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MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
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2011年を振り返って~災いの続く年でしたが…

2011-12-31 | Weblog

皆様、いつも「MAKIKYUのページ」にアクセス頂き、ありがとうございます。

2011年もまもなく終わり、新たな年を迎える事になりますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方はどの様な1年を過ごされたでしょうか?

今年は戦後最大・未曾有の大災害となった東日本大震災による東北3県などでの津波被害や、この津波被害に関連した福島県浜通りにおける原子力発電所事故、そして地震や津波被害は少なかった首都圏においても、計画停電などによる大混乱が生じたものでした。

 
その後やや情勢が落ち着いた夏場には、MAKIKYUは宮城県内の被災地域も訪問する機会があり、1995年の阪神大震災をも遥かに凌ぐ惨状が拡がる様は、言葉も出ない程でした。
(写真は7月に訪問した津波被災地域・宮城県女川町内の様子です)

この東日本大震災関連以外でも、台風や豪雨による全国各地で発生した災害により、今年は「災」の1年になってしまった感があり、東日本大震災などで亡くなられた方には冥福を申し上げると共に、被災された方にはこの場でお見舞いを申し上げる限りです。

またこの様な状況ですので、交通機関も東日本大震災の津波被災地域や、福島県浜通りの原子力発電所周辺をはじめ、それ以外の地域でも鉄道の災害不通線区が幾つも発生しています。

震災被災地域の路線をはじめ、それ以外でも只見線や身延線などで不通状態が続く異常な状況で、新年を迎える事になるのは残念な限りで、来年春頃の身延線復旧見込みが発表されているのはせめてもの救いですが、新年は大災害のない年になる事を願いたいものです。

この様に災害続きで残念な1年となってしまい、MAKIKYUも震災直後は外出も控える状況でしたが、それでも個人的には公私共に無事1年を過ごせたもので、今年のMAKIKYUの主な旅先での収穫などを、既公開画像と共に取り上げたいと思います。

1月・旧鹿島鉄道の廃線跡を活用・整備したバス専用道路を走り、一部便は茨城空港へのアクセス交通手段としても活用される関鉄グリーンバスの「かしてつバス」に乗車。

 
この沿線も東北3県の様な多数の死者発生こそないものの、震災で結構大きな被害を受けており、茨城県内では一部鉄道路線が長期間不通になるなど、茨城県も被災地域である事を忘れてはならないと思います。



2月・MAKIKYUの海外旅行では定番とも言える高速船・BEETLEに乗船し、今年唯一の海外旅行となる韓国へ。

 
出入国が博多と言う事もあり、韓国だけでなく九州内も廻っており、現在は定期運用を終了した485系特急電車の最後の活躍ぶりを目撃したり、運行開始したばかりの長崎電気軌道の新型低床車両に乗車する機会もありました。


韓国では新型の高速鉄道車両KTX-山川や複線電鉄化された京春線、ソウル市内の南山周辺を走る電気バスなどに乗車したものでした。

 
また地方へも足を運び、江原道を走る観光列車「パダ(海)列車」などにも乗車した他、神出鬼没の振り子試験車両に遭遇するという貴重な機会にも恵まれたものでした。

その後も韓国では釜山での相次ぐ都市鉄道開業など、大きな動きがいくつもあり、首都圏からは少々遠いですが、都合がつくなら来年以降もまたBEETLEで足を運びたいものです。


5月・震災後首都圏ではようやく少し落ち着きだした頃になりますが、東日本大震災翌日に開業を迎えながらも、震災の影響で祝賀行事などは全て中止となった九州新幹線博多~新八代間を踏破。

  
九州新幹線を代表する新列車「さくら」号をはじめ、新幹線開業に合わせて設定された観光列車「指宿のたまて箱」や、高速バス「B&Sみやざき」号などにも乗車したものでした。


6月・JR東日本全線が乗り放題、それも新幹線・特急自由席が追加料金不要で、回数制限こそあるものの指定席利用も可能で1日1万円という破格設定の「JR東日本パス」が期間限定で発売。


MAKIKYUの利用機会は1回だけでしたが、この乗車券を利用して日帰りで長野へ足を運び、長野電鉄(運賃別途)の新型特急車・2100系「スノーモンキー」(元JR253系NEX)などに乗車したものでした。

7月前半・今春名古屋市内でオープンした「リニア・鉄道館」を訪問。


また道中では武豊線用に導入され、電車そっくりのデザインが特徴の新型気動車・キハ25形などにも乗車する機会がありました。


  
7月後半・東日本大震災の被災地を訪問し、津波被災地の惨状を視察すると共に、異例の気動車運行により部分復旧したJR仙石線矢本~石巻間や被災不通路線・区間のJR代行バス、被災地域の路線バスにも乗車。

未曾有の大災害だけあり、復興への道程の遠さを感じたものですが、機会があれば被災地域の公共交通支援も兼ね、また足を運べればと思っています。


9月・関西方面へ出向き、運行開始したばかりの南海線新型特急車「サザン・プレミアム」や、阪急京都線の観光列車「京とれいん」などに乗車。

 
関西は首都圏と並び、公共交通機関の密度が高く、また種類が多い事もあって、いつ行ってもまた行きたいと思うもので、来年も機会があれば足を運びたいものです。


10月前半・念願の「黒部ルート公募見学会」に当選。

 
大規模な地下式水力発電所として知られる黒部川第4発電所(通称くろよん)の見学や、その周辺の高熱隧道を走る上部軌道など、関西電力の事業用交通機関各種に乗車するという貴重な機会を得る事ができ、機会があればまた足を運びたいものです。

 
この他富山に足を伸ばした事もあり、私鉄最長両数の旅客列車を運行する事でも知られ、久々の乗車となった黒部峡谷鉄道や、路面電車の新路線としても注目される富山地鉄市内電車の環状線と、その新型車両(CENTRAM)への乗車も達成したものでした。


10月後半~11月・以前から知人からの誘いがあったものの、震災や所用などで訪問機会が確保できなかった北の大地・北海道へ。

 
民営移管(道南バス)が確定し、終焉迫る北海道最後の公営バス・苫小牧市交通部の路線バス(苫小牧市営バス)にも、久々に乗車したものでした。


また札幌ではホームドア設置工事が始まれば、退役は必然的な札幌市交通局南北線の3000形車両にも遭遇したものでした。


北の大地からの帰路には、昨年末に開業した東北新幹線八戸~新青森間と、今年春に運行開始した直後に震災に見舞われ、暫くの間運休を余儀なくされた新型車両・E5系を使用した新列車「はやぶさ」号にも乗車したものでした。

(近場・首都圏の話題)

