MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

JR東海 119系電車(復活旧塗装)~退役を控え往年の装いが復活

2009-08-30 | 鉄道[東海]

 

昨日MAKIKYUは浜松市内にあり、11月に閉園となる「佐久間レールパーク」へ出向いていたのですが、その際には国鉄時代~JR化直後に見られたブルーに白帯の装いの119系電車にも乗車する機会がありました。

119系は先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた105系電車とほぼ同時期の国鉄末期に登場し、スペック的にも同系とほぼ同等の電車で、デザインも105系新製車と類似しているのが特徴です。

ただ105系とは異なり、セミクロスシート・トイレ付き(改造で後に登場した1両編成はトイレなしです)とした事(これにより窓割にも変化が生じています)や、耐寒対策を強化しているなどの特徴があり、実質的に105系の飯田線特化版と言っても過言ではない車両です。

その特性故にJRグループの中で在籍しているのはJR東海のみで、一時期一部の編成が静岡地区で用いられた事を除くと、運用の関係で一部列車がJR東日本(辰野~岡谷~茅野間)に乗り入れるとはいえ、運用はほぼ飯田線に限られています。

飯田線では過半数の列車に充当される事から、飯田線の顔とも言える車両ですが、登場から30年近くなり、今後JR東海が国鉄から継承した車両は一部を除いて取り替える方針を示している事から、退役はそう遠くない状況になっています。

その様な状況で、退役前に往年の姿を…という事もあって、最近一編成が国鉄時代の装いに戻され、久々にブルーの119系が復活したのですが、MAKIKYUは国鉄時代~JR化直後の姿は実際に目にした記憶がないだけに、この装いは非常に新鮮に映ったものです。

国鉄時代と異なり、昨日登場した姿は下回りがグレーに塗られたJR東海仕様という事(他にも冷房化改造され、屋根上に分散型の冷房装置が2台搭載されている事なども、国鉄時代とは異なっています)も影響しているのかもしれませんが、意外と明るい印象に感じると共に、やはりMAKIKYUが今月乗車する機会があり、「MAKIKYUのページ」記事でも取り上げた和歌山地区の105系更新車と比較的良く似た印象を受けたものでした。

閉園を控えた佐久間レールパークのある中部天竜駅で展示され、やはりJR東海では退役もそう遠くない状況になっている117系の復活旧塗装車(こちらはJR西日本で今でも姿が見られますので、単体ではさほど有り難味がないのですが…)との並びが事前に告知されていた事もあって、相当な賑わいぶりでした。

ブルーの119系は中部天竜駅で展示の後、始発の豊橋行き普通列車として運転された列車に充当され、MAKIKYUも帰路にこの列車に乗車したのですが、道中でもカメラを構えた撮影者の姿も多数見受けられ、沿線に賑わいぶりも相当なものと感じたものでした。

この119系復活旧塗装車は、窓割などに変化が生じているワンマン運転対応改造車ではない車両が選定されているのも評価すべき点と言え、退役の日まで是非この装いのままで…とも感じたものです。

また昨日見たブルー塗装2両編成の整った装いはなかなかと感じた反面、機会があれば塗装移行期を連想させる現行塗装車と混結した姿も見てみたいと感じたものです。

とはいえ飯田線は距離が長い上に、路線の性質上2両程度の短編成で運転される列車が多いだけに、2色混成の姿を見る事はかなり至難の業で、飯田線を利用する機会が非常に少ないMAKIKYUは、果たして退役までに119系2色混成編成の姿を見る機会はあるのだろうか?とも感じたものでした。

写真は中部天竜駅に停車中の119系復活旧塗装車と、同駅ホームで117系と並んだシーンです。


明光バスで活躍する元近鉄車~特徴的な装いもそのままに…

2009-08-28 | バス[近畿]

 

MAKIKYUが今月初めに紀伊半島を訪れた際には、白浜地区で同エリアの観光も兼ねて、明光バスに乗車する機会がありました。

白浜地区はJR駅と海岸沿いの宿泊施設などを集まる中心街が離れており、この他にも観光スポットが点在する事から、公共交通機関を用いて白浜地区を廻る場合、バスでの移動が必須となります。

この白浜地区の路線バスは、近鉄グループの明光バスが独占しており、白浜の中心街に本社を置く同社は、白浜地区内の路線をはじめ、白浜~田辺間の路線なども運行していますが、白浜地区は観光利用が多い土地柄もあり、周遊観光の便宜を図るために1日~3日間のフリー乗車券も設定されています。

MAKIKYUもこの1日乗車券を利用し、白浜地区の明光バスは指の数程度利用したのですが、これだけの回数を乗車すれば、幾種もの車両に乗車する事になります。

同社は近鉄系事業者で、規模もさほど大きくない事から、一般路線車は日野製で統一されているのですが、新車と合わせて中古車の導入も進めている上に、排ガス規制によって大都市圏では登録不可となった年式の車両も走らせています。

そのため同社路線バスでは、様々な種類の車両に乗車できる事も趣味的には面白いのですが、その中でも近年グループの近鉄バスから移籍してきた車両は、ブルーとイエローの特徴的な近鉄塗装のまま「明光バス」の社名を掲出して使用しています。

時折見かけるこの車両は、特徴的な装いだけあって非常に目立ち、目を引く存在ですが、近鉄グループでは他に山口県の防長交通でも、近鉄移籍車をそのままの装いで使用しており、MAKIKYUが一度だけ防長交通に乗車した際もこの車両でしたので、全国各地を廻られている方や、大阪府や山口県の方は、この車両を見てここは一帯何処なのか…と感じてしまうかもしれません。

また元々大阪で使用していた車両だけあって、乗車した車両の中には、木目調の内装を用いた車両もあるなど、都市型の一般路線車にしては比較的高級感が漂っており、大都市圏の排ガス規制に適応できない年式の車両(日頃大都市圏に身を置いている立場としては、生活圏で乗車できない古参年式の車両に当たるとむしろ嬉しい位です)とはいえ、比較的好感を感じたものです。

