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年度末で終焉を迎える地方交通

2012-03-30 | Weblog

明後日から新年度となり、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも進学・就職などで新たな道に進む方も居られるかと思いますが、日本国内の公共交通では、今年度末で終焉を迎える事業者・路線が幾つも存在しています。

まず鉄道関係では、長野電鉄屋代線(旧河東線)と青森県の十和田観光電鉄(十鉄)が営業を終了し、新年度から代替バスによる運行に切り替わります。

前者は分社の長電バスが運行し、後者は十鉄自身がバス運行を行う事になりますが、特に十鉄は鉄道路線が三沢~十和田市間の1路線のみでしたので、今回の鉄道線廃止で事業社名にこそ「電鉄」が残るものの、鉄道事業者からバス専業事業者に転換する事になります。

今回廃止になる2路線は、MAKIKYUは共に2回程乗車機会がありましたが、長野電鉄の方は長野市の南郊を取り巻く線形となっており、路線が人の流動と一致しない上に、沿線の主要駅でもある松代周辺から長野市中心部へ向かう場合、アルピコ交通(川中島バス)の路線バスを利用した方が本数・運賃・所要時間のいずれも優位な状況です。


屋代線の充当車両も今時本州では珍しく非冷房車が主体を占めていた事、以前から廃止の噂が流れていた事等を踏まえると、遂にこの時が来たと言う感があり、また同時に永年活躍してきた自社発注の特急型車両・2000系(写真)も最後の一編成が退役となります。


これに対し十和田観光電鉄は、比較的近年に定期営業用車両の総入れ替えを行い、中古車両ながらも地方私鉄では異例のVVVFインバーター制御車が主力になると共に、設備面での近代化も図られて暫くは存続の雰囲気だっただけに、沿線自治体との間における助成金問題などで廃止の話が持ち上がり、あっという間に廃止確定となってしまったのは予想外でした。

東北新幹線新青森延伸に伴って七戸十和田駅が開業し、JR東北本線八戸~青森間が経営分離(青い森鉄道へ移管)されると共に、多数の特急も停車していた三沢駅の地位低下や、東日本大震災の影響などがあるかと思いますが、今回の十鉄廃止で十和田市は鉄道駅のない「市」になってしまい、この様な都市は衰退の道を辿る事が多いだけに、十和田市の今後の行く末も気になる所です。

また長野電鉄屋代線の車両は、かなり古い上に非冷房車が主体、現状でも廃車が進んでいる状況ですので、廃線と共に役目を終えるかと思いますが、十和田観光電鉄が定期列車で使用していた車両は、地方私鉄にしては状態が良く、大手私鉄の支線区などよりも…という状況ですし、単行運転可能な7200系に関しては地方私鉄間での再譲渡事例(上田電鉄→豊橋鉄道)も存在する程ですので、今後何らかの動きが出てこないか気になります。

そして路線バスも近年、全国各地で公営事業者の路線縮小や民営移管が相次いでいますが、明後日限りで北海道の苫小牧市交通部と広島県の呉市交通局が永年の歴史に幕を閉じます。

 
こちらも首都圏住まいのMAKIKYUにとっては、決して近場ではないだけに、利用機会は前者が3回、後者が2回程しかありませんでしたが、明後日からは全路線が地場の民間事業者(前者は道南バス・後者は広島電鉄)による運行に移管となります。
(これ以外にも今月、兵庫県明石市で市営バスが運行を終了し、こちらも神姫バスや山陽バスに移管されています)

他にも一部路線の廃止や変更などは、MAKIKYUが把握できない程多数存在しているかと思いますが、今後苫小牧や呉の市内路線バスが民間事業者による運行に切り替わっても、引き続き安心・快適に利用できる地域の公共交通として愛され、末永く利用される事を願いたいものです。

今年度限りで運行終了となる幾つもの公共交通機関、日頃利用する機会の多かった方などは、思い入れもあって終焉を残念に感じる方も多いかと思いますが、過去の交通機関になってしまう長野電鉄屋代線や十和田観光電鉄線、苫小牧市営バスや呉市営バスの存在を、記憶の片隅に留めておきたいものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も長野電鉄屋代線や十和田観光電鉄線、苫小牧市営バスや呉市営バスに関する思い出などありましたら、コメントもどうぞ。

(写真は全て以前「MAKIKYUのページ」記事で使用した画像の再掲です)


ひたちなか海浜鉄道 ミキ300形気動車~関西からやって来た軽快気動車

2012-03-27 | 鉄道[北関東]

現在青春18きっぷの設定期間となっており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、18きっぷを利用して小旅行などを楽しまれている方も居られるかと思いますが、MAKIKYUも今季の青春18きっぷを1枚所持しており、数日前には日帰りで茨城県内へ足を運んでいました。

その際には青春18きっぷで利用可能なJR線普通列車だけでなく、別途運賃(フリーきっぷを購入)でひたちなか海浜鉄道にも乗車したのですが、訪問日には名物とも言える旧型気動車は、残念ながら1両も稼動していませんでした。

それどころか昼間には1両編成2本(計2両)の車両が稼動し、ほぼ中間の那珂湊駅で列車交換を行うダイヤが設定されているのですが、2両しか存在しないひたちなか海浜鉄道塗装の新型気動車(3710形)が2本とも稼動し、アニマル塗装となっている新型気動車(37100形)すら車庫で留置されているという、趣味的に見れば最も「ハズレ」な状況だったのは残念に感じたものでした。
(ひたちなか海浜鉄道の旧型気動車は非冷房車も含まれ、この車両の夏場の稼動を極力避けるのは旅客サービス上必須ですが、個人的には夏場以外の時期は1運用は旧型を運用するか、2運用とも新型で走らせる日には1運用を極力アニマル塗装の37100形にして、遠方からの観光客などがひたちなか海浜鉄道を利用した際に、様々な車両のバリエーションを楽しめる様にして頂ければ…と感じるものです)