最近首都圏では「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」をはじめとする低コスト型電車の増殖が際立ち、新型車両に当たっても嬉しくないと感じてしまう事が多いですが、そんな中で東京メトロ千代田線の新型車両・16000系は通勤車両で豪華さこそないものの、外観・内装共にかなりの傑作と感じており、この車両に当たると嬉しいものです。

 
MAKIKYUとしては千代田線をはじめ、時折利用機会のある小田急線や常磐線での乗車機会もあり、16000系に刺激されて乗入線区でも同系に見劣りしない新型車両を…と感じてしまうもので、東京メトロの他線区で今後運行開始予定の新形式車両にも期待したいものです。


また東京メトロ千代田線の相互直通運転線区にもなっている小田急線では、今年初頭に5000系列6両編成の営業運転が終焉を迎え、さよなら運転も実施されたのは、ご存知の方も多いかと思います。

MAKIKYUが電車と聞いてまず思い浮かべる「通称小田急顔」の電車も残りは4両編成が僅かに残るだけなのは寂しい限りで、今後模型で小田急顔の電車を6両、或いは10両連ねて走らせる事で往時を偲ぶ機会が増えそうです。


小田急では8月にはキャラクターデザインのラッピング電車も運行開始し、かなりの人気を博しましたが、こちらも東京都条例の関係であっという間に運行終了を余儀なくされ、ラッピング終了になったのは残念でした。

小田急グループ関連では、今まで模型化が期待されていながらもなかなか製品化されなかった神奈川中央交通(神奈中)のNゲージサイズモデル(バスコレクション)が、数量限定の事業者限定品扱いながらも初登場しており、厚木営業所で開催されたイベントでの発売はかなりの好評だった様です。

MAKIKYUは仕事でこのイベントには参加できなかったものの、このモデルは無事入手する事ができ、他の大規模事業者に比べ、モデル化はまだまだの感がある神奈中ですが、今後のバリエーション充実にも期待したいものです。

 
そして千葉県の第3セクター鉄道・いすみ鉄道では、昨年JR西日本の古参気動車・キハ52形を購入した事で話題となり、同車が入念な整備の後、急行扱いの観光列車として春に営業を開始している事は、ご存知の方も多いかと思います。

MAKIKYUも一度乗車機会がありましたが、時期をずらして再訪するリピーターでも乗り飽きない様な仕掛けも施されている様で、一時期は廃線も検討されたものの、新型車ならぬ旧型車導入で活性化を図るいすみ鉄道の今後にも注目したいものです。


3年前の関西・今は見られない思い出のシーン集

2011-12-29 | Weblog

先日大阪市バスをはじめとする、大阪市現業職員の給料削減問題に関する記事を公開しましたが、この記事で使用した市バス画像は3年前の春にMAKIKYUが関西へ出向いた際に撮影したもので、この頃は道頓堀の「くいだおれ」が7月で閉店とアナウンスされていた時期でした。

今や重要路線の一つとなった阪神なんば線も、まだ開業に向けた工事を進めていた頃でしたが、この時期の写真を見返していると、今では見られないシーンが幾つもありましたので、今後「MAKIKYUのページ」記事で取り上げる見込みが低そうな幾つかの画像を取り上げたいと思います。

 
 

各画像への説明等は省略させて頂きますが、掲載各画像に関連した思い出などがありましたら、コメントもどうぞ。


今後が気になる大阪市バス~市長交代が影響し…

2011-12-27 | バス[近畿]


大阪市では最近になって市長選が行われ、元府知事が現職を破って当選した事はニュースなどで盛んに報じられていますので、ご存知の方も多いかと思います。

元府知事の新任市長は、様々な方面で大きな議論を醸し出す大胆な政策を提言していますが、その中には地下鉄や路線バスを運行する大阪市交通局をはじめとした現業職員の賃金見直しや、一部の民営移管も検討するとしています。

公営交通の現業職員賃金は、年功が増す事で民間事業者に比べてかなり高額となる傾向があり、大阪市交通局の平均賃金も、関西地区の民間事業者に比べてかなり高くなっている事が示されています。

この事が一因で高コスト体質となり、大幅な赤字が続く上に、決して良好とは言い難い財政状況、そして賃金の運賃収入などで賄えない部分を税金で穴埋めする格好になる事などを踏まえると、ある程度の見直しは止むを得ないかと思います。
(ただ極端な賃金削減は、関係職員の生活設計にも影響しますので、定年延長や再雇用制度を整備し、就労意欲のある職員を長く雇用する事で、生涯収入の落ち込みをカバーするなどの施策も必要かと思います)

しかしながら高コスト体質を改めるために導入し、勤続年数の長い職員を対象とした早期奨励退職制度(この制度を利用する事で、退職金を所定より割増)の希望者が、今後の賃金大幅削減を見越して前年比15倍にも達し、運転士だけで80名も退職希望を出したために、「運転士数の急減で勤務が回らない」と言った事も報じられています。

所定のダイヤ数に比べて運転士数が不足する場合、一部のダイヤを分割して拘束時間の短いダイヤと組み合わせたり、拘束時間の短いダイヤを2枚こなすなどの増務や、公休者の公休出勤で対応する事になります。

これも多少の人員不足であれば、増務や公休出勤を希望する乗務員を動員するだけで済みますが、余りに人員数が足りなくなると、強制的に各乗務員に増務や公休出勤を割り当てるか、他営業所などからの助勤者動員、これらの策も尽きれば人員不足による欠車・欠便が発生(あってはならない事ですが…)してしまいます。

大幅な人員不足も、特定の営業所で伝染病が流行して一時的に病欠者が相次いだ場合などは、他営業所からの助勤者動員などで凌ぐことも出来ますが、各営業所で退職者が続出して人員不足が常態化するとなると、各乗務員に強制的に増務や公休出勤を割り当てるか、少ない人員数でダイヤをまわす為に減便ダイヤ改正を行うしかない状況に陥り、余りに急激な人員削減によって公共交通としての機能を果たせなくなる事も懸念されます。

また路線バスは全国的に赤字傾向があり、大阪市バスも赤字額が大きい事で問題になっていますが、大阪市中心部における市内交通は、交通局による地下鉄・市バスがかなりのシェアを占め、ネットワークを構成しているのも大きな特色と言えます。

市バスは地下鉄などのフィーダー的役割を果たしており、地下鉄・バス共通1日乗車券や乗継制度(大阪市交通局では地下鉄~バス乗継割引や、バス同士を乗り継ぐ際の乗継券発行などの制度があり、全国的に最先端と言っても過言ではありません)など、市営交通で市内中心部の交通ネットワークを構成している事も忘れてはならないと思います。