ただ先日取り上げた熊野交通の南海移籍車と同様に「大阪バス協会」のステッカーが車内に残存しているなど、近鉄バスに馴染みのない乗客が素人目に見ても、大阪から移籍してきた車両である事が一目瞭然です。

白浜地区の路線は、比較的至近の大阪周辺からの観光客が多いエリアだけに、期待を膨らませてやって来た観光客(路線バスには余り関心を持っていない乗客も多いかと思いますが…)が失望しかねない状況ですので、様々な車両が活躍する姿は面白いと感じた反面、見るからに大阪で御用済みとなった車両である事を主張している「大阪バス協会」と記されたステッカーは…と感じたものでした。


熊野交通・新勝線~土地柄の割に健闘している鉄道並行路線

2009-08-26 | バス[近畿]

今月MAKIKYUが紀伊半島を訪れた際には、三重県方面から乗車した普通列車の新宮到着から、白浜・紀伊田辺方面へ向かう普通列車の新宮発車まで時間が空いており、その空き時間を利用して熊野交通の新勝線に乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

熊野交通は新宮を拠点に、和歌山県内の紀伊半島南部に路線を持つバス事業者で、以前は新宮~熊野市方面への路線も運行していたのですが、現在も社名で「熊野」を名乗りながらも、熊野市駅などでその姿を見る事はありません。

その代わりといっては難ですが、新宮~紀伊勝浦間の「新勝線」と呼ばれる路線は、途中経由地の違いなどで複数のルートが存在しているものの、勝浦以遠まで足を伸ばす別路線(串本・潮岬方面)などと合わせ、各系統合計で昼間毎時2本(30分間隔)と比較的高頻度で運行しており、同社一の幹線となっています。

運賃は新宮駅~紀伊勝浦駅間を乗り通すと600円になりますので、並行するJRの普通運賃に比べると割高感は否めませんが、同区間のJR線は国鉄時代そのものと言っても過言ではない閑散ダイヤで、普通列車の運転間隔が一定でない上に、昼間は運転間隔が大幅に開きます。

そのため新宮~紀伊勝浦間における高頻度でのバス運行は大いに評価できるもので、観光などでこの一帯を移動する予定があるならば、熊野交通・新勝線の存在を知っていると非常に便利です。
(余談ながら熊野交通では、1000円で1300円分利用可能な金券式昼間割引回数券の設定(1乗車で1000円までの使用限度額制限あり)などもありますので、その気になれば多少は安く乗車できます)

使用車両は土地柄もあってか路線車は殆どが中型車で、オリジナル塗装は白に黄色・オレンジ・赤の非常に派手で目立つ装いなのですが、低床車や南海移籍車が幅を利かせている事もあり、オリジナル塗装のバスを見かける機会はさほど多くない状況でした。

近年は中型ノンステップバス(日野HR)の導入が進んでおり、こちらは黄色をベースとした低床車オリジナル塗装となっているほか、熊野交通は南海系列の事業者という事もあって、南海バスからの移籍車も近年多数登場しています。

最近南海バスから移籍した車両は、南海バスの塗装を少し変えただけの「簡易塗装変更車」とも言うべき塗装を纏っており、先日乗車した車両も南海バスから移籍したこの塗装のバスだったのですが、車内には「大阪バス協会」のステッカーまで残存しており、一目で移籍車と見分けられる状況でした。

それでも和歌山県内では他社バスの塗装そのままで、社名を書き換えただけのバスを走らせている事業者も存在する事を考えると、多少とは言え装いを変え、独自色を出している点は評価すべきかもしれません。


テンプレートを変更しました

2009-08-22 | Weblog
皆様いつも「MAKIKYUのページ」へアクセスありがとうございます。

本日「MAKIKYUのページ」ではテンプレートを変更し、日頃記事でよく扱っている題材(?)を取り入れたものを使ってみました。

今までも「MAKIKYUのページ」では、何度かテンプレートの変更を行っていますが、今まで専らシンプルな印象のテンプレートを用いていました。

そのため久々のテンプレート変更となる今回、日頃アクセス頂いている方の中には、随分なイメージチェンジで驚かれている方も居られるかと思いますが、如何でしょうか?

JR西日本 105系電車(和歌山地区リニューアル車)~見栄えは悪くないものの居住性は…

2009-08-22 | 鉄道[近畿・JR]

  

MAKIKYUが今月上旬に紀伊半島を訪れた際には、2日間で紀勢本線の大半の区間を乗り通す旅程だったのですが、新宮以西のJR西日本管轄となる電化区間では、105系と呼ばれる通勤型電車に乗車する機会がありました。

MAKIKYUが紀伊半島を訪れたのは、現在は廃止されている通称「新宮夜行」が走っていた時以来という有様ですので、紀勢本線で105系に乗車するのは先日が初めてだったのですが、今日はこの紀伊半島南部で活躍する105系電車に関して取り上げたいと思います。

105系は国鉄標準仕様の通勤型電車・103系を短編成でも運用可能に設計変更した電車(近年は103系も改造で2両編成という短編成が存在しているのですが…)で、国鉄末期の1980年代前半に登場しており、現在JRグループではJR西日本のみに存在する形式となっています。

当初から105系として製造された車両と、103系から編入改造された車両の2種類が存在しており、前者は3扉車であるのに対し、後者は種車の構造を生かした4扉車となっているのも大きな特徴で、両者が混在する地区では、3扉車と4扉車を混成した編成を見かける事もあります。

その中でも紀勢本線南部で活躍する105系は、基本的に当初から105系として製造された3扉車が充当(検査等での車両不足時などは、和歌山線などで運用されている4扉車が充当される事もある様です)されており、紀伊田辺~新宮間の普通列車は殆どがこの車両という程の状況(朝の周参見発着列車に例外が存在します)になっています。

