犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(200)葦辺行く

2013年05月18日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【一月十六日】放映分
葦辺あしへ行く 鴨のひに 霜りて 寒きゆふへは 大和やまとし思ほゆ
《鴨の背に 霜りてるで 寒むそうや しみじみ大和やまと 恋しいこっちゃ》【慶雲三年難波行幸】
                         ―志貴皇子しきのみこ―(巻一・六四)


【万葉歌みじかものがたり】いはばしる》

天智天皇 第七皇子 志貴皇子しきのみこ
天武 ・持統時代に 青年期
時代の子ゆえの 生き方を求められる

歌道うたみちへの 精進しょうじん
  これしか なかろう
 うたげも ほどほど つどい うた披露ひろうも避け
 独り歌 独り修行が 身守りかなめ
 したが 歌作り 中々の 至難しなんみち

葦辺あしへ行く 鴨のひに 霜りて 寒きゆふへは 大和やまとし思ほゆ
《鴨の背に 霜りてるで 寒むそうや しみじみ大和やまと 恋しいこっちゃ》【慶雲三年難波行幸】
                         ―志貴皇子しきのみこ―(巻一・六四)
大原の このいちしばの いつしかと が思ふ妹に 今夜こよひ逢へるかも
何時いつ来たら えるんやろか 待ってたが とうと逢えたで 今夜こんやのお前》
                         ―志貴皇子しきのみこ―(巻四・五一三)
かむの 石瀬いはせもりの 霍公鳥ほととぎす なしの岡に 何時か鳴かむ
いわもり 鳴くほととぎす 何時いつやねん なしの岡に 鳴きるのんは》
                         ―志貴皇子しきのみこ―(巻八・一四六六)

 は まだ浅い
 の残る 山道を
独り辿る 志貴皇子しきのみこ

皇子おうじは 早春が好きだ
 は 冷たく
空気も ぎ澄まされている
木々 を渡る風も キリとして 頬に心地よい

(いつしか 一人歩きが習いになって仕舞しもうた
 歌の道に いそしんできたが
  やっと 実を着けつつあるか
 気楽 がいい 官職はそこそこでよいのだ)
皇子 は 語りかける
 山はいい お前は 何も言わない
 川もいい さらさらと こだわり
 音が 心しか 高こうなったな
 雪解け が 始まったらしい
  は まだ少し先か・・・)

おや  
おお  見つけたぞ
渓流滝けいりゅうだきのそば
わらびだ! わらびの芽だ!
お前は ゆきかげに 隠れていたのか
まさしく  春の芽だ

いはばしる 垂水たるみの上の さわらびの 萌えづる春に なりにけるかも
わらび 渓流ながれの水の 岩陰で 見たで見つけた 春や 春来た》 
                         ―志貴皇子しきのみこ―(巻八・一四一八)

満足の うたり歓びを 微笑ほほえ
皇子は 春のを 胸奥深いっぱいに 吸い込む




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