この事も踏まえると、赤字だから民営移管してコストを下げれば…という発想は安易過ぎると感じ、現在も井高野営業所などで行っている民間への運行委託によって市営による運営を維持したり、民間へ移管する場合にも定期券・1日乗車券類や乗継制度の利用が可能になる様に配慮するなどの施策を望みたいものです。
(市営バスを全面的に民営移管した札幌・函館・秋田などでは、民間事業者での一日乗車券通用などの利便性配慮がなされていますが、MAKIKYUの地元・横浜市では市営バスの一部路線民間移管により、移管路線で一日乗車券や全線定期券の通用対象外となる弊害も発生しており、全国的にも同種事案は多数あると思います)

ただ大阪市バスを退役し、地方へ売却されて再活躍している車両などに乗車すると、2段ステップの前後扉車でもエアサスペンションやハイバックシートを装備するなど、市内線における一般路線車にしては高級過ぎる印象を受け、設備投資面で過剰な印象もあります。

この点最近のノンステップ車で標準化が進行し、やや簡素な印象となっている事などは、少々寂しいと感じる反面、事業性質を考えると…といった所かと思います。

今後大阪市では新市長の諸政策によって、市営交通にも大きな動きが生じて来る事は必須で、他都市における公営交通でも大阪市に追従する事が出てくるかと思いますが、どの様な形での改革になるにしても、公共交通としての安全性や利便性が低下しない事を願いたいものです。

以下は大阪市の現業職員給料削減などに関連したニュースの中で、MAKIKYUが気になる記事へのリンクです。
(この件に関して興味のある方は、この記事と合わせてご覧下さい)

大阪市、現業職員の給料削減へ 12年度から民間並みに

給与カット前に…大阪市バス121人が退職希望


JR東日本 E5系電車~最上級車両・グランクラスのご見学は…

2011-12-24 | 鉄道[新幹線]

先月MAKIKYUが北の大地から帰還する際には、札幌~函館間で特急「スーパー北斗」号に乗車し、函館駅で特急「スーパー白鳥」号に乗り継ぎ、終点の新青森駅で更に東北新幹線に乗り継ぐ行程を取ったものでした。

東北新幹線の八戸~新青森間は昨年12月に開業を迎えたばかりで、先月新青森から東北新幹線に乗車し、この新規開業区間を利用する事で、一時的に途絶えていたJR完乗(定期旅客列車の走る区間で、連絡線などの類を除いた話ですが…)を再び達成できたのですが、その際には3月に営業開始したばかりの新形式・E5系電車や、同系限定で運転される最上級列車「はやぶさ」号にも初めて乗車したものでした。


この車両は高速走行時の騒音対策なども影響してか、先頭車の外観は最近の新幹線らしく、デザイン的には余り感心できない雰囲気となっていますが、先頭部がやたらと長い事もあってか、先頭車の客室面積は非常に狭くなっているのも特徴で、既存のE2系と並ぶと違いは一目瞭然です。

この狭い中途半端な区画の片方は、グリーン車を凌ぐ最上級車両「グランクラス」となっており、JR九州の787系電車で運転される一部特急列車に連結されている「DXグリーン車」のJR東日本版とも言える存在です。

このグランクラスは10両編成の10号車に設けられ、9号車に特別車両のグリーン車、そして8~1号車は普通車となっており、MAKIKYUが乗車したのは普通車の8号車でした。

普通車は標準サイズの新幹線では典型的な、横3+2列配置の座席配列になっていますので、ほぼ同時期に運行開始した九州新幹線「さくら」号などで用いられるN700系(7000/8000番台)の横4列席になっている指定席車に比べると、設備的には見劣りしてしまい、グレーの座席モケットも経年が進むと汚れや退色が目立たないか気になる所です。


しかしながらMAKIKYUは余り効能を感じなかったものの、枕部分が可動式になっているのは独特で、内装も荷棚部分に木目を用い、天井の木目部分の通路側はミラー仕上げにしているのも特徴的です。

荷棚下の空調噴出口も、飾り板を付けて目立たない様に仕上げているなど、通勤型電車で余りに簡素過ぎて貧相な印象の車両ばかりの印象が強く、「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」を多数走らせている会社の車両にしては、随分凝った造りという印象を受けたものです。


新幹線などの高速列車はどちらかと言うと機能重視で、簡素な印象の車両が多い中、結構凝った造りで、暖かみのある雰囲気と感心したのは普通車車内だけでなく、デッキやグリーン車車内も同様です。


グリーン車も見た限りでは、既存車両より随分グレードアップしていると思います(MAKIKYUが比較対象できる車両は、東海道新幹線の300系と700系程度ですが…)が、グリーン車の上を行く車両が連結されている事もあってか、やや色褪せた印象を受けてしまうのは、DXグリーン車が連結されているJR九州の787系車両充当特急のグリーン車と同様です。

割安な設備を求める乗客→普通車/高価でも高品質な設備とサービスを求める乗客→グランクラスという事も影響してか、設備的には結構なレベルと見受けられるにも関わらず、乗車率が芳しくない様に感じたのは惜しい限りです。

そしてこのE5系では「グランクラス」が鳴り物入りの目玉として様々な所で取り上げられ、ご存知の方も多いかと思いますが、9号車のグリーン車から貫通路を経て10号車へ向かい、10号車側の扉が開くと、その先にはもう一つ扉が設けられています。


この扉には「ご利用にはグランクラス券が必要です」という案内のステッカーが貼られており、その下には「ご利用以外の見学はご遠慮下さい」という但し書きまで記されており、グランクラスの乗客以外は客室を通る事も…という状況になっています。

おまけに反対側の出入口扉には常時アテンダントが立っているなど、その気になれば比較的容易に様子を視察できるグリーン車とは大違いで、車端で通り抜けの必然性がない車両である事もあって、限られた乗客だけの空間という雰囲気を非常に強く放っていたものでした。


そのためグランクラスの客室内に立ち入って様子を視察する事はできず、終点の東京駅で折り返し整備中に、窓越しに様子を眺めた程度ですが、折り返し整備中には定員18名の狭い区画にも関わらず、グランクラスだけで複数人の清掃員が座席や肘掛などを入念に拭いており、この様な姿を見るだけでもJR側の相当な意気込みを感じたものでした。

MAKIKYUは日頃時間的余裕があれば、新幹線や特急よりも青春18きっぷなどを利用し、普通列車を利用する方が…というタイプですが、グランクラスでは設備面だけでなく、アテンダントによるミール・ドリンクサービスなども供されている事も話題になっています。

今後東北新幹線を利用する際、丁度良い時間帯のグランクラス連結列車(E5系充当列車)で窓側1人席のグランクラスに空席でもあれば、一度この車両に乗車し、JR側が意図する最上級の車両とはどの様なものかを、一度体感するのも…と感じたものでした。

ただはやぶさ号では新青森~東京間を普通車で乗り通しても、個人的にはかなり早いと感じたもので、グランクラス乗車では設備やサービスを堪能する間もなく目的地到着という事にもなりかねない気がします。

