今月小田急では特急ロマンスカー・7000形LSEが定期運転を終了する事が大々的に報じられ、MAKIKYUも定期運転最終日に同形へ乗車機会がありましたが、個人的には小田急線と言えばロマンスカーも悪くないものの、興味対象としてはよく利用する一般車の方が…という状況です。
また今春の小田急線ダイヤ改正では複々線化事業完成により、朝夕のラッシュ時間帯をはじめ、それ以外でもダイヤは大きく変わっていますが、車両面での大きな動きは特急ロマンスカー・70000形GSE1編成が運行開始&LSE1編成が運用離脱→その後今月第2編成も営業開始し残るLSE1編成が定期運転終了したのが大きな動きと言える一方、一般車両は代替が一段落している事もあってか、特急車に比べ大きな動きは見られない状況です。
(一部編成におけるLED行先表示のフルカラー化など、微細な変化はありますが…)
しかしながら今春のダイヤ改正では、運行体系の改編で注目と言える列車が幾つも存在、その中でも気になっていた列車の一つが記事タイトルにある取手→伊勢原の3社直通列車です。
この列車の運行区間はJR常磐緩行線~地下鉄千代田線~小田急線の3線、運行区域も茨城県~千葉県~東京都~神奈川県の1都3県に跨っており、この4都県に跨って走る3社直通列車自体はダイヤ改正前から存在していましたが、地下鉄千代田線直通列車の運行区間延伸により初めて小田急線内を走る定期一般列車としては初の運行距離100㎞越えとなっています。
(特急ロマンスカーの片道100㎞超は既にダイヤ改正前から存在していますが…)
終点がMAKIKYUの現住地・伊勢原市内という事もあり、ダイヤ改正時から存在は非常に気になっていたものの、始発駅の取手駅(写真)やその周辺へ足を運ぶ機会は限られる事もあり、全区間乗車は暫くお預けという状況が続いていましたが、一月程前に取手周辺へ足を運ぶ機会があり、その帰りでようやく乗車できた次第です。
この取手→伊勢原の直通列車は、千代田線直通列車の小田急線内上り営業運行区間が最遠でも本厚木まで(伊勢原→本厚木は回送のみ)、またJR常磐緩行線の取手~我孫子間の運行が原則として朝夕の一部列車に限られている事もあり、平日ダイヤ西行2本のみの運行となっています。
JR常磐緩行線~地下鉄千代田線~小田急線の3社直通列車は、以前は旧営団地下鉄→現東京地下鉄(東京メトロ)車両のみでの運行でしたが、2016年春以降は3社の車両が用いられており、そうなると取手→伊勢原の直通列車も3社の車両が…と言いたい所ですが、西行2本のみという事で取手18時台発の列車は東京メトロ車両、19時台発の列車は小田急車両での運行となっています。
千代田線直通列車は、輸送障害発生などでダイヤが乱れた際に運用変更される事も時々ありますが、基本的にJR車両での取手→伊勢原直通運行は存在せず、今後のダイヤ改正などでJR車による取手→伊勢原直通運行が設定される事があるのか否かも気になる所です。
ちなみに先月MAKIKYUが乗車した取手→伊勢原直通運行列車は、取手18時台発の1本目の列車でしたが、取手駅は一時期の所用先から比較的近く、何度も利用した事がある駅ながらも、同駅の発車案内で「伊勢原」の3文字が表示されている姿は新鮮に感じたものでした。
ホームに降りると、既に所定の東京メトロ車両が「伊勢原」表示を出して停車中、車両自体はよく利用する事もありお馴染みの存在です。
日頃よく利用する小田急線や地下鉄千代田線内では「急行」の種別を表示する列車も、JR常磐緩行線内は各駅停車として運行するため、取手出発時点では「各駅停車」表示となっています。
(JR常磐緩行線~地下鉄千代田線~小田急線直通の伊勢原行列車は、一部小田急線内準急や各駅停車で運行する列車も存在しますが、取手→伊勢原直通運行の2列車は共に小田急線内急行です)
車内に入ると、ドア上のLCDモニターは「伊勢原」の行先と共に「各駅停車」という種別と「千代田線直通」である事が大々的に表示されている一方、小田急線内の種別に関しては「各駅停車」表示の下に小さく「小田急線急行」と表示されているのみで、3社直通利用に関しては余り考慮していない様にも感じられたものでした。
