去る20日からの夏休み期間は、JR全線の普通・快速列車が5日(回)乗り放題となる格安乗車券「青春18きっぷ」の通用期間にもなっており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、18きっぷを利用した旅行を計画されている方や、これから利用する予定を立てている方も少なくないかと思います。
(今年夏の青春18きっぷは、例年通り8月末まで発売・9月10日まで通用です)
MAKIKYUも今季は1セット購入し、早速2回分を利用して岐阜方面へ1泊旅行に出向いたのですが、その際には今月の集中豪雨で甚大な被害を受けた長野県南木曽(Nagiso)町やその周辺地域も通過したものでした。
南木曽町は中央本線のJR東海管轄区間(通称中央西線)が通っており、18きっぷを利用するとなれば、普段なら中央西線を運行する普通列車に乗車する事になるのですが、集中豪雨ではJRの橋脚流出など軌道設備にも甚大な被害が発生しています。
そのため名古屋~長野県方面を結ぶ大動脈とも言える中央西線は、現在南木曽周辺で不通が続き、都市間移動の要とも言える特急「(ワイドビュー)しなの」号は全列車が全区間運休、不通区間以外の普通列車に関しても時刻や行先変更、運休などが発生している事は、ご存知の方も多いかと思います。
南木曽町での集中豪雨被災から暫くは、道路も含めて一帯の交通網がマヒ状態だったため、代行輸送も実施できない状況でしたが、道路状況が幾分改善されてからは坂下~野尻間でバスによる代行輸送が実施されています。
この代行輸送は概ね野尻で接続する塩尻方面普通列車に合わせた運行となっており、他に坂下~南木曽間の区間便も存在する運行形態となっていますが、駅前スペースの関係でバスが直接駅舎前まで乗り入れるのは坂下駅のみで、他は駅から離れた場所(田立は比較的至近ですが…)での発着となっています。
田立駅が国道から離れた箇所に位置する事や、列車との乗継時間なども考慮し、定時制を重視して運行時間が長めに確保されている事もあってか、列車と代行バスを乗り継いでの移動時間は平時に比べるとかなり長くなっており、不便さは否めないと感じたものでした。
JR東海の代行輸送は、MAKIKYUは以前身延線代行輸送にも乗車した事があり、その際には系列のJR東海バス車両にも当たったものでした。
(他に山梨交通の子会社・山交タウンコーチの車両も充当しており、以前身延線代行バスに関して取り上げた記事もありますので、興味のある方はこちらをクリックして下さい)
MAKIKYUが中央西線の代行輸送を利用した際には、JR東海バスの姿はなく、岐阜県東濃地域一帯で路線バスも運行する東濃鉄道の車両を貸し切っての運行でしたが、JR東海の代行輸送でも、バス停や代行バス行先表示の様式などは異なっているのも興味深いものでした。
MAKIKYUが乗車した代行バスは、その気になれば大型路線車1台でも立席乗車を含めれば何とか乗り切れる程度の乗客数だったものの、2両ワンマン列車相当の輸送力確保を目論んでか、貸切車2台続行による運行となっており、比較的余裕のある状況と感じたものでした。
(時間帯や便によっては、1台のみの運行となる事もある様です)
代行輸送に充当された車両は、名鉄グループながらも日産ディーゼル車を好んで導入している東濃鉄道らしく、2台とも日産ディーゼル車でしたが、MAKIKYUが乗車した1台目のバスは西日本車体工業製のC型で、他社ではこのタイプの車体に、日産ディーゼル以外の下回りと組み合わせた車両にも当たった事があります。
車内は座席カバーに東濃鉄道の通称「とうてつ」の表記が見受けられたのも特徴的でしたが、同社バスは一般路線こそ以前1度だけ乗車した事があるものの、貸切車への乗車は初めてでした。
MAKIKYUの生活圏なども考えると同社貸切車への乗車機会もかなり限られると思いますので、希少な機会とも感じたものでした。
ちなみにMAKIKYUが利用した代行バスで、続行運行となったもう1台は同じ日産ディーゼル車でも、フィリピン製の逆輸入車・ユーロツアー、塗装こそ西工C型と同一ながら、随分雰囲気の異なる車両でした。
MAKIKYUが代行輸送で利用した便は、2台共に東鉄塗装の日産ディーゼル車でしたが、車種に関しては特に特定の車種を限定して充当するのではなく、動員可能な貸切車を代行輸送に回している様な雰囲気でした。
そのため東鉄と同じ名鉄グループに属し、近年貸切事業を廃止した北恵那交通からの移管車両(三菱エアロバス)なども動員されており、野尻の代行バス発着所に停車している姿も目撃したものでした。
この代行輸送の発着駅となっている坂下駅前は、向かいに小規模なスーパーこそあるものの、野尻駅前は国道から離れた閑散とした所です。
買物の便なども…と感じる有様で、駅前の道路も狭く、代行輸送に充当される大型貸切車の乗り入れが困難な所です。
そのため国道沿いの代行バス発着所~野尻駅間は別途運行のシャトルバス利用か、徒歩での移動となっていましたが、このシャトルバスは南木曽交通のマイクロバス2台による運行となっていました。
輸送力こそ小さいものの乗車時間や距離は短いため、代行バス発着場~野尻駅間を複数回運行する運行形態となっており、MAKIKYUはこのシャトルバスも利用しましたが、南木曽交通への乗車は先日が初めてで、今後も利用機会は滅多に…という所だと思います。
野尻の代行バス発着場は、国道沿いにある24時間営業のコンビニ脇となっていますので、こちらなら食事類の調達などは問題なく、中央西線代行輸送利用で野尻で食事類の調達などを・・・と考えている方は、このコンビニを利用すると便利かと思います。
また集中豪雨で甚大な被害を受け、現在も中央西線の不通が続く南木曽町の南木曽駅周辺は、国道沿いを流れる木曽川で現在も大量の流木が残存しているなど、ニュースなどで盛んに報じられた豪雨被害の大きさを改めて実感させられたものでした。
南木曽町は急峻な地形などが影響し、以前から度々大規模な土砂災害に見舞われていますが、先日の集中豪雨で亡くなられた方の冥福を祈ると共に、被災地域の復興と中央西線の早期復旧を願いたいものです。
(お断り)中央西線代行バスは坂下(岐阜県中津川市)~野尻(長野県大桑村)間を運行しており、対象カテゴリーは東海~甲信越の2地域に跨りますが、この記事は代行バスの運行主体事業者が東濃鉄道(岐阜県)である事などを考慮し、「東海」カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。