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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

赤人編(11)川淀さらず

2010年02月05日 | 赤人編
【掲載日:平成22年2月23日】

明日香あすか河 川淀かはよどさらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに

赤人は  明日香の地にいた
歌の祭神さいじんが 呼んだに違いない
ここは 柿本人麻呂 その人の行住坐臥ぎょうじゅうざがの地

三諸みもろの 神名備かむなび山に 五百枝いほえさし しじひたる つがの木の いやぎに 
玉かづら 絶ゆることなく ありつつも まず通はむ 明日香あすかの ふる京師みやこは 山高み かは雄大とほしろ
 
神名備かんなび山に 生えとおる 枝次々と やすつが つる長々と 伸ばすつた
 次々長々 通いたい ふるい都の 明日香宮 山は高こうて 河広い》
春の日は 山し見がほし 秋のは 河しさやけし 朝雲あさぐもに たづは乱れ 夕霧ゆふぎりに 河蝦かはづはさわく 
見るごとに のみし泣かゆ いにしへ思へば

《春の日ィには  山見たい 秋の夜には 河清い 朝立つ雲に 鶴飛んで 夕霧立つと 蛙鳴く
 こんな景色を 見るたんび しきりと泣けて しょうがない 昔栄えた この都》
                         ―山部赤人―〔巻三・三二四〕 
明日香あすか河 川淀かはよどさらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに
《立ち淀む 明日香の川の 霧みたい ずっと思うで 旧宮あすかへの恋》
                         ―山部赤人―〔巻三・三二五〕 
〔古い都はい 山に 川に 歌が宿ってる〕
〔おお  ここは 藤原不比等殿の 屋敷跡
 その昔  お世話になったこともあった
 全ては いにしえに なってしまうのか〕
いにしへの ふるき堤は 年深としふかみ 池のなぎさに 水草みぐさ生ひにけり
《昔見た 古い堤は 年たで 池に水草 生えてしもてる》
                         ―山部赤人―〔巻三・三七八〕 

赤人は  人麻呂に報告する
歌跡うたあと辿たどってきました
 ここ 明日香が あなたの 心のり所
 人移り 世移り あなたと同じにうたえません
 でも  私なりの 景の歌
 景に 胸の内を秘め うたえるようになりました
 人麻呂様の  足許 寄れた心地が致します〕
歌は 誰にうたうでなく おのれの心にうた
そのことを知った  赤人であった