MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
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羽後交通・本荘営業所管内の路線車各種

2018-06-07 | バス[東北]

先月「MAKIKYUのページ」では、秋田県・由利本荘市を走る由利高原鉄道の新型気動車・YR-3000形に関して取り上げましたが、MAKIKYUが4月に同形に乗車して途中の前郷駅で下車した後は、由利高原鉄道と並行する区間も多い羽後交通の路線バス・本荘伏見線で本荘へ引き返したものでした。


羽後交通は鉄道並行路線が結構健闘していると感じ、本荘伏見線も乗車は3回目でしたが、普通運賃は並行する鉄道より少し高い程度に抑えられている路線が多く、本荘~前郷間も鉄道410/バス470(回数券利用で実質価格はもう少し割安)ですので、丁度良い時間に便があれば割合利用し易い状況と感じたものです。


羽後交通の一般路線は各路線共に地方路線バスでは一般的な運賃後払いの整理券方式を採用していますが、中扉を装備した車両でも前乗り前降り(中扉しめきり)、また整理券方式の路線バスでは標準装備とも言える運賃表示器を装備しておらず、運転席後側に紙製運賃表を掲出しているのも大きな特徴となっています。


車両面も新旧多彩、MAKIKYUが本荘伏見線に乗車した際は首都圏民営事業者から移籍したキュービック(写真の行先表示は乗車時と異なります)に当たったものでした。


また本荘では本荘駅前を経て終点・本荘営業所まで乗車したものでしたが、本荘営業所では許可を得て車庫内に停車している車両を撮影する事もできました。


秋田県内は県都・秋田市でも路線バスは中型車が主体となっていますが、本荘営業所内では大型車の姿も多く見受けられ、大都市圏の排ガス規制区域では姿を見る事が叶わない車両も多数活躍しています。


一時期中古車として地方各地に出回ったものの、近年では経年により第2の活躍舞台でも退役が進行している元都営バスの中扉4枚折戸車も複数台在籍。


ただ前乗り前降りの羽後交通では、迅速な乗降に威力を発揮する
4枚折戸は無用の長物化しており、少々勿体ないと感じる方もいると思います。


中扉引戸の大型車も在籍、こちらも大都市圏からの移籍車両で、営業所内で姿を見た大型路線車は専ら2段ステップの移籍車両という状況でした。

 
一方中型車に関しては大都市圏移籍車も存在しているものの、自社発注の低床ワンステップ車が主流となっています。

 
地方路線バスではよく見かけるマイクロなどの小サイズ車両も数台在籍、中にはワゴン車の姿もありましたが、比率としてはかなり低い状況でした。


また車庫内では高速とコミュニティバス用の車両も見る事ができ、こちらは大都市圏の排ガス規制区域でもよく見かける車種でした。


車両は新旧様々、メーカーも各メーカーの車両を万遍なく導入している様に見受けられ、所属台数の割に車両バラエティが豊富、趣味的に見てかなり面白い状況とも感じたものでした。


今も不通が続くJR山田線・宮古-釜石間~両都市間の移動はバス乗継

2017-03-11 | バス[東北]

6年前の今日(311)は、未曽有の大惨事となった東日本大震災の発生日。

MAKIKYU
は横浜市内某所での業務中に遭遇、その時は結構大きな地震が来たという程度の認識でしたが、後に明るみとなった被災地の状況が報じられる度に、これは阪神大震災をも…と感じたものでした。

震災の年(2011)夏には被災地の石巻や女川などを訪問、その後も大津波で甚大な被害を被った岩手・宮城・福島3県の沿岸部には何度か足を運んでおり、今年も1月に足を運んでいます。

その際には鉄路で復旧した三陸鉄道や常磐線(一部区間)をはじめ、BRT仮復旧となった大船渡線や気仙沼線などにも乗車していますが、今でも震災以来「不通」状態が続いている区間が存在します。

震災から6年を経た今日でも不通が続いているのは、JR山田線の宮古~釜石間で、この区間は未だに代行輸送すら実施しておらず、定期券・回数券利用者のみ路線バスに振替乗車を行う状況が続き、旅行者にとっては非常に不便な状況ですが、路線復旧→運転再開時は三陸鉄道移管が確定しています。

MAKIKYU
1月に宮古→釜石へ移動した際にも、津波被災区間の一部で復旧工事が行われており、被災地はまだまだ復興したとは言い難い状況ながらも、復興へ向けての歩みが着実に進んでいる事を実感したものでした。

ちなみに宮古~釜石を公共交通機関利用で移動する場合、現在唯一の交通手段となっているのは路線バスで、宮古周辺は岩手県北バス・釜石周辺は岩手県交通のエリアとなっている事もあり、両都市間を直通運転する路線バス便はなく、山田町の「道の駅やまだ」か「岩手船越駅」で2路線を乗り継ぐ事になります。

MAKIKYU
は以前にもこの路線に一度乗車した事があり、今年2回目の乗車となりましたが、宮古~岩手船越間でMAKIKYUが乗車した便は、一般路線ながらも都市間バス並の車両が充当、岩手県北バスでは観光タイプの経年車を一般路線に転用する事も多く、宮古だけに限らず盛岡市内でもこの手の車両が活躍する姿を散見します。


そのため観光タイプの車両が充当されても、3列シート車や最新鋭車両などでない限りは、個人的には余り驚かない事ですが、盛岡~宮古の都市間路線(106急行)でもトイレなし車両が大半を占めている中で、トイレ付車両が充当されたのはビックリでした。


個人的には岩手県北バスらしい個性を感じるトップドアの中型ワンステップ車登板(写真)を期待していましたので、トイレ付観光タイプ車が充当されたのは見込み違いでしたが、宮古~岩手船越は片道1時間以上の乗車となる事も考慮すると、一般客にとってはこちらの方が良いと捉える向きも多いと思います。


また宮古地区でも震災後首都圏中古車の流入も増加、MAKIKYUが1月に宮古~田老で乗車した県北バスも首都圏中古車でしたが、宮古~岩手船越の路線でも観光タイプ・自社発注中型・首都圏中古車と様々なタイプの車両が活躍していますので、どれに当たるかはその時の運次第です。
(
トイレ付車両に関してはHPやバス停時刻表などでの案内こそないものの、ダイヤ限定で運行している様です)


そして船越地区で路線を乗継、釜石に向かう際には、以前乗車した際は県北バスの終点・岩手船越駅まで乗車したものの、1月の乗車時は雨天だった事もあり、道の駅やまだで乗継したものでした。
(
道の駅やまだ~岩手船越駅の1停留所間は2社路線が重複、宮古・釜石どちらからも2停留所への運賃は同額です)

道の駅やまだは初訪問、釜石方面へのバス乗継まで少々余裕があり、道の駅にある食堂を覗いたら塩味の「わかめラーメン」が420円。


昼食にしては時間的に少々早めでしたが、価格も手頃という事で注文、シンプルながらも軽めの昼食に丁度良いと感じたもので、他に海鮮系の具材が多数トッピングされたラーメンなどのメニューなどもありました。

道の駅やまだからは上大畑行きの岩手県交通バスに乗車、この路線は震災前に釜石市~大槌町内間を運行していた路線を震災後山田町まで延伸したもので、釜石市内では釜石駅前を経て上大畑まで運行しています。


釜石市内完結路線は、コミュニティバスとして割安な定額運賃(100円~・100円刻み)で運行、釜石市内で市内完結路線と大槌方面路線が重複する区間では、バスによって運賃が異なる上に、車両は両者共通で一般路線車各種を使用しているため、入口付近には「広域バス通常運賃」という表示を掲げているのも大きな特徴です。


MAKIKYU
が乗車した便では、車齢20年超の元国際興業車(キュービック)が充当、この車両は古参車が多い県交通の中でも、釜石最古参の部類に入る車両の様です。

結構な古参車ながらも県交通では釜石だけでなく、盛岡地区など各地でまだまだ主力として活躍している車で、このタイプが来てくれれば…と思っていましたので、個人的には大当たりでした。

(
一般客の評価としては、県北バストイレ付車両の方が上かと思いますが…)

この車両は以前国際興業のバスに記されていた「KKK」ロゴの最初の「K」だけを少し削った「IKK」ロゴこそないものの、懐かしい緑色の「バス共通カード取扱車」ステッカーも健在です。

県交通では「バス共通カード取扱車」ステッカーを「バスカード取扱車」ステッカーの代用としている事も多いですが、県北バスとの相互利用停止で「共通」ではなく「自社専用」になっていますので、少々紛らわしいと感じる方も少なくないのでは…と感じます。

そしてこのバスで釜石駅前まで乗車、その途中では被災地の中でも特に甚大な被害を被った大槌町を経由し、大槌の現状はまだまだ復興とは程遠いと感じたものでしたが、それでも以前に比べると状況は随分良くなったのでは…とも感じたものでした。

釜石到着後は更に南下し、大船渡へ向かったものでしたが、釜石市内では三陸鉄道の列車乗車まで時間があった事から定額運賃のコミュニティバスにも少しだけ乗車、こちらは県交通オリジナル塗装の自社発注中型車でした。


道の駅やまだ~釜石駅前で乗車した元国際興業のキュービックに比べれば、こちらの方が若干新しいとは言えども、こちらも経年は20年前後とベテランの域に入る車両、県交通オリジナル塗装の車両も少なくなりつつありますので、これも注目の車両と感じたものです。