列車が取手を出発すると程なく利根川を渡り千葉県に、小田急線内発着列車が茨城県内を走るのはほんの僅か、また2駅目の我孫子は小田急線直通列車の発着も多数あり、我孫子以西での乗車はありふれたものとなります。
JR/東京メトロの乗務員交代駅になっている綾瀬で種別変更、急行伊勢原行に変わると後はいつもの電車と言った雰囲気、その後代々木上原から小田急線に入り1時間程急行として運行すると終点の伊勢原に到着、2時間強の道程はここで終わりとなります。
MAKIKYUがこの電車に乗車した日は定期券などを所持していなかった事もあり、JR普通乗車券+東京メトロ普通回数券を予め乗車前に用意、小田急線内乗車分(代々木上原~伊勢原)を手持ちのICOCAにチャージ済のSF残額から精算する事を考えていました。
そして伊勢原駅で取手駅からのJR線乗車券を精算機に投入したら、直通列車運転区間内の磁気券にも関わらず「精算機のご利用ができません」と表示される状況。
そのため係員窓口に出向き2枚の乗車券とICOCAを差し出して係員処理を依頼しましたが、ここでも係員がJR乗車券+東京メトロ回数券の2枚を処理機に投入したら、2枚の乗車券区間が連続しているにも関わらずエラーが出る始末。
結局係員が小田急線内利用分を手入力でICOCAのSFから減算、精算証を渡されて出場となり、駅を出たら見慣れた光景が拡がる状況でしたが、JR側・小田急側共に3社直通利用は余り考慮しておらず、それぞれの路線から千代田線直通列車を設定したら、運用上の関係で3社直通が出来上がっただけという印象を受けたものでした。
またJR区間は快速線と並行する緩行線を運行、各駅停車として運行する事で千葉県内(特に柏以東)や取手からの速達性が劣る上に、一部で「綾瀬問題」などとも言われる複雑な運賃計算ルールの存在(利用区間や所持乗車券の種類によって、JR/東京メトロの運賃計算境界駅が変化)なども存在します。
特にPASMOなどの交通系ICカード1枚でSF残額を利用しての利用ともなれば、一旦綾瀬駅で改札を出場し再入場する場合、1本後の列車を利用する事になり、綾瀬駅で一旦出場しないと大損する事がしばしばというのは非常に厄介と感じます。
(もしこの問題に関心があり内容が理解できないという方は、経路検索で日比谷~柏/日比谷~綾瀬/綾瀬~柏の3区間を検索してみて下さい:他にも同種事例は多数あり、メトロ側発着駅が日比谷でJR側発着駅は松戸・我孫子・取手などでも同種の結果になります)
そのため車両は直通運行していても、敢えて綾瀬での途中下車を勧める状況になっている有様ではなかなか3社直通利用する気にはなれず、MAKIKYUが乗車した列車でも綾瀬と北千住の2駅を跨いで利用する乗客こそ多々見受けられたものの、JR線~小田急線の3社跨ぎ利用自体が少ないのでは…と感じる状況でした。
これでは取手→伊勢原を移動する場合でも、直通列車を利用して乗換なしの1本で…という選択は難しいと感じたのは残念で、今後3社直通列車の運行を活用した企画乗車券類の設定をはじめ、各種宣伝企画などの利用喚起策があっても…と感じたものでした。
今日からJR各線の普通・快速列車が割安に利用できる「青春18きっぷ」の利用期間に突入、「MAKIKYUのページ」をご覧の中にも、青春18きっぷを利用して遠出などを計画している方も少なくないと思います。
MAKIKYUは今夏利用するか否かまだ分からない状況ですが、首都圏各地に在住なら日帰りで足を運ぶにも丁度良い距離のJR日光線では、今春から「いろは」という愛称の観光向け車両が運行開始、先月乗車機会がありましたので、取り上げたいと思います。
「いろは」は既存の205系電車を改造、観光向け車両としたもので、観光向けとは言いながらも基本的には普通列車として特定運用に充当、普通乗車券や定期乗車券のみで乗車できる列車として運行しています。
(何度か座席指定券が必要な臨時快速列車として運行した事もあります)
JR東日本が通勤型車両を改造、観光向けに運行する形態である事に加え、4両という運行両数故に、JR東日本が以前青梅線で運行していた201系改造の観光車両「四季彩」を連想する方も少なくないと思います。