グランクラスに乗車するのであれば、個人的にはやや所要時間が長くて特急料金もやや安く、最近一部列車に充当されるようになった「はやて」号の方が狙い目と感じますが、現段階では物珍しさと希少性もあって注目されているグランクラスも、今後E5系が増備されて連結列車が増えた際、決して割安とは言い難い現行料金(グリーン料金+5000円)で利用がどれだけ定着するのか気になる所です。


JR東日本・オレンジカード発売駅の大幅縮小を発表

2011-12-21 | Weblog



最近はICカードの普及が進み、磁気プリペイドカードの発売や取り扱いの縮小が全国的に進んでいますが、その中でもオレンジカードは全国ネットの旧国鉄が発売を開始し、交通系プリペイドカードの代表格的存在と言えます。

オレンジカードは国鉄の分割民営化後も、JR旅客各社が現在まで継続して発売しており、各地でその土地毎の特色ある車両や名所などをデザインしたカードを発売し、旅先での土産物としても定番アイテムと言えます。

そのためICカードが普及し、利用頻度は減少しているとは言っても、自動改札機などへの直接投入ができない旧式のカードながら、現在まで継続して発売され、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中でも、オレンジカードを手元に何枚も持っているという方は多いかと思います。

最近は発売枚数も減少し、絵柄も少なくなっていますので、購入頻度は減少していますが、現状では額面金額が保証される事もあり、MAKIKYUも手元にコレクションとして多数所持していますが、先日JR東日本では来年4月以降オレンジカード発売駅大幅縮小をHPで公表しています。

JR東日本はICカード導入に最も積極的な事業者である事や、ドル箱とも言える首都圏の通勤通学輸送を抱え、莫大な収益を上げている事業者と言う事もあってか、JR旅客各社の中ではオレンジカード発売に比較的消極的な印象があります。
(逆に不採算路線を多く抱えるJR北海道とJR四国はオレンジカード発売に積極的な印象があり、MAKIKYUは首都圏在住の身でありながらも、手元にあるオレンジカードはこの2社が発行したモノが多いです)

おまけにJR東日本では最近、各地区で発売駅の集約化を行い、各地域の基幹駅のみでの発売となる傾向が強まっていますが、先日の発表ではこの施策を更に深度化し、発売箇所を主にSuicaエリア外の主要駅(但し仙台駅や新潟駅での取り扱いは継続)とした上で、首都圏での発売を全面終了する事を謳っています。

ICカード普及に伴い、需要が減少している事や、少数毎発売の為に煩雑な事務作業が生じる事などを考えると、ある程度発売駅を集約する事は止む無しとはいえども、首都圏での発売を全面終了するのはやり過ぎという気がします。

全国共通で記念品や贈答用として有用なカードである事や、比較的最近ではJR九州が発売した485系電車の引退記念カードセットが大好評を博し、急遽通信販売限定による受注生産で再発売となった事などを考えると、数駅程度での発売は継続して欲しい気がします。

この様な発表が出てくるという事は、磁気プリペイドカードが一つの時代を終えた事の現われと言っても過言ではなく、他のJR旅客各社でも今後同様の動きが生じるのか気になる所ですが、オレンジカード以外にもイオカードやパスネット、スルッとKANSAIカード各種など幾つものプリペイドカードをコレクションする身としては、少々寂しい気がします。
(中には首都圏バス共通カードの様に取り扱いを終了しており、早く払い戻ししないと額面金額分が無効になってしまうカードも含まれていますが…)

また今回の発表でJR東日本が今後もオレンジカードの発売を継続する駅としては、首都圏外の各県で2~3駅程度の主要駅(但し宮城県は仙台駅のみ)となっていますが、秋田県内だけは比較的小規模な駅でも発売継続対象となる箇所が多くなっています。

秋田県内で7駅が対象となっているのは少々意外に感じ、MAKIKYUも秋田支社発行のオレンジカードを何枚か所持していますが、秋田支社では今後もオレンジカード発売に積極的に取り組む意思の表れなのかも気になる所です。

写真は旧国鉄とJR旅客各社の発行したオレンジカード、内1枚は来年春に発売を大幅縮小するJR東日本発行のカードです。

絵柄は全て過去帳入りした車両が含まれており、何気なく購入したカードも今見ると興味深く感じるものが多く、コレクションとしてもなかなか面白いものです。


小田急20000形「RSE」~唯一の2階建て車もまもなく見納め

2011-12-19 | 小田急グループ

ここ数日の間にJR旅客各社で来年春のダイヤ改正概要が発表され、3月17日のダイヤ改正で会社によっては大きな動きが見られる事は、ご存知の方も多いかと思います。

同日にはJRと直通運転を行う私鉄でも、JRとダイヤ改正を行う会社が幾つもあり、JR常磐線(地下鉄千代田線経由)やJR御殿場線へ直通列車を走らせている小田急線もその一つです。

小田急でも今度のダイヤ改正では非常に大きな動きがあり、MAKIKYUも多大な愛着を感じ、永年慣れ親しんだ通称「小田急顔」電車が遂に全廃となるほか、特急ロマンスカーで非常に大きな動きが生じる事などが告知されています。

独特な運転形態の不定期列車として注目を集め、地下鉄有楽町線新木場駅発着で、通常定期旅客列車が走る機会のない連絡線を通る「ベイリゾート」号の廃止や、展望席付きの優美なデザインが目を引く10000形「Hi-SE」の小田急線内における運行終了などが、今度のダイヤ改正における大変動と言えます。


数日前「MAKIKYUのページ」で取り上げたJR371系電車も、「あさぎり」号での小田急線乗り入れから撤退し、小田急車両の片乗り入れになる事を取り上げましたが、371系の兄弟車両とも言える20000形「RSE」も「あさぎり」号撤退となります。

今後「あさぎり」号は371系などが登場する前の新宿~御殿場間運行に逆戻りし、平日の運行本数減少と共に、車両も60000形「MSE」に置き換えられて他列車と併結運転を行うなど、来年春に大激変を迎えます。

使用車両が地下鉄千代田線直通対応であるだけに、新宿発着ではなく地下鉄直通とする事も物理的に可能となりますが、今後国内初のJR線を走る地下鉄直通特急「メトロあさぎり」号を実現させれば…とも感じてしまうものです。

ところで来年春で「あさぎり」号から撤退となる20000形「RSE」ですが、同車は「あさぎり」号充当から外れるだけでなく、10000形「Hi-SE」と共に運行自体が終了する事になっています。

RSEの登場は1991年(平成3年)ですので、活躍は20年少々といった所で、鉄道車両よりも耐用年数が短い路線バスですら、この程度の年式はまだ「あさぎり」号が走る御殿場線沿線では見かける程です。