また今日で東日本大震災から丁度6年・節目の日で、震災被災地に関連する事柄という事もあってこの記事を公開していますので、この記事へのコメントは記事で取り上げたバス関連の内容だけに限らず、震災に関して感じている事などがありましたらどうぞお寄せ下さい。


岩手県北自動車「106急行」~盛岡と宮古を結ぶ基幹路線

2017-02-26 | バス[東北]

先月MAKIKYUが三陸沿岸一帯へ足を運ぶ機会があり、その際にはJR在来線の普通列車(快速含む)が乗り放題となる格安乗車券・青春18きっぷを利用したものでした。

この乗車券を利用して岩手県の内陸部に位置する県都・盛岡市と、三陸沿岸北部の基幹都市・宮古市の間を移動する場合は、平時ならJR山田線を利用する事になり、MAKIKYUは随分前に盛岡→宮古を山田線普通列車で移動した事もあります。

しかしながら両市間の途中は険しい山間で沿線人口も限られている上に、両市間は都市間バスが頻発している事から、列車本数は指の数も…という状況となっており、レールファンや青春18きっぷユーザー、首都圏や仙台など~盛岡間を東北新幹線利用で宮古方面との間を往来する需要を除くと、公共交通機関で両市内を移動するのは至便な都市間バスが主流となっています。

また現在JR山田線は土砂災害の影響で上米内~川内間で運転見合わせ(他に津波被災区間の宮古~釜石間も不通)となっており、上米内~川内間では代行輸送も実施していませんが、その代わりに盛岡市内を除くと大半の区間で並行する都市間バスへの振替輸送を実施しています。

この都市間バスは国道106号線を運行し、盛岡・宮古両市内の市街地では一部停留所のみ停車の急行運転を行う事もあって「106急行」と呼ばれており、岩手県北自動車(県北バス)の基幹路線となっています。

MAKIKYUが先月盛岡→宮古を移動する際には、JR盛岡駅窓口で青春18きっぷを提示→106急行バス振替乗車証交付を申請し、この振替乗車証で106急行バスに乗車したものでした。


106急行バス振替乗車票は定期券サイズ、首都圏の輸送障害発生時などによく発券される白無地のエドモンソン券サイズに比べるとサイズが大きく、緑色でJR地紋入りになっているなど、振替乗車証にしては結構高級な印象を受けたものでした。

ちなみに106急行バスは整理券方式(運賃後払い)による全車自由席制での運行、バスカード(以前は岩手県交通との共通カードでしたが、現在は自社単独となっています)での運賃支払いも可能となっています。

市内利用不可としている路線も多い高速バスなどとは異なり、停車各停留所間なら乗降停留所制限はありません(盛岡駅~盛岡BC間でも乗車可能です)が、全線一般道路を運行する路線ながら片道約100㎞・所要2時間強を要する事もあり、高速バスと同等のリクライニングシート車が充当されます。


ただ途中で1回トイレ休憩を設定している事もあり、基本的にはトイレなし車両による運行となっており、活躍車両もトイレ付車両での運行が案内されている特定便(3往復)と「バスものバス(貨客混載車両)」での運行便を除くと、県北バスで活躍する新旧様々な車両が充当されます。
(写真は途中の区界付近ですれ違った盛岡行の106急行バスです)


県北バスは元々日野と日産ディーゼルの2メーカーを導入していた事業者という事もあり、一般路線をはじめ都市間バスでもこの2メーカーの比率が高く、MAKIKYUは新型セレガ(写真は宮古からやって来た盛岡駅終着の106急行バスです)が充当されればアタリかな…と感じていました。


この様な路線ですので、盛岡駅で106急行バスを待っている際も、どの車種がやって来るのか非常に気になっていましたが、乗車便に充当されたのは三菱製の新鋭エアロエース、個人的には想定外の大アタリ。


この車種が106急行で複数活躍する姿を見ると、県北バスも随分変わったな…と感じたもので、このエアロエースもトイレなしなのは少々残念な所ですが、充電用コンセントも装備している辺りは新鋭車両ならではと感じたものでした。


乗車時間が長く盛岡・宮古両市内間を乗り通す乗客が多い事もあってか、運賃箱脇に乗客が自由に読める新聞が置かれているのも特徴的と感じたものでした。

また106急行バスは山田線が旧国鉄だった頃から運行、永年の実績を誇る路線で、旺盛な利用がある事から、時間帯によっては積み残しが発生する事もあります。

MAKIKYUが乗車した便は、盛岡駅出発時に乗務員が無線で「乗車人数26名」と営業所に伝達しており、途中停留所で数名乗車が加わっても盛岡市内で降車する乗客も居た事から、満席にはならない状況でしたが、乗車翌日に宮古駅を発車する盛岡行の106急行バスでは定員超過で積残客が発生していました。


しかしながら永年の実績を誇る路線だけあり、定員超過となる盛岡行106急行バスの発車前に「106急行 盛岡行」の紙を掲出した岩手県北観光の車両が増便として宮古駅前に出没、このバスが定期便に乗り切れなかった乗客を乗せ、定刻の5分後に盛岡へ向けて出発する姿も目撃しています。

概ね毎時1本(時間帯によっては2本)という高頻度や、盛岡市内では盛岡駅だけでなく県庁前や盛岡BCなども経由する中心部へのアクセス性、古くから冷房付リクライニングシート車による運行で、JR山田線と大差ない運賃設定などに加え、旺盛な需要に応えるための増便体制も確立している事も106急行バスの強みと感じたものでした。

これに対しJR山田線は、MAKIKYUが今世紀に入ってから乗車した際には手動ドアで冷房装置もない車両に乗車した事を踏まえれば、現在のキハ110系列は半自動押しボタン式ドア・冷房装置完備であるなど、車両面では大幅に進化していますが、それでも化粧室の存在と新幹線接続の定時性を除くと、かなり苦しいのでは…と感じたものでした。

また106急行バスへの振替乗車は、盛岡駅窓口で確認した限りでは、JR山田線列車の運行時刻に近接した便だけでなく、振替乗車票の発行当日中ならば、106急行バスの任意便に乗車できるとの事でした。

JR山田線・上米内~川内間の復旧見込みもまだ暫く先ですので、今春や今夏の青春18きっぷ設定期間は、青春18きっぷでの盛岡~宮古間の移動が平時よりも便利なのでは…と感じるのは皮肉な限りです。


106急行バスで盛岡駅~宮古駅間を移動するだけでも片道2000円強(実質価格はバスカード利用+差額現金払いで1800円強)を要しますので、青春18きっぷ設定期間に首都圏~宮古の移動で、東京駅や大宮駅など~盛岡駅間で東北新幹線を利用する場合でも、利用区間次第では新幹線乗車駅までのJR在来線+106急行バス振替乗車でオトクになる事例も多数出て来るのでは…と感じたものですが、この様な使い方を考えている人物がどれだけいるのかも気になる所です。

ただネット上の経路検索で首都圏各地~宮古間を検索すると、不通となっているJR山田線・上米内~川内間を経由する時刻や運賃は算出されず、最初から106急行バス利用で案内されますので、事情通でなければ振替乗車自体を思い付かないかもしれませんが…


仙台市内を巡る観光巡回バス「るーぷる仙台」~地下鉄とのセット券も…

2016-01-31 | バス[東北]

先日「MAKIKYUのページ」では、昨年末に開業した仙台市営地下鉄東西線に関する記事を公開しましたが、MAKIKYUが昨年末に仙台へ足を運び東西線に乗車した際には、幾つもの駅で乗降する事もあり、1日乗車券を利用したものでした。

仙台市営地下鉄の1日乗車券は、地下鉄のみ通用の乗車券でも840円、市内各地を走る市営バスとの共通の1日乗車券設定がないのは残念ですが、地下鉄と市内の観光名所を巡る観光巡回バス「るーぷる仙台」(以下るーぷると記します)との共通1日乗車券が設定されているのが特徴です。
(市営バス一般路線は特定区間のみ有効のスクラッチ式1日乗車券が2種類発売されており、案内所窓口などで事前購入可能です)

るーぷるは地下鉄2路線や市内路線バスの一部と同じ仙台市交通局が運行しており、専用1日乗車券を620円で発売、また1回乗車も260円で可能ですが、市営バス一般路線で通用する1日乗車券は通用せず、市バス一般路線とるーぷるでは同一区間乗車でも運賃体系が別(大半は一般路線の方が割安)となっています。

そのため観光に特化してバスを利用するならるーぷるも悪くないものの、郊外などへ足を延ばしたり、夜間帯にバスを利用したい時などは都合が悪いのが現状で、MAKIKYUは仙台へ幾度も足を運んでいながらも、市内でバスを利用する際は仙台市営や宮交グループが運行する一般路線ばかり、るーぷるは姿を見るばかりで乗車する事は…という状況でした。

しかし地下鉄・るーぷる共通1日乗車券は900円、地下鉄のみ通用の1日乗車券に60円を追加するだけで購入できますので、地下鉄1日乗車券+市内中心部の「100円パッ区(ワンコイン区間)」で別途路線バス1乗車よりも割安な価格設定となっています。