一時期運行していた「四季彩」を含め、定期列車は基本的にトイレなし車両のみでの運行となっている青梅線と異なり、日光線車両は通勤型車両ながら各編成共に宇都宮地区転属時にトイレ追設、また半自動押しボタン式ドアスイッチ設置改造を実施しているのが大きな特徴で、日光線は列車本数も決して多いとは言い難い状況ですので、トイレ設置は非常に有難いと感じます。
日光線転用時に幾つかの改造を実施、その後更に観光列車としての改造を施行した事もあり、車内の銘板は幾つも存在し賑やかな状況になっており、205系も結構な年数に達した車両である事を実感させられます。
ちなみに日光線で運行している「いろは」以外の205系各編成や、以前青梅線で運行していた201系「四季彩」などは、製造当時と同様の4扉車として運用していますが、「いろは」は中間2箇所の扉を埋めて2扉車にしている事が大きな特徴となっています。
ステンレス車という事もあり扉を撤去して側窓を設置した箇所は非常に目立ち、見るからに改造車という雰囲気を放っているのが特徴で、埋められた中間2扉の戸袋部分も窓追設などは行っていませんので、車内の窓割も余り芳しくない状況になっています。
車内に足を踏み入れると、化粧板・床材・つり革・座席脇の仕切りなどを交換、客ドアも内側は化粧板貼付となり、ドア上には横長のLCDモニターが追設され4か国語で次駅表示案内などを表示しているなど、従来の205系とは随分様変わりしています。
外国人旅行者利用も多い路線特性を考慮すると、客ドアのガラス部分は段差が大きい状態のままというのは、少々残念な気もします。
4か国語案内対応のLCDモニターは駅名などを表示するだけの簡易型、表示部分の大きさもLED文字案内装置と大差ないもので、多数の映像などを用いた観光列車らしい観光案内などは期待できませんが、不慣れな外国人旅客向けに案内を充実させるという点では、この様な装置を追設した事は大いに評価できる気もします。
2扉車に改造された事もあり、座席配置はドア付近が通勤通学時間帯の運用も考慮したロングシートながら、車内中央部は2+1列配置のボックス席に改められ、スーツケースなどの大型荷物に対応した荷物置きが設置されている辺りは、路線特性や旅客動向を反映していると感じたものです。
2+1列のボックス席部分は僅かながら通路部分より段上げされているのも大きな特徴、座席横幅は結構なゆとりがあり、特急グリーン車でも2+2列が標準的なJR東日本にしては破格と感じる一方、背もたれの枕部分がビニール加工という辺りはJR東日本らしいと感じたものです。
茶色を基調にもみじをデザインしたモケットの座席は、改造車故に先述の通り窓割と一致しない座席が複数個所あり、中には外の景色ではなく化粧板を眺める箇所も存在、座席指定料金などを収受し、展望をウリにする列車ならかなり芳しくない状況です。
ただ「いろは」は原則として特別料金不要、全車自由席の普通列車に充当する車両という事も考慮すると、展望性難ありの座席が複数個所存在する難点があるとは言えども、総体的に見れば乗り得な車両では…と感じたものです。
また「いろは」へ改造された1編成以外の日光線205系は、座席モケットなどは製造当初とは異なるデザインに改められ、先述のトイレやドアスイッチ追設などの改造が行われているものの、車内設備は20年以上前の製造当初から変化なく今日に至っている面が多々あり、JR西日本や富士急で活躍する205系改装車(富士急での形式は6000系)に比べるとイマイチ感が否めない気もします。
観光列車として特別に設置されたボックス席や荷物置きなどは、一般車両への設置は困難かと思われますが、今後も暫くの活躍を見込むのであれば、4扉ロングシートのままでも「いろは」の意匠を取り入れる事が出来ないのだろうか…とも感じたものでした。
車内化粧板・床材・つり革・座席モケット・袖仕切りなどを、「いろは」と同等品に交換できるなら、日光線の205系はJR西日本や富士急で活躍する205系改装車に匹敵する存在になり、外国人観光客利用が多い路線特性も考慮すると、ドア上の4か国語対応横長LCDモニター設置にも期待したいと感じたものでした。
