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一畑電車 デハニ50形~営業運転から退役した古豪も

2016-08-21 | 鉄道[中国]

先日「MAKIKYUのページ」では、東急1000系のリバイバル塗装車と、近年東急→一畑電車に移籍した同系に関して取り上げましたが、これに続き久々の新造車導入も告知されるなど車両更新が進み、一畑電車の顔ぶれが次々と変化しつつあります。

その一方で現在主力となっている元京王車両などが大量導入されるまでの間、永年活躍していた昭和初頭に導入された古豪の一部が、営業運転こそ行っていないものの綺麗な状態で姿を留めています。

昭和初期に自社発注された車両も扉数などにより幾つかのバリエーションが存在し、現存する「デハニ50形」は客用扉が2箇所+小荷物室を併設し荷物室扉が存在、今世紀に入ってもイベント運転などで活躍する程でしたが、保守面や安全基準強化の影響などもあり、2009年で営業線での運転を終了しています。

 
しかしながらデハニ53号は車両基地のある雲州平田駅に常駐、車庫内に営業線とは線路が繋がっていない短距離の体験運転専用線を設け、低速(最高速度15㎞/h)ながらも体験運転用車両として稼働、希少な車両の動態保存としても注目の存在となっています。

MAKIKYUが昨年一畑電車を利用した際には、乗車だけでなく「運転」もしたものでしたが、気動車は何度か運転した事があっても「電車」は初めてでした。

 
希少な古豪の見学・乗車・運転と3拍子揃った体験運転会参加は決して安くないものの、わざわざ遠く島根まで足を運んだ甲斐は充分にあったと感じたものでした。


デハニ53号のブレーキは、MAKIKYUが今まで体験運転で動かした2種類の気動車と同種の「自動空気ブレーキ」で、旧式ながらも今でも気動車や路面電車では現役で用いている車両も数多く存在しています。

同じ自動空気ブレーキでも以前運転した気動車2種類に比べると応答性は遥かに良好と感じた反面、ブレーキハンドルが重なり位置から少しでもずれると空気圧が下がりブレーキの利きが弱まるなど、感触は随分異なると感じたものでした。


またデハニ50形はデハニ53号車だけでなく、デハニ52号車も現在出雲大社駅構内に静態保存されていますが、こちらも屋根付きで保存され、保存状態も見た目は博物館収蔵車両並と感じたものでした。


体験運転用に用いられているデハニ53号車とは同年代に製造された同一形式ながらも、内外に様々な差異が見受けられるのも興味深い所です。

デハニ50形は今日でも綺麗な姿で姿を留めている事自体が奇跡的とも言え、それも同一形式で2両も残存、その両者が異なる形で保存されているのは異例と感じます。

一畑電車の事業規模や経営状況なども考慮すると相当な事かと思いますが、他地方私鉄でも希少な旧型車両を活用する施策の一つとして、一畑電車に続いて体験運転専用車として整備する様な動きが出てこないのかも気になったものでした。


東急1000系・リバイバルカラー編成に遭遇

2016-08-15 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」では一畑電車1000系電車に関して取り上げましたが、同系の種車にもなっている東急1000系は現在でも東急多摩川・池上線において多数活躍しており、MAKIKYUは今月も池上線で乗車機会がありました。

同系は元々池上線などの支線向けに導入された車両だけでなく、東横線~日比谷線直通用に導入され、後に東急多摩川・池上線に転用された車両も存在しています。

日比谷線直通運転中止に伴って東横線から離脱・転用された車両の中には、制御機器更新を行った編成も存在しています。

制御機器更新を行った編成は、車体色も帯色が赤色→緑系を基調とした装いに改められ、内装も化粧板が木目調に改められるなど、雰囲気が大きく様変わりしており、この車両は編成番号も1500番台に改められています。
(以前この車両に関して取り上げた記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)

1500番台車も最近では数を増やし、東急多摩川・池上線の主力車両の一つと言っても過言ではない状況になっていますが、最近ではこの車両以外で1000系を大改装した編成も登場しており、これが今日取り上げるリバイバルカラー編成です。


