犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(232)春の野に

2014年01月11日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月二十九日】放映分
春の野に すみれみにと し我れぞ 野をなつかしみ 一夜ひとよ寝にける
《春の野に すみれを摘みに 来たんやが 気分えんで 泊って仕舞しもた》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二四)

【万葉歌みじかものがたり】すみれみにと

山部赤人やまべのあかひとは 人付き合いが 上手うまくなかった
人一倍の気づかい それが相手に伝わらない
気遣い の負担を させまいとする心
これ が 相手を遠ざける

 梅見 菜摘みに 誘いたいが 降った雪にホッとする自分がいる)
我が背子に 見せむとおもひし 梅の花 それとも見えず 雪の降れれば
《梅の花 雪降り積もり 見えんがな 友に見せよと おもうていたに》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二六)
明日あすよりは 春菜はるなまむと めし野に 昨日きのふ今日けふも 雪は降りつつ
明日あしたから 若菜み行こ 決めたのに その野は雪や 昨日も今日も》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二七)

 春の楽しみを味わえないものか それも あの児と)
春の野に すみれみにと し我れぞ 野をなつかしみ 一夜ひとよ寝にける
《春の野に すみれを摘みに 来たんやが 気分えんで 泊って仕舞しもた》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二四)

(思うては 自らあきらめ こと成っての楽しい暮らし 仮想おもううての日々が過ぎいく)
あしひきの 山桜花 ならべて かく咲きたらば いと恋ひめやも
《桜花 ずうっとなごう 咲くんなら こんなに見とう 思いはせんに》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二五)

ひそかに思う相手 相手をおもんばかり 恋心告げもせず 悶々もんもんと歌うしかない)
春日はるひを 春日かすがの山の 高座たかくらの 御笠みかさの山に 朝さらず 雲たなびき 貌鳥かほどりの なくしば鳴く 
春日かすがの峰の 御笠の山に 朝は常時いっつも 雲棚引いて 郭公鳥かっこうどりは 鳴き続けとる》
雲居くもゐなす 心いさよひ その鳥の 片恋かたこひのみに 昼はも 日のことごと よるはも のことごと 立ちてて 思ひぞ我がする 逢はぬゆゑ
 その雲みたい 心は揺れて 鳥の名みたい 片恋(カッコウ)しとる 夜昼なしに 立っても居ても 沈む思いや 逢われんよって》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三七二)
高座たかくらの 御笠みかさの山に 鳴く鳥の めばがるる 恋もするかも
 次々に 恋し心が 湧いてくる 御笠の山で 鳴く鳥みたい》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三七三)

(伝えぬが 分かって欲しい恋心 やがてのあきらめ 次なる相手を 探すしかない)
我がやどに 韓藍からあゐおほし 枯れぬれど りずてまたも かむとぞ思ふ
《庭先に 植えた鶏頭けいとう 枯れたけど えでそんなら また植えるから》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三八四



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