はぎわら_m の部屋
社会・時事批評、オピニオン、初等物理の気まぐれ考究、物理教育放談

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福島第一原子力発電所の震災事故は、ついにプルトニウム漏出の事態に至ってしまった。
福島原発、敷地内にプルトニウム 核燃料から放出の可能性 - 47NEWS

事故当初「プルサーマル」を意識した瞬間に最初に頭をかすめた最悪の事態である。
人が立入っての作業が完全に不可能となる段階が見え始めている。(最悪の中で)最善の封じ込め建造物を考案・設計すべき段階だと考える。

プルトニウムの環境への流出量は最小限に抑えねばならない。どうしても出てしまう分については、その総量を正確に把握しなければならない。原子炉敷地周囲を囲むように土壌および地下水のサンプリングポイントをつくり、流出する放射性物質の全量を評価しなければならぬ。今直ぐ取りかかるべきだ。

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今回の大規模な事故について、地震の規模が想定を超えたからだという人がいるが、実は、原子力発電所の事故のリスクというのは、ある意味で極めて明確であり、今回の事故もその範囲内の事なのだ。『全ての装置を止めて何もしないでおくと、何時間後にどうなるのか』、、この考察が、事故、否、原子力発電装置の安全設計の原点になっているはずだ。私は、東京電力が、この推移の想定に意識を向けなかったとか、独善的に楽観視していたとは思えない。マニュアルにある時間推移よりも、ずっと早く、より複雑に、事態が悪化・進行したのだ。そして、その想定を外れたことの主たる原因は、MOX燃料を使うプルサーマルの方法にあったと考えるのが自然である。MOX燃料の緊急停止後の振る舞い方については、経験則などの蓄積が少なく、分かっていないことが多いはずだ。そのような実験的使用を、老朽化した実運用機で行ってしまったことが、今回の事故の一番本質的な「原因」であるに違いない。地震と津波はその因果関係の「トリガー」であったに過ぎない。

しかし、燃料棒の状況まで含めて、全ての情報を完全に与えられた技術者であれば、possible-worstケースの推移はある程度予測でき、対策もここまで後手にまわることはなかったのではないかと思える。実際の原子炉やその燃料の製造に携わった専門技術者に相談できないような使用状況があったのではないか、、という疑念を抱かずにはいられない。東京電力および今回のプルサーマル運用に関係する責任者は、福島原子力発電所に装填・貯留されている全燃料棒について、履歴を含む情報を明らかにしなければならない。
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プルトニウムの一般的知識:プルトニウム - Wikipedia
なお、プルトニウムの人体への有害性は、従来の予想より小さかったという情報もある.
武田邦彦 (中部大学): 原発 緊急情報(36) 3号炉(プルトニウム)の問題(その2)

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〔追記〕
なお、同じように電源供給が止まり津波を受けたはずの福島第二原発の方では、冷却システムが早期に復旧されているそうだ。このことは、本稿とは一応別の、冷却系統のバックアップを含む安全設計のあり方として議論されるべき問題を提起している。

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