか。

フジテレビ批判はこれくらいにして「日本的経営と人事制度」に少し触れてみようと思う。清水賢治氏の経歴を見ると、ズッと制作等の部門を担当してこられたその方面での専門家の如くに見えた。いきなりズバリと指摘すれば「その種の経験の蓄積が大勢の社員を養っていくべき責務を負う社長職にとってどれほど役に立つのか」との疑問なのだ。

我が国の「新卒で入社して社内の多くの分野を経験してその間に蓄積した手腕と実力+年功経験で段階を踏んで昇進していく、良い意味でのspecialist即ち万能選手が役員に抜擢されていく制度」が今日までの、我が国の世界に冠たる経済的発展を担ってきたので、アメリカやヨーロッパの諸国の制度との違いが際立っている。

私はアメリカやヨーロッパの制度と優劣の比較をしようとは考えていない。清水氏は優れたテレビプロデューサーであって現場を充分に経験してこられても、ビジネススクールでMBAを取得されて「企業経営とその手法」を学んではおられなかったのである。一方のアメリカではMBAを取得した精鋭は30歳前後の若さでも経営を担当する職に就く機会を得て、人の上に立って組織を動かしていくのだ。

繰り返して言うが「彼我の優劣を論じるのではない」のであり、アメリカ式では「会社〔や組織〕を動かすには何をすべきか」を学んだ者たちが、実務を経験してからgeneral managerやvice presidentへのスピードトラックに乗って昇進していくのだ。その何れの方式が効果を挙げていたかと言えば、我が国では20年だったか30年を失うまでの我が国の目覚ましい発展を担って来た功績があったのではないか。

清水賢治氏には負うべき責任がありはしないかとは言うが、経営学修士ではないことを批判しようというのではない。我が国の今日までの年功経験を加味してgeneralistを経営者に引き上げていく役員昇進から社長への人事制度を再検討しても良い時期が来ているのではないのかと言って終わる。


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