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北陸鉄道・石川線の末端区間~鶴来以遠は明日限りで…

2009-10-30 | 鉄道[北陸]

 
  

先月初めにMAKIKYUが青春18きっぷを使い、北陸を訪問した際には、10月31日限りでの廃止が表明されている北陸鉄道石川線の末端区間(鶴来~加賀一の宮間:2.1km)にも乗車する機会がありましたので、今日は廃止が迫る同区間の様子に関して取り上げたいと思います。

北陸鉄道石川線は、金沢市内の中心部から少し外れた野町を基点に、JR西金沢駅に隣接する新西金沢駅や、旧鶴来町の中心に位置し、車庫も併設するなど同線運行の要にもなっている鶴来駅などを経て、加賀一の宮まで至る15.9kmの路線です。

過去には鶴来から能見線の分岐があり、加賀一の宮から先も金名線と呼ばれる路線(一部列車は石川線野町から直通)も存在した事などを考えると、随分衰退した印象もあります。

とはいえ1990年に東急から中古のステンレス車を購入し、雑多な旧型車を淘汰して大半が冷房車での運行となるなど、金沢近郊の郊外電車として現代の水準に見合うサービスの提供に努めるなどの輸送改善が行われ、今日に至っていますが、北陸鉄道が運行するもう一つの路線で、比較的近年になって金沢駅地下化による車両入れ替えと合わせ、直流1500Vへの昇圧を行った浅野川線に比べると、600Vという低電圧のまま残された路線だけあって、設備面はやや貧弱な印象を受けたものでした。

路線長も浅野川線の倍以上あるだけに、金沢市内の中心部から離れると長閑な田園風景が広がる区間もあるなど、ややローカルな印象が趣味的に魅力を感じる路線でもあり、鶴来までの区間は地方私鉄とはいえそこそこの利用があるのか、列車本数も概ね毎時2本程度が確保され、軌道設備などもそれなりに近代化された印象を受けたものです。

しかしながら末端の鶴来~加賀一の宮間は、街中を外れて山間へ入っていく雰囲気の区間という事もあって、列車本数は概ね毎時1本程度と半減し、一部では終点・加賀一の宮駅近くにある白山比神社への正月の参拝客輸送のために存在しているとまで言われていた程です。

MAKIKYUも9月に石川線に乗車した際は、北陸鉄道の鉄道線全線(浅野川線も含む)に乗車可能な一日乗車券を持ち歩いていた事もあって、運行本数の少ない末端区間にも乗車して来ましたが、乗客の数は数える程という有様でした。

その上数少ない乗客も、遠方からわざわざ乗りに来た印象の乗客が多数という雰囲気、終点まで乗った列車でそのまま折り返す姿が散見され、正月の参拝以外の利用はどれだけあるのか…と感じたものです。

廃線となる末端区間では、軌道設備なども木枕木に木製の架線柱(石川線では廃線対象外の区間でも一部に見受けられます)が至る所で見受けられ、低速で走行しているにも関わらず乗り心地が悪くなるなど、ローカル線の雰囲気が強く感じられる同区間は趣味的には非常に魅力的で、鶴来で朽ちている旧型車両(形は留めているものの、まず稼動出来ないと思います)でも走ればピッタリという印象を受けたものの、素人目に見ても鶴来以北の区間に比べて大きな格差を感じる程でした。

北陸鉄道が公式HPで表明している廃線事由に関しても、乗客減少に加えて老朽化した施設の取替えが迫っている事を挙げているのも納得できるもので、この程度の輸送量ではMAKIKYUも鉄道を存続する事自体が…と感じてしまい、廃線自体は止む無しと感じたものです。

ただ石川線末端区間の廃線後は、輸送量が僅少という事もあってか、新たに代行バスの運行などは行わず、鶴来駅から一の宮(加賀一の宮駅前にあるバス停留所)を経て瀬女方面へ向かう既存路線バス(北陸鉄道の子会社・加賀白山バスが運行)を代行手段とする旨が発表されていますが、同路線は運行回数が少ない上に終車時刻も早く、金沢市内~加賀一の宮間での利便性は、鉄道に比べて大幅低下が避けられない状況となっており、この辺りは今後問題にならないのか気になる所です。