登場から僅か数年であっさりと潰される運命を辿った、JR某社の環状運行路線で活躍した多扉車や、中京圏某大手私鉄の特急車両先頭車などに比べれば遥かにマシで、バリアフリー対応が困難なハイデッカー構造や、旧来の直流電動機を用いた足回りなどが災いしたと言えますが、さほど古い車両と言う印象はなく、活躍は随分短かったと感じます。


このRSEはJR側の兄弟車両(371系)と仕様を合わせるために、小田急では唯一の2階建て車両を編成中に2両連結した事や、この車両の2階部分を小田急では唯一のグリーン車(スーパーシート)としたのも大きな特徴でしたが、来年春のRSEの運行終了と371系乗り入れ撤退で、小田急線からはグリーン車や2階建て車が消滅する事にもなります。

MAKIKYUは小田急ファンといえども、どちらかと言うと通勤車両の方が興味の主体である上に、RSEは2本しか製造されなかった事もあり、充当列車が限られていますので、乗車機会はまだ1度しかなく、小田急線で現在活躍する車両(乗り入れ車両を含む)各形式の中では、最も縁のない車両になっています。
(兄弟分の371系は小田急線内・JR線内共に複数回乗車した事があり、まだ登場から日が浅い東京メトロ16000系も小田急線内・地下鉄線内・JR線内共に乗車している程ですが…)

過去に撮影した画像を探しても、意外と撮影枚数も少なく、同車は鉄道模型(Nゲージ)も手元にありながら、こちらも走らせる機会は非常に少ないなど、個人的な注目度の面では…という車両でしたが、機会があれば運行終了までの間に再び乗車できれば…と思っています。

また車齢も継続使用するのであれば更新時期に差し掛かっているとはいえ、地方私鉄で活躍する古参車などに比べれば、まだまだ新しい部類で程度も良好かと思いますので、「あさぎり」号などでの運行終了後はそのまま廃車解体されてしまうのか、それとも10000形「Hi-SE」の一部車両の様に第2の活躍舞台を見出せるのかも気になる所です。


福島交通・相馬方面急行バス再編に~南相馬への所要時間は短縮されるものの…

2011-12-16 | バス[東北]

先日「MAKIKYUのページ」では、21日にJR常磐線原ノ町~相馬間が部分復旧する事に関して取り上げましたが、現在首都圏から公共交通機関を利用し、JR常磐線部分復旧対象となる相双地区へ向かう場合、福島で新幹線から震災後に運行開始となった福島交通の急行バスに乗り継ぐのが最短ルートとなっています。


このバスはMAKIKYUが7月に相馬を訪問した際にも、相馬~福島間で利用機会があり、「MAKIKYUのページ」でも既に取り上げていますが、7月に利用した際には福島~相馬~南相馬(原ノ町)間を6往復運行しており、各地域内での利用は不可能なものの、相馬~南相馬間での利用も可能となっていました。
(写真はMAKIKYUが7月に福島~南相馬間急行バスを利用した際に乗車した車両です)

震災後に路線が開設されてからつい最近までは、ずっとこの運行形態で推移していたものの、福島交通HPによると15日から路線が再編され、福島~相馬間と福島~南相馬間の2系統での運行に改められています。

運賃は福島~相馬間で1000円、福島~南相馬間で1500円と従来通りで、複数人利用や往復乗車で割安となる専用回数券の設定も継続していますが、相馬~原ノ町間は21日復旧するJRで400円ですので、福島~南相馬間を移動する際には、相馬経由で急行バス相馬系統とJR常磐線を乗り継いだ方が安くなってしまいます。

それでも福島交通の一般路線バスに比べると随分割安感があり、一般道路走る高速・観光バスタイプの便を存分に堪能したいと考える方には絶好の路線と言えます。

またこの系統再編により南相馬発着便は、相馬を経由しない運行形態となっていますので、県都福島市や福島で新幹線などに乗り継いで各地へ向かう所要時間の短縮が図られており、以前MAKIKYUが福島~南相馬線に関する記事を公開した際に触れた途中通過地での乗降扱いも開始されています。

途中通過地で新たに乗降扱い開始となったバス停は、相馬便で相馬市内の粟津入口・山上学校前、霊山地区の霊山掛田の3バス停、南相馬便では川俣営業所が対象となります。

従来の一般路線バスではフォローできない相馬市山間部~福島や相馬地区~霊山掛田、そして一般路線バスが休止状態を余儀なくされている南相馬~川俣間のみが利用可能対象となっており、一般路線バスで対応できる相馬市内(本数は少ないですが…)や福島~川俣間などのみでの利用は対象外となっています。

福島~南相馬間の移動では運賃が少々割高になるものの、福島~川俣間一般路線と川俣~南相馬間の急行バスを乗り継ぎ、川俣町内に立ち寄ると言った旅程も可能になり、移動選択肢の多様化に加え、南相馬~川俣間の運賃は震災前の一般路線バスよりも大幅に安い1000円に設定されているのも評価できる事です。

ただ相双地区への路線が2系統の分離された事で、2系統合わせた運行本数は7往復と1往復増便されているものの、相馬発着便は4往復、南相馬発着便は3往復と、各方面への乗車機会が減少しているのは少々残念な事です。

また南相馬発着便が相馬を経由しない事により、今後JR復旧で相馬・原ノ町への移動利便性が向上するとはいえども、相馬~南相馬間の途中にある鹿島から、県都福島へ直通するバス路線設定が消滅する事は賛否両論が出そうです。

新形態で再スタートとなった相馬方面急行バスは、今後離れ小島状態で復旧するJR常磐線原ノ町~相馬間を乗車する際にもかなり有用な路線で、まだまだ震災前の日常を取り戻すには程遠い道程ながらも、JR復旧と共に相双地区復興の一旦にも感じますが、暫くの間この運行形態のまま推移するのか、また大きな運行再編が行われるのかも気になる所です。


JR常磐線・21日に浜通り北部の一部区間が復旧

2011-12-15 | 鉄道[東北]

昨日JR東日本HPを見た所、東日本大震災の影響で不通となっているJR常磐線亘理~相馬~原ノ町~広野間の中で、21日に福島県浜通り北部の相馬~原ノ町間が部分復旧する事が公式に発表されました。

JR常磐線は一部区間が原発近隣地域と言う事もあり、該当地域は一般人の立ち入りもままならず、この区間では当然ながら代行・振替輸送すら不可能な状況になっています。


それ以外の区間でも、宮城~福島県境の海岸線に近い箇所を走る区間では坂元・新地両駅やその周辺などで津波による甚大な被害を受け、まだ新しいE721系電車(2両編成×2の4両)が原型を留めない程に大破した様子もニュースなどで盛んに放映されましたので、ご存知の方も多いかと思います。
(E721系の被災該当編成はMAKIKYUも以前遭遇した事があり、手元に偶然福島県内で活躍中の姿を撮影した画像がありましたので、被災編成の在りし日の画像を掲載します)

