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イーグルバス・小江戸巡回バス~レトロ車両も活躍する観光向け巡回バス

2009-07-30 | バス[首都圏]

  

MAKIKYUが今月川越を訪問した際には、市内の移動に「小江戸名所めぐり」をはじめとする東武バスウエストの一日乗車券を購入し、同社のバスを利用したのですが、川越駅(東武・JR)や本川越駅(西武)~蔵造りの街並みが残る旧市街エリア(札の辻など)の間を運行するバスは他にイーグルバスも運行を手がけており、今日はこのバスに関して取り上げたいと思います。

このバスは「小江戸巡回バス」と呼ばれ、イーグルバスが一般路線に進出する以前の1995年に運行を開始しているのですが、東武バスの観光向け路線「小江戸名所めぐり」運行開始以前から運行しています。

MAKIKYUは川越を何度も訪問していながら、「小江戸巡回バス」にはまだ乗車した事がない(イーグルバス自体はあるのですが…)のですが、古い街並みにマッチするレトロ調バスを走らせる辺りは、「小江戸名所めぐり」ですら一般路線車(装いだけは異なる車両もありますが…)を用いている東武バスとの大きな違いで、観光向けに特化して運行している路線らしいと言えます。

また川越市内では東武バス以外に、西武バスも一般路線を運行していますが、西武バスは旧市街へ乗り入れるバス路線を持たない事もあってか、西武鉄道が本川越駅までの電車往復と「小江戸巡回バス」乗り放題をセットにした割引乗車券を設定(最近では小田急線各駅で西武新宿駅経由の設定もあり)しています。

そのため川越市内旧市街へのアクセスは、東武系(東上線各駅で、川越までの電車往復+川越市内東武バス乗り放題がセットになった乗車券を発売)vs西武+イーグルバスのサービス合戦とも言える状況になっていますが、「小江戸巡回バス」は観光向けに特化した路線だけに、運行時間帯が専ら日中に限られ、充当車両も小型バスばかりで収容力が小さいのも難点と言えます。

その上イーグルバスの「小江戸巡回バス」一日乗車券(西武線とセットの乗車券も含む)では、周辺を走る一般路線バスを利用できない事もあって、一日乗車券を所持している乗客が、限られた便数の小型バスに集中する事もあってか、便によっては物凄い混雑となっている姿も見受けられたものでした。

また使用車両もレトロ調マイクロバスだけでは足りないのか、銀色一色のイーグルバス一般路線色を纏った三菱製の小型バス程度や、ノンステップの日野製マイクロバス「ポンチョ」が活躍している姿も見かけ、様々な種類の車両が活躍している姿は、見ている分には面白いものです。

ただ日野「ポンチョ」はバリアフリー面では評価できる車両とは言え、「小江戸巡回バス」はただでさえ便によってはかなりの混雑になるにも関わらず、収容力のなさ+着席定員の少なさが大きな弱点と言える車両ですので、こんな車両で大丈夫なのだろうか?とも感じたものでした。

ちなみに「小江戸巡回バス」は他のイーグルバス各路線と同様に、「バス共通カード」やPASMOなどのICカード乗車券は使用出来ませんが、一日乗車券以外に現金での区間乗車も可能(運賃は区間毎に設定:概ね同区間の一般路線と同等)となっています。

川越駅(「小江戸巡回バス」は東武バスが発着するメインの東口ではなく、西口を発着しています)~本川越駅間であれば、同区間の一般路線と同じく100円(ワンコイン)で乗れる様ですので、機会があればこのバスにも一度乗ってみたいと感じたものです。

写真は「小江戸巡回バス」で活躍するレトロ調マイクロバスと三菱製小型バス、ノンステップの日野製マイクロバス「ポンチョ」です。


川越市内を走る東武バス~今ではノンステップバスばかりに…

2009-07-28 | バス[首都圏]

  

MAKIKYUが今月川越を訪問し、川越市内を走る東武バスウエスト(以下東武バスと記します)の「小江戸名所めぐり」バスに関して取り上げましたが、300円と割安なこのバスの一日乗車券を使用した際には、この乗車券の通用範囲を走る東武バスの一般路線にも乗車する機会がありましたので、少々取り上げたいと思います。

川越駅を発着する東武バス各路線は、大半が本川越駅~蔵のまち(札の辻など:経由便は「蔵のまち」経由の表記あり)を通るルートで運行していますが、これらの路線は大半が蔵のまちを抜けた先にある川越営業所が担当しています。
(蔵のまちを通らない上尾方面発着便など、一部例外もあるのですが…)

東武バス川越営業所に所属する車両は、以前から主に日野自動車製の車両が導入されており、MAKIKYUは以前東上線の定期券を持っていた事もあって、その沿線となる川越周辺の東武バスは何度も乗車する機会があり、この時は前後扉のBlueRibbonなどに良く乗ったものでした。

しかしながら川越も首都圏の排ガス規制対象地域に含まれる事から、バスの代替は早いもので、先日久々に川越を訪問した際(最近は年に1回も…という状況です)には、一昔前の川越を走る東武バスを代表する車両と言っても過言ではないBlueRibbonの前後扉車は、その姿を見る事はありませんでした。

その代わりとでも言うのか、川越駅や本川越駅で次々と行き交う東武バスの姿を見ていると、BlueRibbonCityのハイブリッド車(ノンステップ)車が随分走っていたもので、この車両が決して珍しい存在でない状況になっている様は、路線バスの世代交代の速さを改めて痛感させられるものでした。
(MAKIKYUが現在住んでいる横浜市内の近隣を走る某民営事業者では、バス事業の規模は本州随一にも関わらず、BlueRibbonCityのハイブリッド車(ノンステップ)は市内の1営業所に4台が配属されているだけで、今でも非常に奇抜で目立つ存在なのですが…)