しかしながらひたちなか海浜鉄道では、茨城交通からの転換後にサービス改善に努め、以前は勝田~那珂湊間で途中の行き違い駅は無かったのに対し、金上駅を改良して行き違い設備を新設、平日ラッシュ時間帯に勝田~那珂湊間の区間列車を数本設定して利便性向上を図っている事などは、近年衰退傾向にあるローカル線が多い中では大いに評価できるものです。

この金上駅の行き違い設備と、これに伴う区間列車増便に際しては、ひたちなか海浜鉄道の車両数を考えれば、夏場でも一部列車に非冷房車を稼動させても良いと言うのであれば、特に車両増備を図らなくても対応できるかと思いますが、1両の軽快気動車導入が行われています。

とはいえひたちなか海浜鉄道は、現在主力のバス事業も建て直し中の茨城交通が手放した程の路線ですので、近隣の非電化線区であるJR水郡線の様に新製車を続々と…とは行かないのが現状です。

そのため2008年に路線が廃線となって用途不要になったものの、車両自体はまださほど古くない兵庫県・三木鉄道の軽快気動車(ミキ300形)の1両を格安価格(それでも庶民の生活費用などから見れば高額で、会社員の平均年収を越える位の値段にはなるのですが…)で購入する事で対応しています。

しかしながらひたちなか海浜鉄道では、新型3710形を含む従来車とはブレーキ方式が異なり、連結運転が出来ない事から、主に平日ラッシュ時間帯の勝田~那珂湊間区間列車に用いられています。

 
MAKIKYUがひたちなか海浜鉄道を利用した際にもこの区間列車に充当され、時間的にも丁度良かった事から、初めてひたちなか海浜鉄道のミキ300形に乗車できたものでした。

ミキ300形はMAKIKYUも三木鉄道が在りし頃、一度だけ乗車した事があり、3両の車両が在籍していたのですが、1両がまず岐阜県の樽見鉄道に移籍、続いて1両が近隣の北条鉄道に移籍していますので、3両それぞれが全く違う路線で第2の活躍をしているのですが、鉄道の廃業となるとさほど古くない車両でも、鉄道の運命を共にする事も多いだけに、ミキ300形はこの点では非常に幸運な車両と言えます。

各社へ移籍したミキ300形は、当初は各鉄道共に三木鉄道時代の装いのまま活躍を初めたものの、最近になって北条鉄道の車両は三木鉄道塗装での運用を終了し、新塗装に改められています。

ひたちなか海浜鉄道では現在塗装はおろか、形式名も「ミキ300」のままで運用しており、三木鉄道時代と大差ない雰囲気を堅持していますが、地王私鉄では先述の北条鉄道や、災害で廃線となった高千穂鉄道から気動車1両の無償譲渡を受けた徳島県~高知県に跨る阿佐海岸鉄道の様に、入線当初は移籍前の装いで営業を開始し、その後別の装いに改める事例が複数存在する事などを考えると、ひたちなか海浜鉄道がミキ300形を現在の姿のまま使い続けるのかも気になる所です。


また車内に足を踏み入れても、三木鉄道時代とは大差ない印象があり、元々がセミクロスシート車だけあって、ひたちなか海浜鉄道の新鋭車両では唯一のボックス席を装備する車両と言うのも評価できる所です。
(名物の旧型車はボックス席が設けられていますが、3710形は路線の運行距離や所要時間などを考えるとロングシートでも充分で、茨城交通から継承した車両と言う事情があるとはいえ、観光客の利用なども考えると、セミクロスシートの方が…と感じてしまいます)


ワンマン運転に関連した装備も、運賃表示器はバス用の汎用品ながらも新型のLCDモニターを装備し、音声合成による車内放送も他車両とは異なるもの(比較的近隣を走る日立電鉄交通サービスで用いられている放送に類似しており、発音が少々不自然な感じです)が流れるのも注目点で、こちらも今後ひたちなか海浜鉄道の他車両に波及するのか気になる所です。

ミキ300形は他車両との連結が出来ないという運用の制約があるとはいえ、比較的新しい冷房車で一般客向けのサービス向上につながると共に、ボックス席を多数装備する事も遠方からの観光客向けにはうってつけ、また3710形とは異なる雰囲気が楽しめる車両ですので、第3セクター鉄道では比較的標準仕様に近い車両とはいえ、平日ラッシュ時間帯の区間運転だけでなく、終日1両運転となる土休日で、名物の旧型車両が稼動しない日にも優先的に運用して欲しい車両と感じたものです。

また古巣の三木で活躍する期間は決して長い車両ではなかったものの、新天地・茨城での末永い活躍にも期待したいと感じたものでした。


JR四国バス・松山高知急行線~かつては隆盛を誇った路線も…

2012-03-26 | バス[四国]

1月にMAKIKYUが四国を訪問した際には、土休日などにJR四国線の普通・快速列車とJR四国バスの一般路線が1日乗り放題となる「四国再発見早トクきっぷ」を利用した日があったのですが、この乗車券を利用した最大の目的は、JR四国バスの松山高知急行線を利用するためでした。
(四国再発見早トクきっぷは、利用前日までの発売で当日購入不可ですので、遠方から四国を訪問しての利用を検討している場合は要注意です)

松山高知急行線は、名前の通り松山と高知を急行運転する都市間連絡路線と言いたい所ですが、過去に隆盛を誇った路線とはいえ、現在松山と高知の2県庁所在都市を結ぶバス路線は、比較的近年開業した高速道路経由の高速バスに置き換わっています。

