新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

正月三が日のスポーツ

2022-01-06 09:59:06 | コラム
元日のサッカーの天皇杯の決勝戦がなかった:

サッカー:
正直なことを言ってしまえば「サッカーの試合がなかったことが、それほど残念ではなかった」などと、サッカー出身者としては不穏な言動になってしまうだろう。実は、昭和20年即ち1945年から蹴球部に入って正式に蹴球を始めた私にとっては、現在の技術だけがあれほど進歩したサッカーは腹立たしくて見ていられないのだ。これまでに繰り返して批判したので詳しいことは言わないが、「現在の優れた足技を駆使して責任逃れのパス交換を繰り返すだけに飽き足らず、暇さえあれば後方と横方向に消極的なパスを回すのにはウンザリだ」とだけ指摘しておこう。

箱根駅伝:
もしかして、読者諸賢の中にはこの読売新聞と日テレが総力を上げて正月の2日から特集しているこの駅伝競走を「全日本大学駅伝選手権」だと思っておられる方がおありではないかと危惧している。念の為に確認しておくと、この競技は「東日本大学駅伝競走大会」なのである。何時だったか「何故、関西の大学が参加していないのか」との疑問が提起されたことがあった。私は「ただ単に日テレが『こういう事です』と述べていなかった為に生じた疑問」だと思っている。

確かに、素晴らしい快走や、見ているのも辛いような失速や、体調の変化等々に加えて、劇的な勝利やシード権争いがあって、観る者に手に汗握る興奮も味合わせてくれている。だが、私のように団体競技のみの経験者には、このような個人種目にはそれほどの関心もなく、興奮も味わえないのだ。

私の見方では「個人の身体能力があれほど結果を左右する競技は残酷に見えて仕方がない」のである。特に、近年では100メートル走のような短距離からマラソンまで全てに於いて、アフリカ系の走者に席巻されているのを見れば、究極的に「身体能力の争い」になっているのが不満なのだ。

今年はそのような考え方からではなく、偶々2日には午前と午後に予定されていた永年の知り合いの大学教授と、現職時代から個人的にも親交があった得意先の元副社長との新春の放談会があったので、この駅伝は見る時間が無かっただけのこと。この駅伝を見て毎年感じていることは「これほど全国津々浦々の高校から優秀な走者が東京を中心とした関東地方の大学に集まってしまえば、中部地方以西の大学ではマラソン等の長距離走者を育てようがないだろう」という点である。

現に、所謂「関・関・同・立」の一校の陸上競技以外のコーチが「有望な高校生を勧誘しても箱根駅伝に出場出来る可能性がある関東地方の大学の魅力には勝てないので諦めている」と嘆いていたと聞いたこともあった。3日の復路の走りは午前中にはジムに行っていたのでほとんど観る暇が無く、帰宅したときには青山学院大学の独走状態だった。それにしても、青学の原晋監督の手腕は大した物だと思わせられた。

ライスボウル:
矢張り、このフットボールの試合が私にとっては最大の関心事なのである。今回から甲子園ボウルの勝者対ジャパンXボウルの覇者という学生対社会人の決戦ではなくなっていた。この決定(変更)には、学生界の王者関西学院大学ファイターズの前監督鳥内氏が「最早この対決にはさしたる意義なし」と指摘しておられた事もあったように思うし、東西の大学の精鋭を綺羅星の如くに集めたXリーグのテイームと大学が単独で戦うのには無理があると思わせられてきたので、納得している。

何もCOVID-19だけに影響された訳ではないが、高齢化が89歳にまで進んでしまうと大学の動静は何とか追っていられるが、事Xリーグともなるとお恥ずかしながら前日までどのテイームが対戦するのかも知らなかった。そんな調子だったから、富士通フロンテイヤーズ対パナソニックインパルスの対戦とあっては、双方共に、最早Xリーグでは当たり前のようになっているアメリカ人QBの対決かと思っていた。だが、豈図らんや、富士通は慶応大学出身の高木君が一本目だったのだ。

専門家の解説を聞くと「アメリカのNCAA所属の大学ではスターティングQBは多くの候補選手がそれこそ鎬を削ってその地位を争っているので、仮令3番手や4番手の選手でも我が国に来れば我が国産品のQB以上の一流以上の力を発揮するのだそうだ。ところが、富士通の監督さんは昨年までのアメリカ人QBを敢えて避けて、優れた素材と看做した高木君を起用したのだと、解説されていた。

試合の内容だが、かなりの熱戦で優勢かと思わせられていたアメリカ人のQBを立てているインパルスを、ここぞという時に見事なロングパスをエースレシーバーに通した高木君の功績があって、富士通が接戦を制してしまった。富士通のオフェンスも見事だったが、デイフェンス陣の頑張りもあって、アメリカ人QBを抑えきった辺りも見事だった。私としてはそのQBが前半終了前に後1分を残したところから鮮やかなプレーコールで、4プレー目だったかでタッチダウンに成功した見事さには「流石」と感服させられていた。

少しだけ残念だったことがあった。それは、このような大きな試合である「ボウルゲーム」が、何故か1クオーター15分ではなく12分で行われていた点だった。私の聞き漏らしではないと思うが、アナウンサーは「何故か」を言っていなかった。あれは、もしかして「新型コロナウイルス感染予防策」ではなかったかと疑いながら、失われた12分を惜しみながら観戦していた。ではあっても、後難を恐れずに言えば「箱根駅伝よりはフットボールの試合の方が遙かに楽しかった」のである。