「MAKIKYUのページ」でも数日前に取り上げた小田急7000形・LSE、今日で定期運行終了となりましたが、ニュースなどでも大々的に報じられていますので、鉄道事情に詳しい方でなくてもLSE運行終了に関してはご存知の方も多いと思います。
ネット上でもLSE定期運用最終列車・ホームウェイ83号の最終目的地到着(通常は藤沢:今日に限り片瀬江ノ島まで延長運転)放送を記録した動画が公開されるなど、最終日は最後まで事故や輸送障害などに巻き込まれずに無事運行を終了、有終の美を飾ったのは小田急ファンの一員としては幸いな事と感じています。
上記文言の通り、MAKIKYUはLSE定期運用最終列車・ホームウェイ83号には乗車していませんが、今日のLSE充当列車に乗車機会もあり、さすがに当日だと他車種充当列車は空席が多数ある状況でも、LSE充当列車に限っては発車まで暫く時間がある状況ながら空席「×」でした。
LSE乗車前には箱根登山線沿線にも足を延ばし、登山線内を走るLSEの姿も撮影する機会がありましたが、2階の運転席には花束が置かれているのも確認でき、定期運行最終日ならではの雰囲気を感じたものでした。
そしてMAKIKYUが特急券を確保できた列車(はこね号)に乗車すると、特急ロマンスカー他車種と異なり自動放送は流れないものの、運転士の方から乗客に向けての案内放送も流れ、LSEは最新の車両に比べると運転には苦労するものの、一方でやりがいもある車両だった事などを語られていたのも印象的でした。
乗車した車両は5号車、先月乗車した10号車とは座席モケットが異なっており、青系モケットの座席は赤系に比べると草臥れた印象を感じたものでした。
MAKIKYUの指定座席は今日もまた通路側、座席下の足元空間が詰まっており狭く感じてしまうLSE乗車ならお約束と言っても過言ではないポジションですが、隣の窓側席乗客は発車直前に乗り込んだ事もあり、発車前に窓側席の折畳式テーブルを開き、こんな事が出来るのも今日限りだな…と思いながらLSE実車の中で150分の1模型(同型ながら車番違い)を撮影したものでした。
車内はラストラン目当てでLSE充当列車を指名買いしたと思われる人物が過半数を占めているのでは…と感じられる状況、そして途中駅通過時には多数の小田急社員がLSEに手を振っており、昼間はかなり暑い状況にも関わらず、沿線各地でカメラを構えた人物の姿も多数見受けられるなど、いつもとは違う特別な列車に乗車している雰囲気を強く感じたものでした。
車内では車掌が巡回時に今日限定の記念乗車証明書を配布、サイズはGSE運行開始初日と2日目に配布したものと同等の両面印刷でした。
この乗車証明書は車掌がLSE塗装&ラストランロゴ付の専用紙袋(許可を得て撮影)内に入れて持ち運び、この紙袋から取り出して配布しており、GSE運行開始の際は専用紙袋などは見かけなかっただけに、わざわざ専用紙袋を用意する辺りは相当な力の入れようと感じたものでした。
ちなみにMAKIKYUが今日LSEに乗車したのは、座席確保可能な区間が限られる状況だった事もあり特急料金300円区間、そのためLSE乗車時間も短くあっという間でしたが、乗車区間の乗車券に加えて期限が迫るOPポイントを300円分充当しただけ(現金支出なし)でLSE定期運行最終日の乗客として最後の活躍に触れる事ができ、乗車証明書もGETで来たのは非常に幸いと感じています。
また今となってはレトロな雰囲気を堪能できる一方、車内設備などは後進車両に比べると見劣りが否めず、機器類なども古く運用面でも難ありという状況ですので、小田急の特急ロマンスカー史上最長の活躍となった事も踏まえると、ボロボロになるまで使い潰し惨めな最期を迎えるよりは、車齢も考慮するとその前に有終の美を飾った方が…とも感じます。
(LSEより数年前に製造開始、LSEと同型式を名乗り11年前程に全廃となった首都圏の標準軌某中小私鉄通勤車は、老朽化や手入れの悪さで内外が荒廃した状況と感じた事に加え、定期運行最終日前日に乗り合わせた際は一部貫通路が故障して使用不能になっていたなど、凄惨な最期だったのが印象的でしたー「MAKIKYUのページ」で取り上げた該当記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)