JR四国バスでは「なんごくエクスプレス」と称した高速バスを運行している他、民鉄系事業者などの高速バスも運行しており、現在の松山高知急行線は都市間連絡路線としての役目は果たしておらず、それどころか愛媛県内だけの路線になっているのですが、それでも県都松山と山間部の久万高原町を結ぶローカル路線として一部区間が残存しており、路線名だけが過去の隆盛を誇った時代のままとなっています。

今日の運行区間はJR松山駅~砥部~久万高原駅~落出(Ochide)間で、1日10往復に満たないバスが走るだけですが、松山と砥部以遠の久万高原町方面を結ぶ公共交通機関は松山高知急行線のみですので、久万高原町にとっては欠かせない重要な路線とも言えます。

松山市内から砥部にかけては、松山市の中心部や郊外の市街地を走り、伊予鉄道のバスが頻繁に走る区間である上に、運賃面でも並行する伊予鉄バスに軍配が挙がるために、わざわざ運行本数が少ないJR四国バスを選んで利用する乗客は少なく、この区間におけるJR四国バスのメリットは、JR松山駅を発着しているだけと言っても過言ではない状況です。
(ただ松山はJR松山駅周辺よりも松山市駅(伊予鉄道)周辺の方が栄えており、地元客にとってはこの点でも松山市駅発着の伊予鉄道バスの方が利用価値が高い事が多いのが現状です)

 
砥部を過ぎると山道に差し掛かり、峠を越えて久万高原町に入るのですが、久万高原駅までの所要時間も片道1時間以上、終点の落出までは2時間弱を要し、市街地や山間部など運行区間も変化に富んでいますので、結構な乗り応えがあります。

運賃も全区間を乗り通すと1840円になりますので、四国再発見早トクきっぷを利用すれば、松山高知急行線全線の片道乗車+JR四国線利用(初乗り区間でも)だけで元が取れてしまい、JR四国線を初乗り区間以上で利用する場合や、松山高知急行線を往復利用する場合(松山市内~久万高原駅などでも)のは、四国再発見早トクきっぷが非常に威力を発揮する路線とも言えます。


使用車両も最近入れ替えが行われたのか、MAKIKYUが乗車した際には、大阪市営バスから移籍したばかりの2段ステップ・前後扉のV8エンジンを搭載したいすゞ大型路線車が充当され、四国では少数派の西日本車体工業(西工)製96MCボディ大型路線車だったのは少々意外でしたが、途中ではいすゞ純正のキュービック(こちらも前後扉車)ともすれ違っています。

JR四国バスの一般路線は松山高知急行線と、少し前に「MAKIKYUのページ」でも取り上げた大栃線の2路線しかなく、両路線は結構距離が離れている上に、後者はアンパンマンバス限定となっている事から、松山高知急行線用の車両は他路線に充当される事はなく、この事も影響してか、車体側面には「松山⇔砥部⇔久万⇔落出」(ローマ字併記)と運行区間を記しているのも大きな特徴と言えます。


車内も元々が都市型路線用だけあって、1時間以上の長時間乗車となる事が多い松山高知急行線の路線状況を懸案し、一部座席の取替えと増設が行われているのですが、大阪市営バスタイプの座席(モケットは張替え)と、大阪市営バスとは異なるタイプの座席が混在しています。

おまけに内装やつり革をはじめ、特徴的な後扉のドアチャイム(開扉時と閉扉時でチャイムが異なります)もそのまま使用しており、多少手を加えたとはいえ、大阪市営バスの雰囲気が色濃く感じられたもので、大都市圏中古の大型路線車に乗車するのが好きなMAKIKYUとしては、路線・車両の両面で乗り応えのある路線と感じたものでした。

また現在松山高知急行線は高知県内を走る区間こそないものの、終点の落出では県境を跨ぎ、高知県へ至る路線バスに乗り継ぐ事も可能で、MAKIKYUが1月に松山高知急行線を利用した際にも、この路線バスを利用する機会がありましたので、こちらも近日中に別記事で取り上げたいと思います。


JR四国 キハ32形気動車~国鉄末期に導入された軽快気動車

2012-03-22 | 鉄道[四国]

先日「MAKIKYUのページ」では、伊予鉄道の郊外線で活躍する3000系電車に関して取り上げましたが、1月にMAKIKYUが郡中港(JR伊予市駅に近接)から伊予鉄道に乗車した際には、JR四国の「四国再発見早トクきっぷ」を所持していた事もあり、松山市内から伊予市までの片道は、JR線の普通列車を利用したものでした。


その際に乗車した車両がキハ32形気動車で、同系は国鉄末期の分割民営化直前に、JR化後の運営状況などを懸案し、置き土産的に導入された車両ですので、車齢は25年を越えており、意外と新しそうに感じるこの形式も、JR四国の中ではベテランの部類に入ります。

JRグループの旅客車両各形式の中で、最も小柄な旅客車両としても知られており、非力故に勾配線区での使用にはやや難がある様で、同系が主力として活躍する予土線においても、有名なトロッコ車両を牽引する列車へは充当されず、他形式車両を充当している程です。


ローカル輸送用に製造された車両ですので、全体的に簡素な作りとなっているのも特徴ですが、それでも第3セクター鉄道などに導入されたレールバスに比べれば乗り心地も良く、運転台周りの雰囲気などは今日のJRにおける新鋭車両とは異なり、国鉄車両の重厚な雰囲気が色濃く感じられます。


座席はほぼ同時期に四国に導入された別形式の軽快気動車や、JR化後にJR西日本の閑散線区に導入された軽快気動車の様な「超硬」ではなく、一般的な座り心地を誇るのも評価できる所ですが、オールロングシートでおまけにトイレなしですので、20~30分程度の乗車なら充分許容範囲ですが、2時間以上の長時間走破列車などでは少々辛いかもしれません。
(実際に2時間以上走る列車での充当も数多く存在しているのですが…)

