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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

古今相聞往来(下)編(29)績(う)み麻(を)のたたり

2013年12月03日 | 古今相聞往来編(下)
【掲載日:平成25年12月3日】

娘子をとめらが のたたり 打ちけ うむ時なしに 恋ひ渡るかも




その気ない児に れたが因果いんが
逢えもせんのに 面影浮かぶ
浮かぶ面影 思いはまず
甲斐かいもないのに あきらめ出来ん
  
つるはみの 一重ひとへころも うらもなく あるらむ子ゆゑ 恋ひ渡るかも
一重ひとえふく 裏無いふくや その気ない 児にどしたんか わし恋してる》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六八)
                          (うら=心 うらもなく=その気がない)
  
水茎みづくきの 岡のくずを 吹きかへし おも知る子らが 見えぬころかも
《顔だけを えろうはっきり 覚えてる あの児このごろ 一寸ちょと見掛みかけんで》【葛に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇六八)
     (水茎の~吹き返し=白い葉裏をはっきり見せて→面知る)(顔見るだけで交渉なし=片思い)
  
かみのごと 聞こゆるたきの 白波の おも知る君が 見えぬこのころ
《顔だけを えろうはっきり 覚えてる あの人一寸ちょっと ここ見掛けんで》【滝に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇一五)
                          (雷のごと~白波の=白くはっきり→面知る)
  
あひはず あるものをかも すがの根の ねもころごろに が思へるらむ
《思うても くれへんらしに すがの根の ねんごろずっと うち思とんや》【菅に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇五四)
   
天雲あまくもの たゆたひやすき 心あらば 我れをな頼めそ 待たば苦しも
《雲のな 頼りない気で るんなら その気にさしな 待つのんつらい》【雲に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇三一)
   
娘子をとめらが のたたり 打ちけ うむ時なしに 恋ひ渡るかも
《娘らが 麻糸いとつむる ちゃうが まんと(りんと)うちは あんた思てる》
                                      【麻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九〇)
                  (績み麻=麻糸を紡ぎ撚る→倦む<飽きる>)(たたり=糸巻き道具)
  
玉のを 片緒かたをりて を弱み 乱るる時に 恋ひずあらめやも
《弱いの 玉乱れ散る 片思かたもいの 心乱れて がれつのるわ》【玉に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇八一)
   
波のむた なび玉藻たまもの 片思かたもひに が思ふ人の ことしげけく
《こっちだけ うちが秘かに がれてる あの人悪噂うわさ う聞くのんや》【藻に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇七八)
   
物思ものもふと ねず起きたる 朝明あさけには わびて鳴くなり 庭つ鳥さへ
《思案して わびし寝られん 夜明よあけには 鳴くとりこえも わびし聞こえる》【鳥に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九四)