またそれ以外の車両も、日野BlueRibbonⅡ(一応日野製を名乗っているものの、いすゞERGAとほぼ同等の車両)をはじめ、ノンステップ車が体勢を占めています。

蔵のまちから本川越駅方面へ向かうバスの時刻表を見た際にも、かなりの便数(昼間であれば5分は待たずに、次々とバスがやって来ます)があるにも関わらず、ノンステップ車でない便を探すのに一苦労する程でした。

先日MAKIKYUが東武バスの一般路線を利用した際には、MAKIKYUにしては珍しく同行者も居り、時間の関係でノンステップ車しか乗車できなかったのですが、本川越駅でノンステップでない便の姿を見たら、そのバスですらワンステップ車が充当されており、BlueRibbonの姿は初期ノンステップ車を僅かに見ただけでした。

こんな状況ですので、川越市内の東武バスもバリアフリー対応などが進み、より便利で快適になっている反面、一世代前の馴染みある車両の姿が見られなかったのは少々残念にも感じたものです。

とはいえ川越を走る東武バスはノンステップ車が主力とはいえ、その種類は幾つもあり、本川越駅前で10分程その様子を観察していただけでも様々な車両の姿を見る事が出来ましたが、川越を訪問して一日乗車券で「小江戸名所めぐり」を利用する機会があるならば、「小江戸名所めぐり」だけでなく、東武バスの一般路線にも注目しておきたいものです。

写真は今日の川越を走る東武バスで主力的存在となっているBlueRibbonCityのハイブリッド車とBlueRibbonⅡ、AT車で後部デッドスペースが大きく、特徴的な風貌が際立つBlueRibbonの初期ノンステップ車です。


京成3300形「青電」塗装~100周年を記念して登場した特別塗装車

2009-07-26 | 北総監獄

  

MAKIKYUは数日前首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)へ出向く機会があったのですが、その帰りに京成線を利用した際には、最近走り始めた「青電」に遭遇する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

「青電」とは濃淡緑色の装いを纏った昔の京成電車の事で、この塗装の電車は戦後間もなくといった時期に製造された電車ですので、当然ながら過去にこの装いを経験した車両は、随分前に営業線からは姿を消しています。

保存車両として現存する車両は今でも存在するものの、MAKIKYUは往時の「青電」はおろか、この塗装を纏って第一線で活躍した車両へ乗車した事もなく、京成電鉄100周年を記念して、最近走り始めた3300形電車のリバイバル塗装車両で「青電」の姿を初めて目にしたものです。

その姿自体は今月初めに所用で幕張へ出向く際にも目撃しており、この時は幕張本郷駅で発車間際の連接バス車中から…という事で、その姿をカメラに捉える事は叶わず、先日ようやくその姿を捉える事が出来た次第です。

「青電」となった3300形電車は、近年各地で登場している各種リバイバル塗装の中でも、随分渋い装いという印象を受けたものです。

3300形はこの装いこそ経験していないものの、そこそこ古い印象を受ける鋼製塗装車だけあり、雰囲気を出すには適任と感じたものですが、地下駅(京成上野)でその姿を見た際には、その場の雰囲気が随分暗く感じると共に、今日の京成電車ならではとも言える青地の行先表示幕は、違和感が否めないと感じたものでした。

ちなみにこのリバイバル塗装は4両1編成のみに施され、4両編成は金町線と千葉線~千原線系統での運行が主体となっていますが、ある程度運用本数は限られるとはいえ、狙って容易に捕獲できる存在ではありません。

京成電鉄ではHP等でも「青電」運行情報の公開はありませんので、なかなか捕まえ難いのですが、3300形自体は廃車も進行しているものの、同形式自体はそこそこの頻度で遭遇する事ができます。

MAKIKYUとしては個人的にさほど乗りたい車両でもありませんので、今回京成高砂駅で遭遇した際は反対側ホームでの撮影のみで、撮影を優先して乗車はしていません。

ただ後続列車で上野へ向かった際には、折り返し列車(金町行)でこのリバイバル塗装編成が停車していましたので、車内の様子を視察する事も出来たのですが、車内は以前の「開運号」リバイバル塗装編成程ではないとは言え、100周年記念に関連した中吊りなどが幾つも見受けられ、乗車もそこそこ楽しめるかと思います。

また京成では今後も3300形の一部編成に、過去の装いを纏った車両を登場させる事を告知しており、今後が楽しみですが、3300形は2両単位での編成構成が可能となっており、4両編成に別の4両編成の片側2両を加えた6両といった編成も容易に組めます。
(最近この様な組替は主に3500形の更新車両で行われており、3300形では余り見かけなくなっています)

最近は運用の関係もあって、3300形が他社線へ乗り入れる姿を見る機会も減少していますが、物理的には相互直通各線への乗り入れも可能な車両です。

3種類のリバイバル塗装が出揃った暁には、「3種類のリバイバル塗装車が2両ずつ+現行塗装2両の8両編成」といったスペシャル編成を実現させ、4社直通運転の特別列車でも走らせれば…とも思いますが、こんな事を期待してしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?

