【掲載日:平成25年6月4日】
人目多み 目こそ忍ぶれ すくなくも 心のうちに 我が思はなくに
男思いが 溢れていても
人目多うて 逢い行く出来ん
女忍んで 待ち焦がれても
夜は更けてく 嘆きは募る
人目多み 目こそ忍ぶれ すくなくも 心のうちに 我が思はなくに
《人目多て 忍んでるけど 心では 一寸やそっと 思もてん違うで》
―作者未詳―(巻十二・二九一一)
心には 千重に百重に 思へれど 人目を多み 妹に逢はぬかも
《心では 千も百をも 思てるが 人目多いから 逢わへんのやで》
―作者未詳―(巻十二・二九一〇)
心には 燃えて思へど うつせみの 人目を繁み 妹に逢はぬかも
《心では 満々思て おるけども 人目五月蝿て 逢い行かれへん》
―作者未詳―(巻十二・二九三二)
里近く 家や居るべき この我が目の 人目をしつつ 恋の繁けく
《里近に 住むもん違うな 人の目を 憚りしてて 焦がれるだけや》
―作者未詳―(巻十二・二八七六)
宵々に 我が立ち待つに けだしくも 君来まさずは 苦しかるべし
《毎晩に 表で待つに もしあんた 来ん様なったら 堪えられへんわ》
―作者未詳―(巻十二・二九二九)
茜さす 日の暮れゆけば 術をなみ 千度嘆きて 恋ひつつぞ居る
《日ィ暮れる どう仕様も無うて 溜息を 吐き通し吐いて 焦がれてんねや》
―作者未詳―(巻十二・二九〇一)
我が背子を 今か今かと 待ち居るに 夜の更けゆけば 嘆きつるかも
《あの人を 今か今かと 待ってたが 夜ぉ更けてきて 辛なって仕舞た》
―作者未詳―(巻十二・二八六四)
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