また松山~伊予市間は愛媛県の県庁所在地・松山市の都市圏輸送区間と言っても過言ではなく、沿線人口などもそれなりにあるはずですが、それにも関わらずMAKIKYUが乗車した列車の一つ前は、普通列車の運転間隔が1時間以上も開いている有様でした。

MAKIKYUが乗車した列車以外でも、この区間で運転間隔が1時間程度と言うのは当り前で、それにも関わらず県庁所在地の都市圏で、この小柄な車両が1両だけで足りてしまうのは…とも感じたものです。
(ちなみに伊予鉄道郡中線は、松山市~郡中港間を2~3両編成の電車が昼間15分間隔で運行しています)

おまけにJR松山駅も設備的には貧弱さが否めず、未だに自動改札機の設置も行われていない程(松山市内には四国初の自動改札機設置駅も存在しているのですが…)で、伊予鉄道グループが健闘しているからこそ、JRが貧弱な設備や輸送レベルでも松山都市圏の公共交通は何とかなっているのでは…と感じたもので、松山周辺は特急による都市間輸送だけでなく、都市圏輸送にもテコ入れが必要なのでは…と感じてしまったものでした。


伊予鉄道3000系電車~郊外線の新系列車両

2012-03-19 | 鉄道[四国]

1月にMAKIKYUがしまなみ海道を経て今治へ向かい、今治市内で1泊した後は四国内を廻った際には、松山市内や近郊を走り、過去にも何度か乗車した事があった伊予鉄道の郊外線電車にも乗車したものでした。

首都圏では最近、お馴染みの車両が次々と退いており、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げた小田急5000形などはその代表格ですが、伊予鉄では京王井の頭線でつい最近まで活躍していた3000系電車が、伊予の地でも同形式を名乗り、新たな活躍を始めた事でも注目されています。

MAKIKYUも伊予鉄道を利用する際には、是非この電車に一度は…と思っていたのですが、MAKIKYUが郡中線始発の郡中港駅(JR伊予市駅に隣接)で、松山市行きの電車に乗車しようとしたら、丁度3000系が現れたものでした。


MAKIKYUが郡中線に乗車した際には、途中駅ですれ違う列車にも3000系が1運用充当されており、単線の限られた設備ながらも昼間4運用で15分毎、地方私鉄では破格のフリークエントサービスを提供する同線では1本おきの割合、また高浜線~横河原線でも見た限りでは半分程度の列車に運用され、MAKIKYUが松山市駅で乗り換えた高浜線電車も3000系という状況でした。

そのため現段階でも、既に郊外線の主力車両と言って過言ではない程で、今後増備が進み導入予定数が揃うと、7割程度が3000系という状況になりますので、これからは3000系以外の車両を狙う方が…という事になりそうです。

ちなみにこの3000系電車は、伊予鉄道での導入に際し、編成数の短縮(5→3両)や下回りの換装(VVVF化)などが行われ、装いも伊予鉄道の他車両で用いられているオレンジ系統に改められています。


とはいえ元々がさほど古い車両ではない上に、行先表示も今流行のLEDではなく、字幕を新調して対応しており、京王時代に更新工事が施された車両だけあって、外観上の変化は少なく、それどころか新たに取り付けられた社紋の脇には、「KEIO」ロゴを剥がした痕跡までしっかりと残存しているなど、如何にも京王で活躍していた電車という雰囲気が色濃く感じられたものです。


車内に足を踏み入れても、伊予鉄道の他車両でも見られるドア上の電光式文字案内装置が装備された他は、井の頭線時代の雰囲気がよく残っていますが、下回り換装のお陰で、走り出すと走行音が随分静かになっているのは少々違和感を感じたものです。

また3000系導入によって、かつて京王から譲渡された古参車が全廃となり、一部がまさかの再譲渡で首都圏に出戻りした事も話題となりましたが、元5000系(700系)は今日でも多数が活躍しています。


京王時代は軌道幅の関係で並ぶ事がなかった元京王の2形式が、首都圏とは遠く離れた伊予の地で並ぶ光景も日常のものになっていますが、700系も伊予鉄道に移籍してからの活躍が長い車両ですので、いつまで元京王車2形式が揃って活躍する姿を見られるのかも気になる所です。


最後の一編成となった小田急5000形~お馴染みの小田急顔も…

2012-03-16 | 小田急グループ

小田急では17日にダイヤ改正を控え、これに伴って永年活躍してきた通勤型電車5000形と、特急ロマンスカー2車種(10000形Hi-SE・20000形RSE)、更にJR東海から乗り入れる371系電車の4車種が一気に見られなくなります。

100系・300系の2車種が全面引退となる東海道・山陽新幹線(100系は山陽区間のみ)、定期夜行2列車(日本海・きたぐに)が一挙に臨時格下げとなる北陸本線などの日本海縦断線と共に、今年春の列車・車両動向が大きく変動する路線と言え、以前から盛んに告知されている事もあって、ご存知の方も多いかと思います。

小田急所属の退役3車種の中で、Hi-SEは長野電鉄に譲渡された一部が、短編成化された以外は小田急時代に近い姿で、当面特急「ゆけむり」としての活躍が期待できる状況で、譲渡が噂されているRSEも、先月MAKIKYUは乗車機会があり、「MAKIKYUのページ」でも記事で取り上げています。

しかしながら通勤型の5000形は、永年慣れ親しんだ車両とは言え、最後まで残ったのは一編成だけで、それも運用範囲が広く、運用列車も限定されない事から、なかなか捕まえ難い状況で、今年になってからの乗車は…という有様でしたが、数日前にようやく最後の活躍をしている5000形に乗車する事が出来、更に昨日も乗車する事が出来ました。
(写真は全て数日前に乗車した際のものです)


