初詣

2020-01-09 19:29:32 | 日記
「動物は悲しいね」

グリエが死んだ後きっかり49日間グリエを探して毎日吠えるように鳴いていた
文子の話をすると、クリニックの先生はそう言った。

幾多の動物の死を見てきたはずの獣医師からそんな情緒的な言葉が出たのは意外だった

グリエが死んだときはこれまでのお礼も込めて先生に電話をかけたが

悲しいという言葉を聞いたあとでは文子のことはどう知らせるか迷った

しかし迷う必要はなかった

その翌日にぱったり道で会ったから

「どうしてる?」

「はい、昨夜逝きました」

「そう…、お力になれなくて」

「いえ、ありがとうございました」

先生が悲しいと言ったのは残された者の悲しみなのだ。

逝った者は平和の中にいて悲しむなと言っている
        

火葬はこれまでの二社とは違うところに頼んだ

文子の骨は22歳とは思えず14歳くらいだったとか

尻尾の骨は曲がっていたとかいって

対象への興味と言葉を示し

会社のサービスで骨を入れるホールダーをくれた
       

そんなものはいらないと思ったが

すぐに使う場があることを思い出した


亀岡八幡宮に最後にお参りにいったとき

もう私は願い事は何もなく

ただ気休めに来たようなものだった

何を祈ろうかと考えて

文子と初詣に来させて下さいと祈った

その時の文子がどんな姿かは予想ができた

そしてその通りに元日に文子と初詣をした