乗車券デザインも好感の持てるものでしたので、地下鉄乗車の序にるーぷるに乗車するのも悪くないと思い、東西線乗車などと併せてるーぷるに初乗車したものでした。


るーぷる充当車両は基本的に中型のレトロ調専用車が用いられ、車両自体も一つの名物と言える程、車両毎に装いが異なるのも大きな特徴です。


るーぷる専用車は外観だけでなく、車内も観光向けに相応しい木材をふんだんに用いたモノとなっているのが特徴ですが、繁忙期などはるーぷる専用車以外での代走もしばしば行われている様です。

またるーぷるは9時~16時(仙台駅発)の市内観光名所を巡回する通常ルート以外に、期間限定で別ルートの夜間運行を行う事もあり、MAKIKYUが乗車したるーぷるは「光のページェント号」と称する便でした。
( 「SENDAI光のページェント(期間限定・毎年12月に開催)」の開催期間外は、このルートは運行していません)

こちらは通常ルートのるーぷるが運行する青葉山などは経由せず、仙台駅を起点に「光のページェント」が行われている定禅寺通りを巡り、仙台駅前に戻る時計回りの循環運行となっており、通常ルートよりも運行距離が短い事もあり、運賃も200円均一とやや低額に設定されています。

それでも一般路線の「100円パッ区」などに比べれば割高で、運行本数も多い一般路線を利用した方が便利という気もしますが、るーぷる専用車に乗車できる事に加え、観光巡回バスならではの観光案内などが行われる事なども考慮すると、普通に現金で200円を支払って乗車しても…と感じるものでした。


ましてMAKIKYUは地下鉄1日乗車券に+60円の乗車券を利用、るーぷる専用車乗車に丁度良いという程度で乗車したものですので、見物前は光のページェントは余り期待していなかったのですが、バス車中から眺めた光のページェントはかなりの見物とも感じたものでした。

るーぷる専用車乗車に加え、見事なページェントまで見物できるとなれば、「光のページェント号」乗車は一石二鳥と感じ、またページェント開催期間に仙台へ足を運ぶ機会があれば、このバスで定禅寺通りを再訪するのも…とも感じたものでした。

ただ夜間運行実施期間以外で地下鉄・るーぷる共通1日乗車券を利用する場合、るーぷるの運行時間帯が昼間のみに限定される上に、一度もるーぷるに乗車しない場合は地下鉄1日乗車券の方が割安になりますので、この点は要注意ですが…


今月乗車した「JR救済バス」~代行という呼び方ならよく聞くのですが…

2015-09-24 | バス[東北]

今日MAKIKYUはJR横浜線で夕方発生した人身事故の影響で、他社線(私鉄)への振替輸送を利用する事になり、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、この人身事故の影響を受けたという方もおられるかと思います。

MAKIKYUはJR東日本の輸送障害で他交通機関への振替となったのは今月に入ってから2回目、今月は上旬にも輸送障害の影響を被った事がありました。

こちらは東北本線で大雨により規制値に達したため途中駅で列車運行が抑止、指令から運行打ち切りという事で、輸送障害の性質は異なりますが、横浜線と異なり沿線に振替可能な他公共交通機関が…という所で、運行抑止後に振替輸送が実施されるまで約1時間程度待たされる状況になりました。


運行抑止場所は福島県内北部の藤田駅、駅舎側に1面1線と跨線橋を跨いだ反対側に島式ホームの計2面3線という典型的な国鉄型配線の駅で、MAKIKYUが乗車していた列車は本来福島~白石間の運行でしたが、藤田以北の往復を運休とした上で、藤田から折り返し福島行充当に変更という状況でした。

藤田~貝田~越河~白石間の福島~宮城県境区間は山間部で運行規制となる事も多い区間で、MAKIKYUは以前にも同区間を通る際に徐行運転実施となり、乗車列車が遅延した事がありますが、運転取りやめとなったのは今月が初めてでした。


運転抑止となった藤田駅は何十回も通っているものの、駅を降りたのは今回が初めてで、予想外の事態で藤田駅初利用という事になりました。

列車の始発・福島駅出発時点で藤田以遠の運行取りやめが確定している状況であれば、阿武隈急行線や福島~仙台間高速バスなどへの変更も出来たのですが、藤田駅到着直前に運行指令から乗務員室へ運行抑止の連絡が入る状況では…と感じたもので、一部の他乗客からは「分かっているならもっと早く情報が欲しかった」という声も聞かれる状況でした。

運行抑止確定後は運転士(列車はワンマン運転)が乗車人員をカウント(70名強)、指令に報告して対応を検討という状況でしたが、結局列車が運休となる藤田~白石間でバス代行を行い、白石以北で遅れながらも運行している後続列車への乗車案内となりました。

藤田駅では運行取りやめの案内から40分程度で、JR側が手配した代行バスが1台駅前に到着、そしてその後もう1台のバスが到着してから乗車案内という状況でした。


乗客がバスに乗り換えてからはJR側の係員が途中の貝田・越河両駅利用者がいないかを確認に回り、乗車バスの乗客は全て白石以遠まで行くという事で両駅は通過、白石駅までずっと一般道を走り、バスで30分程度という状況でした。


代行バスは「JR救済バス」と掲げられていたのが印象的で、この名称は見慣れないと感じたものでしたが、振替で充当された2台のバスはどちらも「(有)メール観光」の貸切車で、一般路線運行に関わっている大手事業者ではなく、地場の貸切専業事業者という事もあってか、MAKIKYUは今回のJR救済バス乗車で初乗車、それどころか社名自体も初めて知ったという有様でした。

 
MAKIKYUが乗車したバスは、最初に藤田駅に現れた三菱製貸切車の典型とも言えるV8エンジンのエアロバスでしたが、車内には他県バス協会名(県名部分のみ塗り消し)が書かれたステッカーが残存していました。
(乗務員氏名札部分は画像加工済です)

 
車内設備は4列トイレなしの典型的な観光バスといった雰囲気ですが、最後尾座席のシートカバーには「KaNaC」表記が見受けられるなど、他県バス協会名入りステッカーと共に凡その出自が推測できる転籍車でした。


もう1台はスーパーハイデッカー車で、後にネットで同社バスに関して調べると、この2台以外にも2階建てのエアロキングや新鋭エアロエースなど、三菱製他車種で同色のバスが活躍する他、真っ赤な装いではないバスも在籍し、三菱製以外の車両も活躍している様です。

このJR救済バスで白石駅到着後は、白石以北で運行している列車へ乗り換えとなりましたが、こちらも途中駅で数分程度の抑止もあるなど、この日の目的地だった仙台への到着時刻は当初予定より大幅に遅れ、2時間程度のロスも生じてしまいました。

ただこの日は比較的余裕のあるスケジュール設定だった上に、乗ろうと思ってもなかなか乗車機会が巡って来ない「救済バス」に乗車でき、まして日頃首都圏に身を置く立場ではまず利用機会がない「メール観光」のバスに乗車できたのも貴重な機会と感じたものでした。

MAKIKYUは今までにも何度か予告済の代行輸送を利用したり、乗車していないものの代行輸送に駆り出されたバスの姿を見た事などもありますが、今回MAKIKYUが「JR救済バス」で乗車したメール観光に限らず、代行輸送に関しての思い出話などがありましたら、是非コメントもどうぞ。


会津乗合自動車・高速バス「いわき~郡山~会津若松」線

2015-05-06 | バス[東北]

先日「MAKIKYUのページ」では、臨時快速列車「福島DCオープニング」号に関して取り上げ、同日に臨時快速列車「つながーるふくしま」号にも乗車となると…と思った方も居られるかと思います。

両列車の運行区間は離れており、前者は横浜~いわき間、後者は会津若松~新潟間ですので、福島県内のいわき~会津若松間を別途移動する必要が生じ、青春18きっぷを利用して列車移動となると、磐越東線~磐越西線を郡山で乗り継いで…という事になります。

しかしながら磐越東線の浜通り(いわき)方は、列車本数が少ない事で有名な区間の一つで、「つながーるふくしま」号から乗り継ぐとしても結構な待ち時間、これで「福島DCオープニング」号の会津若松駅出発時刻に間に合わせるのは…という状況です。

そのため「福島DCオープニング」号の記事を見て、いわき~会津若松間をどの様にして移動したのか…と気になった方も、もしかしたら居られるかと思いますが、先月MAKIKYUは両駅間を青春18きっぷとは別払いで、別途高速バスを利用して移動したものでした。


いわき~郡山~会津若松間の高速バスは、新常磐交通・福島交通・会津乗合自動車の福島県内大手バス会社3社が共同運行しており、郡山発着の区間便を含めると概ね1時間毎程度の頻度で運行、磐越西線とはほぼ互角の利便性を誇り、運転本数が少ない磐越東線の浜通り方と比べると、運行頻度の面では圧倒する存在となっています。

磐越道経由で観光タイプ車両による運行ながらも、乗車時間1時間程度の旅客も多い県内路線だけあり、予約制ではなく座席定員制、運賃収受も乗車時に整理券を取り、降車時に運賃表示器表示額を支払う後払い方式ですので、下道を走る路線バスに近い感覚で利用できますが、全区間乗り通しだと所要3時間程度を要しますので、福島県は結構大きな県である事を、改めて実感させられます。

MAKIKYUがこの路線に乗車したのは、いわき発の便に会津若松まで乗車、県内移動ながらも2400円を要していますので、青春18きっぷの1回当り金額が如何に割安かを改めて実感させられます。