また日頃は輸送量の少ない廃線区間に関しても、白山比神社への正月の参拝客輸送時期には今後どの様に対応するのかも気になる所で、鶴来駅から臨時バスを走らせて対応するのであれば、一の宮までではなく神社(加賀一の宮駅から坂道を10分程歩きます)の近くまで直接乗り入れるなどの施策が取られるのか否かも注目点かもしれません。

遂に明日で廃止となる石川線・鶴来~加賀一の宮間は、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、既に何度も乗車したと言う方から、乗車機会がなく廃線になってしまって残念という方まで様々かと思いますが、この記事を見て廃線区間の雰囲気を少しでも感じて頂き、11月以降は鶴来までの運行となる石川線が、加賀一の宮まで走っていた事を記憶に留めていただければ…と思います。

写真は廃線区間と終着・加賀一の宮駅の様子です。


しばらく更新がストップしていましたが…

2009-10-27 | Weblog

皆様、いつも「MAKIKYUのページ」へアクセス頂きありがとうございます。

14日以来しばらく更新がストップしており、14日の記事でもしばらく更新が出来ない旨を告知していた「MAKIKYUのページ」ですが、14日~22日まで旅行に出向いており、その後は昨日までずっと仕事に追われている状況でした。

こんな状況ですので、旅行中に撮影した写真の取り込みも今日出来た程で、未だに物品整理すら追いつかず…という有様ですが、ようやく今日ブログ更新も可能な状況になりましたので、旅行後の更新を再開します。

今回の旅行では、出発前の告知記事(14日付)で横浜市内~福岡市内間の新幹線乗車券+指定席特急券とホテル宿泊券、それにJR九州の「ナイスゴーイングカード」(30歳未満のみ入会可能な若者向けの会員カードで、500円の入会金を払うと九州内JR線割引の特典などがあります)を写した画像を掲載(現在は削除)していましたので、九州の何処かを廻っていたのだろうと思っていた方も多いかと思います。

MAKIKYUは周囲の人物に、何処かへ行くの?と聞かれた際も、一部を除いて「とりあえず新幹線で博多まで…」と話していましたので、帰還後に旅行の事を話すと、博多から僅か数百キロ離れた所へ出向いただけにも関わらず、結構驚かれたものですが、勘の良い方等は、ナイスゴーイングカードを持ち歩きながらも、なぜわざわざ金・土・日祝日以外の日を旅行日程に選んで…と思う方もいたはずで、それが今回の旅行日程を組むポイントの一つにもなっています。

というのも、ナイスゴーイングカードは金・土・日・祝日などにJR九州の鉄道線を101km以上利用する際の割引(料金も含めて4割引・経路に九州新幹線が含まれる場合は3割引)の他に、JR九州高速船「BEETLE」(以前は直営でしたが、現在は分社化されています)の割引特典も設けられています。

BEETLEのナイスゴーイングカード会員割引は、JR鉄道線とは対照的に月~木曜日の博多出発に限定されており、今回の旅行ではこの割引を受けられる日をわざわざ選んだのですが、ナイスゴーイングカード会員割引でのBEETLE利用は、往復で有効期限が最大7日間と短めに設定されており、この事も今回の旅行日程を組む大きな要因となっています。
(ちなみにナイスゴーイングカード会員割引での乗船券発券は、九州内のJR九州旅行各支店と博多港国際旅客ターミナル内に限られますが、事前に電話予約で当日購入の旨を伝えれば、九州以外からでも容易に利用できます)

ここまで記せばMAKIKYUがどんな旅行をしたか推測できる方が多いかと思いますが、BEETLEは福岡・博多港~韓国・釜山港間を片道約3時間で結ぶ航路ですので、福岡で前泊した後に15日に高速船で釜山へ向かい、その後韓国内を1週間駆け回って21日に帰国、後泊1泊の後帰還しています。