ちなみにMAKIKYUも今年夏、東日本大震災の被災地域を訪問した際には、東松島市・石巻市・女川町の仙石線~石巻線沿線と共に、常磐線北部沿線にも足を運んでおり、亘理~相馬間でJR代行バスにも乗車しています。

相馬駅は改札内へ入場する事こそ叶わないものの、係員や自動券売機による乗車券発売などの業務は行っており、MAKIKYUも手持ちのICカード入金を行ったものでした。

駅舎内の売店も営業しているなど、駅舎内は閉鎖された改札を除くと、震災前の平時と大差ない雰囲気を感じたもので、相馬~原ノ町間をはじめ、常磐線も海岸線から離れた区域では、津波などによる設備面での甚大な被害は発生していない様です。
(地震による被害はある程度発生しているかと思いますが…)

ただ福島県浜通り北部(相双地区)の不通区間は、両側を被災区間に阻まれ、車両需給の関係などで部分運転が難しいために、今まで代行バス運行が続く状況でした。


相馬~原ノ町間の代行輸送では貸切専用車以外に、貸切専業事業者が路線用中古車を手配し、代行輸送専用車として活躍させる姿も見られたもので、この車両は同区間の代行輸送終了後も貸切で使うのは厳しいかと思いますので、今後の動向も気になります。


とはいえ部分復旧に向けてトレーラーで701系電車の搬入や、車両基地へ帰還できない事に備え、孤立区間内における点検設備の仮整備などが整った事から、一時期の越美北線美山以東を思わせる部分復旧がようやく実現となります。
(写真は原ノ町~相馬間に搬入される車両と同型の701系1000番台車です)

ネット上でのニュース記事では701系1000番台のF2-18編成(クモハ701-1018+クハ700-1018)が、クレーンで吊り上げて原ノ町駅構内に搬入される写真が公開されていましたが、所属表記が水カツ(勝田電車区)に改められている様で、他に搬入される2編成がどの編成になるのかも気になる所ですが、この車両が鉄路を辿って所属区へ向かう機会は当分なさそうです。

3月の東日本大震災は被災規模が余りに大きく、影響が多岐に及んだ事も、MAKIKYUが夏の相馬周辺訪問に関連して公開した記事でも触れた、相双地区部分復旧が大幅に遅れた要因かと思いますが、部分復旧ながらも同区間では代行バスより30分以上の所要時間短縮になり、震災前に比べると随分不便とはいえども、首都圏や仙台などと南相馬市の移動利便性が、現状より大幅に向上する点は評価できるものです。

大野駅などの原発周辺地域は当分厳しいと言わざるを得ないにしても、仙台方面の鉄路(現在亘理以北のみ運行)とも早くつながり、再び相双地区で仙台行き電車が見られる日が訪れる事を願いたいものです。

そして被災不通区間では来年、JR石巻線石巻~渡波間や仙石線矢本~陸前小野間、八戸線の階上~久慈間や三陸鉄道北リアス線陸中野田~田野畑間の復旧見込みが発表されているものの、その他は原発周辺地域以外でも復旧にむけた計画すら発表されていない路線・地域が幾つも存在しています。

復旧見込みが示されていない地域・区間の一部は震災以前の鉄路を復旧させる以外に、LRT化やBRT化も議論されており、今後どの様な形で地域内公共交通を維持していくのか気になる所です。

復旧見込みが示されていない地域・区間では、現状では代行バスすら運行されずに定期券・回数券類での路線バス振替乗車のみを扱い、それも運行本数が指の数以下という路線・区間も存在する程です。

震災の影響による不通区間も少しずつ減少し、復興に向けて進みつつある状況の中、現在路線バスへの振替乗車のみとなっている区間も、不通が長期化するのであれば、振替バス路線の増便をはじめ、復旧までの代行バス確保や振替対象乗車券拡大(普通乗車券やフリー切符類など)などに期待したいものです。


札幌市交通局 3000形電車~退役迫る変則的ドア配置の異端車両

2011-12-13 | 鉄道[北海道]

10月末~11月初めにかけて、MAKIKYUが北海道を訪問した際には、札幌市内で北海道唯一の地下鉄にも乗車する機会がありました。

札幌の地下鉄は南北線・東西線・東豊線の3路線があり、全て札幌市交通局が運営していますが、これら3路線は全てゴムタイヤ式となっています。

おまけに各路線の車両は全て非冷房車であるなど、本州や九州の地下鉄では見られない、北の大地を走る地下鉄ならではの独特な特徴が見受けられますが、先月札幌市営地下鉄を利用した際には、その内南北線と東西線の2路線に乗車する機会がありました。

南北線では現在、5000形と3000形という2種類の車両が活躍しており、北の大地では唯一の4ドア車でもある5000形車両が主流を占めており、この車両の車体長は18m級で、6両編成での運行となっています。

これに対し3000形は、車体長が1両辺り13.5m程度と短い事もあって、8両編成での運行となっており、今時の日本における地下鉄では異例の2ドア車というのが大きな特徴です。
(今日では特急ロマンスカーの地下鉄乗り入れにより、もっと車体長が長くてもドア数が少ない事例も存在していますが…)


ドア位置も5000系導入前に活躍していた旧型車両(2000形)のドア位置を踏襲した事も影響してか、3000形のドア位置や窓割は均等ではなく、車端部分の座席数がやたらと多い箇所も存在するなど、見るからにいびつな印象を受けるのが特徴です。

このドア配置は独特で個性的な印象を受ける反面、混雑時における均等乗車と言う観点では、余り芳しくない印象を受けるものです。

おまけに5000形導入後は、充当車両によってドア位置が全く異なる事になり、札幌で5000形導入が開始され1995年から15年以上に渡り、南北線でこの様な状況が続いています。

車体長やドア数・配置が全く異なる車両を混用する事例としては、近年相互直通運転を開始した近鉄奈良線~阪神なんば線が有名ですが、こちらは基本的に各列車毎に車体長やドア配置は決まっており、一部駅では列車時間表にもその旨が記されている他、各駅での次発列車案内では「○」「△」と番号の組み合わせで案内(○3~8など)している事は、ご存知の方も多いかと思います。

札幌の南北線では、日毎に同じ時間帯の列車でも充当車両が異なる事から、時刻表などでの案内は見受けられず、次発列車をLED表示器で「青色の乗車位置」(4ドア車両)・「緑色の乗車位置」(2ドア車両)という2種類の案内を行う事などで対処していますが、3000形車両は元々指の数程の編成数しか製造されなかった上に、運用離脱・廃車車両も発生していますので、最近では「緑色の乗車位置」という案内を見る機会は激減しています。