とはいえこの路線の郡山~会津若松間運賃は、同区間のJR普通運賃よりも割安に設定されている程ですので、乗車距離などを考えると妥当な水準なのでは…と感じたものです。

MAKIKYUが乗車した便は会津乗合自動車(会津バス)運行便、車内放送は会津盆地内を走る一般路線と同種の少々特徴のあるもので、一部停留所到着時などに流れる独特なチャイムが印象的でした。

また福島県内のバス会社各社は排ガス対策の関係などもあり、東京方面などへ向かう高速便に新車を優先投入しており、県内高速便には経年車を充当する事が多くなっています。


いわき駅前でも福島交通の経年車が走っている姿を見る程でしたので、経年車充当も想定していましたが、乗車便に充当されたのは2004年式のいすずGALAでした。


当然MT車ながらもACT装備となっており、一般的な4列シート車ながらも、思っていたよりは新しく見映えのする車両が来たと感じたものでした。


運行頻度などを考慮すると、丁度良い時間に列車がない時に活用できるだけでなく、何度も列車で移動している都市間を別ルートで…という向きにも興味深い存在かと思いますし、磐越道で会津盆地内に到達した際に車窓から眺めた磐梯山なども絶景と感じたものでした。

ただMAKIKYUが乗車した車両は後部トイレも設置され、いわき~若松間で片道3時間の乗車も想定して…と言いたい所ですが、残念ながら「使用中止」の張り紙が掲出されていました。

そのため郡山駅前での停車時間(ダイヤ上は停車時間が確保され、乗務員に断りを入れれば、トイレ目的での一旦下車は可能です)に一旦下車して用を足す事になったのは、少々考え物と感じたものでした。

途中ですれ違った同路線の会津バス運行便でも、トイレに関しては同様の措置が取られているのを確認しており、トイレ設備がある限りは極力使える様に…と感じたのは惜しい限りで、この点だけは今後改善される事を願いたいと感じたものでした。


昨日見かけた新常磐交通の小型貸切車~7月には北東北でも…

2013-11-04 | バス[東北]

昨日MAKIKYUは近所(横浜市内)で、日頃余り見かける機会のない新常磐交通の貸切車が駐車している姿を見かけたものでした。

新常磐交通は福島県浜通り・いわき市を拠点に、同市内やその周辺の路線バス運行を中心に、いわき発着の東京行高速乗合バスや県内高速乗合バス(いわき~郡山~会津若松)、貸切バスの運行なども行っている中堅バス事業者です。

高速乗合バスが東京駅まで乗り入れているだけあり、首都圏でもその気になれば同社バスの姿を見る事はさほど難しくありません。

事業規模などを考えれば、貸切車が首都圏各地の著名な観光地などに出没しても、決して不思議ではない気もしますが、横浜市郊外で観光などとは全く無縁の所に、同社のバスが出没するのは少々珍しいと感じたものでした。


またMAKIKYUが7月に北東北某県へ足を運んだ際には、たまたま同社の小型貸切車が駐車している姿を目撃し、こんな所に常交の車両が居るのは物珍しいと感じて、一応その姿を…という事で撮影した写真がありました。
(「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、写真背景に写っている電車を見ただけでも、撮影地点を特定できる方も居られるかと思います)


昨日見かけた車両(昨日は撮影できなかったのですが…)が、7月に見かけた車両と同型の様に感じ、登録番号と7月に撮影した写真を見比べたら、見事に一致したものでした。

小型車ながらも随分色々な所に出没する様で、またどこかでこの車両に遭遇する機会があるかも…と感じたものでした。

貸切バス自体は全国各地で大手から中小事業者まで多数存在し、その全貌はとても把握しきれない程ですが、一般路線や高速乗合バスなどでそこそこの事業規模を誇る事業者で、路線バスと同系統の装いを纏っていると、その存在感は一歩抜きに出ていると感じます。
(福島県からやって来たバスでも、余程特徴的な装いか大手・中堅事業者でもない限りは、その存在は余り気に留めないかと思いますので…)

MAKIKYUは一般路線バスに乗車する機会は多いものの、高速乗合バスを利用する機会も数ヶ月に1回程度、貸切バスを利用する機会は滅多に…という状況ですが、新常磐交通の路線バスは今夏にも乗車する機会があり、機会があればまた乗車したいと感じたものでした。

(お断り)昨日同社バスを見かけたのは「首都圏」(神奈川県横浜市某所)ですが、同社拠点並びに写真撮影地(北東北某県)は「東北」、記事内容は双方の地域に跨っており、当記事は「東北」カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。


秋田中央交通で活躍する富士6E~出自による差異も…

2013-08-12 | バス[東北]

先月中国地方の山口県や島根県の一部などで発生した局地的豪雨、通称「ゲリラ豪雨」では、斜面崩壊や河川氾濫など甚大な被害を及ぼし、死傷者発生も大々的に報じられていますので、ご存知の方も多いかと思います。

このゲリラ豪雨では、JR山口線や山陰本線の一部区間にも甚大な被害が発生し、「復旧まで1年以上」とも言われていますが、これに続き今月も北東北の秋田県などで同種の被害が発生しています。

この豪雨ではローカル線だけでなく、首都圏や仙台などと秋田市を結ぶ大動脈・秋田新幹線の在来線区間(田沢湖線)も、線路内への土砂流入などによって数日間運休を余儀なくされる状況でした。

田沢湖線は幸いにも今日運転再開となりましたが、お盆の帰省シーズン、まして土日に秋田新幹線が全面運休ともなれば、秋田への主要交通機関は麻痺状態と言っても過言ではなく、日頃は流動の少ないルートも、秋田新幹線の代替利用などで相当な混雑になり、中には秋田へ帰省する予定を止む無くキャンセルした方も居られるかと思います。
(花輪線は現在も不通が続いており、こちらは復旧見込みも示されていませんので、復旧までどの程度の日数を要するのか気になります)

MAKIKYUも秋田県内に親戚が複数居る事もあり、数年に一度は秋田県内へ足を運ぶ機会があり、最近では先月足を運んでいますが、その秋田県内で最大手のバス事業者は秋田中央交通で、秋田市内を中心にその近郊を運行する路線や、秋田発着の高速バスなども運行しています。

旧秋田市営バスの路線も、車両と共に秋田中央交通が継承しており、現在秋田市内で運行する一般路線は、県内方面から乗り入れる一部を除くとほぼ中央交通という状況になっています。

旧市営バスで設定されていた「乗り放題乗車券」も、現在では市営バス移管路線、従来からの路線共に利用でき、秋田市内の大半で利用できますし、一般路線の普通運賃は決して安いとは言い難い状況ですので用価値は結構高く、MAKIKYUが先月秋田市内を動き回る際にも、この乗り放題乗車券を利用したものでした。

秋田中央交通は元々一般路線車で中型車が主力を占めており、旧市営バスも同様の状況でしたので、近年の新車も含め、大半を中型車が占めており、MAKIKYUが中央交通を利用した際も、乗車したのは中型車ばかりという状況でした。

旧市営バス移管の絡みもあり、一応国産4メーカーの車両が活躍していますが、いすゞの比率が高く次いで日野、残る2メーカーの車両に当たる機会は余り多くない状況です。

MAKIKYUが乗車したのもいすゞが多く、純正車体の車両にも何度も乗車していますが、これに加えて見るからに古めかしい雰囲気が漂い、近年大都市圏の排ガス規制対象地域ではまず見かけなくなった富士6E車体の車両も散見し、実際に乗車する機会もありました。


MAKIKYUが先月乗車した6Eは写真の車両、高速バス共同運行で中央交通とは縁の深い首都圏事業者から移籍した車両で、中央交通の一般路線は基本的に中乗り・前降りであるにも関わらず、前扉直後に小さい側面幕窓が設けられ、この部分を利用せずにその後ろに側面LED行先表示器を設置している辺りは、見るからに余所からやって来たバスと言う雰囲気を漂わせています。

このバスに乗車すると、車内はほぼ元事業者そのままというだけでなく、音声合成による車内放送も元事業者で聞き慣れたタイプですので、バス停名などを別とすると、元事業者のバスにでも乗車している様に錯覚する状況でした。
(これで県南方面から乗り入れてくるバスとでもすれ違うのなら尚更ですが、こちらのバスで用いている車内放送は、中央交通とは別物です)


また6EはMAKIKYUが乗車した車両以外にも、数台が稼動している姿を目撃しており、出自の差異なども影響してか、側面の窓割や行先表示器の設置位置などにバラツキがあります。


中には前面行先表示脇に「運賃後払い 整理券方式」という表記が記された車両もあり、これも元事業者の出自を物語っていますが、この事業者も退役後、地方で第2の活躍をする車両がかなり多く、その際には他車両では「運賃後払い 整理券方式」の表示を行っていなくても、この表記を活用する事例は他事業者でも結構多いと感じます。
(この事業者では「運賃前払い」表記の車両もあり、他事業者への移籍車両でこの表記をそのまま活用(当然ながら運賃前払い路線に充当)という事例も存在しますが、こちらは少数派です)

秋田中央交通に限らず、秋田の路線バスは何処も大都市圏移籍車がそれなりに活躍しており、日常生活圏では21世紀のバスばかり、そして古参車好みのMAKIKYUとしては、結構楽しめたものでした。