この紀伊半島南部で運用される105系は、以前福塩線などで運用されていた車両で、和歌山地区への転用にあたっては、黄色に青帯の塗装から、如何にも海沿いの区間を走る列車である事をPRするかの様なブルーの装いに改められており、運行線区の特性を考慮してワンマン運転にも対応しています。

また以前紀伊半島南部の普通列車で、トイレなし車両の運行が問題化した事もあって、トイレ取り付け改造も施され、その上リニューアル工事も施工されていますので、内外の見栄えも随分向上しています。

しかしながら所詮通勤型電車で、車内もオールロングシート、その上冷房装置もJR化後に改造で取り付けられた簡易型(それでも以前設置されていた車端部設置型に比べればマシですが…)で、冷房の効き目も吹出口付近以外はイマイチと感じたものです。

その上JR西日本が近年アーバンネットワークで走らせている通勤型車両などとは異なり、駅間が短く低速での運行を余儀なくされる低規格路線に合わせて設計された電車ですので、比較的高速で走行すると走行音も非常にうるさく、軌道状態も決して良いとは言い難い区間(紀勢本線は管轄会社の関係もあってか、非電化区間の方が軌道状態が良好に感じた程です)を走行していますので、見た目は決して悪くない車両とはいえ、居住性はお世辞にも快適とは言い難いのが現実です。

それでも20~30分程度の乗車であれば充分許容範囲と言えますが、紀勢本線の紀伊田辺~新宮間は通して乗ると2時間半~3時間と結構長い上に、特急も含めた各列車の運行も決して多いとは言えず、時間帯によっては普通列車利用以外の選択肢がない状況ですので、否応なしにこの車両に長時間乗車を強いられる事もあります。

MAKIKYUは割安な青春18きっぷ利用(それも小田原から使い始めていますので、新宮に到達して105系に乗車する前に元を取っていますが…)でしたので、青春18きっぷで首都圏から紀伊勝浦や串本辺りまで到達できる事を考えれば文句を言うのも…という所ですが、普通乗車券を購入して新宮~紀伊田辺間を乗り通すともなれば、大いに問題ありと言えます。

運行区間は海沿いの風光明媚な区間で乗り応え充分なだけに、普通列車での長時間乗車でも、もう少し快適に過ごせる車両の導入に期待したいもので、同社非電化区間の普通列車でよく用いられる折戸の軽快気動車よりはマシとは言え、出来ることならこのエリアに他形式車両を導入してこの車両の他地区転用→103系改造の105系老朽車淘汰でも…と感じたものです。

写真は紀伊半島南部で用いられる105系リニューアル車とその車内、通勤型電車からの眺めとは言い難い車窓のワンシーンです。


紀伊長島のさんま鮨~駅弁こそないものの駅前では…

2009-08-20 | 日本国内その他

昨日「MAKIKYUのページ」では、紀勢本線のJR東海区間で活躍する普通列車用気動車・キハ11形300番台に関して取り上げましたが、MAKIKYUが今月初めにこの車両を用いた列車に乗車した際は、多気→新宮間で途中駅での停車時間を含め、約4時間乗車したものでした。

紀勢本線南部を約4時間、山間や海沿いの景色を楽しみながらの道中はなかなか乗り応えがあるものの、青春18きっぷでの普通列車長時間乗車に比較的慣れたMAKIKYUでも、ワンマン運転の軽快気動車で乗り通すには長過ぎると感じた程ですので、列車旅に慣れていない方がいきなりこの様な列車に乗車したら…と感じたものでした。

ただMAKIKYUが乗車した多気→新宮間の普通列車は、同区間が単線という事もあり、列車交換待ちなどで比較的長時間停車する駅が幾つもあり、この区間の普通列車は他にも途中駅で長時間停車する列車が何本も運行されています。
(以前は紀伊長島で2時間以上停車というとんでもない列車もありましたが、これはさすがに問題になった事もあり、現在は運行上紀伊長島で一旦分断し、別列車として運行する形態に改められています)

この事は更なる乗車時間の長大化を招いている一面もあり、地元の乗客が数駅移動するだけでも、長時間停車の駅を挟むと30分以上の乗車を強いられるといった問題もあるのですが、旅行者としては一旦ホームへ降りてのリフレッシュや撮影タイムの確保も出来、場合によっては停車時間を利用した途中下車も出来るなどの楽しみ
もあります。

紀勢本線南部も特急停車の数駅などを除くと、殆どが無人駅で駅前も閑散としており、長時間停車で一旦列車を降りても…という状況で、先日取り上げたキハ11形300番台を撮影した伊勢柏崎駅などはその典型ですが、特急も停車する有人駅クラスになると、駅前で食料調達などが可能な場合もあります。

その一つが今日取り上げるさんま鮨で、さんま鮨は紀伊半島では比較的良く見かけ、新宮駅などでは駅弁としても発売している程(時刻表にも記載があります)です。

紀伊長島では駅弁の発売などはなく、駅前にはコンビニすら…という状況ですので、松阪で紀勢本線の列車に乗車(伊勢市行→2つ目の多気で新宮行に乗り換え)した際には、熊野市辺りまで食料調達が不可能な事も想定し、駅弁(松阪は土地柄もあって牛肉関連の弁当ばかりで、発売価格は全般的に高価です)を調達してから列車に乗り込んだ程でした。

しかし紀伊長島で20分以上の停車時間があり、一旦途中下車(100km以下の普通乗車券は不可ですが、青春18きっぷの場合は有効期日内は無制限というのも嬉しい限りです)して駅を出ると、目の前に鮨などを扱う食堂が目に入ります。

この食堂では店内飲食だけでなく、店頭でさんま鮨の持ち帰りも可能な旨が記されていましたので、MAKIKYUはここでさんま鮨を一つ購入し、食料調達の心配は杞憂に終わったもので、松阪で調達した駅弁の賞味は後回しになった程でした。

