荒廃の美

2012-05-26 00:44:43 | 日記
大学の卒業制作テーマは
「福岡、多賀・高宮の在来種」
にしているけれど
私にはもう一つやりたいテーマがあったので、
先生たちには二つ並べて提案していた

それは
「荒廃の美」
という抽象的な論証

先生たちは、それも面白がって下さったので
「それは大学院でやります」
と宣言した
すると冗談で予測していたのと全く同じで
シーン。
せんせー、せんせー、
なんか言ってくだせー。

「シーンだって。せんせー問題児が来ると困りますか」
「いや…。大学院ってどこの?」
「えっ!?}
「うちの?」
「はい」
ほかにどこの大学院がありましょうか。

人は荒れることをいやがって家や庭に手入れをするけれど
本当にいやなものだろうか
失恋したり枯れたり老いたり曇ったり欠けたり古びたり汚れたりしたとき
陽気で明るくて新しくてつるつるでまぶしいものには感じなかった情緒と味わいを得ている

わざわざ荒らすことはしないとしても
すべてがすさまないようにばっちり整えられた環境は
気持ち悪くないだろうか

さて私は最初のテーマ「多賀・高宮の在来種」を
荒廃した御屋敷で調査している
            
調査時間の大部分を
草むらの中に方位磁石やシャープペンや方眼紙や支柱を落として
ないない、どこかにいった、と探すことでつぶしている