ただ秋田でも主力はエルガミオになりつつあり、新車だけでなく移籍車も登場している状況は、時代の流れを感じさせられたものでした。


BRTで仮復旧したJR気仙沼線(2)~路線編

2012-09-16 | バス[東北]

先日「MAKIKYUのページ」では、BRT(Bus Rapid Traisit)による仮復旧を果たしたJR気仙沼線柳津~気仙沼間で充当されているバス車両に関して取り上げましたが、今日はその続編として車窓などの様子を取り上げたいと思います。

MAKIKYUが今月気仙沼線を利用した際には、岩手県内から首都圏へ帰還する際に乗車した事もあり、気仙沼駅からのスタートになりました。

気仙沼市も魚市場などのある低地の中心部は甚大な被害が発生しているものの、気仙沼駅は中心部からやや離れた高台に位置している為に津波被害はなく、この事も幸運に作用してか、震災後も大船渡線一ノ関~気仙沼間は比較的早期に復旧しており、現在同区間はほぼ震災前と同様の運行状況になっています。

震災による津波被害などで運行がままならない交通機関が多数存在する中で、同線と競合する岩手県交通の特急便を含む路線バス(一ノ関~気仙沼・一部便は更に陸前高田~大船渡まで運行)と共に、全国各地から気仙沼へ向かう公共交通機関として重要な役割を果たしています。

この気仙沼駅から出発する気仙沼線も、気仙沼駅と隣の不動の沢駅こそ津波被害は免れているものの、南気仙沼~陸前戸倉までの区間は鉄道施設だけでなく、沿線地域の被害も甚大で、運行上の都合もあってか、気仙沼~柳津間の鉄路による復旧見通しは当面…というのが現状です。

その事もあってBRTでの仮復旧となっており、今後鉄路での復旧が実現するのか否かも気になる所ですが、気仙沼駅は震災前から一部路線バスの発着もあるものの、一ノ関~大船渡方面を結ぶ岩手県交通バスなどは駅ロータリーには入らずに駅前の通りを発着(徒歩1~2分)する状況で、気仙沼駅発着の路線バスが発着するロータリーも決して広いとは言い難いものです。


そのためロータリーのバス発着場奥に、気仙沼線BRT専用の折り返し・待機場が設置されており、気仙沼駅のBRT乗り場では、他に一部路線バス(ミヤコーバス)の発着もあるために、出発時間の2~3分前にようやくBRT入線となります。


気仙沼線BRT区間各駅(停留所)では、バスの車体塗装と同様に派手な印象を受ける赤い専用ポールが立っており、一般路線バスとは異なるBRTの存在を際立たせている感があります。


BRT区間の運行本数は鉄道線時代よりも倍増と言って過言でない位に増発されており、気仙沼駅を発着する大船渡線一ノ関方面の時刻表と対比すると、その差は歴然としています。

BRTに乗り込んで少しすると南気仙沼(市立病院口)、南気仙沼は駅舎や隣接するミヤコーバス営業所をはじめ、周囲が壊滅的状況という事もあってか、鉄道線時代の駅とは離れた場所に停留所が設置された事もあってか、南気仙沼(市立病院口)となっている様ですが、この辺りはやや内陸に位置する事もあってか震災の影響は余り感じられません。

被害が甚大な地域と、何事もなかった様に感じられる地域(それでも震災の影響はあり、震災後に整備した所も多いですが…)が紙一重と言う状況は、東日本大震災における津波被災地域の大きな特徴です。

少し進むと甚大な津波被害を受けた地域に差し掛かり、最知~陸前階上の1駅間は、BRT仮復旧と共にBRT専用道が整備された区間となります。


この区間に乗車していると、数年前に鉄道が廃線となり、その後一部区間がバス専用道として整備された茨城県石岡市~小美玉市間の旧鹿島鉄道線→かしてつバス専用道(関鉄グリーンバス運行)を思わせる雰囲気があり、駅舎やホームが残る陸前階上駅の現状も、かしてつバスのバス専用道区間で唯一駅舎とホームが残存する石岡南台駅を連想します。

このBRT専用区間を過ぎて暫くすると本吉駅に到着し、鉄道線時代も気仙沼~本吉間の区間列車が設定されていた運行上の拠点駅ですが、BRTでも一部便は気仙沼~本吉間の運行となっています。


本吉駅はやや高台に位置する事もあってか、周辺各駅は壊滅状況となっている箇所が多い中で、被害は免れています。

特定日に窓口における定期乗車券などの出張販売も行っており、BRT待合所も兼ねていますので、駅舎内に立ち入る事も可能で、全区間を乗り通すと現在所要約2時間を要するにも関わらず、一般路線車充当でトイレ設置のない気仙沼線BRTにおいて、トイレ休憩ポイントにもなっています。

駅構内に入れない状況が、鉄道の不通長期化を物語っている様に感じられたものですが、同駅ではダイヤ上5分程の停車時間(道路状況によって変動あり)が設けられており、BRT運行区間が路線バスにしては比較的長距離に及ぶ事もあってか、MAKIKYUが乗車した便では乗務員交代も行っていました。

本吉を過ぎると、鉄道線時代は開業から比較的歴史の浅い区間だけあって、地方ローカル線にしては比較的高規格で高架区間なども多く、三陸沿岸を走るJR各線に比べ、津波被害の小さかった三陸鉄道(それでも結構な被害が出ており、今日でも不通区間が存在しています)を連想させる雰囲気がありました。

それでも最も津波被害が甚大だった地域を結んでいた事もあり、高さ10m以上の高架や盛り土上にあった線路や駅でも流失・壊滅する箇所が相次ぎ、東日本大震災における津波被害が、三陸一帯で数十年毎に被害を出していた津波とは比べ物にならない未曾有の大災害であった事を物語っている様にも感じられます。

 
地盤が沈下して水の引かない土地や、土台だけ残して流失した橋脚などは、震災から1年半を経た今でも至る所で見受けられ、震災の爪痕が今日も強く残っていますが、BRTから眺める穏やかな海は非常に綺麗なもので、この光景を見ると複雑な心境になります。

陸前小泉・歌津など甚大な被害が発生した地域を次々と通り過ぎて暫くすると、BRT区間で唯一の新駅「ベイサイドアリーナ」があり、新駅というよりも停留所といった状況です。


南三陸町は旧志津川町の中心部が壊滅的被害を受けた事もあり、現在の仮設役場などがこの一帯に位置しており、この役場などへの利便性を図るために、ベイサイドアリーナ駅が新設されており、早朝や夜間の便などはベイサイドアリーナ駅を経由しないため、ベイサイドアリーナ経由便では前面幕(LED)でも行先脇に「ベイサイドアリーナ経由」という表示が出ています。

ベイサイドアリーナの次は志津川、旧志津川町→現南三陸町の中心地で、ベイサイドアリーナ駅を発着する場合の運賃は志津川駅と同額、ベイサイドアリーナ~志津川間のみを利用する場合は180円という変則的な取り扱いとなっています。

志津川はMAKIKYUが昨年夏に訪問した女川町や、今月バスで通り過ぎた岩手県の陸前高田市・大槌町と同様に役場が全壊し、低地に集積していた中心市街地も壊滅、多数の死者・行方不明者が発生するなど、東日本大震災における津波被災地域の中でも、特に大きな被害が出た地域の一つです。


震災から1年半が過ぎ、瓦礫などは片付けられて更地になると共に、更地には雑草が生えるなど、震災直後に比べると様相は随分変わっているかと思いますが、今もなお鉄筋コンクリートの建物が躯体や骨組みだけを残した姿で残存しています。


南三陸町長や数名の町職員が頂上の鉄塔にしがみついて九死に一生を得たものの、この建物にいた町職員の過半数が死亡・行方不明になった事で、保存と解体の是非を巡って問題になっており、今もなお骨組みだけが残る南三陸町防災庁舎も、志津川駅から徒歩数分程度の距離に位置しており、気仙沼線BRTからも、その姿を見る事が出来ます。

志津川を過ぎると陸前戸倉、陸前横山と続き、終点の柳津到着となりますが、陸前戸倉駅は気仙沼線の鉄路が海沿いから内陸に進路を変える辺りに位置しており、盛り土上にあって若干の高さがあります。

それでも津波によって流失被害が出ており、ここでも津波被害を凄まじさを感じさせられますが、陸前戸倉を過ぎて暫くすると、津波被害とは無縁の日常が拡がります。

現在も不通となっている陸前横山駅周辺などは、何時鉄道が復旧しても不思議ではない雰囲気ですが、駅前におけるバス発着・折り返しスペースや列車運行上の都合なども、不通長期化の一因と察せられます。


そしてBRT区間の終点・柳津に到着すると、ここで気仙沼線列車に乗り換えとなりますが、同駅周辺は飲食店やコンビニなどが見当たらず、飲料水の自動販売機が見受けられる程度です。

気仙沼方面からBRTで柳津までアクセスし、その後列車に乗り換えて小牛田方面を目指す際に、車中で食事を…と考えている場合には、BRT乗車前に買物は済ませておいた方が賢明で、BRT始発の気仙沼駅では駅舎に隣接してNEWDAYSが設けられているほか、BRT区間途中の津波被害が著しい地域でも、BRT停留所至近に仮設コンビニ店舗などが営業している箇所が幾つも存在しています。