ここでは注文を受けてから漬けてあるさんまと、すし飯を型に盛り付けて鮨をつくっていたのですが、一食分が400円で入手(駅弁で同等のものは600円程度の値段になります)できましたので、比較的お値打ち感があります。

購入した後は車内に持ち込んで食したものですが、味の方もなかなかで、分量も昼食としては丁度良いと感じたものですので、また紀伊長島で長時間停車する列車に乗車する機会があれば是非…と感じたものでした。

これも各駅での停車時間が限られる特急列車の旅では、紀伊長島で乗降する機会(地元の方などはともかく、観光での利用はあまりないと思います)でもなければ…というもので、こういった思いがけないものに出会えるのも、長時間停車のある普通列車の旅ならではの楽しみです。

また紀伊長島で途中下車した際には、駅前の商店で飲料も購入し、さんま鮨の脇に写っていますが、こちらも「大内山」(紀伊長島から2駅目)という名前の通り、この一帯で流通しているものです。

三重県内では結構ありふれた存在の様で、熊野市などでも見かけていますが、流通範囲は結構限られており、首都圏ではまず見かける機会がない商品ですので、この一帯で飲み物を調達する機会があれば、こちらも試してみると良いかもしれません。


JR東海 キハ11形気動車(300番台)~トイレ装備の少数派車両も展望性は…

2009-08-19 | 鉄道[東海]

  

MAKIKYUが今月初めに紀伊半島方面へ出向いた際、伊勢鉄道に乗車した後は紀勢本線で南下する行程を取ったのですが、その際には多気→新宮間の普通列車で、キハ11形300番台と呼ばれる車両に乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

キハ11形はJR東海のローカル線用に導入されている軽快気動車で、やや小柄な車体に強力なエンジンを搭載した同形は、導入当初からワンマン運転にも対応しており、岐阜県や三重県内の非電化線区におけるローカル輸送で大活躍しています。

ただ元々短距離列車用(乗車時間が概ね1時間程度)に導入された車両だけあり、座席配置こそオールロングシートではなく、ボックス席と組み合わせたセミクロスシートになっているものの、トイレ設備はなく、長距離運用での充当には難有りという状況でした。

キハ11形導入当初は主に短距離運用に充当され、トイレなしでもさほど支障ない列車が殆どでしたが、後に老朽化し、ワンマン運転にも対応していない伊勢のキハ58系列を淘汰する際には、同系が担当していた紀勢本線南部(多気以南)の一部普通列車も担当する事になり、この運用は今日まで続いています。

しかし紀勢本線南部の普通列車は、運転本数も一日1桁と限られる上に、乗車時間も極めて長く、MAKIKYUが先日乗車した列車も途中駅での停車時間が長いとはいえ、多気~新宮間をおよそ4時間も要して運行する有様で、これでトイレなし車両に乗り続けるのは…という事(同区間は特急の運転本数も限られていますので、時間帯次第では普通列車に長時間乗車を余儀なくされる事もあります)で、紀勢本線南部での運用開始に合わせてトイレを装備したキハ11形が用意されています。

このトイレ問題は、既存キハ11形へのトイレ取り付け工事を行ったのではなく、新たにトイレを装備した車両を製造する事で解決していますが、この車両が300番台と呼ばれる車両です。

300番台は紀勢本線南部でのトイレ問題対策として製造された事から、同区間での運用を抱える伊勢のみに配置されているのですが、運用区間もMAKIKYUは余り訪問機会が多くない地域の上に、トイレ問題を解決するために6両が導入されただけに留まっていますので、登場から既に10年程経っている車両ですが、MAKIKYUは先日初めて乗車する有様でした。

300番台はステンレス製の車体を採用しており、JR東海のコーポレートカラーであるオレンジ色の帯を巻いた装いは、近年名古屋地区で導入が進んでいる新型電車や気動車に通じるものがあり、これだけでも鋼製車体の既存キハ11形とは大きく異なりますので、トイレの有無以外でも容易に見分けられます。

その上前面形状や行先表示幕設置場所、台車形状も異なるなど、見るからに既存キハ11形とは別の車両と言う印象を受けますので、別形式を名乗っても…と感じる程です。
(ただJR東海では互換性のある車両でも、電車は様々な形式があり、気動車も今後武豊線に登場予定の車両は既存キハ75形と互換性があるにも関わらず、別形式になる様ですが…)

ただ既存キハ11形と互換性のある車両である上に、専ら既存キハ11形と混成編成を組む事(トイレ付き+トイレなし車両で編成を構成する事で、数の限られるトイレ装備車両を有効に活用:同社では静岡地区などでもこの様な編成をよく見かけます)も、同一形式内で別番台として区分する要因かもしれません。

また300番台は外観だけでなく、車内もトイレ有無を除いても、既存キハ11形とは様相が異なっているのが特徴で、座席などは既存車両と大差ないのですが、蛍光灯がローカル用気動車にしては珍しくグローブ装備(既存キハ11形も一応グローブ付ですが、こちらはバス用です)となっており、化粧板もやや高級感のある暖色系柄入りのモノを用いるなど、全体的に既存キハ11形に比べてグレードアップした印象を受けるものです。

そのため専ら既存キハ11形+300番台の混結編成で運用される紀勢本線南部のキハ11形充当列車(稀に300番台2両で運行される事もある様ですが…)では、是非300番台を選んで…と言いたい所ですが、前面展望の悪さは数少ない難点と言えます。

これも亀山方はトイレを装備していますので、構造上致し方がないのですが、300番台の鳥羽・新宮方先頭部分は、運転台が近年のワンマン運転に対応した半室構造(軽快気動車では恒例の構造)になっているにも関わらず、配管(?)と思われる妙な出っ張りが存在(亀山方にはなし)が存在しており、この妙な出っ張りのお陰で、新宮方右側一番前のロングシートに座っても前面展望は芳しくなく、両方向共に展望性の悪い車両になっています。