写真は京成高砂駅に停車中の3300形「青電」と、車内に掲示された京成電鉄100周年に関連した掲示の一部です。


小江戸名所めぐりバス~東武バスが運行する観光循環バス

2009-07-24 | バス[首都圏]

  

MAKIKYUは今月に入ってから、埼玉県の川越へ出向く機会があったのですが、その際には「小江戸名所めぐりバス」と呼ばれる観光循環バスに乗車する機会もありましたので、取り上げたいと思います。

この路線は川越市やその周辺の東上線沿線などで、路線バスを幅広く運行している東武バスウエスト(以下東武バスと記します)が、川越駅を起終点として、蔵造りの街並みが残るエリアや喜多院などを廻る循環ルートで運行しており、観光向けに運行しているだけあって、土休日になると運行本数が大幅に増加するのも大きな特徴です。

運賃は一般路線バスと同じく、初乗り170円の整理券方式(運賃後払い)で設定されており、バス共通カードやPASMOでの利用も可能ですが、このバスの運行区間全線で通用する一日乗車券も、300円(初乗り区間を往復乗車するだけでも元が取れます)で発売されており、東武東上線各駅では東上線往復と小江戸名所めぐりバスがセットで割引になった乗車券・小江戸川越クーポンも設定されていますので、かなりお値打ち感があります。

この一日乗車券は小江戸名所めぐりバス以外に、川越駅を起点に本川越駅を経由して各方面へ向かう東武バスの一般路線でも通用するのが特徴(通用範囲は限られていますが、一般的な観光では充分な範囲です)で、バス好きであれば短い距離ながらも、色々な車両に乗車できる事も嬉しいと感じるものです。

ちなみに川越駅・本川越駅~蔵造りの街並みが残存するエリア(最寄りバス停は「札の辻」など)では、東武バスの一般路線が頻発していますので、こちらも利用できる事は非常に有り難く、川越市内で観光向け循環バスを運行している他社(川越市内中心部での一般路線バス運行はなし)にはない大きなメリットと言えます。
(他社の観光向け循環バスも、MAKIKYUは利用した事がないのですが、レトロ調バスの運行や西武線とセットになった乗車券の設定などがあり、利用方法次第ではこちらも利用価値ありかと思います)

また小江戸名所めぐりバスは、レトロ調バスなどの凝った車両はないものの、川越の名所イラストなどを描いた専用の中型ノンステップバス(日野HR)が専属で充当されているのも特徴です。

MAKIKYUが乗車した日は土休日で運行便数が多く、この専属車両だけでは足りない事もあってか、オレンジ色の一般路線車も充当されており、MAKIKYUは中型前後扉の車両にも遭遇したものでした。
(他に大型ノンステップ車などの動員も確認しています)

そのため観光向けの路線にしては、見た目は意外と冴えない印象を受けてしまう部分もあるのですが、充当車両は専用塗装の中型ノンステップ車だけでなく、オレンジ色の一般路線車にもLCDモニターが備えられていたのは関心したものです。
(LCDモニター以外に、既存のデジタル運賃表示器も存置されています)

このLCDモニターでは観光地の映像に加え、停留所名などを日本語だけでなくEnglish・한국어・中国語も含めた4ヶ国語の案内が行われるなど、外国人向けの案内が充実しているのは大きな特徴で、日本国内では外国人を受け入れる体制がまだまだ…と感じる事が多いだけに、この案内は観光向けバスとして大いに評価できるものです。

車内放送も聞き慣れた声の東武バスアナウンス(同様の放送は東武グループ他社や小田急バスなどでも用いられています)の後にEnglish・한국어・中国語の案内が流れたのは印象的(中国語の放送はMAKIKYUには殆ど聞き取れないのですが…)でしたが、LCDモニターでの한국어案内に誤りが見受けられたのは少々残念に感じたもの(한글を読める方であれば、写真のモニター表示は誤りがある事も分かるかと思います)です。

この「小江戸名所めぐりバス」は、川越の観光スポットを廻るには便利な存在で、割安な一日乗車券の利便性などを考えると、東武バスの一般路線と合わせ、利用価値も大きいものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も、川越市中心部に今も残る蔵造りの街並みを散策される予定などがありましたら、是非「小江戸名所めぐりバス」の利用を検討してみては如何でしょうか?

写真は「小江戸名所めぐりバス」専用車両と、同系統に充当された一般路線車両、車内に設置されたLCDモニターの表示です。


京急りんどう号~鎌倉市内を走るレトロ調バス

2009-07-22 | バス[首都圏]

  

先日「MAKIKYUのページ」では、江ノ電1500形「サンライン号」に関して取り上げましたが、MAKIKYUが先日江ノ電に乗車した後は、鎌倉市内で京浜急行バスにも乗車する機会がありました。

その際に乗車したバスは「京急りんどう号」と呼ばれるレトロ調バスで、鎌倉市内の京浜急行バスでは、以前にも同名のレトロ調バスが走っていましたが、このバスは経年で排ガス規制に適応出来ない事もあり、退役を余儀なくされています。

現在の「京急りんどう号」は、その先代車両退役から2年程のブランクを経て、昨年秋から走り始めているのですが、「京急りんどう号」の名称を継承している事などを踏まえると、一旦途絶えてしまった鎌倉市内におけるレトロ調バス運行が、再復活したものとも言えます。

この新たに走り始めた2代目の「京急りんどう号」は、5月に京急ファインテック久里浜工場で開催された「京急ファミリー鉄道フェスタ」でも、他の京急グループで活躍するバス2台と共に展示され、MAKIKYUが同イベントに出向いた際にもその姿を見る事は出来たのですが、同車への乗車は先日が初めてでした。

2代目の「京急りんどう号」は、乗り心地に難のあったトラックベースの先代車両とは異なり、中型路線車をベースとしているだけあって、変わった形状に見える窓も、外からフィルムを貼り付けただけであるなど、見た目はそこそこ見栄えのある車両にしつつも、仕様を極力従来車に合わせているのが特徴です。

居住性もありふれた中型路線車をベースとしているだけあって、一般の路線バスと同レベルと感じたもので、先代に比べると大幅に改善されています。

最近導入された車両だけあってノンステップ車で、バリアフリー面も万全であるなど、見た目は先代車両程のインパクトはないものの、実用面では先代車両より大幅に改善されている車両と感じると共に、京急110周年の年に導入した事もあって、ナンバープレートの登録番号が希望ナンバーで「・110」となっている点も、京急の意気込みを感じるものです。