MAKIKYUが南北線始発の麻生駅で電車を待つ際、何本か待つ程度で少数派の3000系を捕獲できれば…と思っていたのですが、ホームに降りて次発列車の乗車位置案内を見たら、「緑色の乗車位置」案内が表示されていました。

利用したのが昼間時間帯だけあり、もしかしたら全く稼動していないかも…と思っていた程でしたので、いきなり「緑色の乗車位置」表示が出てきたのは驚きで、相当捕獲に手間取ると予想していた異端車両にあっさりと遭遇できたものでした。

ただMAKIKYUが乗車した3000形は、同形で最も新しい平成生まれの編成とはいえ、それでも経年20年を越えた直流電動機を装備した車両である上に、少数派の異端車両でドア位置の問題もあり、運用面では非常に扱い難そうな車両と感じたものでした。

おまけに札幌市営地下鉄では、既にホームドア(可動式ホーム柵)設置が完了した東西線に続き、南北線でもホームドア導入意向が示されており、主力の5000形はワンマン運転対応工事が進められている様ですので、4ドア車乗車位置に合わせたホームドアが設置された際には、変則的ドア配置の3000形は、南北線での営業運用が不可能となります。


札幌市営地下鉄自体が特異なゴムタイヤ式である上に、南北線は東西・東豊2路線とも規格が異なり、他線区への転用も利きませんので、近い時期の退役が必然的と言え、ホームに2種類の乗車位置案内が並ぶ姿も、そう遠くない内に見納めとなりそうです。

3000形の具体的な完全運用離脱日などはまだ耳にしませんが、訪問機会も限られる北の大地だけあって、MAKIKYUの次回訪問時まで走り続けている可能性は…という事も考えると、先月偶然遭遇できたのは相当な幸運と感じていますが、比較的地味な存在の車両であるだけに、退役後も南北線開業当初に導入された2000形の様な保存の動きが見られるのか、それともあっさり解体されるのかも気になる所です。


富山地方鉄道 T100形電車「サントラム」~既存路線で活躍する低床電車

2011-12-10 | 鉄道[北陸]

先日「MAKIKYUのページ」では、富山地鉄市内電車の新規開業路線・環状線と、同線で活躍する新型車両(9000形CENTRAM)に関して取り上げましたが、地鉄市内電車では環状線用の新型車両(CENTRAM)だけでなく、既存の市内軌道線用にも環状線開業後に新型低床電車が登場しています。

この新型低床電車が「サントラム」と呼ばれる車両で、昨年運行開始したこの車両は、T100形と言う形式を名乗っています。


富山市は市内電車の規模が国内でもさほど大きいとはいえず、またCENTRAMとさほど変わらない時期に登場していながらも、CENTRAMやほぼ同種の車両を使用している富山ライトレールとは全くの別物と言える車両となっているのが特徴です。

サントラムはアルナ車両製の低床3車体連接車で、以前MAKIKYUが一度乗車した事があり、「MAKIKYUのページ」でも取り上げた事がある豊橋鉄道のT1000形「ほっトラム」に酷似した車両ですが、製造メーカーやスペックが全く異なる全低床電車が、同じ線路で肩を並べて走る都市は、日本中を探しても他には市内電車最大規模を誇る中国地方の1都市位しか思い当たりません。

ほぼ同時期に登場しながらも、雰囲気が大きく異なる2種類の新型低床車が並ぶ姿は、路面電車・LRTにおける積極策を次々と実行している富山ならではです。

 
車内に足を踏み入れると、中間車両の座席はロングシート配置になっており、中乗り・前降りで必然的に車内を移動する必要性に迫られる日本の使用状況に考慮した構造は、純粋な国産電車ならではで、車内の雰囲気も豊橋の「ほっトラム」や、やはりアルナ車両が製造した最近の低床連接車の長崎電気軌道5000形などを連想させるものです。


案内設備も車外の行先表示は一般的なオレンジ色のLEDを装備しており、フルカラーLEDのCENTRAMに比べると、後発の割には…という印象を受け、車内のLCDモニターによる案内表示も、汎用のバス用を流用した様式になっているなど、CENTRAMに比べるとやや見劣りする印象がありますが、今後もしサントラムが増備される事になれば、行先表示はCENTRAMに影響されてフルカラーLED装備に改められるのかも気になる所です。

また今後富山ライトレールの電車も市内中心部に乗り入れる事になれば、この車両とも顔を合わせる事になり、更に見応えのある光景が展開される事になりますが、市内電車の既存路線では今も吊掛駆動車が主流を占めており、こちらは結構な経年車ですので、現在はまだ1編成しか存在しないサントラムも老朽車取替を兼ねて、今後数を増やしていくのか気になる所です。


富山地方鉄道・環状線新規開業区間の様子

2011-12-07 | 鉄道[北陸]

10月にMAKIKYUが富山へ足を運んだ際には、2年程前に開業した富山地鉄市内電車の富山都心線(環状線)にも乗車機会があり、先日同線で活躍する9000形電車に関して取り上げましたが、今日はその続編として環状線新規開業区間の様子を取り上げたいと思います。


環状線の新規開業区間は丸の内~西町(Nishicho)間0.9kmと非常に短距離で、この間には国際会議場前・大手モール前・グランドプラザ前の3停留所が設けられています。


環状線電車の運転系統は、市内電車の既存区間とあわせ、富山駅前→丸の内→(環状線新規開業区間)→西町→富山駅前の反時計回りのみとなっており、環状線新規開業区間が単線である上に、行き違い設備なども設けられていない事から、当面片方向のみの運転が続きそうです。


環状線新規開業区間の各電停は、CENTRAMの車両と同じく、富山ライトレールと同じデザイン事務所が絡んでいる事もあってか、電停の案内標示類などはやはりこのデザイン事務所が絡むJR某社を連想させる雰囲気を感じたものです。


ちなみに新規開業区間の各電停間は、駅間距離が200m程度と非常に短く、おまけにどの電停も地鉄の路線バスが頻繁に発着する総曲輪(Sogawa)バス停から徒歩で数分と言う距離にあります。
(運賃は市内電車・バス共に富山駅から200円と同額に設定され、どちらも地鉄の運営で回数券や一日乗車券の共通使用も出来ますので、競合と言うよりは共存関係にあります)


環状線電車は10分毎程度の運行頻度で、中心部の短い距離を循環運転だけの運行形態である事や、総曲輪通り商店街も地方都市の典型と言える中心市街地空洞化の雰囲気が漂い、人出も少なく閑散とした雰囲気が漂っている様に感じた事などから、現段階で環状線新規開業区間は過剰設備の様にも感じたものでした。