今回の旅行はMAKIKYUにとって、2年半ぶりとなる久々の海外旅行にもなったのですが、BEETLEのお陰で飛行機嫌いのMAKIKYUでも日本国内から片道約3時間・運賃もナイスゴーイングカード会員割引で往復15000円(この他に燃料サーチャージやターミナル利用料が若干加算されます)と、気兼ねなく手頃に韓国旅行を楽しめるのは魅力です。

 
そのためMAKIKYUは既に何度もBEETLEを利用しており、お陰でMAKIKYUのパスポートにある日本出国・帰国のスタンプは半分以上が博多(今回の旅行では何故か、今まで空白となっていた最初のページに日本の出国と帰国印が押されています)という程で、知名度も九州各地や山口県などでは極めて高いものの、MAKIKYUの周囲では利用した話を聞く機会がないどころか、存在自体を知らない人物も多数いるなど、首都圏など東日本では知名度が比較的低いのは残念な限りです。

今回の旅行で使用した新幹線の乗車券を購入した某大手系旅行会社の人間でも、BEETLEの存在を知らなかった程(首都圏発の韓国旅行は、パッケージ商品がほぼ航空機利用に限られてしまっている事も大きいと思いますが、この様なスタッフが飛行機に抵抗のある韓国旅行希望者に航空機利用を勧めてしまい、旅行そのものを断念するか、憂鬱な気持ちで旅行出発に挑まざるを得ない旅行者を生み出しているのは悲しい限りです)でしたが、JRで国内各地を駆け回っていて、更にもう少し先まで足を伸ばして…と思っている方や、「飛行機は嫌でも韓国には是非…」と思っている方には、是非BEETLE利用をおススメしたいものです。

また韓国へ行けば物価は日本の半分程度、まして交通費や宿泊費などはそれ以下かと感じてしまう程安く、今回の旅行でも韓国内での出費は土産品購入を除くと日本円に換算して1日平均5000円程度(今回の旅行では韓国内での交通機関や宿泊施設の事前手配はなく、全て現地手配です)でしたので、福岡からの韓国旅行は非常に手頃で、その上ちょっと街中を歩き回るだけでも、日頃生活している日本国内とは一味違った雰囲気が楽しめるのも魅力です。

しかしながら今回の旅行では、日本国内でのJR線が移動距離の半分以上を占めており、今年2月に四国へ出向く際にも利用した日本旅行の個人型ビジネス向けパッケージ(新幹線のぞみ号普通車指定席往復+ホテル1泊がセット)を用いて多少安くなっているとはいえ、新幹線+ホテル1泊だけで33000円(実際はこれより少し安くなっているのですが…)、これに加えて別途手配した帰国後の博多での後泊1泊分にJR以外の交通費などを加えると40000円程度を要しています。
(ちなみに今回利用したビジネス向けパッケージ商品は韓国利用を想定したものではなく、旅行会社での商品購入時にも、九州で知人宅にでも滞在するのかと聞かれた程でしたが、往復の乗車日も2週間程度までなら離れていても大丈夫です。
宿泊もセットになっている1泊以外は個別手配可ですので、首都圏発の韓国旅行で博多までの新幹線を少しでも安く利用したいと思うならおススメですが、乗り遅れの際は当日の後続「のぞみ」号自由席利用が可能なものの、日程変更やキャンセル料などが一般の乗車券類とは異なる点は要注意です)

そのため今回の旅行では日本国内分の出費が半分近くを占めており、国内旅行なのか海外旅行なのか分からない程と言っても過言ではなく、日本の物価の高さを改めて感じさせられたものですが、韓国へ旅行に行く事だけを考えるならば、韓国に近く、BEETLEに乗って韓国へすぐ行ける福岡市やその周辺に住んでいる方々が羨ましく感じたものです。

なお今回の韓国旅行では2年半ぶりの訪韓、また今年になってから新路線の開通などが相次いだ事もあり、今回の旅行で初めて利用した列車や路線などが幾つも…という状況ですが、まだ写真の整理などが追いついておらず、これらの記事公開に関しては恐らく来月に入ってからになると思いますので、もう暫くお待ち下さい。


これから少々…

2009-10-14 | Weblog
今日10月14日は「鉄道の日」という事で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様の中には列車に乗って…という方も居られるかと思いますが、MAKIKYUは今日から1週間ほど首都圏を離れて旅行に出向きます。