車内はレトロ調に装飾している事に加え、LCDモニターが装備されているのも、他の京浜急行バスには見られない「京急りんどう号」の特徴と言え、このモニターでは鎌倉の観光地を取り上げた映像をはじめ、鎌倉駅到着時には到着案内なども行われています。

ただ鎌倉は外国人の訪問も多い有名な観光地であるにも関わらず、外国人向けの案内放送やモニター案内などは特に行われておらず、LCDモニターとは別にLED式の運賃表示器も装備されているなど、LCDモニターが余り有効に活用されていないと感じたのは残念なものです。

「京急りんどう号」は鎌倉駅~大仏前間を、他の一般路線バス(京浜急行バスに加え、江ノ電のバスも同区間を並行して運行しています)と同ルートで運行しているとはいえ、観光向けに特化して走らせているバスと言っても過言ではないだけに、外国人向けの案内を充実させる事は、今後の課題なのでは…と感じたものです。
(著名な観光地と言う土地柄を考えると、一般路線バスで英語放送を行っても良い位ですので…)

また「京急りんどう号」は一般路線バスと同額の運賃で乗車可能で、一部の乗り放題系乗車券でも通用範囲に含まれていますので、このバスの運行区間で運行時刻に利用機会があるならば、是非選んで乗車したいバスとも言えます。

しかし大仏前の一つ鎌倉駅寄りにある長谷観音バス停が運賃境界となっており、大仏前~長谷観音間は歩いても大した距離ではない(5分はかかりません)にも関わらず、鎌倉駅~長谷観音間は初乗り運賃(170円)で乗車できるのに、大仏前発着だと僅かな距離で運賃が変わってしまうのは頂けないものです。

MAKIKYUはこの事を知っていて、長谷観音から「京急りんどう号」に乗車したものですが、遠方から観光などで訪れてたまたま利用した乗客が、僅かな距離で運賃が変わる様を見たら…とも感じたもので、外国人向けの案内に加え、鎌倉駅~大仏前間の運賃設定(これは同区間の一般路線にも該当しますが…)も何とかならないかと感じたものでした。
(同社では他に久里浜で東京湾フェリーを利用する際にも、一つ手前の停留所とは僅かな距離にも関わらず、久里浜駅からの運賃が異なるといった事例があります)

写真は2代目「京急りんどう号」とその車内、車内に設置されたLCDモニターです。


江ノ電1500形「サンライン号」~登場当時の装いが久々に…

2009-07-19 | 小田急グループ

 

一昨日MAKIKYUは藤沢へ出向く所用があったのですが、用件を済ませた後は近場ながら、利用機会の少ない江ノ島電鉄(江ノ電)にも乗車してきました。

その際には最近装いを改めたばかりの1500形「サンライン号」にも乗車する機会がありましたので、少々取り上げたいと思います。

1500形は昭和末期の登場ながら、江ノ電では初めてカルダン駆動を採用した車両で、デザイン的には昭和50年代中頃から運行している釣り掛け式駆動の1000形とほぼ同等ですが、外観や車内は良く見ると若干の差異が見受けられるのが特徴です。

装いも登場当時は「クリーム色に赤とオレンジのライン」という独特の装いを施され、「サンライン号」と称されるこの装いは他車両とは大きく異なるだけあって、存在感も抜群でしたが、この装いは長く続かず、その後1000形と同じ「緑と黄緑色」の塗装(この塗装も現在は2000形のみです)となっています。

近年では1500形の装いも、旧型車の装いに近い緑と黄色の塗装に改められたものの、1000形も近年この装いに改められていますので、1000形の一部という印象が否めないものです。

そのため釣り掛け式駆動で独特の走行音を奏でる1000形や、その後登場した特徴的な各形式、そして今は1本だけ残存する古豪300形(残存編成は床が板張り)などに比べると、1500形は中堅格の地味な印象という印象が強く、面白みはイマイチ…と感じるものでした。

こんな状況ですので、1500形と他形式を併結した4両編成がやって来た時は、MAKIKYUは他形式を選んで乗る程で、日常の足としては何ら問題ないとは言え、江ノ電に乗る事自体を目的とする遠方からの乗客も多く、観光的要素も強い路線にしては、芳しいとは言えないものです。

しかし今月に入ってから2編成ある1500形の内、1編成(1501号-1551号)が、1000形30周年記念企画の一環として、登場当時の独特な装いを久々に復元して運行する事になり、近年は地味な印象が否めなかった同形も、一躍脚光を浴びる存在になっています。

江ノ電では「サンライン号」塗装を復元した編成に、その事を記念するヘッドマークを取り付け、駅でも当日のサンライン号充当列車時刻を案内する掲示を行い、記念入場券の発売も行うなど、今回の塗装復元に際しては、かなり力を入れている様に感じられたもので、出来る事なら1501-1551編成は当分この装いで走れば…と感じたものでした。

また一昨日MAKIKYUが「サンライン号」に遭遇した際は、20形と併結した4両編成での運行となっていましたが、登場当時から数年間の「サンライン号」塗装だった頃には同形は登場しておらず、この様な組み合わせはなかなか興味深いものでした。

機会があれば1500形登場当時ではありえない20形以外の他形式各種との組み合わせ(個人的には特に個性的な外観のレトロ電車10形と、1500形登場当時は営業に供されてはいたものの、併結不可能だった古豪300形との組み合わせが面白そうと感じていますが…)も見てみたいと感じたものです。

ただ4両編成だとホーム一杯に停車する事もあって、停車中の撮影に制約が大きいのは難点で、同編成単独で走る姿も…と感じていますが、今回のサンライン号登場で、短いながらも特徴的で、非常に面白い路線を訪れる楽しみがまた一つ増えたもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もサンライン号を目当てに、江ノ電を訪問してみては如何でしょうか?