5000形は大きく分けて4両2段窓の編成と、通称5200形と呼ばれる6両1段下降窓(末期は一部編成が4両編成化)の2種類が存在し、後者の方が新しい上に、更新時期も後年なのですが、最後まで残存したのは皮肉にも2段窓の編成で、1段下降窓の車両は最後の編成が今年初頭に退役しています。


最後まで残存したのは5163Fで、2段窓の車両では後期のタイプになる事もあって、つり革の配列が2段窓車の多数派とは異なっており、5200形と折衷した車両と言う印象を受けますが、座席モケットは最後までバケット化されず、一昔前の小田急線では当り前だった紺色無地モケットの座席になっているのも注目点です。


ちなみにMAKIKYUが先日5163Fに乗車した際には、小田原方6両に主力の3000形を従え、関東では今や少数派の抵抗制御・HSCブレーキ車とVVVFインバーター制御・電気指令式ブレーキ車の混成編成(関西の大手私鉄では、一般・優等共にこの様な編成が当り前の会社もありますが…)で、自動放送も入る辺りは非常に現代的でしたが、乗車した列車が準急だった事もあり、車内は比較的空いた状態で最後の乗車ができ、折り返しで数少ない大和行に充当された姿が見られたのも幸いでした。
(それでも途中駅などではかなりの撮影者が居り、永年親しまれた5000形車両が、多くの利用客に愛されていた車両と言う事が、改めて実感できたものでした)

この5163Fは昭和51年製、まだ関西では昭和30年代製の車両が本線でもゴロゴロしている路線があり、更新工事のお陰で内装も比較的綺麗な印象を受ける事を考えると、引退はやや早い気もしますが、5200形や近隣事業者の同世代車が次々と退役し、節電も求められる時勢を考えると、致し方ないのかもしれません。

  
また車内広告枠には、今度の改正で引退する3車種の写真が2種類ずつ、そして外観も近年導入された小田急グループのブランドマークは外され、少しだけリバイバル車両になった雰囲気を漂わせている上に、THE LAST RUNNINGのステッカーが貼られているのも注目点です。
(装い自体は登場時から変わらず、今日でも全く見劣りしない辺りは、現行塗装の完成度の高さを感じるものです)

   
この5000形は他社譲渡の話も聞かず、全面退役でMAKIKYUも永年慣れ親しんだ存在で、全盛期には嫌と言うほど見られた「小田急顔」が鉄路から完全に姿を消すのは、一つの時代の節目を感じ、非常に残念な事ですが、今後保存の動きなどが見られるのか否かも気になる所です。


そして実車は惜しまれつつ有終の美を飾って引退しても、MAKIKYUの手元にあるこちら(実車内にて撮影)は、当面活躍させたいと感じています。


遂に退役となる新幹線100系~リバイバルカラー編成に乗車

2012-03-14 | 鉄道[新幹線]

先月MAKIKYUが韓国まで足を運んだ際、その道中で西日本鉄道(西鉄)の「FUKUOKA 1DAY PASS」を利用して、今月限りで一部区間廃止となり、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げた八木山線などの西鉄バスや、西鉄電車などを利用して福岡県内を動き回っていた日がありました。

 
その際には西鉄グループだけでなく、夜に別途運賃・料金を支払って博多駅からJR博多南線にも乗車したもので、この時には16日にさよなら運転、定期運転は今日で終了となる100系車両に乗車したものでした。

100系は16両・2階建て車両を組み込んだ堂々たる編成で東海道新幹線を駆け抜けていた頃と、晩年の短編成で山陽新幹線の「こだま」で活躍した列車を合わせても、MAKIKYUが乗車したのは指の数程度という車両でした。

とはいえ開業当初から延々と0系の増備が続き、永年フルモデルチェンジが行われず、0系同士での車両代替と言う異例の事態になっていた東海道・山陽新幹線において、登場当時は斬新さを感じたシャープな前面形状に、2階建て車両も組み込んだ編成は、幼い頃のMAKIKYUにとって格好良く、未来へ向けてひた走る新時代の新幹線という印象を強く受けたものでした。

設備面でも大柄な車体や全盛期の2階建て車両など、300系以降の東海道・山陽新幹線車両は機能重視の車両が主流を占める中、ゆとりを感じる車両という印象があります。

 
また晩年の活躍では、行先表示が3色LED式に改められ、先頭車化改造車も登場すると共に、新幹線最短の4両編成も出てくるなど、JR西日本らしさを感じる面が幾つもありましたが、客室設備も全車普通車ながら2+2列の座席に交換された事で、さらにゆとりを感じる車両になったと感じたものでした。

山陽新幹線「こだま」や博多南線では、専ら短時間乗車になるものの、もっと乗っていたいと感じる新幹線車両としては、九州内で活躍し、
こだわりのデザイナーが手がけた800系と双璧をなす存在と感じ、300系ですら引退する今日では致し方ないとはいえ、全廃はやや惜しいものです。
(この点博多南線の約200km北を走る動力集中方式の高速列車は、見た目や客室の雰囲気こそ独特なものの、車内空間の居住性は正反対で、余り高い評価は出来ないと感じています)

一時期黄緑色を基調とした装いとなり、100系最後の活躍舞台となったJR西日本のこだま号用車両も、往年の装いに戻されて有終の美を飾る事になり、最後にリバイバルカラーとなった車両に乗車できたのは幸いでした。

初期車両hJR化以前からという新幹線車両にしては長寿を誇り、今日の新幹線車両とは異なる特徴を持った100系は、既に一部が中京地区の博物館に展示されており、この博物館を訪れれば、今後も全盛期の活躍ぶりを偲ぶ事が出来るのも幸いですが、往年のぶりは頭の片隅にも留めておきたいものです。


西鉄バス筑豊八木山線・一部区間廃止に~飯塚方面へのアクセスに有用な路線でしたが…

2012-03-12 | バス[九州本土]