このため1週間~10日程度は更新が滞るかと思いますが、ご了承頂ければと思います。

ちなみに写真は今回の旅行で使用予定のチケットなどの一部で、帰還後には今度の旅行に関連した記事も取り上げたいと思っています。

(お断り:10月27日付記事公開に伴い、この記事の画像は削除していますが、27日公開記事の1枚目の写真は、この記事に掲載した画像とほぼ同種のものです)

いしかわ子ども交流センター小松館を走る「なかよし鉄道」

2009-10-13 | 博物館・保存施設等

   
  

もう一月程前の事になるのですが、先月MAKIKYUは青春18きっぷの有効期限(9月10日)が迫る頃に2回分使い残していた事もあり、この2回分を使って北陸へ出向いていました。

北陸へ出向いた際はムーンライトながら号車中泊+富山県内1泊の日程ながら、石川県内で数箇所途中下車しており、小松市内でも途中下車しているのですが、その際にはいしかわ子ども交流センター小松館(旧石川県立小松児童会館)を走る「なかよし鉄道」にも乗車する機会がありましたので、今日取り上げたいと思います。

いしかわ子ども交流センター小松館は北陸本線・小松駅の隣に位置する粟津駅(普通列車が昼間毎時1本程度停車するだけの小駅ですが、一応有人駅で駅前にはコンビニもあります)から、徒歩で10分弱程度の所に石川県の公共施設です。

この施設に隣接する粟津公園には、なかよし鉄道と呼ばれる子供向けのお伽鉄道の線路が400m以上(円周ではなく棒線で、行き止まりまで進行した後、来た道を返す運行形態です)に渡って敷設されており、当然非電化ながらも線路幅762mmの軌道が公園外周の半分弱を取り巻く様は、子供向けのお伽鉄道にしてはかなり本格的と言えます。

しかもなかよし鉄道で用いている車両は、最初から遊具として製造された車両ではなく、過去に現役で営業用として活躍していた車両で、それも小松の地で30年以上前の1977年(MAKIKYUもまだ生まれる前です)に廃線となり、日本最後の非電化軽便鉄道として知られた尾小屋鉄道の車両(廃線当時でも決して新しい車両とは言えず、ましてこの頃に製造された鉄道車両も近年各地で引退が相次いでいる状況ですので、今日では相当な古参車両になります)が今もなお活躍している点は驚きです。

またなかよし鉄道は希少な尾小屋鉄道の車両を用いており、維持にも相当な経費を要していると思われますが、石川県の施設で車両も県の公有物という事もあって、誰でも運賃無料で乗車できるのも嬉しい限りです。

運転日は冬季を除く水曜日と土・日・祝日のみ、運転時刻も水・土曜日は11時30分発の1本、日・祝日はこれに15時30分発が加わるだけ(年2回の特別運行日のみ大幅増発されます)に限られており、その上公共交通機関ではなく遊具扱いという事もあって、悪天候時などは運休になる事もありますので、はるばる遠方から尾小屋鉄道の車両を求めて訪問しても…という事もあるのは難点です。

ちなみに現在なかよし鉄道で活躍する尾小屋鉄道の車両は、キハ1号と呼ばれる気動車と、DC121号と呼ばれるディーゼル機関車、ホハフ3・8号の客車2両(計4両)で、運行時以外は始発駅に隣接する屋根付きの車庫に格納されている事や、運行頻度・走行距離の関係などもあって、車両状態も素人目に見て一部の地方私鉄などより良いかも?と感じた程です。

MAKIKYUが訪れた日はキハ1号の気動車単行で運行されており、年2回の特別運行日以外は基本的にこの車両で運行している模様ですので、機関車牽引の客車列車に比べれば、遥かに乗車機会のある車両です。

それでも軽便気動車自体、少なくとも日本国内での乗車機会は…という状況で、キハ1号はその上戦前(昭和12年)製の古参車ですので、運行距離は僅かで物足りない感もあったものの、わざわざ粟津まで足を運んだ甲斐があったと感じたものでした。

地方にしては比較的公共交通機関でのアクセスが容易な立地とはいえ、北陸地方以外の人間には決して行き易いとは言い難く、その上運転日や運行本数も考えると尚更乗り難い存在のなかよし鉄道ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も小松周辺を訪問する機会がありましたら、是非乗車を検討してみては如何でしょうか?