営業運転から退いた後も全車解体ではなく、今後海老名に開館予定の小田急ロマンスカーミュージアムで一部車両が展示予定となっており、小田急側も公式に「ロマンスカーミュージアムで再び…」とアナウンスする状況は、今日のLSE定期運行終了を前向きに捉えられる大要因になっている気もします。
海老名にロマンスカーミュージアムが開館した暁には、同館で再びLSEに対面すると共に、既に退役したロマンスカー他車種と並ぶ姿を見学し、そして「MAKIKYUのページ」でも取り上げられたら…という事で、LSEラストラン関連記事を締めさせて頂きたいと思います。
今春小田急線は社運を賭けた代々木上原~登戸間の複々線化事業が完成、これに伴う大規模ダイヤ改正と共に新型特急車・70000形GSEも華々しくデビューし、注目を集める存在になっています。
一方ダイヤ改正と共に引退するのでは…と一部で推測されていた古参特急車・7000形LSEも残存、それどころかダイヤ改正で新設された「モーニングウェイ」へ充当されて注目を集めていますが、70000形GSE第2編成導入により車両代替となります。
先月後半からは現在活躍中のLSE1編成の側面にLAST RUNステッカーを掲出、また小田急線中吊り広告などでもLSE引退に伴うイベント告知などを実施しており、いよいよラストランである事を改めて実感させられ、今月10日を最後に定期運転から離脱、その後臨時列車などに充当し今年度中に退役する事も公式発表されています。
小田急線駅構内では「運行期間も残りわずか、ぜひこの機会に皆様のご乗車、お待ちしております!」「2021年春、海老名にオープン予定のロマンスカーミュージアムで、またお会いしましょう!」と謳った告知も見受けられ、なかなか上手い告知を製作したな…と感心させられたものでした。
また先月某日には丁度LSE運行予定時刻に都心方面から帰宅する日があり、当日LSEで運行する列車の空席状況を照会したら、さすがに目玉の展望席は満席。
ただ一般席通路側には空席も散見される状況でしたので、今月限りで有効期限が到来するOPカードのポイント消化も兼ねて特急券を購入、久々にLSEにも乗車したものでした。
(ちなみにMAKIKYUが乗車した列車は、発車10分前位には休日ダイヤ運行日ながらも「満席」となり、乗車後の車内でも満席で座席変更できない旨が案内されていました)
ちなみに特急券の購入は、OPカードのポイント充当という事もあり券売機を利用、券売機の画面には充当車両アイコンも表示されますが、LSEアイコンは現在の塗装ではなくリニューアル時に変更された赤と白の装いになっていたのも大きな特徴と感じたものでした。
そして新宿駅で発車時刻が近づき、LSEが入線するとカメラを構えている人物も相当数、かなりの注目を集めている事を改めて実感させられたもので、先頭車だけでなく側面のLAST RUNステッカーを撮影する人物も多数見受けられたものでした。
入線後も車内整備のため乗車はしばらくお預け、そして車内整備が終わり車内に入ると、一時期のロマンスカーでは当たり前だったものの折戸を用いた客扉が目を惹きますが、これも今ではLSEのみとなっており、この折戸も小田急線ではもう間もなく見納めとなります。
客室に足を踏み入れると、EXE以降の平成時代に製造された他の特急車とは大違い、リニューアルを経たとはいえ今となっては年季を感じさせられますが、LSEと比べても遜色が否めない有料特急用車両が、首都圏他社では今日でも幾つか見受けられるのはさすがに…とも感じます。
座席モケットは赤系統(写真)と青系統の2色が編成内で混在、座席回転時は背もたれを前に押してから回転させる方式となっており、今ではこのタイプの座席も随分少なくなった気がします。
今日では当たり前の装備ですが、特急ロマンスカーでは初めてリクライニング機構を装備、金属バーによる簡易型の足掛けも、今日の特急ロマンスカーではLSEのみの装備になっています。