前面展望を楽しむには最前部で立ちっぱなし…という状況を余儀なくされるのは、展望性に優れた既存キハ11形に比べると、頂けないと感じたもので、この展望性が悪い難点も、300番台車の連結を亀山方に限定すれば、新宮方面行き列車では解決できるのですが、逆にこの編成だと亀山方面行き列車では、トイレ設置の関係で座りながら前面展望を楽しむ事が出来なくなります。

そのため300番台をどちらに連結しても2両編成では…という状況(3両編成で真ん中に連結されると最も理想的ですが、普通列車の需要を考えると厳しいです)ですが、紀勢本線南部のキハ11形充当列車における300番台の連結位置は特に決まっていない様で、MAKIKYUが乗車した列車では新宮方が300番台車だったものの、途中ですれ違った列車では亀山方に300番台が連結された編成も見かけています。

この有様では紀勢本線南部の普通列車は、乗車する列車の先頭で座りながら前面展望が楽しめるか否かは、その日の編成構成によって運次第…というのが現状です。

それでも紀勢本線南部の普通列車では多数派を占め、前面展望は最悪といっても過言ではない、国鉄型のキハ40系列に比べれば遥かに良好ですので、贅沢過ぎる話かもしれませんが…

写真はキハ11形300番台(後ろはキハ11形0番台)と客室内、前面展望を悪くしている妙な出っ張り(?)の様子です。


伊勢鉄道 最前部から眺めた路線の様子(2)

2009-08-17 | 鉄道[東海]

今日は先日の続きで、伊勢鉄道線の列車最前部から眺めた路線の様子を、中瀬古以遠の単線区間に関して取り上げたいと思います。

中瀬古を出て次の駅は伊勢上野、三重県内には一文字違い(旧国名部分が異なります)で結構有名な、JRと私鉄の乗換駅にもなっている主要駅とも言える駅が存在していますので、非常に紛らわしい駅名とも言えます。


駅自体は単線でホーム片面だけの最も簡素な形態で、それもホームは2両編成分しかありませんので、伊勢鉄道各駅の中で最もローカルムードの強い駅と感じたものですが、伊勢鉄道線は単線区間も複線化可能な用地が確保されているのが特徴です。

伊勢上野の次は河芸(Kawage)、この駅は中瀬古~津間の単線区間では唯一の交換駅となっていますが、上下線のホームが少々離れて配置されているのは特徴的です。

比較的長い編成の列車同士に備えた構造になっているものの、ホームは伊勢鉄道の特急・快速列車通過駅の標準とも言える2両編成分しかなく、バイパスルートとして通過するだけの列車が多い路線の性質をよく表していると言えます。


またMAKIKYUが乗車した普通列車は河芸駅で6分程停車し、数日前にイセⅢ形気動車に関する記事を掲載した際の写真も、この停車時間に撮影したものです。

普通列車はこの駅で交換待ちのために数分停車する列車が、MAKIKYUが乗車した列車以外にも何本も設定されており、特急・快速は僅かな交換待ちも解消するために部分複線化&複線区間で行き違いのダイヤを構成してまで早く走らせようとしているのとは対照的です。

伊勢鉄道~JR線で名古屋~津間を移動しようとすると、昼間は名古屋からは快速「みえ」号より30分早い特別快速~伊勢鉄道普通列車(四日市乗換え)でも津到着時間が殆ど変わりなしです。

津からも快速「みえ」号より普通列車は20分程度早く出発するものの、四日市でのJR接続列車が快速「みえ」号になるなど、伊勢鉄道の普通列車は遅いだけでなく、使い勝手も決して良いとは言い難いダイヤになっている事は問題ありです。

ただでさえ運転本数は決して多いとは言い難い上に、有効本数が更に…という現状では、至近を走る大手私鉄の利便性とは格段の差があり、普通列車の利便性の低さ→利用僅少→1両編成でも充分と言うのは困ったものです。

現状の車両や設備をフル活用しても、至近を走る大手私鉄の圧倒的な利便性や設備には到底適わず、車両の運用効率向上など、費用対効果も考えると、今のダイヤも止む無しなのかもしれません。

とはいえ津発の普通列車時刻変更→名古屋方面へのJR接続列車を特別快速に変更というダイヤに変更出来れば、快速停車駅鈴鹿→四日市・名古屋方面への有効本数増大や、伊勢鉄道線各駅→関西本線亀山方面接続改善も可能になります。

素人目には普通列車のダイヤ変更で利便性の大幅向上が図れるのでは…と感じてしまったものですが、そうなると所要両数の増大(現有車両で対応可)や、交換待ち時間を減らすには単線区間の複線化or行き違い設備の増設も必要になります。

全線複線化する費用をかける需要があるのか?となれば、現状維持も止む無しかもしれませんが、単線区間での行き違い設備増設は、通常時のダイヤ改善だけでなく、ダイヤ乱れ時の列車交換箇所変更にも有用ですので、検討してもよいかもしれません。

単線区間唯一の交換駅・河芸の次は東一身田、この駅も伊勢上野駅と共にホーム1本のみの駅ですが、高架線上に設けられている上に、高架線は複線分の路盤が確保されているだけに、伊勢上野駅に比べると見栄えがするものです。


とはいえ駅周辺には住宅の立ち並ぶ姿も見られるものの、毎時1本程度の普通列車が停車するだけで利便性は難ありという事もあって、利用状況は余り芳しくなさそうに見受けられたものです。

東一身田の次は終点・津ですが、高架から地平に降り、JR線と合流して津駅に到着となります。

JR線合流部の手前では複線用に用地が確保されているのに加え、複線化した際に伊勢鉄道の上下線がJR線を挟む配線を構成できる様に、伊勢鉄道線単線分の使われていない用地も、盛り土の路盤が確保されています。