和歌山電鐵2270系「おもちゃ電車」~リニューアル車両の第2弾

2009-10-11 | 鉄道[近畿・その他私鉄等]

  
  

先日「MAKIKYUのページ」では、和歌山電鐵の「いちご電車」に関して取り上げましたが、2ヶ月程前にMAKIKYUが貴志川線(和歌山電鐵)に乗車した際は、和歌山から伊太祁曽までの往路に「いちご電車」に乗車した後、伊太祁曽からの復路では「おもちゃ電車」と呼ばれる電車に乗車する機会がありましたので、今日はこの「おもちゃ電車」に関して取り上げたいと思います。

「おもちゃ電車」は和歌山電鐵2270系電車のリニューアル車両第2弾で、JR某社を連想させる真っ赤な装いが特徴的(デザイナーが同一人物という事もあるのでしょうが…)な電車です。

装いは白と赤の「いちご電車」や、白を基調としたリニューアル車両第3弾「たま電車」などに比べ、派手で奇抜な印象を受けますので、乗車前はイマイチな印象を持っていたのですが、いざ乗ってみると非常に面白く、往路に乗車した「いちご電車」以上と感じたものでした。

車内は床材やつり革の吊り輪などに木材を用い、某デザイナーが最近デザインを手がけた電車らしい仕上がりとなっていますが、座席は原型のモケットを張り替えただけの区画も存在するものの、JR某社の一部車両でも見られるタイプをはじめ、幾つかの形状の木製個別区分座席が、座席の見本市と言っても過言ではない状況で並べられています。

オールロングシートの通勤型電車というと、一般的に味気ない印象が強いものですが、これだけ工夫を凝らして様々な形状の座席が並ぶと見ていて非常に面白く、その上同じ形状の座席でも何種類ものモケットを取り揃えているなど、デザイナーの個性を非常に強く感じたものです。

また座席を取り替えるだけに留まらず、車内にはベビーサークルやおもちゃを飾る棚が設けられている点などは、とても元大手私鉄の通勤型電車とは思えず、ジョイフルトレインでもここまでは…という程の凝り様です。

その上「おもちゃ電車」というだけあって、車内にはカプセル入り玩具の自販機まで備え付けており、これは他に類を見ない前代未聞の電車と言えますが、こんな電車だけあって伊太祁曽から乗車して車内の様子を観察していると、あっという間に終点が近づく有様でした。

これなら電車に興味の無い方が、和歌山~貴志間の貴志川線全区間を乗り通しても、飽きずに車内での一時を過ごせるのでは?と感じ、同じデザイナーが手がけているJR某社の特徴的な車両の幾つかに乗車した事があるMAKIKYUでも、「おもちゃ電車」は相当特徴的で面白い電車と感じ、まして普通運賃以外に特別な料金などが全く必要ない電車ともなれば、これだけ面白い電車は他にどれだけあるのだろうと感じた程です。

そのためこの「おもちゃ電車」の後に登場したリニューアル車両第3弾「たま電車」は、8月に訪問した際には乗車する機会がなかったものの、こちらの出来栄えもどんなものか気になるもので、今度和歌山電鐵に乗車する機会があったら、こちらにも是非乗車してみたいと感じたものでした。

それにしても8月に和歌山でこの電車に乗車した後、先月山梨県で同じデザイナーが内外のデザインを手がけた電車(関連記事はこちらをクリック)に乗車する機会もあったのですが、同じデザイナーが比較的最近手がけ、地方私鉄に譲渡された2両編成の元大手私鉄通勤型車両を改装したと言う共通項があるためか、運行地域や種車は全く異なるとはいえ、漂う雰囲気は何となく似た印象を受けたものでしたが、こんな事を感じるのはMAKIKYUだけでしょうか?