気仙沼線BRT仮復旧区間は、震災前の鉄道線時代に比べると所要時間が大幅に増大しており、現状では仙台方面~気仙沼間のメインルートとは言い難い状況で、専らBRT区間内の地域輸送や、この区間と仙台や気仙沼との間を移動する交通手段と言う感があります。

それでも震災後はミヤコーバスによる臨時路線バス(定期・回数乗車券のみJR振替取り扱い)が、僅かに運行している程度だった南三陸町へのアクセスなどは、BRT仮復旧によって飛躍的に改善し、移動には専ら公共交通機関を用いているMAKIKYUは、震災から1年半が経過してようやく南三陸町などへ足を踏み入れる事が…と感じた程です。

三陸一帯ではまだJR不通区間が他にも存在し、特に路線バスも震災後減便されて不便さが否めず、県境跨ぎとなる大船渡線気仙沼~陸前高田間などは、陸前高田市中心部の甚大な被災状況などを考えると、鉄路での早期復旧は絶望的と言わざるを得ない気がします。

大船渡線沿線自治体もBRT仮復旧を了承したニュースが流れていますので、こちらも比較的早期のBRT化を含む代行バス運行に期待したいと感じたものです。


BRTで仮復旧したJR気仙沼線(1)~車両編

2012-09-11 | バス[東北]

今年夏の青春18きっぷ有効期間は昨日で終了となりましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、この乗車券を利用して国内各地の旅行を楽しまれた方も多いかと思います。

MAKIKYUも7月に関西方面から首都圏に帰還する際に1回目を利用、8月に日帰りのお出かけで2回目を利用したのですが、残る3回分は今月になってから利用したものでした。

今月に入ってから利用した3回分は、昨年春に発生し、未曾有の被害をもたらした東日本大震災における大津波による被災地域でもある東北地方太平洋側の三陸方面訪問で使用したものでした。

その際にはBRT(Bus Rapid Transit)方式による仮復旧と言う形ながらも、昨年春の東日本大震災発生以来、約1年半もの間不通状態が続き、先月ようやく運転再開となったJR気仙沼線の柳津~気仙沼間にも乗車する機会がありました。

BRTによる仮復旧とは、震災前と同様の鉄路によるサービス提供ではなく、実質的にバスによる代替輸送提供と言っても過言ではないのですが、営業上は鉄道線と同格の扱いとなっており、鉄道線各駅に相当する停留所(南気仙沼は周辺が壊滅状況という事もあって少々離れた箇所に設置され、南気仙沼(市立病院口)となっています)に加え、鉄道線時代には存在しなかったベイサイドアリーナ駅(志津川~清水浜間:運賃制度上は志津川と同様の扱い)が新規開業しています。

気仙沼線の柳津~気仙沼間で有効な定期・回数乗車券や普通乗車券をはじめ、各種企画乗車券類(有効期間内であれば、青春18きっぷなどの格安乗車券も可)で利用可能となっています。

先月中頃までのミヤコーバスによる臨時路線バスの定期・回数乗車券のみ振替乗車適用の取り扱いに比べ、MAKIKYUの様な余所者の訪問においては、震災前の鉄道線による運行や、震災後のミヤコーバスによる臨時路線バスよりも大幅に増便された事もあってか、利便性が飛躍的に向上しています。
(所要時間や定時性と言う点では、震災前の鉄道による運行には及ばないのは難点ですが…)

鉄道関連施設だけでなく、沿線自体が大津波による壊滅的な被害を受け、鉄路復旧の見込みが立たない状況下においては、気仙沼線のBRT方式による仮復旧は賛否両論があるかと思いますが、個人的には公共交通手段の確保、並びに沿線住民の交通費負担軽減(特に通学定期券)という点で、現状では最も妥当な方法なのでは…と感じています。


この気仙沼線におけるBRT仮復旧においては、営業上は鉄道線と同等の扱いと言う事もあってか、運営主体は東日本旅客鉄道(JR東日本)となっており、BRT車両(バス)にもしっかりとJRマークが描かれているほか、気仙沼市や登米市などの沿線自治体におけるマスコットキャラクターのステッカーが貼られているのも大きな特徴です。

ただJR東日本自体は現在バス運行に関わっていない事もあってか、近年は公営バスなどでよく見られる運行委託方式(宮城県内では仙台市営バスの一部路線における運行を、宮城交通やJRバス東北が受託している事例が存在します)を取っています。


JR東日本では東北地方における系列バス会社として、JRバス東北が存在しており、同社は震災後の鉄道代行バスの一部運行も担っていますが、気仙沼周辺に拠点を持たない事や、並行する路線バスへの影響なども配慮してか、宮城交通グループのミヤコーバスへ運行委託しており、BRT充当車両にはJRマークと共に、ミヤコーバスの社名も表記されているのが大きな特徴です。

このBRT使用車両はミヤコーバスの既存車両転用ではなく、排ガス規制によって大都市圏での継続使用が出来なくなった中古車両を導入しており、MAKIKYUが乗車した車両ではJRバス関東中央道支店(長野県伊那市)で車検を実施したステッカーを目撃していますので、一旦JRが中古車両として調達した車両を、ミヤコーバスに運行委託している様に見受けられたものでした。


MAKIKYUが乗車した車両は日野ブルーリボンのワンステップ車、バリアフリー対応の黒逆T字窓中4枚扉車と言う事もあってか、外見は中古車ながらもさほど古さを感じさせない雰囲気が漂い、気仙沼周辺で運行している路線バス車両の平均レベルよりはずっと格上です。

とはいえサイドブレーキは、最近の車両でお馴染みのホイールパーク式ではない事など、よく見ると余り新しい車両ではない事が…と感じさせる面もあり、他に神奈川県内の公営事業者から移籍した車両と見受けられるいすゞキュービック(こちらも黒逆T字窓・中4枚扉のワンステップ車で、気仙沼線BRT区間は中乗り・前降りの整理券方式にも関わらず、行先・経由地表示装置が前ドアのすぐ近くにあります)も見受けられ、MAKIKYUが目撃した限りでは、両者の勢力はほぼ半々程度に感じたものでした。


また車内も最新型のLCDモニターによる運賃表示器を装備し、GPSによる運行情報提供も行うなど、運行開始したばかりの路線ならではと感じる面もある一方で、移籍前の首都圏大手私鉄系バスならではの特徴的な内装や座席、ドアチャイムなどはそのまま既置されています。


そのため近年巨大鉄塔を建設した事でも話題になっている首都圏大手私鉄系バスに乗り慣れたMAKIKYUとしては、親近感を感じる反面、最寄駅と住宅地間を結ぶ所要15~20分程度の都市型路線ならともかく、全区間乗り通すと片道約2時間に及ぶ気仙沼線BRT区間で、「硬座」とも言うべきベンチの様な座席に座り続けるのは…とも感じたものです。

様々な路線バスに乗り慣れたMAKIKYUでもこの様に感じる程ですので、日頃路線バスに乗り慣れていない乗客が、この座席に2時間座り続けるとなると、かなりしんどいのでは…とも感じたものです。

JR側も気仙沼線BRT仮復旧と共に、仙台~気仙沼間の割引企画乗車券「Wきっぷ」発売を再開していますが、所要時間の長さや柳津での鉄道線との乗り換え、仙台方面へは更に小牛田での乗り換えも必要な事などを踏まえると、BRT仮復旧区間における地域住民の足としては有用な反面、Wきっぷとほぼ同程度の高割引回数券を設定している仙台発着の都市間バス(ミヤコーバスなど)に比べ、気仙沼~仙台間の都市間移動の足としては、現状では力不足の感が否めない様にも感じられたものです。

とはいえ現在は最知~陸前階上の1駅間のみがBRT専用道として整備された以外は一般道路を走行し、車両も専ら中古車で運行しているものの、JR側がBRT専用道整備を進めると共に、新車でハイブリッドバスを導入する事も発表しており、サービスレベル向上が望める状況ですので、今後の動向も気になる所です。

BRT仮復旧区間における車窓などは、近日中に続編記事で追って取り上げたいと思います。


野沢発着の西会津町民バスと高速バス~運賃の安さは注目ですが…

2012-06-02 | バス[東北]

先月MAKIKYUが福島県会津地方へ足を運んだ際には、会津盆地内の鉄道や路線バスの指定区間が2日間乗り放題で2600円、このエリアのJRを除く交通機関の普通運賃が割高な事を考慮すると、使い方次第ではかなりお得な「会津ぐるっとカード」を利用したものでした。

その際には会津ぐるっとカードのエリア内だけでなく、別途乗車券を購入して喜多方から少しエリアを外れ、野沢まで足を伸ばしたものでした。


野沢は駅前に会津乗合自動車(会津バス)の野沢営業所もあり、JR(磐越西線)の運転本数も限られている土地柄、発着するバスは各系統合わせても決して多いとは言い難いのですが、現在では一般路線は全て廃止されて西会津町民バスに転換され、この町民バスを会津バスが受託運行する形態となっています。

西会津町民バスは現在、定時路線と地方閑散路線で近年増えているデマンドバス(予約制)の2種類が存在しており、前者は「Let's Go シャトル」、後者は「こゆりちゃん号」という愛称が付けられています。