それどころかJR線を跨ぐ鉄橋まで準備されている程ですが、使われていない鉄橋は錆びも見られて廃線の如くといった印象を受け、随分勿体無い印象を受けたものです。

JR線と合流すると程なく終点の津、非電化で長閑な印象を受けるJR駅構内の様は、都会的な印象を受ける大手私鉄とは対象的な雰囲気を受けるものですが、伊勢鉄道線の普通列車はこの長閑な印象を受けるJR津駅でも、最も寂しい印象を受ける端の0番線を発着しています。


このホームは中間改札こそ設けられていないのですが、津駅は自動改札設置の有人駅(JRと大手私鉄がそれぞれ一箇所改集札を手がけ、駅構内は中間改札なしで両線の駅間を移動可能となっており、三重県内ではこの様な形態の駅が他にも幾つか存在します)でありながらも、伊勢鉄道線列車の運賃は車内精算となり、精算後に津駅出場用の精算券(自動改札機対応)が渡されるのも特徴です。

これでローカル輸送用車両&前面展望を計3回に渡って取り上げた、伊勢鉄道線に関する記事は一区切りにしたいと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も興味がありましたら、JR線のバイパスルートとして通り過ぎるだけの印象が強い伊勢鉄道線を、展望性にも優れたイセⅢ形気動車の普通列車で走破してみては如何でしょうか?


伊勢鉄道 最前部から眺めた路線の様子(1)

2009-08-14 | 鉄道[東海]

先日「MAKIKYUのページ」では、伊勢鉄道の普通列車で活躍している新型気動車・イセⅢ形に関して取り上げましたが、今日はこの車両の車中から眺めた伊勢鉄道線の様子を取り上げたいと思います。

伊勢鉄道の起点は四日市から亀山寄りに2駅進んだ河原田駅ですが、同駅を始終着とする列車は平日のラッシュ時間帯に僅かに存在するだけで、普通列車でも殆どの列車はJR関西本線に2駅乗り入れた四日市となっていますので、実質的な起点は四日市駅と言えます。

四日市駅では島式ホームの津・亀山寄りに、ホーム片面を切り欠いた形状の3番線のホームが設けられており、ここには「伊勢鉄道のりば」という標記もあります。


構造上津・亀山方面の列車しか発着できない配線となっており、JR車両による特急や快速列車はこのホームを使用せず、名古屋~亀山間(四日市発着の区間列車も含む)の関西本線列車が発着するホームを使用しています。

また現在関西本線亀山方面への定期列車は、全て名古屋方面からの電車となっている上に、3番線ホームの線路は架線中こそあるものの、架線が張られず気動車専用となっている事から、このホームは通常JRの列車が発着する事はなく、伊勢鉄道車両のみが発着する状況です。

この3番線を発着する伊勢鉄道の普通列車に乗車すると、2駅先の河原田駅手前まではJR関西本線を走行します。

この区間はJR線に乗り入れる扱い(第3セクター鉄道車両がJR線を走行する区間の中には、井原鉄道車両による総社~清音間の様にJR線とは別個の線区扱いとなっているケースもありますので要注意です)となっており、伊勢鉄道車両による運行でも、四日市~河原田間のみであれば青春18きっぷでも別途運賃を支払わず、伊勢鉄道車両への試乗も可能です。

河原田駅の手前で伊勢鉄道線の列車は関西本線から分岐し、分岐して程なく頭上から架線が消えますが、その後少しずつ高度を上げながら盛り土の区間を走ると伊勢鉄道の河原田駅で、伊勢鉄道線の列車はJR線ホームとは少々離れた島式ホームを発着(写真右手の架線柱が見える辺りがJRホームです)します。


この駅が正式には伊勢鉄道の起点扱いで、JR線の乗り放題系乗車券(青春18きっぷなど)を所持している場合でも、伊勢鉄道線を経由する列車に乗車する場合は、河原田~津間の乗車券を別途購入する必要があります。

そのためこの駅を利用した事はなくても、駅名だけはどこかで聞いた事が…という方も居られるかと思いますが、伊勢鉄道では普通列車も殆どは四日市発着となっている上に、JRと伊勢鉄道の境界駅とはいえ特急はおろか快速すら停車しない有様です。

実態は単なる途中駅の一つと言っても過言ではなく、MAKIKYUが乗車した伊勢鉄道車両による普通列車は、伊勢鉄道の乗務員が四日市~津間を通し乗務していた程です。

河原田駅を出るといよいよ伊勢鉄道線に入りますが、伊勢鉄道は非電化で専ら気動車が走る路線ながらも、伊勢鉄道への転換後に河原田寄りの一部区間が複線化されているのが大きな特徴です。

日本国内の鉄道でそこそこの輸送力を誇り、複線化されている路線はJR・私鉄を問わず殆どが電化され、複線非電化の路線は数える程という有様です。


国内で非電化複線という路線は、普通列車が毎時3~4本以上運転される都市型線区や、都市間輸送や貨物輸送の大動脈となっている北海道の函館本線一部区間などを除くと、極めて限られたものとなっています。

非電化第3セクター鉄道では、伊勢鉄道を除くと城北線(東海交通事業)や平成筑豊鉄道の一部区間が思い浮かぶ程度で、伊勢鉄道の場合は後に線増(複線化)した点も極めて異色です。

複線にも関わらず線内普通列車は1両ワンマンというのは、専らバイパス線としての役割に徹しているこの路線の性質を現していると言っても過言ではなく、軌道と車両のギャップは伊勢鉄道ならではの光景と言えます。