和歌山電鐵2270系「いちご電車」~貴志川線再生のシンボル的存在

2009-10-08 | 鉄道[近畿・その他私鉄等]

  

MAKIKYUが8月に紀伊半島を訪問した際には、その後大阪方面へ向かう途中に和歌山駅で途中下車し、近年南海から両備グループが運営を引き継ぎ、新体制で発足した事で話題となった和歌山電鐵貴志川線にも乗車する機会がありました。

MAKIKYUが貴志川線に乗車したのは南海時代末期に次いで2回目、和歌山電鐵発足後は初めての乗車でした。

この貴志川線は和歌山電鐵移管後も、概ね南海時代の設備や車両を引き継いで運行しており、使用車両も南海時代に高野線大運転(橋本以南の山岳線へ直通する列車)用として使用していた22000系と呼ばれる車両を、貴志川線用に改造した2270系と呼ばれる車両を用いています。

2270系は2両編成6本(12両)が在籍しており、和歌山電鐵発足当初は「NANKAI」ロゴなどは消されたものの、ほぼ南海時代そのままの姿で活躍し、今でもこの姿で活躍する車両も存在しています。

しかし和歌山電鐵は両備グループだけあって、JR九州と共に近年某デザイナーが手がけた特徴的なデザインを多く取り入れており、両備グループの拠点である岡山では、市内にこのデザイナーが内外のデザインを手がけた両備や岡電のバスがゴロゴロ走っている状況です。

岡山では路面電車(岡山電気軌道)も「MOMO」と呼ばれる新型低床車はこのデザイナーが手がけた事(両備グループへの某デザイナーの進出は、このMOMOで大きな功績を収めた事から、他にも波及しているのですが…)で知られていますが、両備グループだけあって和歌山も例外ではなく、和歌山電鐵発足後にリニューアルを行い、特徴的な車両が次々と登場しています。

現在和歌山電鐵で走っている某デザイナーが手がけたリニューアル車両は、第1弾「いちご電車」・第2弾「おもちゃ電車」・第3弾「たま電車」の3編成が活躍し、現行使用車両の丁度半数が特徴的なリニューアル車両となっています。

これらの車両目当てで訪問する遠方からの来訪者も多い事から、同社HPではリニューアル車両各編成の運用情報を公開する程の盛況ぶりですが、MAKIKYUが訪問した日は最も最近リニューアルされた「たま電車」は検査で運用なしとなっており、残念ながら最も注目株と言える「たま電車」に乗車できなかったのは少々残念なものでした。

しかしながら残りの2種は丁度運行時間に重なった事もあって、途中の伊太祁曽駅までの往復で両者に乗車する事ができ、和歌山電鐵発足後の大変貌振りを実感する事が出来ました。

その中でも伊太祁曽までの往路で乗車した車両が「いちご電車」で、和歌山電鐵発足後のリニューアル第1弾でもある事から、貴志川線再生のシンボル的な存在とも言えます。

白と赤の装いに沿線特産の「いちご」をちりばめたデザインのこの電車は、ロゴや英文字表記を多用しており、車内も木材をふんだんに用い、車内にのれんを掲げる様など、某デザイナーが近年手がけた車両の傾向が強く感じられるものです。

車内設備などは通勤型そのもので、特に座席の大幅なグレードアップなどが行われていない事(一部の座席は木材+クッションの特徴的なものになっていますが…)もあってか、特別な料金などは必要とせず、普通運賃のみで乗車できるのも有り難いものです。
(和歌山県内では南海旧22000系(現在この形式自体は消滅しており、残存車両は全て改造と共に形式が改められています)を改造した車両の中で、乗車の際に特別料金が必要な車両も存在していますので…)

そのため和歌山電鐵に乗車する機会があれば、是非乗車したい車両の一つで、貴志川線の非リニューアル車や、今も南海に残存する支線区ワンマン運転用の22000系改造車などと比べると、よくここまで手を入れたものと感心したものです。

それでも伊太祁曽からの帰路に乗車した車両と比べると、車内設備などは見劣りしたのも事実で、和歌山電鐵のレベルの高さと共に、リニューアルも回を追う毎に深度化しているのでは?と感じたものでしたが、MAKIKYUが乗車したもう一つのリニューアル車両に関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