座席シートピッチは970㎜、現在の特急ロマンスカー他車両は983㎜~1000㎜ですので、若干狭い程度でスペック的には他車両と大差なく、同年代の国鉄特急普通車などと比べれば優秀な部類に入るかと思います。
しかしながら特急ロマンスカー他車両とは異なり、座席下の足元空間が詰まっていますので、日頃座席指定列車では窓側席を選ぶ事の方が多いMAKIKYUも、LSEに関しては足元が窮屈と感じてしまう窓側より通路側の方が良いと感じてしまうのは難点です。
近年では一般車両も含め標準的な装備になっているLED文字案内やLCDモニターによる次駅表示、英語なども含めた多言語による自動放送装置も、現在の特急ロマンスカー各車両の中では唯一装備されていないなど、久々に乗車したLSE、外観・車内共に良くも悪くも昔ながらの特急ロマンスカーを感じされられる面が多々あると感じたものです。
歴代特急ロマンスカーの中では製造初年~定期運転終了までの期間が最長の車両になり、後進に比べて陳腐化も否めない状況では、現役引退も止む無しかと思います。
とはいえ社運を賭けた複々線化事業完成後に最後の活躍舞台が用意された事に加え、ロマンスカーミュージアム建設・同館での一部車両保存も発表されたのは非常に喜ばしい話で、今後ロマンスカーミュージアムが開館した後は是非足を運んで再会出来れば…と感じています。
LSEの定期運行は今度の週末(土・日)の2日間と、定期運行最終日の10日(火)の残り3日間、充当予定列車の大半は座席指定の特急券も売り切れとなり、これから乗ってみようと思ってもなかなか…という状況ですが、最後まで大きな問題などが生じる事なく走り続け、有終の美を飾る事を願うばかりです。
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もLSEに乗車した際の思い出話などがありましたら、コメントもどうぞ。
今日秋田県男鹿市に男鹿市が整備した複合観光施設「オガーレ」がオープン、またこれに併せてJR男鹿線の終着駅・男鹿駅の駅舎も移転し、新駅舎の営業を開始しています。
(移転したのは駅舎のみで既存ホーム終端に新駅舎を建設、線路配置などは変化していない様です)
この男鹿駅の属するJR男鹿線は、単線非電化の典型的な地方ローカル線で、昨春までは定期旅客列車は全て気動車(ディーゼルカー)で運転、随分前は機関車牽引による客車列車も存在していました。
しかしながら昨春、非電化のままながら新型「電車」の運行が始まり、この男鹿線で運行中の新型電車がEV-E801系、MAKIKYUも今春秋田県内へ足を運んだ際に乗車機会があり、今日はこの新型電車に関して取り上げたいと思います。
JR東日本の非電化路線では既に烏山線で蓄電池を搭載した充電式電車・EV-E301系「ACCUM」を運行、またJR九州でも非電化路線の若松線で充電式電車・BEC819系「DENCHA」を運行しており、男鹿線のEV-E801系はこの2路線に続く国内3例目の充電式電車となります。
烏山線は起点の宝積寺で接続するJR東北本線(宇都宮線)が直流電化となっている事もあり、直流架線からの給電となっていますが、若松線(筑豊本線)は電化区間となっている折尾駅構内、また一部列車が延長運行される筑豊本線(福北ゆたか線)折尾以南が交流電化となっているため、交流架線からの給電となっているのが大きな違いです。
男鹿線は周波数こそ異なるものの、追分で接続する奥羽本線(男鹿線列車は秋田発着で運行)がJR九州の電化線区(関門トンネル区間と筑肥線以外)と同等の交流電化となっており、これに加え小ロットの交流充電式電車を新たに設計するのはコスト面でも負担が大きい事から、EV-E801系はBEC819系の設計を流用しカスタマイズしたものとなっています。
そのお蔭でJR東日本の車両らしくない雰囲気が随所に漂っているのが大きな特徴で、外観は塗装を除くとJR九州の車両そのものと言っても過言ではない程ですが、男鹿のなまはげにちなみ赤と青の2色に色分けされた編成を見ると「なまはげDENCHA」と言いたくなる位です。