小田急の検測車両・クヤ31形(テクノインスペクター)に遭遇

2009-07-15 | 小田急グループ

    

MAKIKYUは11日に溝の口まで延伸された東急大井町線に乗車した後は、小田急線にも乗車する機会があったのですが、その際には大和駅下りホームにいた際、ホームの列車案内表示装置に「通過」の2文字が…

大和駅も昔は特急停車駅ではなかったとはいえ、今日では同駅を通る定期旅客列車は全て停車していますので、イレギュラーな列車が通過する事は想像できましたが、最初は試運転列車でも走っているのだろう…と思ったものでした。

その際には同行していた知人と「まさかテクノインスペクターでは…」と冗談半分に話していたのですが、通過した列車は本当にテクノインスペクターを従えた1000形で、事前に運行情報を仕入れていなかった事もあって、いきなりその姿を見た時は随分驚いたものでした。

そんな事もあってこの日は江ノ島線内の何処かの駅で降りて、そこから線に乗り換えて横浜辺りにでも…と思っていた予定を急遽変更し、下り列車で通過したテクノインスペクターを追いかけたのですが、江ノ島線下り列車で終点・片瀬江ノ島駅に到着すると、テクノインスペクターは4番線に停車しており、その様子を観察する事が出来ましたので、少々取り上げたいと思います。

「テクノインスペクター(TECHNO-INSPECTOR)」とは何?と思われる方も居られるかと思いますが、正式には「クヤ31形」と呼ばれる軌道検測と架線検測の機能を備えた総合検測車で、2003年に製造された事もあってか、外見は同時期に製造された通勤型車両・3000形によく似ています。

小田急に搬入されてまもない同年10月の「ファミリー鉄道展」では、まだテクノインスペクターという名称も決まっておらず、ほぼ無塗装状態の姿で公開されています。

MAKIKYUもこの姿はファミリー鉄道展の会場内で目の当たりにしており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、その姿を実際に目撃した方も居られるかと思います。

その翌年に小田急の通勤車両とほぼ同等といえるブルーの帯を纏い、名称確定と共にテクノインスペクターのロゴが付いて本格的な活躍を始めています。

クヤ31形自体は形式の通り電動機を装備していない車両で、自力で動けない事もあり、通勤型車両である1000形のクヤ31形連結に対応した特定編成を従えて検測を行っていますが、先日目撃した際は4両編成の1051Fを従えての運行でした。
(他に6両ワイドドア車の1751F・1752Fもクヤ31形連結に対応しています)

この1000形を従えたクヤ31形は、MAKIKYUも走行中の小田急線列車内などからその姿を目撃する事は何度かあったのですが、非営業列車である上に運行頻度も限られる事(概ね月1回程度は運行している様です)から、停車中に様子を伺う機会は極めて限られています。

そのため月に数回程度は小田急線を利用する機会のあるMAKIKYUも、特にクヤ31形の運行情報を仕入れて…という訳ではなかった事もあって、MAKIKYUがその姿をしっかりと観察できたのは、搬入直後の「ファミリー鉄道展」以来という有様でした。

一般車両とは大きく異なるクヤ31形の様子は、一般客からも注目の的となっており、その時丁度1番線に発車待ちで停車していた特急ロマンスカーの乗客も変った車両が…という事で注目していたのが印象的でした。

ちなみにMAKIKYUがクヤ31形(テクノインスペクター)を観察した際には、ホームに停車中という事もあって、下回りの様子こそ伺えないものの、車内の様子も伺ったのですが、2箇所だけある窓はカーテンが閉められ、その様子はドア付近など僅かしか伺えなかったのは少々残念に感じたものでした。
(車両の性質を考えれば、僅かに様子を伺えるだけでも上等過ぎるのですが…)

ドア付近の様子を伺った限りでは、車内に入った途端に床が1段高くなっており、ドアが開くとステップもなく1段高くなった床が現れるのは、少なくとも日本国内の営業用車両としては考えられず、検測用車両という特殊性が伺えます。

外見が3000形電車とよく似たドア自体も、検測車両でありながらも一応化粧板張りとなっていたのは意外に感じたもの(最近首都圏ではコストダウンのため、客ドアの化粧板を省略して金属地剥き出しとした簡素な印象を受ける車両も多い状況ですので…)です。

ただ検測用車両で内装は凝ったものとする必要が全くない事もあり、化粧板はアイボリー無地の様に見受けられ、その簡素な内装はJRの東北地区で多数が活躍し、交流電化区間のみで運用されるワンマン運転対応の通勤型電車を連想させられたものです。

冷房装置は外観が比較的近年引退した(旧)4000形を連想させられるもの(転用品?)を搭載していますが、車内もこの空調装置の部分だけ(旧)4000形の冷房改造後の如く、船底形に出っ張っているのも特徴です。

運転台とは逆側にあるパンタグラフも、走行用の電力を得るためではなく、架線検測用とはいえ、下枠交差形のひし形となっており、小田急では通勤車両は古い車両で車齢30年を超え、古参の部類に入る5000形ですらシングルアーム形になっている事(ロマンスカーもシングルアーム式を装備した車両が主流です)を考えると、この冷房装置やパンタグラフや様は、比較的新型の部類に入る3000形に類似した印象の車両らしくない…と感じたものです。

車両端部に目を向けると、こちらは3000形によく似た非貫通構造の先頭部とは異なり、貫通路が設けられているのが特徴で、ここには幌の装備はないものの、前面中央に貫通路が設けられている2000形までの小田急通勤車各形式の如く、扉脇に手すりが設けられています。