河原田を出発して1駅目が鈴鹿で、伊勢鉄道線内の途中駅では唯一の特急・快速停車駅であるだけに、主要駅とも言える存在です。


ホームも特急や快速が増結された際に備えてか、そこそこの長さが確保されており、他の伊勢鉄道各駅とは様相が大きく異なりますが、列車の運転本数などを考えると、近隣の大手私鉄(支線ですが…)とは利便性に格段の差があります。

そのため駅前に列車利用者向けの無料駐車場を整備し、名古屋方面へは快速列車利用の大幅割引回数券設定といった施策で、利用者の確保に努めていますが、名古屋方面へ特急利用となると、通過駅の河原田から1駅だけの伊勢鉄道乗車でも、JRとは別に伊勢鉄道の特急料金が必要となりますので、鈴鹿駅で特急を利用する乗客がどの程度いるのかも気になる所です。


鈴鹿を出ると次は玉垣、この駅は伊勢鉄道の車庫も併設しており、玉垣を始終着とする列車も存在しますので、駅名だけは聞いた事が…という方も多いかと思いますが、伊勢鉄道のメインを占めるJR直通の特急と快速はJR車両による運行で、自社車両による普通列車用車両(現在は全てイセⅢ形)は4両しかない事もあり、車庫も極めて小規模なものです。

玉垣の次は鈴鹿サーキット稲生(Suzuka-Circuit-Inou)、長く特徴的な駅名だけに、この駅も名前は知っている方も多いかと思います。


普段は普通列車しか停車しない無人駅で、閑散とした雰囲気が漂っていますが、サーキット開催時における長編成の臨時停車に備え、ホームの長さは結構長くなっており、イベント対策駅ならではの姿と言えます。

鈴鹿サーキット稲生の次は徳田、2両編成がやっと停車可能な程度のホームがあるだけで、複線の軌道には見合わない雰囲気の小駅です。


鈴鹿・玉垣・鈴鹿サーキット稲生といった特徴的な駅に比べると、印象が薄い駅ですが、この先の各駅もこの様な雰囲気の駅が多く、伊勢鉄道の典型と言えます。

徳田の次は中瀬古、この駅で特徴的な複線区間は終わりとなり、伊勢鉄道の中瀬古以遠は単線となります。


中瀬古駅はJR直通列車の殆どが通過するものの、快速「みえ」号の中には僅かに中瀬古停車となっている列車も設定されており、この事もあってかホームは片側だけややホーム長が長く、上下線ホームの長さが異なるのは異色と言えます。

中瀬古以遠の単線区間の様子に関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


伊勢鉄道 イセⅢ形気動車~線内輸送で活躍する新型気動車

2009-08-09 | 鉄道[東海]

 

MAKIKYUは今月に入ってから数日間、青春18きっぷなどを利用して紀伊半島へ出向いており、三重県内で第3セクターの伊勢鉄道を利用する機会もありましたので、今日はその際に乗車したイセⅢ形と呼ばれる車両に関して取り上げたいと思います。

この車両は河原田~津間の旧国鉄伊勢線が廃止→伊勢鉄道として再発足した際に導入されたイセⅠ形や、その後導入されたイセⅡ形と呼ばれる軽快気動車は耐久性に乏しい車両という事もあって老朽化の進行も早く、これらを代替するために2003~5年頃にかけて導入されています。
(ちなみにイセⅠ・Ⅱ形は伊勢鉄道退役後、同時期に導入された他鉄道
の軽快気動車と共に、遠く離れたミャンマーに渡っています)

伊勢鉄道の第2世代車とも言えるイセⅢ形は、現在の伊勢鉄道線内を走る普通列車の全てに充当されているのですが、MAKIKYUは伊勢鉄道自体の利用機会が限られる事もあって、今月初めてこの車両に乗車したものでした。

利用者の大半が前後にJR線を挟んだ特急や快速列車の利用で、実質的にJR線の一部と言っても過言ではない伊勢鉄道の性質を踏まえると、近隣を走るJR線の気動車と同形車両を導入しても…と感じてしまう様な路線ですが、イセⅢ形は愛知県の城北線(東海交通事業)の様な「ほぼJR車両そのまま」と言った車両とは趣が異なり、近年の第3セクター向け標準仕様車をベースとしています。

ステンレス製車体に青い帯を纏った姿は、JR線とは異なる路線である事を強く印象付けている様に感じた反面、車内設備は標準仕様をほぼそのまま踏襲したものと感じたものです。

その車内はトイレ設備もないなど、簡素な印象が否めないのも事実ですが、それでも座席配置はオールロングシートではなく、車両中央部にボックス席が配置されている点は大きな特徴と言えます。

またワンマン運転に便利な仕様の車両だけに、前面展望の良さも伊勢鉄道に乗り入れるJR車にはない魅力といえ、非電化路線ながらも一部区間は複線という独特な路線の様子を観察するにも最適です。

そのため鈴鹿や津などで圧倒的な利便性を誇る大手私鉄の利用ではなく、敢えて伊勢鉄道を利用する機会があるのならば、JR線に乗っていると錯覚しそうなJR車両による特急や快速列車(中にはJR線だと勘違いして乗車し、車掌による車内改札でJR線ではない事を知らされ、JR線乗り放題系の乗車券を所持している乗客が、車内で別途伊勢鉄道区間の乗車券を購入する事もよくある様です)ではなく、出来ればこちらに乗車したいものです。

とはいえMAKIKYUが伊勢鉄道に乗車した際は朝の通勤時間帯で、この時間帯の下りは普通列車しか走っていませんので、伊勢鉄道を利用するとなれば必然的にこの車両に乗車という状況でしたが、昼間のJR快速列車運行時間帯は決して利用しやすいダイヤとは言えず、「バイパスルートとしての速達性」という伊勢鉄道のウリを損なう事にもなりますので、こうなると難しい所なのですが…

あと伊勢鉄道に関しては、近日中に同線の様子を取り上げた記事も公開したいと思います。


JR四国のキハ40系列~徳島地区で活躍するキハ40形は要注意

2009-08-03 | 鉄道[四国]

