【掲載日:平成25年5月7日】
今だにも 目な乏しめそ 相見ずて 恋ひむ年月 久しけまくに
旅に出るのは 決死の思い
愛し愛され 夫婦であれば
まして名残の 尽きない別れ
連れて行きたや この身に付けて
【問答】
かくしつつ あり慰めて 玉の緒の 絶えて別れば 術なかるべし
《側居って 互い慰め して来たに 旅に別れて どうなるんやろ》
―作者未詳―(巻十一・二八二六)
紅の 花にしあらば 衣手に 染め付け持ちて 行くべく思ほゆ
《もしお前 紅い花なら 袖に染め 持って行きたい 思うんやけど》
―作者未詳―(巻十一・二八二七)
今だにも 目な乏しめそ 相見ずて 恋ひむ年月 久しけまくに
《せめて今 良う顔見せて 逢われんで 焦がれる月日 長ごなるよって》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五七七)
我妹子が 我れを送ると 白栲の 袖漬つまでに 泣きし思ほゆ
《送りに来 あの児泣き濡れ 袖までも ぐしょ濡れしたん 思い出すがな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五一八)
かくばかり 恋ひむものぞと 思はねば 妹が手本を まかぬ夜もありき
《離れたら 偉ろ焦がれるで 居るときに 共寝ずうっと するんやったな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五四七)
妹が袖 別れし日より 白栲の 衣片敷き 恋ひつつぞ寝る
《お前との 別れの日から このわしは 片袖抱いて 焦がれ寝とんや》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇八)
我妹子が 笠の借手の 和射見野に 我れは入りぬと 妹に告げこそ
《東国を 辿る旅わし 和射見野に やっと着いたと 妻に伝えて》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七二二)
(借手=内側の頭に乗せる輪→和)
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