【掲載日:平成25年3月15日】
結へる紐 解かむ日遠み 敷栲の 我が木枕は 苔生しにけり
通わぬ思い 抱える恋は
忍び待つほど 惨めさ募る
諦め仕様と 思うが出来ず
抱く木枕 涙に濡れる
家人は 道もしみみに 通へども 我が待つ妹が 使来ぬかも
《召使い 多数ここの道 通るけど お前の使い 待つのに来んで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五二九)
我が恋ふる ことも語らひ 慰めむ 君が使を 待ちやかねてむ
《焦がれてる 気持ち話して 慰めに 仕様思うに 使いも来んわ》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五四三)
かくだにも 我れは恋ひなむ 玉梓の 君が使を 待ちやかねてむ
《こんなにも うち焦がれてる それやのに あんたの使い 来んのんかいな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五四八)
妹に恋ひ 我が泣く涙 敷栲の 木枕通り 袖さへ濡れぬ
《あの児恋い わし泣く涙 木の枕 伝て袖まで 濡れて仕舞たで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五四九)
結へる紐 解かむ日遠み 敷栲の 我が木枕は 苔生しにけり
《結び紐 解かへん日ィ 長ごなって うちの木枕 苔生えて仕舞た》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六三〇)
相見ては 千年や去ぬる いなをかも 我れやしか思ふ 君待ちかてに
《逢うてから もう千年か いや違うか 待たされ続け そう思うだけか》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五三九)
現には 逢ふ縁もなし 夢にだに 間なく見え君 恋に死ぬべし
《死に相やで 続けて夢に 出て来てや 起きてて逢える 伝手ないのんで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五四四)
【問答】
我が恋は 慰めかねつ ま日長く 夢に見えずて 年の経ぬれば
《夢に出ん 日ィが続いて 年経った 苦しい焦がれ 癒し様ないで》
―作者未詳―(巻十一・二八一四)
(夢に出ん=相手の思いが薄い)
ま日長く 夢にも見えず 絶えぬとも 我が片恋は やむ時もあらじ
《あんたこそ 夢にも出んと 終わり言か うち一人でも 恋続けるで》
―作者未詳―(巻十一・二八一五)
(夢も出んやて もう終わりにしょ
出んのあんたや 離しはせんで)
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