 
共に会津地方一帯の乗合バスで実績のある会津バスが運行を担うとはいえ、自治体バスで良く見られる「白ナンバー」(自家用扱い)のバスとなっており、デマンドバスの方はこの類の路線で典型的なワゴン車を充当していますが、定時路線ではマイクロバス(三菱ローザ)以外に中型バスも用いており、MAKIKYUはこの中型バスに乗車したものでした。

中型バスは比較的新しいいすゞガーラミオのトップドア車で、一般路線ではバリアフリー法の関係で低床中扉付きとなる年式ですが、比較的新しい車両ながらもトップドアの2段ステップ車となっている辺りは、如何にも白ナンバーの自治体バスらしいと言えます。


この車両は一応いすゞ車の扱いとはいえ、実質的には日野メルファのOEM車で、最近の日野中型車でいすゞのOEM車(レインボーⅡ)は乗り慣れた存在であるものの、メルファ自体が路線バスとして活躍する事例が少なく、MAKIKYUが乗車したのは青森県の外ヶ浜町営バス程度です。

更にそのOEM車ともなると、路線バスで使用している事例はもっと少なく、MAKIKYUが日野メルファOEM車のガーラミオに乗車したのは、今回の西会津町民バスが初めてと言う状況です。

西会津町民バスでガーラミオは、専ら野沢坂下線(野沢営業所~坂下(Bange)営業所)間の路線で用いられている様で、MAKIKYUもこの路線で乗車したのですが、片道40分以上の乗車にも関わらず、運賃は200円均一と安価に設定されており、運転本数も平日4往復と決して多くはないのですが、土休日でも減便ながら運行しているのは評価できるものです。
(会津地方では休日全面運休の路線も多く、喜多方~坂下などが該当します)

始発時の車内放送では高速バスなどを思わせる豪華なチャイムが流れる事や、福島県内の路線バスでは珍しい運賃前払い方式となっている点も注目で、それにも関わらず車内には次停留所名表示装置付で24コマの運賃表示器が設置されている辺りは、MAKIKYUの地元・横浜市内で多数走っており、本州最大規模を誇る某民営バスを連想してしまいますが、さすがに整理券発行器(某民営バスでは大半が均一・全系統が前払いの営業所でも、ご丁寧に運賃表示器と整理券発行器を装備したバスが多数走っています)は見当たらなかったものでした。

ちなみに西会津町のHPでは、専用回数券を購入して乗車する旨が案内されていますが、乗車の際に訪ねたら現金乗車も可能で、MAKIKYUは現金で乗車していますが、他の乗客は通学定期券の学生ばかり、通学バスに便乗している様な雰囲気を感じたものでした。

また野沢では町民バス以外の一般路線バスこそ運行していないものの、野沢営業所には高速バス用の古参観光型車両が1台在籍しており、このバスが野沢で見かけた唯一の会津バス塗装&緑ナンバーの車両でした。


この車両は1日2往復運行している会津若松~野沢間の高速バスに充当している模様で、同路線は普通運賃が600円(JR利用は740円)と安価に設定されており、定期券も通勤・通学共にJRより安くなっているなど、こちらも町民バスと共に運賃面で随分健闘している感があります。

ただ会津バスの会津若松周辺を走る一般路線は、若松~喜多方間を乗車しただけでも運賃は4桁に達し、野沢はおろか郡山までの高速バス運賃を越えてしまう程で、会津若松~喜多方間では、東京方面高速バス乗り継ぎの割引運賃適用と会津ぐるっとカード利用を除くと、列車の運転間隔が大幅に開く時間にどうしても両都市間を公共交通機関を利用して移動する必要があるケースを除くと、現行運賃では路線バスに通し乗車する乗客は殆どいないかと思います。

会津ぐるっとカードでも持ってないと、会津バスの一般路線は気軽に利用できる交通手段とは言い難いのが現状で、鉄道並行路線などを中心に今後上限運賃制を導入するか、高割引回数券・定期券の導入など、何らかのテコ入れを検討する余地は充分にあると感じたものでした。


福島交通・相馬方面急行バス再編に~南相馬への所要時間は短縮されるものの…

2011-12-16 | バス[東北]

先日「MAKIKYUのページ」では、21日にJR常磐線原ノ町~相馬間が部分復旧する事に関して取り上げましたが、現在首都圏から公共交通機関を利用し、JR常磐線部分復旧対象となる相双地区へ向かう場合、福島で新幹線から震災後に運行開始となった福島交通の急行バスに乗り継ぐのが最短ルートとなっています。


このバスはMAKIKYUが7月に相馬を訪問した際にも、相馬~福島間で利用機会があり、「MAKIKYUのページ」でも既に取り上げていますが、7月に利用した際には福島~相馬~南相馬(原ノ町)間を6往復運行しており、各地域内での利用は不可能なものの、相馬~南相馬間での利用も可能となっていました。
(写真はMAKIKYUが7月に福島~南相馬間急行バスを利用した際に乗車した車両です)

震災後に路線が開設されてからつい最近までは、ずっとこの運行形態で推移していたものの、福島交通HPによると15日から路線が再編され、福島~相馬間と福島~南相馬間の2系統での運行に改められています。

運賃は福島~相馬間で1000円、福島~南相馬間で1500円と従来通りで、複数人利用や往復乗車で割安となる専用回数券の設定も継続していますが、相馬~原ノ町間は21日復旧するJRで400円ですので、福島~南相馬間を移動する際には、相馬経由で急行バス相馬系統とJR常磐線を乗り継いだ方が安くなってしまいます。

それでも福島交通の一般路線バスに比べると随分割安感があり、一般道路走る高速・観光バスタイプの便を存分に堪能したいと考える方には絶好の路線と言えます。

またこの系統再編により南相馬発着便は、相馬を経由しない運行形態となっていますので、県都福島市や福島で新幹線などに乗り継いで各地へ向かう所要時間の短縮が図られており、以前MAKIKYUが福島~南相馬線に関する記事を公開した際に触れた途中通過地での乗降扱いも開始されています。

途中通過地で新たに乗降扱い開始となったバス停は、相馬便で相馬市内の粟津入口・山上学校前、霊山地区の霊山掛田の3バス停、南相馬便では川俣営業所が対象となります。

従来の一般路線バスではフォローできない相馬市山間部~福島や相馬地区~霊山掛田、そして一般路線バスが休止状態を余儀なくされている南相馬~川俣間のみが利用可能対象となっており、一般路線バスで対応できる相馬市内(本数は少ないですが…)や福島~川俣間などのみでの利用は対象外となっています。

福島~南相馬間の移動では運賃が少々割高になるものの、福島~川俣間一般路線と川俣~南相馬間の急行バスを乗り継ぎ、川俣町内に立ち寄ると言った旅程も可能になり、移動選択肢の多様化に加え、南相馬~川俣間の運賃は震災前の一般路線バスよりも大幅に安い1000円に設定されているのも評価できる事です。

ただ相双地区への路線が2系統の分離された事で、2系統合わせた運行本数は7往復と1往復増便されているものの、相馬発着便は4往復、南相馬発着便は3往復と、各方面への乗車機会が減少しているのは少々残念な事です。

また南相馬発着便が相馬を経由しない事により、今後JR復旧で相馬・原ノ町への移動利便性が向上するとはいえども、相馬~南相馬間の途中にある鹿島から、県都福島へ直通するバス路線設定が消滅する事は賛否両論が出そうです。

新形態で再スタートとなった相馬方面急行バスは、今後離れ小島状態で復旧するJR常磐線原ノ町~相馬間を乗車する際にもかなり有用な路線で、まだまだ震災前の日常を取り戻すには程遠い道程ながらも、JR復旧と共に相双地区復興の一旦にも感じますが、暫くの間この運行形態のまま推移するのか、また大きな運行再編が行われるのかも気になる所です。


福島~南相馬間を走る急行バス~震災後に設定された新路線

2011-08-30 | バス[東北]

先日福島県浜通り北部(相双地区)の、相馬市内を走る福島交通の路線バスに関して取り上げましたが、東日本大震災による津波被害などで震災後は相双地区の鉄道(JR常磐線)は不通が続き、原ノ町以北では代行バスの運行こそ行われているものの、鉄路の復旧は見通しも立たない状況です。

また高速道路からも離れた地域だけに、公共交通機関の利便性は極めて悪く、余所者にとっては非常に訪問し難い状況になっていますが、この様な状況下で、少しでも相双地区の交通利便性を向上させる事もあってか、震災後に福島駅~相馬~南相馬間の急行バスと名乗る路線バスが新たに設定されています。


このバスは使用車両も大型高速車を用いており、MAKIKYUが乗車した際には、首都圏では殆ど姿を見なくなった三菱製の古参エアロバスに当たりましたが、他に福島交通らしくない印象を受けるいすゞ車(GALA)が活躍する姿を目撃しています。

震災後に緊急で設定された路線だけあって、音声合成による車内放送こそ用意されており、運賃表示器もきちんと表示されるものの、行先を示す字幕は用意されていない様で、前面幕は「福島交通」と社名だけを表示していました。


このため側面に「南相馬⇔福島」と印刷した紙を掲げていたのも特徴的でしたが、以前撮影した同型車(乗車車両とは番号違いですが、所属や形式・年式は同等です)が通常の高速路線に充当された際の画像も以下に参考として載せますので、興味のある方見比べて頂ければと思います。