今日西鉄HPを見たら、西鉄バス筑豊・八木山(Yakiyama)線の一部区間(八木山本村~日の浦口)が、今月末で廃止になる旨が発表されていました。

八木山線は飯塚バスセンター~坂ノ下~八木山本村~日の浦口(西鉄バス筑豊篠栗支社)間を結ぶ一般路線で、一日10往復の運行があります。

福岡~飯塚方面の特急・急行バスは八木山バイパスを経由するのですが、この路線は八木山峠の山道を経由し、専ら中型路線車(筑豊エリアの西鉄バス一般路線は、殆どが中型かそれ以下の車両なのですが…)で運行しています。

日の浦口からは福岡市中心部の天神方面へ向かう路線が複数系統運行(一部は都市高速道路経由)していますので、日の浦口で八木山線と乗り継ぐ事で、特急・急行以外の西鉄一般路線バスのみで福岡~筑豊方面を移動できるという点でも希少な路線です。


MAKIKYUが先月韓国まで足を伸ばした際にも、その途中で「FUKUOKA 1DAY PASS」を利用して福岡県内を動き回った日があり、その際には廃止が迫っているとは知らずに、たまたま八木山線にも乗車機会がありましたので、乗っておいて良かったと感じたもので、日の浦口で飯塚所属のバスが篠栗所属のバスと並ぶ、写真の様な光景も見納めとなります。

また「FUKUOKA 1DAY PASS」は通用範囲がかなりの広域に跨る割には格安(現在2000円・通用範囲拡大前は1500円という激安価格でした)で、非常に有用な乗車券ながらも、通用対象となるバスは急行以下の各種別(都市高速道路経由を含む)で、高速・特急バスは対象エリア内でも利用対象外(急行バスも日田バス運行便は対象外)となっています。

福岡方面からのバスは大半が特急の飯塚方面へ、「FUKUOKA 1DAY PASS」を利用しては足を伸ばすにも、通用対象となる八木山線は非常に有用な路線でしたが、MAKIKYUが乗車した際には八木山峠を越える区間の乗客は…という状況で、普通運賃での乗車メリットは乏しい事も考えると致し方ないとはいえ、路線廃止は非常に惜しい限りです。

今後「FUKUOKA 1DAY PASS」で福岡市内~飯塚方面を移動する際には、1時間に1本程度しかない博多駅交通センター~福岡空港~飯塚(~田川)間の急行バスを利用するか、篠栗~桂川間で別途運賃(270円)を支払ってJR福北ゆたか線を利用するのが有力な方法となります。

「FUKUOKA 1DAY PASS」利用対象外の特急バスはかなり頻発(天神~飯塚間は昼間12分毎)しているだけに、設定価格を考えると、さすがに特急バスまで通用範囲に含めるのは厳しいとしても、急行以下の各種別バスが乗り放題となる「FUKUOKA 体験バス TICKET」(西鉄バス全線が2日間乗り放題+飲食や各種サービスなどで利用可能なクーポン4枚がセットになった企画乗車券)や「ホリデーアクトパス」(土休日限定のバス全線乗り放題6ヶ月定期券)、「グランドパス65」(高齢者向け乗り放題定期券)の様な特急バス半額特典(主に福岡県内を走る近距離・整理券方式の高速バスも対象)、或いは福岡~熊本間高速バス「ひのくに号」で実施している新幹線乗車券の領収書提示時における割引運賃適用(最安回数券の1枚当たり価格と同額で乗車可能)の様な割引特典位はあっても…と感じてしまうものです。


KORAIL 368000系電車~ITX青春号用に登場した都市間優等列車用車両

2012-03-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、先月29日に運行開始したばかりの富士急行6000系電車(元JR205系)に関して取り上げましたが、その一日前には韓国の首都圏(ソウル都市圏)で「ITX-青春」と呼ばれる新種の都市間優等列車が運行を開始しています。

日本の鉄道関連で「青春」いう言葉を聞くと、まず「青春18きっぷ」が思い浮かび、普通列車の印象が思い浮かぶ方も多いかと思いますが、韓国の「ITX-青春」はこの印象とは対極にあり、4扉ロングシートの一般列車よりも割高な運賃が適用される座席指定制列車となっています。

 
MAKIKYUが先月韓国へ足を運んだ際には、運行開始前日が韓国出国日でしたので、残念ながら乗車は叶わなかったのですが、上鳳(Sangbong)駅などで試運転列車の姿を目撃する事が出来ました。

ITX-青春はソウル市内の龍山(Yongsan)駅か清凉里駅から、近年複線電化されて一部区間が路線付け替えとなるなど、大変貌を遂げた京春線を通って春川(Chuncheon)までの間を運行しています。

ソウル近郊の広域電鉄線区間を、座席指定制で一般列車より割高な運賃と高級な客室設備、少ない停車駅で速達運行を行うなど、高付加価値を付けた動力分散方式の「電車」で運行し、日本では小田急の特急ロマンスカーや近鉄特急などに近い存在と言える列車は、KORAILではソウル駅~新昌(Sinchang)間の「ヌリロ」号に次いで2例目、韓国全体では他にKORAIL空港鉄道の直行列車も存在します。

ヌリロ号は200000系と呼ばれる4両編成の電車が用いられ、広域電鉄線用高床ホームと列車線用低床ホームの双方に対応できる可動式ステップを装備していますので、列車線での運行も可能となっており、ソウル駅~新昌間以外にも、ソウル~提川(Jecheon)間を忠北線経由で結ぶ1往復の定期列車設定があり、他に臨時列車で大田(Daejeon)や湖南線方面への充当実績があります。

2編成併結の8両編成で運行可能で、現に一部列車は8両編成で運行しているなど、汎用度の高い車両で、現に京春線でも団体臨時列車での入線実績が存在しますので、200000系をそのまま、或いは小変更で追加増備して充当しても良い気がしますが、「ITX-青春」号向けには、別途368000系と呼ばれる新型電車が導入されています。