リバイバルカラー編成は元々池上線用に導入された1017Fを改装、装いは紺色を基調に窓周りが黄色となり、この塗装は昔東急線で活躍していた旧型電車を模したものですが、個人的には小田急2600形最末期のリバイバルカラーにも通じるものがあると感じたものでした。

外観塗装の変更だけに留まらず、車内もかなり手が加えられており、化粧板は木目調、つり革の吊り輪もオレンジ色の優先席付近以外は木製になるなど、レトロ調に仕上げられているのが大きな特徴です。


木目調の化粧板は1500番台車や7000系などで用いられているものと比べると、色調がかなり濃いものとなっており、車内照明も近年流行のLED蛍光灯に交換、こちらも電球色を用いるなど、他編成とは違いが一目瞭然と言う状況でした。

ドア上には千鳥配置でLED文字案内装置と思われる出っ張りも見受けられましたが、ここはテープが貼られている状況で、せっかく大改装を施したからには、LEDかLCDによる文字案内等があっても…と感じたものでした。
(幾らレトロ電車とは言っても、バリアフリー対応も昔ながらにする必要はないと思いますので…)

またリバイバルカラー編成は内外共に大改装を施しているものの、編成番号は1500番台に改番されておらず従来通り=制御機器更新は行っておらず走行音も従来通りとなっているのも大きな特徴で、1500番台への改造車が相次いで登場する中で、それ以外の編成をリバイバルカラー編成に改装したのも少々意外な気がします。

この編成は現行のまま活躍を続けるのか、それとも今後制御機器更新を実施して1500番台に改番されるのかも気になる所ですが、趣味的には非常に興味深い車両で、機会があればまた乗車しても…と感じたものでした。


一畑電車2100系「ご縁電車しまねっこ号」~ゆるキャララッピングを施した人気編成

2016-08-08 | 鉄道[中国]

昨年MAKIKYUが一畑電車に乗車した際には、現段階では最新型の1000系電車(元東急1000)や、観光向けに特別仕様とした5000系電車(2編成中1編成は更に内装木質化工事を実施)だけでなく、それ以外の車両にも乗車機会がありました。

現在一畑電車では元京王線車両が編成数・両数共に最多数派となっており、先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた5000系以外にも、種車や性能は同等の2100系が4編成活躍しています。

2100
系は先に導入された2編成は京王線時代と同様の3扉車、その後導入された2編成は5000系と同様に中央扉を埋めた2扉車となっています。

どちらもオールロングシート車として導入、その後2扉車の1編成は改装されて「楯縫号」となり、この編成中の1両のみは観光向けの利用を想定した特別仕様となっていますが、この編成は朝ラッシュ時の限定運用のみで用いられる事が多く、他編成に比べて稼働率が低い車両となっています。

ちなみに2100系は各編成共に黄色と白を基調に、扉部分が青色、車体側面下部がグレーの装いで登場していますが、現在は編成毎に異なる装いに改められ、2100系で「一畑電車新標準色」とも言えるこの塗装は見られない状況になっています。


その中でも現在人気を博しているのが、島根県のゆるキャラ「しまねっこ」をラッピングした「ご縁電車しまねっこ号」で、昨年MAKIKYUが一畑電車に乗車した際には、この編成にも乗車機会がありました。

レールファンではない観光客の人気も高い事から、観光向けに利用し易い時間に設定されている休日の松江しんじ湖温泉~出雲大社前間を結ぶ急行電車には、この編成が充当される事も多く、MAKIKYUがこの急行に乗車した際にも、この「ご縁電車しまねっこ号」に当たったものでした。


この編成は「しまねっこ」のラッピング施行だけでなく、床材もご縁電車にちなみ、あみだくじを描いたものになっています。


しまねっこのぬいぐるみが座席に鎮座しているなど、見た目だけでなく乗って楽しめる電車となっており、車内には今流行の
形つり革も見受けられたものでした。


また「ご縁電車しまねっこ号」として運行している編成は、前面や側面はピンク色を基調としたラッピングが施されているものの、連結面部分のみ「一畑電車新標準色」のままとなっているのも大きな特徴で、これは評価が大きく分かれる所かと思います。