 

先月20日から今年夏の「青春18きっぷ」(JR全線の普通列車が乗り放題になる格安な企画乗車券:期間内の任意5日(回)利用可能で11500円)が利用可能となり、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、この乗車券を利用して旅行を計画されている方や、もう既に旅行を楽しまれている方も居られるかと思います。

MAKIKYUも今夜から青春18きっぷを利用し、旅行に出かける計画(今月は旅行が続き更新頻度もやや低下する見込みですが、悪しからずご了承下さい)を立てているのですが、今日は青春18きっぷを利用して旅行する際などに厄介な存在となる車両の一つとも言える、JR四国のキハ40形気動車に関して取り上げたいと思います。

キハ40系列は国鉄時代末期に製造された一般型気動車で、国鉄時代に製造された車両ながらも、今でもその大半が残存しており、JR化後に多数の新形式が登場している今日においても、1~2両編成の短編成で運行可能な事もあって、非電化線区では今でも重宝される存在となっています。

北海道から九州まで日本国内各地のJR線で活躍し、キハ40形に至っては旅客6社全てに在籍している程の車両ですので、お馴染みの方も多いかと思いますし、MAKIKYUも今年夏に青春18きっぷで乗車する可能性も…という程です。

全国各地で活躍する車両の中には、ワンマン化改造や冷房装置取り付け、エンジン換装などを施された車両も多く、ある程度の経年を経ている車両ですので、地域の実情に合わせて様々な改造が行われています。

そのため原型を留めた車両は稀有と言っても良い程ですが、車両形態や塗装などはかなりのバリエーションがありますので、趣味的には面白い存在と言えますが、中には非常に厄介な存在と言える車両も存在しています。

その一つがJR四国に在籍しているキハ40形で、MAKIKYUは今年夏に四国を訪問する予定はないのですが、四国を旅行中の知人から厄介な車両に遭遇したという嘆きの報を受けた事もありますので、今日の記事として取り上げた次第です。

JR四国のキハ40系列は、両運転台の単行運用可能なキハ40形の他に、片運転台で両開き扉を装備したキハ47形も存在しており、キハ47形は徳島と松山に配置されているものの、両運転台のキハ40形は徳島のみの配置となっています。

この2形式は共に四国という土地柄もあり、JR化後の比較的早い時期に冷房化改造が実施されていますが、JR四国では他のJR各社とは異なり、2両編成以上でのワンマン運転を実施していない事(2両編成の後部車両を回送扱いとして、前1両のみ営業扱いでワンマン運転を実施する列車は存在しています)もあって、必然的に2両編成以上での運用となるキハ47形には、ワンマン改造車が存在していないのは一つの特徴と言えます。

またキハ47形はトイレ設備を有した車両は設備が存置されているものの、キハ40形はご丁寧にもわざわざトイレ設備を撤廃しているのも大きな特徴で、JR四国の普通列車用車両は、元々トイレなしで製造された国鉄分割民営化直前に製造された車両や、JR化後に製造された車両が多い中で、旧来の国鉄型車両だからトイレの心配はしなくても…と思っていると、非常に痛い目に遭います。

ちなみにキハ40形の中でも、トイレ設備の撤廃改造を行った車両は、四国以外にJR東日本の烏山線(栃木県:宝積寺~烏山)などにも存在しているのですが、烏山線の様に運行距離が短く、乗車時間も1時間に満たない路線なら、さほど実害もないと言えます。

四国の徳島地区でも、鳴門線の様に運行距離・乗車時間が短い路線に限定して運用するのであれば、トイレなしでもまだしも…と思うのですが、徳島地区は路線・区間によっては列車本数が限られる上に、徳島線や牟岐線などで、片道2時間以上の乗車となる普通列車も多数存在しています。

しかもキハ40形が所定で運用される列車だけでなく、本来はキハ47形2両編成(片方の車両はトイレ付き)で運用される列車にも、元々の車両スペックは大差ない車両だけあって互換性がありますので、キハ47形の代わりにキハ40形を2両連結して充当する事もあり、これは非常に厄介なものです。

知人からの報も、数少ない徳島線の阿波池田まで足を伸ばすキハ47形充当列車(徳島線の普通列車は、1500系や1200系といったJR化後に製造された車両が大半を占めています)で、キハ40形2両の姿を見たというもので、当初は徳島線のキハ47形充当列車に乗って徳島から阿波池田へ…という計画もあった知人は、計画を変更して別の列車に変えた様です。

短距離列車や運転本数の多い大都市近郊線区ならまだしも、閑散線区で長時間運行となる列車では非常に厄介で、駅の時刻表などで「トイレ設備はありません」と明記してあっても…という程(MAKIKYUもJR他社の超閑散線区で雪の舞う寒い時期、トイレなし車両に3時間以上乗り続けて大変な思いをした事があります)です。

まして車両運用の都合で、日によってトイレの有無が異なるというのは非常に困ったもので、近年ではローカル用のトイレなし車両が西日本各地のJR線で問題化し、改造でトイレを設置した車両も見受けられる様になっていますが、徳島地区でもキハ40形の一部にトイレを再設置(トイレ撤廃車両の再設置は余り聞かないですが…)し、せめて所定編成でトイレ設置となっている列車だけでも、トイレなしの惨状を解決できないものか…と感じたものです。
(JR四国はキハ40形以外にもトイレなし車両が各地で多数運用されており、長時間乗車でトイレなしも当たり前…という状況ですので、JR側や四国内の利用者はさほど気にしていないのかもしれませんが…)

写真は徳島地区で活躍するキハ40形の2両編成(写真は高松駅に停車中の高徳線列車)と、比較的似た印象ながらも片運転台でやや中央寄りに両開き扉が設置されているキハ47形(写真は松山地区の車両ですが、徳島地区の車両も外観は同等)です。