この電車は丸っこい前面形状などは最近の韓流トレンドと言え、日本の鉄道車両とはやや異なる趣を感じる他、8両1編成で、韓国の鉄道車両では初となる2階建て車両を、中間に2両組み込んでいるのが大きな特色となっています。
(編成は4M4Tですので、その気になれば先頭車を含む両端2両ずつを電動車にして、2階建て車両を4両組み込んでも良い気がしますが、両先頭車は制御車で、中間の付随車となる4・5号車の2両が2階建てと言うのは、何処かの島国の首都圏で運行している、「某社レンズ付きフィルムによく似た名称で呼ばれる事が多い電車」などを用いた近郊型電車を連想してしまいます)

またドア位置を広域電鉄線用4ドア車に合わせ、客ドア自体も高床ホーム専用になっている他、装いもステンレス無塗装に青や黄緑色の帯が配されるなど、用途的には200000系に近いとはいえ、同系とは様々な差異が見受けられるのも、趣味的には興味深い所です。

この「ITX-青春」は、4扉ロングシートの通勤電車と同じ線路を走るにも関わらず、KTX(高速列車)を除く韓国の鉄道では最速となる最高180km/hを誇り、80km以上もの距離を乗車しても6000W台と、付加価値の高さなども考えると、お得感のある列車なのでは…と感じます。
(それでも彼の地ではやや割高と言う声が上がっている様で、物価の違いを考慮しても、一般列車の運賃は新線などでも羨ましくなる程割安で、首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)とその沿線の様な惨状は、彼の地の人間が目にしたら相当驚くかと思います)

同じ線路幅で輸送力的にも大差ないにも関わらず、何処かの島国の首都圏で、特別料金を徴収する座席指定制列車を「最高160km/h」「私鉄最速」などと大々的に謳っている「○田スカイアクセス」は一体…と感じてしまい、後者はこれから運賃・料金で高級な列車である事をPRした方が…と言わざるを得ない気がするのですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?


富士急行 6000系電車(2)~車内編

2012-03-08 | 鉄道[甲信越]

先月末に運行を開始し、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げた富士急行の6000系電車ですが、JR九州や両備グループなどで多数の車両などのデザインを手がけた某デザイナーが絡むだけに、外観だけでなく内装もドーンと変化しています。

 
車内は座席モケット以外、製造当初から変化の少ない車両が多い205系においては、最も異色の存在に変化した車両と言っても過言ではなく、1車内に幾種もの柄が存在する座席モケットをはじめ、外観と同様に水色に塗られた客ドア、車両間貫通路に設けられた暖簾や、吊り輪に木材を使用したつり革などは、非常に特徴的で目を引くものです。


横浜線や八高線など比較的至近で同種車両が活躍し、これらの路線に乗り慣れた乗客が富士急行線を利用した際にも、ただの払い下げ車両ではなく、それなりのインパクトを感じる車両に仕上げられているのでは…と感じたもので、広告枠にこの車両のイラストが幾種も掲出されている点も、観光客などが利用した際に楽しめる仕掛けと言えます。

 
床がフローリング仕上げに改められており、ドア付近には若干の段差が出来ているのも大きな特徴で、外観上素人目には先頭車化改造車である事が分かり難い富士山方先頭車も、乗務員室仕切り扉の位置が中央に設けられ、上下で扉位置が異なる事は、如何にも後に改装した車両である事を強く印象付ける雰囲気があります。

また車椅子スペースの設置をはじめ、半自動ドアスイッチとドアチャイム設置、ドア上にLEDによる次駅案内などの文字表示装置が設置され、英語放送入りの自動放送も流れるなど、地域性や現代のニーズに応じた機能面での強化も行われています。

ドアチャイムや自動放送、全角6文字分のLED文字表示装置などは、JRの中でも富士急行線と直通運転を行っている会社の車両を連想させる雰囲気があり、その一方で内装は同じデザイナーが絡むJR九州を思わせる雰囲気がありますので、全く様相の異なるJR2社が融合したかの様に錯覚させられます。

この様に見た目の雰囲気は、205系→6000系に形式を改めると共に、内外共に大きく変化していますが、20m級4ドア車の3両編成で輸送力車両とも言え、「COMMUTER TRAIN」と名乗っているだけに、オールロングシートの座席など、接客設備面では典型的な通勤型車両と言える205系の原型を踏襲している部分も多く、収容力重視の車両と言った雰囲気も感じられます。

某デザイナーが手がけた車両では、富士急で活躍中の「富士登山電車」をはじめ、幾つもの鉄道で良く見られる本棚やベビーサークルなどの実用性とは程遠い装備はなく、座席自体もモケット以外は205系時代を踏襲しており、化粧板も205系原型を概ね踏襲するなど、個性が強過ぎる車両を次々と世に送り出す某デザイナーの絡む車両にしては、実用本位な印象を受けたものです。

この6000系は元々JR線を走っていた車両だけに、物理的にはJR線を走らせる事もさほど難しくないかと思いますので、大月からJR線に乗り入れての運行を行い、本家205系と並ぶ事で進化ぶりを実感できる機会が巡って来る事にも期待したい所で、また205系は廃車解体するにはまだ…という感もありますので、今後富士急以外の私鉄やJR会社間での移籍劇が続くのかも気になる所です。


富士急行 6000系電車(1)~外観編

2012-03-05 | 鉄道[甲信越]

今月に入り、今季の青春18きっぷ利用が解禁となりましたが、MAKIKYUは昨日早速この18きっぷの1回目を使用し、日帰りで山梨県内へ足を運んだものでした。

その際には、先月29日に運行開始したばかりの富士急行の新型車両・6000系電車の運行時刻(土休日に限りHPで公開しています)だった事もあり、大月駅で中央線を途中下車し、少しだけこの新型車両に乗車したものでした。
(当然ながら富士急行線は青春18きっぷの通用対象外で、別途乗車券を購入して乗車しています)