さすがに走行中は無理かと思いますが、停車中であれば車外へ降りなくてもクヤ31形と1000形の間を行き来する事も可能となっており、駅ホーム停車中の事を考慮してか、クヤ31の連結面には転落防止の外幌が設けられている事も特徴です。

またクヤ31形は専ら検測用途に用いられ、旅客を乗せて走る事はまず考えられない事から、行先を表示する必要も当然生じませんが、前面は3000形とほぼ同等の形状となっている事から、「検測」の2文字が固定表示され、それもLEDではないものの、3色LED風となっているのも特徴的です。

そして側面も行先表示器こそないものの、3色LED風の「検測」表示ステッカーが貼られており、この様は最近のKATO製Nゲージ鉄道模型(全てではありませんが…)を連想してしまったものです。

このクヤ31形・テクノインスペクターは主に週末に運行される様で、こんな車両が白昼堂々と走る姿は非常に特徴的ですが、ダイヤはある程度決まっている様で、江ノ島線に入線した際には、終点の片瀬江ノ島駅で結構長い時間停車する事多い様です。

テクノインスペクターの走る姿には、余程運用情報などを丹念に調べていない限りは、なかなか遭遇できないものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も運良く遭遇する機会がありましたら、是非特徴的なこの車両の様子を観察してみては如何でしょうか?

それと他社の検測車両も、MAKIKYUはJRのキヤ141形とすれ違った事などがあるものの、停車中の様子を存分に観察する機会はなかなかないもので、機会があれば他社の検測車両を観察する機会も…と思ったものでした。


大井町線・溝の口延伸~通過駅が存在する「緑色の各駅停車」も登場

2009-07-12 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

  

昨日東急田園都市線二子玉川~溝の口間で、複々線に線増された線路が使用開始となり、これに伴ってダイヤ改正が実施されて、今まで大井町~二子玉川間を運行していた大井町線列車の大半が、溝の口まで延伸された事はご存知の方も多いかと思います。

複々線での運行開始前にも、入出庫などで二子玉川から田園都市線に乗り入れ、鷺沼を発着する列車などが存在していましたので、全くの新規路線という訳ではないのですが、今回の改正では殆どの列車が溝の口まで延伸運行となっており、実質的に大井町線が溝の口まで延伸されたといっても過言ではない状況です。

是によって溝の口~二子玉川間の輸送力は大幅に増加していますが、溝の口延伸運行初日となった昨日、MAKIKYUも大井町線電車に乗車して溝の口まで足を伸ばす機会がありましたので、少々取り上げたいと思います。

今回の溝の口延伸では、二子玉川~溝の口間はやはり東急の2路線並行区間で、実質的に複々線となっている東横線&目黒線の田園調布~日吉間の様な路線別ではなく、線路を緩行線(外側)・急行線(内側)に分離しているのが特徴となっており、この事もあって途中の二子新地・高津の両駅は緩行線のみにホームが設けられているのが特徴です。

そのため大井町線の急行は当然内側の線路を走行するのですが、大井町線の列車は普通系列車である各駅停車も、内側の線路を走行する列車が大半を占めるのが特徴(昼間の半数は外側線を走行)となっています。

二子玉川~溝の口間で内側の線路を走行する各駅停車は、二子新地・高津ではホームのない線路を走る事もあって、両駅は通過扱いとなっており、「各駅停車」を名乗りながらも各駅に停車せず、通過駅が存在する列車となっています。

東急側は二子新地・高津の両駅に停車する大井町線各駅停車を「青色の各駅停車」(種別表示が青色・この色の各停表示は東横線などでも使用)、二子新地・高津の両駅を通過する大井町線各駅停車を「緑色の各駅停車」(種別表示が緑色・大井町線独特の表示)として、二子新地・高津両駅に停車するか否かを判別できるようにしています。

とはいえ「○色の各駅停車」という案内は非常に違和感がある上に、「各駅停車(各停)」でありながら、各駅に停車しない(通過駅が存在)というのは非常に可笑しな話で、これならいっそのことJRなどで一般的な「普通」という種別を名乗った方が…と感じたものです。
(JRなどは「普通」でも地域によっては、通過駅が設定されている列車も存在していますが、こちらは必ず各駅に停車するという意味合いの用語ではありませんので、通過駅があってもさほど違和感はありません)

また大手私鉄でも南海線・高野線の2路線が、ターミナル駅のなんば周辺で並行して複々線となっている南海電気鉄道では、高野線のみにホームが設けられている今宮戎・萩之茶屋両駅に停車する高野線の普通系列車では種別に「各停」を用い、今宮戎・萩之茶屋両駅を通過する南海線の普通系列車では「普通」を名乗る事で識別する方法を採用している程です。
(余談ながら関西では阪急電鉄も、3複線となる梅田~十三間にある中津駅は宝塚・神戸両線の普通系列車のみ停車となっており、京都線はホームが設置されていない事もあって全列車通過扱いですが、こちらは中津停車の有無による種別表示の識別こそ行っていないものの「普通」種別ですので、違和感はさほど感じません)

そのため今回の大井町線溝の口延伸に伴い、二子新地・高津両駅を停車する普通系列車と、この2駅を通過する普通系列車は、「各停」と「普通」に分けて案内すれば、わざわざ「○色の各駅停車」といった違和感のある奇妙な案内をせずに済むのでは…と感じたものでした。

今回の大井町線溝の口延伸では、紛らわしく違和感のある種別案内は問題ありと感じ、この点は今後改善される事を願いたいと感じたものです。

とはいえ近年運行開始となった大井町線急行と共に、大井町線の利便性が今までより大幅に向上した事は確かで、新形態での運行となった大井町線の安定した運行と共に、今後大井町線の利便性向上に伴う田園都市線利用者の大井町線へのシフトと、これによる田園都市線の混雑緩和にも期待したいと感じたものです。

