新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領が気になる

2017-05-28 08:09:10 | コラム
トランプ大統領がG7を振り回したとか:

初めて参加したトランプ大統領が「アメリカファースト」でG7を振り回したと報じられていた。さもあらんと思った。彼の発言が十分に学習し熟慮した結果か、または単なる衝動的な子とかの判断は極めて難しいのだ。私は彼が共和党の候補者選びに参加してキャンペーンを開始した頃から「彼は無知ではないのか」と「無知の力」(=”Ignorance is right.”)の持ち主だと批判してきた。その頃に最も悩んだことは「彼の主張は十分な知識に基づいているのか、あるいは単なる不動産業者の思い付きなのか」が俄に判断できなかった点だった。

そのダニエル・トランプ候補者が遂には大統領に選ばれて「アメリカを再び偉大に」と「アメリカファースト」を実践することになってしまった。就任後はその2大スローガンに基づいた慎重に検討した政策なのか、あるいは衝動的に思いついたことをTwitter(これをどう読めたツイッターになるのか不可解だし、ツイートと動詞にするなど論外)で発表し、何者をも恐れない勢いで”Going my way”となったのだった。

そして、散々物議を醸した大統領令を、敢えて言えば、乱発して国の内外に要らざる波紋を巻き起こしていったのだった。その政策の中には一面的に見れば、決して批判すべきとも思えない不法移民を閉め出すようなものもあったが、イスラム教国やイスラム教徒からの反発を招いた。メキシコとの国境に壁を造りメキシコに100%の費用を負担させるという件は確かに勇猛果敢だったが、メキシコにも反対され予算も付かないとなったらほとんど言わなくなってしまった。

TPPからの離脱はキャンペーン中の目玉だった趣があるが、オバマ政権の置き土産であれば反対されるのも理解は出来るが、アメリカファーストを表しているとは言え常軌を逸していると感じた。また我が国や中国とメキシコを悪者にして「貿易赤字解消」を唱えるのも勇壮だが、アメリカの今日までの全世界との貿易の歴史を承知していれば、とても言い出せるような性質ではないし、自国が内需依存で世界に通用するような強力な輸出国でではないと知らないから言い出せることだとしか、私には思えないのだ。

我が国について考えれば、自動車の輸入が多すぎて怪しからんし、アメリカからの自動車の輸入が振るわないのは日本の責任であるかの如くに主張するのは、私に言わせれば「歴史認識の不足」であり「無知である」と言うしかないのだ。こんな戯言にまともに付き合っていく必要はないのだ。安倍総理以下はトランプ大統領の知識と認識の不足を是正する努力を怠ってはならない。何としても「知らなかったこと」を思い知らせらねばなるまい。

最早、就任後100日を過ぎたのだが、その間にどれほどアメリカの政治・経済・軍事・貿易・外交等の裏と表の実態を学習されたか知らないが、私には未だに学習の過程にあるとしか思えない点が多々ある。これについては信ずべきか否かは別にして、デーブ・スペクターは「大統領は側近や大臣等からのご進講をほとんど聞き入れない」と言っていた。

私はトランプ大統領が打ち出される政策の中には、キャンペーン中のものをも含めて「尤もだ」と思わせてくれる素晴らしい案件もあれば「何を言うのか」と呆れさせてくれるものもある。イスラム圏7ヵ国からの入国禁止の大統領令などは後者に属するとお思う。私は正当な根拠と裏付けがあるものと、無知の産物で衝動的な案件との選別は「一旦唱え出したが、時が経つにつれて言わなくなったこと出来る」のではないかと思っている。

最近の例には「金正恩とは話し合いで非核化を達成できる」と言い出して件がある。アメリカだけの例を考えても、金日成から金正日の頃までに何度DPRKと交渉し、6ヵ国会議(英語では”Six party talk”で、会議とはなっていなかった)を重ねて如何なる成果があったのかと考えると、これは無知の産物で衝動的だろうとしか思えない。だが、アメリカ大統領の発言である以上軽くは扱えない点が難しいのではないか。

即ち、もしも金正恩と話し合うことで問題が解決できれば素晴らしいのは間違いない。トランプ大統領は、恐らく「乃公出でずんば」の意気込みがあるのだろう。そうであれば、自己過信と言うべきではなく善意から出た発言なのかも知れない。私には益々解りにくくなるお方だと思えて仕方がないのだ。G6の代表者のお偉方の気持ちが解る気がする。



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