ちなみにこの路線は、相馬から福島へ向かう際には結構な山道を走り、走行距離は50km以上、所要時間も80分程(南相馬からだと2時間程度を要します)かかりますので、結構乗り応えがあります。

福島交通の路線バスは、震災前の相馬~原町間一般路線でも、経由によっては1000円を越えてしまい、相馬市の南に位置する南相馬市(原町)から、飯館村を経て福島市へ向かう途中に位置する川俣町へ向かう一般路線(現在運休中)は、1500円を超える状況(福島市へ向かうには、更に路線バスを乗り継ぐ必要があり、バス代は累計で2000円を越えます)で、決して安いとは言い難いのが現状です。

しかしながら相馬~福島間の急行バス運賃は1000円となっており、福島~南相馬間を乗り通しても1500円、相馬~南相馬間は500円で乗車可能となっています。

おまけに最近になって当路線限定の回数券も設定され、これだと2枚綴りで1枚当り900円、10枚綴りに到っては1枚当り800円とかなり割安で、運賃は余り安くない印象が強い福島交通にしては、随分健闘していると感じます。

ただ原町~川俣線が運休している今日、この急行バス路線のお陰で相双地区の路線が福島交通の離れ小島的存在にならず、中通りと辛うじて繋がっている状況ですが、途中の一般路線バス空白域をはじめ、相馬方の一般路線が走る玉野や、福島方向の一般路線が走る霊山などは通過するのみとなっています。

これらの地域のバス便も決して良好とは言い難いですので、増便や一般路線車タイプへの車種変更で立席乗車可能にするなど、事情が許すのであれば、今後途中停車地を増やして利便性向上を図った方が…とも感じたものでした。

福島県では3月の東日本大震災による地震や津波被害に加え、原発問題もあり、この影響で浜通り中部は公共交通機関の復旧や一般人の居住はおろか、立入すら当分は厳しい状況なのは皆様もご存知かと思います。

そのため首都圏などから相双地区北部へ足を運ぶ際には、震災前の主な交通手段であったJR常磐線を使う事は当分叶わず、仙台方からのアクセスも常磐線亘理以南の不通が続く状況では、福島駅でこの急行バスと新幹線を乗り継ぐのが、現在の最短ルートで最も至便と言えます。

MAKIKYUが先月相馬から帰路に就く際にも、福島駅までこの急行バスを利用してJRに乗り換えたものでしたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も相馬や原ノ町へ足を運ぶ機会がありましたら、是非この急行バスの利用を検討してみては如何でしょうか?


相双地区を走る福島交通の路線バス

2011-08-28 | バス[東北]

先月MAKIKYUが東北へ足を運び、常磐線代行バスで相馬へ出向いた際には、市内を走る路線バスにも乗車する機会がありました。

福島県浜通りの路線バスと言うと、いわき市内の路線バスや常磐道高速バスを運行する新常磐交通が有名ですが、相双地区北部は主に中通りの路線・高速バスを運行する福島交通が運行を行っており、相馬に拠点を構えて相馬・南相馬市内の路線バスなどを運行しています。

相馬・南相馬(原町)の相双地区にある2拠点都市間は、鉄道(JR)や震災後の代行バスに押されて勢力は小さいものの、一応福島交通の路線バスも震災前から運行しており、震災後は一時期運休となったものの、現在は運転を再開しています。

また相馬市内の一般路線も、海沿いの川浦・原釜や磯部方面などへ向かう便は、震災後部分運休が続いているものの、市内各方面へ運行しており、これらのバスでは最近導入されたICカード「NORUCA」は使用できませんが、相馬地区専用のバスカード(磁気式)が導入されています。

ただ自家用車の普及率が非常に高い土地柄だけあり、バスの運行は学生の通学などに必要な最小限度の本数と言っても過言ではない状況で、休日になると全面運休となる路線も多く、毎日運行の路線でも、休日になると運行本数はかなり減少します。

使用車両は平成初頭に製造された中型車が主流を占めており、クリーム地に赤と紺色の三菱製前後扉車は、如何にも福島交通グループといった雰囲気ですが、MAKIKYUが相馬市内で2回程路線バスを利用した際には、2回共にこのタイプの車両でした。

 
この三菱製中型車は、バンパーは黒塗りが主体であるものの、クリーム色に塗られた車もあり、また運行事業社名として福島交通の社名が書かれたバスだけでなく、「依頼者 相馬市」「運行受託 福島交通株式会社」と書かれたバスもあるなど、同じ様な車でも良く見ると少しずつ差異があるのも特徴です。


一般路線車では他に一時新塗装として、新車で導入される低床車がクリームと緑色の装いとなった時期に導入された、三菱製小型車の姿も目撃していますが、最近の新車など(相双地区ではなく福島市内などの話ですが…)ではまた旧来の装いに逆戻りしており、この装いがいつまで続くのかも気になる所です。

また震災後、福島駅~相馬~南相馬間で急行バスと名乗る臨時路線バスも設定されており、こちらに関しても近日中に取り上げたいと思います。


JR常磐線代行バス(原ノ町以北)~大半は相馬を境に系統分断

2011-08-21 | バス[東北]

先月MAKIKYUが南東北へ足を運んだ際には、3月の東日本大震災に伴って今もなお不通となっている仙石線・石巻線・常磐線の3線区において、列車代行バスを利用したものでしたが、常磐線の代行バスに関してはまだ取り上げていませんので、今日取り上げたいと思います。

常磐線の代行バスは、MAKIKYUの訪問時点では亘理駅~相馬駅~原ノ町駅間で運行しており、その後今月に入ってからは久ノ浜~広野間でも運行を開始しています。

広野~原ノ町間は途中に現在一般人の立入が禁止されているエリアも含まれ、未だに復旧見込みはおろか、代行輸送の確保すらならない事を考えると、代行バスが運行しているだけでもマシといった所ですが、MAKIKYUが利用した亘理~相馬間の代行バスだけでも1時間程度を要します。

乗継時間を含めると仙台~相馬間ですら現在約2時間程度、南相馬(原ノ町)となるとそれ以上の時間がかかりますので、随分不便に感じるものです。

また亘理~原ノ町間の代行輸送は、中には直通運行している便もある様ですが、大半は相馬を境に系統が分断されているのも大きな特徴です。


MAKIKYUが利用した亘理~相馬間では、乗車した便はJRバス東北の三菱エアロバスでしたが、他にJRバス東北の車両はいすゞ製車両も活躍を目撃しています。


他に観光バス専業事業者で、震災による津波で車庫が被災するなど被害の大きかった仙台バスも、亘理~相馬間を走る一部便の運行に携わっており、同社の三菱エアロバスが活躍する姿も見られ、亘理~相馬間で活躍する2社の代行バスでは、仙石線代行バスと同様式の種別・行先表示が見られたのも大きな特徴です。


この区間では主に常磐線よりも内陸を通る国道を走り、途中の山下・坂元両駅が位置する山元町では、甚大な被害の発生した海岸近くの地域を立入禁止にしている事もあってか、JR駅から1km以上離れた箇所に代行バス停留所が設けられているケースもあります。

そのため仙石線代行バスが走る野蒜駅周辺や、石巻線代行バスが走る女川駅周辺に匹敵する程の凄まじい被災地域は通らず、時折1階部分が破損した建物などを見かける事で、津波被害が発生した事を実感する程度でした。
(常磐線代行バスの沿線自治体もかなりの被害が発生しており、3桁の死者が発生した町が幾つもあるのですが…)

相馬~原ノ町間は、南相馬市が緊急時避難区域に指定された事も影響してか、相馬以北に比べて代行バス運行開始が遅れ、この事も系統分断の一因になっているのかもしれませんが、こちらは南相馬市に拠点を置くはらまち旅行バスの車両が何台か活躍している姿を目撃しています。

はらまち旅行バスは地場の小規模な観光バス専業事業者だけあり、MAKIKYUは震災後に初めて社名を知った程ですが、JR代行輸送以外にも南相馬を中心に臨時バスを幾つか走らせ、鉄道輸送が麻痺状態の中で地域の交通機関確保に尽力しています。


代行バスで活躍する車両を見ると、用意できるバスは片っ端から…といった雰囲気が感じられ、さほどの距離や時間を要する訳でもない相馬~原ノ町間の代行バスで、スーパーハイデッカーの大型観光バスが使用されている姿も見かけたものでした。

その一方でどう考えても貸切輸送で使う車両とはかけ離れている三菱製小型路線車・AEROMIDI MJの出没も目撃しています。


この車両は見るからに大都市圏の中古車といった雰囲気が漂い、代行輸送用にわざわざ用意したのか否かも気になりますが、側面ガラスには「JR代行バス 原ノ町駅~相馬駅」と大きく書かれているのも大きな特徴です。

相双地区(福島県浜通り北部)の2大都市(相馬市・南相馬市)間に限れば、JR常磐線も路線位置などを考えると、津波被害はさほどないかと思いますが、この車両を見ると代行輸送の長期化を見越している様にも感じられます。

常磐線の宮城・福島県境付近は津波被害が甚大で、不通が長期化する事は確定的な状況ですが、仙台方面から鉄路がつながるまでは、相双地区内のみでの列車運行再開を行わないのか、離れ小島的状態でも原ノ町駅に留置されている車両を使用し、今後相双地区内のみの特別ダイヤによる暫定運行に踏み切るのかも気になる所です。