この「ご縁電車しまねっこ号」は5000系や楯縫号などに比べ、設備面では平凡ながらも人気を博している事から、最近導入が進む1000系でも第3編成は同種ラッピングを施し「ご縁電車しまねっこ号Ⅱ」として走らせている程です。

1000
系は第12編成の外観差異が乏しく、趣味的な面白みはイマイチと感じていましたので、第3編成でしまねっこのラッピングを施したのは、個人的には評価できる事と感じています。

ただ元南海車両に続き、元京王車両(2100系・5000)も新造車導入などで一部編成代替と言われていますので、その中に「ご縁電車しまねっこ号」が含まれている事に対する代替策としての対応なのか否かも気になる所ですが…


一畑電車 1000系電車~外観は様変わりした一方で内装は…

2016-08-01 | 鉄道[中国]

先月「MAKIKYUのページ」では、一畑電車で活躍する特別仕様車・5000系に関して取り上げましたが、現在一畑電車は車両代替進行期という事もあり、事業規模の割には車両バラエティが豊富で、趣味的には非常に面白い状況になっています。

今後久々の自社発注新車導入が行われる事も発表されていますが、現在営業列車として活躍する車両は全て他社からの移籍車両となっています。

その中で最も新しい車両は
1000系と呼ばれる車両で、MAKIKYUは昨年夏久々に一畑電車へ乗車した際、初めて同系に乗車したものでした。

この車両は元東急1000系電車で、一畑でも同型式を名乗っていますが、元中間車だった車両を先頭車化改造しており、車番などは東急時代そのままではなく改番されています。

東急時代の形式にちなんで敢えて1000番台を付番したのか、それとも空きの番号帯を充当したためにたまたま一畑でも1000系になったのかは気になる所です。


前面は今までに東急から各地の地方私鉄へ移籍した中間車の先頭車化改造車の大半と同様に、原型とは大きく異なる機能本位の簡素な形状で、貫通型の様にも見える非貫通型車となっています。


近年東急から上田電鉄へ譲渡された車両も同種の前面形状となっており、1000系は今後他の地方私鉄にも移籍予定ですので、今後各地でこのスタイルを見る機会が増えるのか否か気になります。

最初に導入された編成と2番目に導入された編成の装いはステンレス車にも関わらず、一畑電車で昔活躍していた車両(現在でも保存車などで現存)と同様のオレンジに白帯となっています。
(
3編成は「しまねっこ」をデザインした異なる装いとなっています)

これは一畑電車HPで公募した3案の中で最も得票数の多い塗装案を起用したものですが、ビード付きステンレス車で銀色のステンレス地が全く見えない装いは、個人的には少々違和感があり、昨年夏時点で活躍していた2編成が共にこの装いと言うのも…と感じたものでした。
(
過去に活躍した車両の装いを踏襲するのであれば、第2編成はアイボリーにブルー細帯でも良かった気がします)


また一畑電車で活躍する元京王車などは、一畑電車移籍に合わせて内装の大改装も実施していますが、東急1000系はまだ首都圏でも第1線で多数活躍する車両という事もあってか、種車とは大きく異なる前面形状や装いとは裏腹に、内装に関しては東急時代と大差ない雰囲気となっています。


東急時代とは路線特性や用途が大きく異なるだけに、LCDモニターによる運賃表示器や自動両替機付運賃箱、整理券発行機などの車内収受式ワンマン運転関連装備が目立ちますが、それ以外はほぼ東急時代を踏襲している状況ですので、日頃東急多摩川線や池上線を利用している方が、島根へ足を運んでこの車両に乗車しても、地元の電車に乗車していると錯覚するのでは…と感じる程です。

東急1000系譲渡の先行事例となった伊賀鉄道(三重県)の様に、一部座席の取換えなどがあっても良かったのでは…と感じる程ですが、一畑電車どころか山陰地区の一般車両で定期運行を行う電車では初のVVVF(山陰地区は電車運行自体が少ないエリアですが…)で、長期に渡る活躍も見込まれる車両ですので、今後大きな動きが出てこないのかも気になる所です。