ただ今後予定されている環状線~富山ライトレール直通運転による市内中心部~北部の移動利便性向上や、中心市街地活性化施策の如何によっては、大きな意義を持つ路線に発展する可能性も秘めており、今後の展開に注目すると共に、他都市でも富山に追随する動きが続くのか気になる所です。


富山地方鉄道 9000形電車~環状線で活躍する低床電車

2011-12-04 | 鉄道[北陸]

10月にMAKIKYUが富山へ足を運んだ際には、2年程前に開業した富山地鉄市内電車の富山都心線(環状線)にも乗車機会があり、今まで未乗となっていた同線にもようやく乗車できたものでした。

この環状線は短い距離ながらも、国内では久々の路面電車新線として注目され、JR富山駅高架化工事終了後には富山ライトレールとの接続予定もあるなど、今後の展開にも注目の路線ですが、この路線で活躍する電車は9000形と呼ばれ、現在3編成が活躍しています。

この車両は「CENTRAM」という愛称も付けられ、編成毎に異なる単色を纏った姿も特徴的ですが、車両自体は今後富山ライトレールとの直通運転を行う事も考慮してか、装いを除くと富山ライトレールで活躍する車両(TLR0600形)とほぼ同等で、近隣の高岡市~射水市を走る万葉線の新型車両(MLRV1000形・アイトラム)などともほぼ同種の車両の、アドトランツ→ボンバルディア標準仕様低床車となっています。

環状線では通常、昼間時間帯に2編成の車両が運用され、MAKIKYUが環状線に乗車した日には、白色と黒色の2編成が稼動しており、一日乗車券(地鉄バスや鉄道線の一部区間も通用範囲に含み600円、更に富山ライトレール込みでも800円ですので、通用範囲や普通運賃の設定金額を考えるとかなり割安です)で富山市内を動き回っていましたので、稼動していた2編成双方に乗車機会がありました。


その内白色の方は、LRTサミットが迫っていた時期だった事もあって、この告知が掲出された期間限定仕様となっており、今度環状線を利用する機会があれば、今回遭遇しなかったメタリック色の編成と共に、真っ白な姿も見てみたいと感じたものでした。


黒色の方は活躍する3編成の中で、個人的には最もインパクトのある装いでは…と感じていますが、この様な色彩の車両は写真が撮り難い事が多く、SLや九州の一般型気動車改造ワンマン特急車などは、色飛びに泣かされるものですが、CENTRAMの黒色編成は光沢の強い塗装ではない事もあってか、意外と撮影しやすいと感じたものでした。

また最近鉄道車両ではフルカラーLEDに普及が進み、路線バスでも韓国に足を運んだ際には、フルカラーLEDを用いた車両を多数見かける反面、日本国内の道路上を走る公共交通機関では、3色LEDばかりという中、珍しくフルカラーLEDを採用しているのが特徴です。


日本の路面電車でフルカラーLEDは初採用の様ですが、今後他路線での普及にも期待したいもので、車外のLED表示だけでなく、車内の次停留所案内もLCDモニターが採用され、これに加えて文字案内によるニュースも流されるなど、案内サービスの面では最新鋭の路面電車ならでは…といった雰囲気を受けたものでした。


車内に足を踏み入れると、元々がアドトランツ→ボンバルディア標準仕様車だけあって、車内の構造も富山ライトレールの車両とは大差なく、運転席などを見ると、純粋な日本の国産電車とは異なる雰囲気が感じられます。
(この車両もノックダウン製造で、一応日本国内のメーカー製ですが…)


おまけにJR某社などでよく見られる特徴的な形状の黒いつり革が多数見受けられる点まで、富山ライトレールと共通していますが、座席モケットの色彩などに違いが見受けられ、CENTRAMの方が温かみを感じる装いと感じたものでした。

CENTRAMに関しては、近日中に新規開業の環状線区間の様子なども別記事で取り上げたいと思います。


イオン苫小牧店への無料送迎バス~首都圏で見慣れた特徴ある車両が…

2011-12-01 | バス[北海道]

10月末にMAKIKYUが北海道の苫小牧を訪問した際には、市内を走る苫小牧市営バスの他に、柳町にあるイオン苫小牧店(苫小牧駅~沼ノ端駅の中間辺りに位置し、道南バスの車庫がすぐ近くにあります)の無料送迎バスにも乗車したものでした。

この無料送迎バスは苫小牧市内や周辺地域で路線バスを運行する苫小牧市営バスや道南バスなどではなく、フジタバスと呼ばれる中小事業者が、苫小牧駅前~イオンSC間を平日1時間毎で運行(土休日は増便・早朝深夜の運行はなし)しています。

イオンへの買物客輸送目的で走らせているために途中下車はできませんが、無料で乗車する事ができ、無料と言う事もあってか立席客が多数発生するなど、かなりの盛況振りでした。
(イオン周辺は他に有料の札幌~苫小牧間高速バス(苫小牧駅~イオン間のみでの乗車も可能)や、市営バス・あつまバスなどの一般路線バスも走っています)

この無料送迎バスでMAKIKYUが乗車した車両は、東京都内で活躍していた路線バスの中古車で、行先表示幕部分には「イオン無料送迎バス」というステッカーが貼られ、ミラーも大型のモノに取り替えられています。

とはいえ装いは首都圏で活躍していた頃のままとなっていますので、ナンバープレートとステッカー、ミラーを別とすれば、足立区辺りで活躍する路線バスと錯覚する程で、とても北の大地で活躍するバスという雰囲気ではありません。

またこの車両が導入された頃はまだ低床ワンステップ車は少数派でしたが、その事をPRする狙いもあってか、前面が黒く塗装された特徴的な装いもそのままで、車内も一般路線車にしてはやや高級なハイバックシートがモケットまでそのままで使われているなど、元事業者でこのタイプの車両が姿を消した今日では、往時の姿を色濃く残す車両としても注目の存在と言えます。

フジタバスではこの他に、リムジンバスで活躍していた日野SELEGAも社名部分を張り替えるなどの軽微な改造で走らせ、こちらもイオンの送迎バスに充当されている姿を目撃しています。

ちなみにこのバスの目的地となっているイオン苫小牧店は、苫小牧市交通部車庫(新開)からも徒歩で10分足らずの箇所に位置しており、現在柳町のイオン周辺幹線道路沿いは結構栄えている印象があります。

バスターミナルもある苫小牧駅周辺は、地方都市の恒例とも言える中心市街地空洞化で閑散としている事等も踏まえると、イオンやその周辺で買物してから交通部へ足を運び、終焉が迫る市営バスを視察するといった利用方法も有用です。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も苫小牧へ足を運ぶ機会がありましたら、市営バスと共にこの無料送迎バスにも注目されると面白いかと思いますが、如何でしょうか?