6000系は元JR205系を、JRから譲り受けて改造した通勤型電車で、古い車両を多数使い続けており、まだ205系は暫く自社で使い続ける雰囲気が漂うJR西日本所属車両ではなく、多数が既に廃車や別線区へ転用されており、改造車も多数存在する元JR東日本所属車両が種車になっています。

編成は3両編成となっており、富士急行の一般車両で3両編成の車両は初登場になると共に、205系は元々先頭電動車が存在せず、電動車は2両1ユニットとなる事から、最低両数が4両となりますので、JR東日本所属の一部車両と同様に、中間車の先頭車化改造による先頭電動車が存在するのも特徴となっています。

 
3両編成中富士山駅方の先頭車になるこの改造車は、JR東日本の鶴見線や仙石線などで見られる独自形状ではなく、205系オリジナルの前面を中間車だった電動車に接合しているのが特徴で、少なくとも現時点においては、JRでは見られない富士急行ならではの車両になっています。

反対側の先頭車は原型の前面そのままですので、こちらと釣り合いを取ることも、オリジナル形状の前面となった一要因かもしれませんが、良く見ると先頭車化改造を施した車両はパンタグラフ増設で先頭にもパンタグラフが装備されるなど、独特な雰囲気があります。

そして6000系の大きな特色として、JR九州や両備グループの車両デザインを多数手がけ、富士急グループでも最近になって、富士登山電車や身延登山鉄道(ロープウェイ)などのデザインを手がけている某有名デザイナーによる外観・内装の改装が行われている事が挙げられ
ます。

 
このデザイナーが手がけた車両は、外観に英文字やロゴを多数配するものが多く、6000系もこの特色が強く現れていますので、中間車の先頭電動車化改造をはじめ、押しボタン式ドアスイッチや3色LED化された行先表示(普通列車でも律儀に普通表示が出ます)などの機能面での変化以上に、JR時代とは大きく異なる車両に変化した事が、このデザインによって実感できるものです。

個人的にはこの某有名デザイナーが手がけた車両のデザインは好きな方で、西方へ行かなくても近場でこの様な車両を目にする事が出来るのはありがたいと感じますが、個性が強過ぎるだけに好みが大きく分かれそうです。

また6000系は車内も大変貌を遂げ、ドーンと派手に改装されているのですが、こちらは近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


JR四国バスで走るアンパンマンバス~JR四国グループは鉄道だけでなく…

2012-03-02 | バス[四国]

先月上旬にJR東日本とJR四国のHPにおいて、JR四国が保有するアンパンマントロッコ列車をJR東日本管内で走らせ、東日本大震災被災県の親子連れに抽選で…という仰天ニュースが発表され、キクハ32形車両(構想図によると伴車のキハ185形も)が東北地方などで走る事に驚いた方も多いかと思います。

日頃アンパンマントロッコ列車を走らせているJR四国は、アンパンマンの作者が高知県出身と言う事もあり、アンパンマントロッコ列車を走らせるだけでなく、定期特急列車で用いられる2000系気動車の一部などでもアンパンマンデザインのラッピング車両(車内も一部はアンパンマンデザイン)を走らせ、高知駅の入線メロディにもアンパンマンのテーマ曲を編曲したものが用いられるなど、トロッコ列車だけでなく至る所でアンパンマンに関連したものが見受けられます。

JR四国本体だけでなく、グループ会社でもアンパンマンに関連したものが幾つも見られ、JR四国の駅構内などに店舗を展開する焼きたてパンショップ「ウィリーウィンキー」でアンパンマンの顔の形・デザインを模した「アンパンマン」を発売している程です。

また本体から分社化したJR四国バスでは、現在「アンパンマンバス」と称した路線バスのラッピング車両を走らせており、こちらは1月中頃に四国を訪問した際にその姿を目撃できましたので、取り上げたいと思います。

現在JR四国バスが運行する一般路線バスは、2路線と極めて少なく、事業主体は高速バスになっているのが現状ですが、その一つが高知県内を走る大栃線で、同線は原則的に全便アンパンマンバスでの運行となっています。

土佐山田駅を基点に大栃へ至るこの路線は、途中にアンパンマンミュージアムがあり、アンパンマン列車などのJR線列車を利用し、アンパンマンミュージアムを訪れる観光客向けのアクセス手段にもなっています。

MAKIKYUは高知から帰る際に、たまたま土佐山田駅で若干の乗り換え時間があり、その際に駅前にアンパンマンバスが停車していたのですが、現在JR四国バスで運行している一般路線車は中古車ばかりとなっています。

 
最初に見かけたいすゞキュービックも、元は関西の公営交通で使用していた車両で、高知県内の一般路線でいすゞ車自体が希少(県内大手2社では共に日野車を多数使用し、また土電グループは三菱車・県交グループは日産ディーゼル車も多数使用していますが、共にいすゞ車は見た事がありません)な上に、四国の一般路線バスで大型路線車自体が少ないですので、全国的にはありふれた車種ながらも、高知ではかなり貴重な存在です。

 
その後アンパンマンバスはもう一台現れ、今度は三菱エアロスターKでしたが、こちらも関西の大手私鉄系バス事業者から移籍した車両で、車種だけでなくベースカラーも異なるなど、素人目にも複数種類のアンパンマンバスが走っている事が一目瞭然と言う状況です。


また土佐山田駅のJRバス乗り場も、屋根上にアンパンマンなどのキャラクターやアンパンマン列車・バスのデザインと共に、「アンパンマンバスのりば」と記した標識が掲げられていたのも特徴的でした。