外観上の大きな差異としては、側面窓の一部が開閉式となっており、これも後から改造で開閉可能にしたのでは…と感じさせる様な仕上がり、必要最小限の設計変更に留めた事を物語っている様にも感じられたものですが、JR東日本ではさすがに「DENCHA」というワードを用いたくない様で、烏山線EV-E301系と同じく「ACCUM」の名称が付けられています。
(さすがに車両名称で「なまはげDENCHA」は厳しいとしても、車両塗装や地域性を考慮し「なまはげACCUM」にでもできなかったのか…と感じています)
車内に足を踏み入れると、車内設備はオールロングシートとなっており、最大でも乗車時間は1時間程度の男鹿線ならこれで充分と感じる向きも多いと思いますが、多少はボックス席などがあっても…と感じる旅行者なども出るのでは…と感じたものでした。
さすがにJR九州ならではとも言えるこだわりのデザイナーによるロゴや英文字、最近好んで用いている合板などは見当たらないものの、製造メーカー・日立製作所の標準仕様アルミ車「A-train」設計の特徴も随所に見受けられ、国鉄設計を除くJR東日本各車両の中では、MAKIKYUが乗車した事がある範囲では最もJR東日本らしくない車両とも感じたものでした。
外観だけでなく車内造作などもBEC819系と共通する部分が多々あり、蓄電池充電状況を案内するモニターを装備している事などは充電式電車らしい特徴ですが、BEC819系がJR九州らしからぬドアチャイム(最近のJR東日本首都圏一般車両や東京メトロ車両などと同等)を用いているのに対し、EV-E801系ではドアチャイムでこのタイプは用いられず、旧営団地下鉄の車両などでお馴染みのタイプが用いられていたのは意外と感じたものでした。
ちなみにBEC819系は都市型ワンマン運転実施線区で運用、各車両各ドアからの乗降が前提なのに対し、EV-E801系は車内収受式ワンマン運転実施線区で運用、ワンマン運転時の無人駅乗降は1両目の後乗り前降り、1両目真ん中と2両目の各扉は締め切りとなる事もあり、BEC819系の様なドア上LCDモニターによる自駅案内などは実施しておらず、代わりに運転席後部に運賃表示器としてLCDモニターを設置しています。
JR東日本のワンマン運転実施線区では、ワンマン運転時の運転席背後だけ運賃表示器として使用、それ以外は電源OFF状態という事が多いものの、EV-E801系ではワンマン運転時の2両目後部も次駅表示のみ案内を行う形で活用されており、これはJR東日本に限らず他社の車内収受式ワンマン運転実施車両でも是非積極的に実施して欲しいと感じたものでした。
男鹿線では試行導入という事もあり、EV-E801系はまだ2両1編成のみ、今後充電式電車先行導入2線と同様に充電式電車が本格導入される事になるのか否かも気になる所です。
旧型気動車(キハ40系列)が男鹿駅新駅舎に発着する期間はそう長くないと思われ、また秋田地区では五能線などで電気式の新型気動車導入も発表されていますが、旧型気動車代替後の男鹿線はEV-E801系で統一される事になるのか、それともこの電気式新型気動車なども併用される事になるのかも気になる所です。
充電式電車は今後の非電化線区における車両代替手法の一つとしても注目され、このEV-E801系をはじめ、EV-E301系やBEC819系に乗車した事がある方も居られると思いますが、その際の感想や各形式を乗り比べた際の差異などで気になる事がございましたら、コメントでの言及もどうぞ。
また以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた充電式電車2形式の記事をご覧になりたい方は、以下のリンクをクリックして頂けると当該記事をご覧頂けますので、興味ある方は併せてご覧頂けると幸いです。
EV-E301系(烏山線) https://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20141023
BEC819系(若松線) https://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20161214