【掲載日:平成24年11月2日】
眉根掻き 下いふかしみ 思へりし 妹が姿を 今日見つるかも
逢うた二人は 焦がれが晴れる
晴れた焦がれは 直ぐまた募る
逢えん辛さを 振る袖託し
瞼浮かべる お前の姿
逢うた逢えたで 愛しいお前
来たで来たがな 待ってたあんた
昨日見て 今日こそ隔て 我妹子が 幾許継ぎて 見まくし欲しも
《昨日逢うて 今日の日逢えん だけやのに なんで逢いとて 堪らんのやろ》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五五九)
水底に 生ふる玉藻の 生ひ出でず よしこのころは かくて通はむ
《当分は そっと見えん様 通おうか 見えん水底 生える藻みたい》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七七八)
玉の緒の 間も置かず 見まく欲り 我が思ふ妹は 家遠くありて
《間置かんと ずっと逢いたい お前やに お前住む処 偉ろ遠いんや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九三)
白栲の 袖はまゆひぬ 我妹子が 家のあたりを やまず振りしに
《わしの袖 解れて仕舞た お前居る 家の方向いて 振り続けたで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇九)
敷栲の 衣手離れて 我を待つと あるらむ子らは 面影に見ゆ
《ここんとこ わしに逢えんで 待ってる児 思たら目先 ちらつき見える》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇七)
眉根掻き 下いふかしみ 思へりし 妹が姿を 今日見つるかも
《眉痒て ひょっとしたらと 思てたら お前姿を 今日見たのんや》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六一四 一書)
(眉が痒い=逢える前兆)
眉根掻き 下いふかしみ 思へるに 古人を 相見つるかも
《眉痒い なんでやろかと 思てたら 昔馴染みの あんた来たがな》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六一四)
現にも 夢にも我れは 思はずき 古りたる君に 此処に逢はむとは
《ほんまにも 夢にもうちは 知らなんだ 馴染んだあんた ここで逢うとは》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇一)
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