御坊南海バス~南海グループながら分社ではなく…

2009-10-04 | バス[近畿]

 

先日紀州鉄道に関する記事を取り上げた際、「紀州鉄道には西御坊方から…」と記しましたが、MAKIKYUが8月に御坊を訪問した際、御坊駅でJRを下車してから西御坊までは、駅前に丁度路線バスが停車していた事もあり、行きは路線バスを利用したものでした。

その路線バスは御坊南海バスが運行する「印南線」と呼ばれる路線で、その名前の通り御坊駅を起点に御坊市内中心部を経て印南(Inami)へ至る路線です。

この路線は途中西御坊(駅近くの幹線道路沿いに停留所があります)経由し、MAKIKYUはここでバスを下車したのですが、運行本数は1時間に1本あるかどうかといった程度で、土地柄の割に頻発している紀州鉄道に比べると、運行頻度の面では不利な状況です。

運賃も御坊駅~西御坊間210円と、路線バスとしては一般的な水準ながらも、紀州鉄道に比べて割高となり、その他の鉄道並行区間でも同様ですので、西御坊でバスを下車したのもMAKIKYUだけという状況でしたが、紀州鉄道に往復乗車で来た道を返すよりは…と考えている方は、予め時間を調べておけば活用でき、紀州鉄道との乗り比べも面白いかと思います。

また御坊南海バスは社名を聞くと南海バスの分社かと思ってしまう方も居られるかと思いますが、南海グループながらも旧南海電気鉄道→南海バスの分離会社ではなく別個の事業者で、その事もあってか、車両も南海バスとは異なる独自塗装の車両が主体を占めており、MAKIKYUが乗車した印南線の車両(日野製中型ワンステップ)も独自塗装の車両でした。

しかしながら近年、大阪府の排ガス規制によって大阪府内で運用不可能となった南海バスの車両が数台移籍しており、こちらは南海塗装そのままで「御坊南海バス」の社名を標記して走らせていますので、この車両を見たら南海バスの分社かと錯覚してしまいそうに感じたものでした。

写真はMAKIKYUが乗車した独自塗装の中型ワンステップ車と、市内で見かけた南海バス塗装のLIESSEです。


紀州鉄道・沿線の様子

2009-10-02 | 鉄道[近畿・その他私鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」では、紀州鉄道で主力車両として活躍するレールバス・キテツ1形に関して取り上げましたが、今日は紀州鉄道線沿線の様子に関して取り上げたいと思います。

MAKIKYUが8月に紀州鉄道に乗車した際は、御坊市内で路線バスにも乗車した事もあって、紀州鉄道線には終点の西御坊方から御坊(JRとの共同使用駅)へ向かっての乗車(こんな事をする方は、地元の方を除けば余りいないと思います)でしたが、一般的には御坊駅からの乗車が大半かと思いますので、御坊方から取り上げたいと思います。

御坊駅はJR(きのくに線)がホーム2面3線で、1線のホーム(1番のりば)と駅舎は直結している旧国鉄~JRの典型的な駅構造となっており、1番のりばの和歌山方には0番のりばが設けられています。

0番のりばが紀州鉄道線の発着ホームとなっていますが、JRとは別事業者にも関わらず、近年複数事業者が乗り入れる駅で増えている乗り換え改札や柵などは、現段階では設置されていません。


そのため1番のりばのJR列車~紀州鉄道は、平面移動で直ぐに乗り換えできる点は便利で、紀州鉄道線に乗る機会がなくても、停車中の古参気動車やレールバスを容易に撮影する事も出来る点もありがたいものです。


また紀州鉄道線は非電化で草ボウボウ、廃線同然と言っても過言ではない有様で、特急も走る電化されたJR線の線路とは対照的で、直ぐにカーブしてJR線から離れ、御坊の市街地を目指します。

紀州鉄道線の線路はその後も終点西御坊まで、大半の区間で如何にもローカル線といった雰囲気の草ボウボウという有様で、ここまで草だらけというのは、最近路面電車で導入されている芝生軌道を除くと、地方ローカル線でも珍しいのでは…と感じたものです。