写真は今回の大井町線溝の口延伸の象徴とも言える「緑色の各駅停車」と、複々線化された二子玉川~溝の口間を「緑色の各駅停車」に乗車中のワンシーン、車内に掲出された大井町線溝の口延伸に関する案内(「緑の各駅停車」と「青の各駅停車」に関する案内もあり)です。


函館市交通局 8100形電車~旧型車を車体更新した部分低床車

2009-07-10 | 鉄道[北海道]

 
先日「MAKIKYUのページ」では、函館市交通局(市電)で活躍する最新鋭の全低床車・9600形「らっくる」に関して取り上げましたが、先月MAKIKYUが函館を訪問した際には、「らっくる」以外に部分低床車にも乗車する機会がありました。

この部分低床電車が8100形と呼ばれる車両で、「らっくる」と共に車椅子乗車にも容易に対応できるメリットを生かし、2つある低床車限定ダイヤ(どっく前発着と谷地頭発着それぞれ1ダイヤ・車両検査時などは一般車両による代走)に隔日充当されています。

8100形は「釣り掛け駆動の旧式車両を車体更新した低床車」というのが大きな特徴で、車体のみを新品に載せ換え、下回りは旧型から転用した路面電車用車両は函館市電をはじめ、国内各地で多数走っていますので、車体更新車自体は路面電車としては特に珍しい存在とは言えないものの、これが低床車ともなれば国内では他に類がなく、非常に珍しいと言えます。

しかも8100形は台車も旧型車の再用品を用いており、この部分の車高は他の旧型車や車体更新車などと同等にも関わらず、乗降扉付近のみをノンステップの低床部としています。

そのため車内通路には2段の段差が介在し、こんな特異な構造の電車は日本各地を探しても函館市電だけ(前後扉に1段のステップと、ノンステップで乗車可能な中扉の間で、緩やかなスロープが存在する電車は少数ながら他都市の路面電車で存在しており、MAKIKYUも乗車した事があるのですが…)ですので、乗車した際のインパクトは相当なモノがあります。

また旧型車の下回りを転用する事で、新車導入よりも安価に低床車を導入でき、車椅子乗車にも容易に対応できるメリットもあり、この車両にはPRも兼ねてか、「車椅子対応」と大きく表記されている程です。

しかしながら函館市電は整理券方式のワンマン運転を行っており、乗客は基本的に車内を後→前へ移動する必要があり、その際には通路の段差を2段上がり、そして2段降りる必要がある上に、中扉より後部に乗車した場合は下車時に段差を下がって上がり、更に下がる事になります。

そのため「車内は段差だらけ」と言っても過言ではなく、足の不自由な乗客には一般車両以上に乗り降りが厄介な上に、そうでなくても走行中に車内を動き回ると転倒しやすいなど、危険極まりなくデメリットも大きいですので、当初は部分低床車を次々と登場させる予定だったものが、増備計画取り止め→全低床の新車導入へ計画変更を余儀なくされた程です。

こんな車両ですので、函館市電で今後同種車両が増える事や、他事業者で同種車両が登場する可能性は極めて低いと言え、趣味的には非常に興味深い存在ですが、1両だけの異端車として活躍し続ける公算が高そうです。

とはいえ広島電鉄の朝ラッシュ時や連接車両などの様に、車掌乗務で前・中(or後)の双方の扉から乗車できる方式を用いれば、車内での段差移動の問題もある程度解決でき、運用方法次第ではこの種の車両を導入するのも悪くないかもしれません。

ただ最近各地で続々と登場している低床車の中でも、松山の伊予鉄道で活躍している様に台車を車両両端に寄せた単車で、台車間を低床部として乗降扉もこの部分に配置した車両であれば、収容力は劣るものの旧型車更新でも対応可能ですので、もし今後何処かで旧型車更新の低床車が登場するのであれば、函館市電8100形の再来ではなく、「伊予鉄タイプの低床車で旧型車の機器流用車」が出てこないものか…と感じたものでした。

写真は「車椅子対応」と大きく表記されているのが特徴の外観と、段差だらけの特異な構造をした車内の様子です。


函館市交通局9600形電車「らっくる」~北海道初の全低床路面電車

2009-07-07 | 鉄道[北海道]

   

MAKIKYUが先月初めに青森・函館を訪問し、それからもう1月が経過したのですが、先月函館を訪問した際には函館市内で市電の新型低床路面電車に乗車する機会もありましたので、取り上げたいと思います。

この車両は一昨年導入され、9600形という形式と共に、「らっくる」という通称もあります。

最近各地の路面電車で導入されている低床の新型車は、従来から国内の路面電車を手がけてきたアルナ車両が手がけた「リトルダンサー」シリーズと、外国勢(日本で組み立てなどを行うものも含めて)に2分されていますが、函館の車両は前者の部類に入ります。

「らっくる」は北海道では初の全低床電車であると共に、馬車軌(軌道幅1372mm)の路線では初めてのノンステップ低床車にもなっています。
(馬車軌の路面電車は他に東京の2路線があるだけで、この2路線は路線の性質上、ノンステップの全低床車を導入する必然性がありませんので、当然の成り行きといえばそれまでですが…)

全低床車の構造上単車での製造は困難な事もあってか、函館市電では唯一の2車体連接車になっているなど、函館では初物づくしといった感のある車両となっています。

車内には最新型らしく運賃表示機の役割も兼ねたLCDモニターも設置されるなど、冷房装置すらない昔ながらの古参車が今も多数行き交う函館市電の状況においては、斬新過ぎる印象を受けたものです。