この紀州鉄道線は、御坊から終点西御坊まで僅か2.7kmしかなく、稼動車両数も2両(うち1両が予備)と、実質的に日本最小規模の旅客鉄道(路線長だけなら千葉県の芝山鉄道の方が短いですが、こちらは実質的に京成の一部区間と言っても過言ではありませんので…)と言え、この程度の距離であれば途中駅は無くても…と思う程ですが、途中に3駅もの駅が設けられているのが特徴です。

3駅は御坊方から順に学問・紀伊御坊・市役所前となるのですが、その内学問と市役所前はホームが1本あるだけの簡素な無人駅ですが、中間の紀伊御坊は紀州鉄道の車庫があり、鉄道部門の本部を兼ねた駅舎のある有人駅となっています。


紀伊御坊駅ではJR線接続を含む硬券乗車券を発売していると共に、自社線内のみの補充券(手書きの乗車券)やグッズなども発売していますが、有人駅にも関わらず集札は行っておらず、紀伊御坊駅をはじめ、JR接続駅の御坊(紀州鉄道の係員配置はありませんが、当然有人駅です)でも紀州鉄道線列車を下車する際は、車内精算となるのが特徴です。

紀伊御坊駅は車庫があるため、紀州鉄道で唯一ポイントが存在する箇所にもなっており、稼動していない車両と共に、実質的に部品取り用となっている色褪せた休車車両(604号)が停車している姿を見る事も出来ます。

MAKIKYUが訪問した日はレールバス(キテツ1)稼動日だった事もあって、旧型の603号が、604号と並んでいる姿を見る事が出来、2軸レールバスへの乗車も面白いものの、退役近いと言われる渋い雰囲気の旧型気動車にも一度は…と感じたものです。


ただ603号は非冷房車で、MAKIKYUの訪問日は夏の暑い盛り、弱い風が吹き出す程度で弱冷房車と言っても過言ではないレールバスの冷房にも有り難味を感じた程でしたので、今度紀州鉄道を訪問するなら、冷房が欲しい夏場を避けた旧型気動車の稼働日(主に週末に稼動する様です)に…と思ったものでした。

また紀州鉄道は短い区間をピストン輸送し、基本的に1両の車両が1日中走り続ける路線だけあって、最も主要な駅と言える紀伊御坊でさえも交換設備の設定はなく、この駅のホームは左右両面に設けられているものの、駅舎方の片方のみ使用しているのが現状です。


ホームの長さも同一ホームに2両の車両を停車→車両交換で乗客が乗り換えもできそうに無い構造となっており、1両の列車が走るのに最小限の設備だけを備えていると言っても過言ではありませんが、今時こんな路線は珍しく、ミニ鉄道ならではと言えます。
(車庫を除くと棒線のミニ路線としては、他に関東鉄道龍ヶ崎線辺りが思い浮かびますが…)

そして紀伊御坊を出ると、途中にホーム1本だけの市役所前駅を挟んで終点西御坊駅に到着、御坊から乗り通しても片道10分に満たない短い道程はここで終着となります。

 
過去には更に日高川まで路線が延びていた事もあり、駅ホーム端には車止めが設けられ、川を跨ぐ鉄橋などは撤去されているものの、廃線区間も線路は今も残存しており、休止路線の様な雰囲気を受けたものです。

西御坊駅舎はかなり年季の入った雰囲気で、駅入口に駅名票などが見当たらない事もあって、廃駅なのでは?と錯覚してしまう程ですが、入口に設置された飲料水の自動販売機が不釣合いな印象を受けるものです。


またMAKIKYUが訪れた際には係員は不在でしたが、こんな駅でも時間帯限定とはいえ係員が出向き、乗車券発売を行っている点も驚かされるものです。

紀州鉄道は廃線寸前のローカル鉄道を、路線長も短くさほど運営費も…という事で不動産会社が看板料(?)の如く買い取って運営している異色の鉄道として有名で、他に類を見ない個性的な旧型気動車や2軸レールバスに乗車できる事も面白いですが、廃線かと見間違うほどの鄙びた雰囲気も魅力的と感じたものでした。