ちなみに函館市電は日本の路面電車では典型的な運賃収受方法で、距離に応じて運賃が変わる整理券方式(中乗り前降り)を採用している事もあり、車内を後→前へ移動する事が不可欠となります。

この事もあってクールな印象を受ける車内は、ロングシート主体の座席配置で通路を移動する事を考慮したレイアウトと言えますが、機器配置の関係で出っ張りが生じる運転席背後の部分にクロスシートを配置しているのも特徴です。

運転席背後のクロスシートは、構造上の問題もあって1段高くなっているのですが、絶好のポジションという事もあって走行中の様子を眺めるにも最適で、特等席とも言っても過言ではないと感じたものです。

また「らっくる」は前扉(運転席脇にある降車扉)のみながら、乗降扉に折戸を採用している事や、運転台もワンハンドルマスコンではなく、一般的なツーハンドル(路面電車の新型車両では、他に東京の都電荒川線が該当し、偶然ながら両線は数少ない馬車軌の路線という共通性もあります)となっている点などは、国内各地の低床路面電車に乗車しているMAKIKYUとしても、物珍しさを感じたものです。

この「らっくる」は運行ダイヤが限定されているとはいえ、まだ1本のみの希少な存在ですので、なかなか捕獲し難い状況ですが、今後増備が行われるのか否かも気になる所です。

今後の末永い活躍に期待すると共に、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も函館を訪れる機会がありましたら、是非一度乗車してみては如何でしょうか?


寝台特急「あけぼの」号(5)~A寝台「シングルデラックス」編

2009-07-05 | 鉄道[東北]

 

「MAKIKYUのページ」では、何度かに渡って寝台特急「あけぼの」号に関して取り上げていますが、今日はその最後としてA寝台「シングルデラックス」車内の様子に関して取り上げたいと思います。

この車両は「あけぼの」号に1両だけ連結されているA寝台車で、同列車では最高級のグレードを誇る車両となっており、客室通路を歩いているだけでも、他の車両との差別化が図られている様に感じられたものです。

寝台は「シングルデラックス」という名前の通り1人用の個室となっていますが、個室内には補助ベッドが備えられています。

MAKIKYUは空室となっている個室の様子を覗いただけですので、補助ベッドを使っている様子も目撃出来ていないのですが、2人での利用も可能となっているのが特徴です。

ただシングルデラックスの寝台料金自体が13350円と、B寝台の2倍以上となる上に、補助ベッド利用でも9540円の追加料金がかかり、その上「あけぼの」号が利用可能な割引率の高い各種フリーきっぷでも、料金が別途必要(運賃部分のみ有効)という状況です。

そのため「あけぼの」号で個室を利用したいものの、2人組での利用で…といった場合や、高い料金を払ってでも少しでも広い空間を…というのでなければ、さほど利用価値の大きい車両とは言えず、料金的に割高な事もあって利用率はあまり芳しくなく、空室が目立っている様に見受けられました。
(MAKIKYUが乗車した日は繁忙期ではなく、ソロすら空室が幾つも見られる状況でしたので当然といえばそれまでですが…)

「あけぼの」号の性質を考えると、北海道への寝台列車の様な観光向けに特化した列車ではなく、列車乗車自体を目的とする乗客は限られる列車だけに、B寝台の方が利用率が高くなるのは当然といえ、あまり利用率が高くないのは致し方ないのかもしれません。

とはいえ各種フリーきっぷでB寝台は開放室だけでなく1人用個室「ソロ」も利用可能になっている事や、開放室B寝台の一部は「ゴロンとシート」として指定席特急料金で利用可能としている事など、運用面での工夫で「あけぼの」号全体の利用率向上を図っている中で、この車両はあまり目立ったテコ入れが行われず、利用率も…という印象を受けたものですので、閑散期限定でも割引価格設定や、フリーきっぷ利用でB寝台との差額支払いで利用可能とするなどの施策を行い、利用率向上を図る事は出来ないものか…と感じたものでした。


寝台特急「あけぼの」号(4)~B寝台開放室編

2009-07-02 | 鉄道[東北]

   

先月MAKIKYUが乗車した寝台特急「あけぼの」号に関しては、既に何度か「MAKIKYUのページ」でも取り上げていますが、今日はB寝台開放室の様子に関して取り上げたいと思います。

「あけぼの」号は通常8両連結されている寝台客車の中で、1両のA寝台個室車を除く7両がB寝台車となっており、その中で1人用個室「ソロ」の2両を除く5両が開放室B寝台となっていますので、所定編成の過半数を占めています。

この開放室B寝台の客車外観は以前の記事で取り上げ、その車両形態はよくここまで違う車両ばかりを…と思わせる有様ですが、客室の様子は車掌室の有無とそれに伴う寝台数・定員の違い以外には大差ないものとなっています。

設備的にも座席モケット程度は変わっていても、国鉄時代からの設備をほぼそのまま保っており、車内には今や列車内で見かける機会も少なくなった冷水機&紙製の簡易カップ(?)なども健在です。

製造から30年程度が経過した今日においては、就寝時もカーテンで仕切られただけの空間でありながら、乗車券+特急料金に加えて6300円もの寝台料金(B寝台2段式の場合は、基本的に上下共この料金で同額です)を要します。

「あけぼの」号は1人用個室「ソロ」を2両連結し、こちらも寝台料金は同額である事を考えると、国鉄時代さながらの雰囲気を楽しみたい方や、個室の閉塞感を嫌う方、それと複数人でのグループ利用などを除くと、個室満室時以外には余りおススメできない状況です。

そのためB寝台開放室の利用状況は個室に比べて芳しくないですが、座席車とは異なるゆったりとした雰囲気は寝台車ならではで、一部車両は羽後本荘~青森間で特急座席車扱い(下りは立席特急券=定員を限定しているものの、実態は号車指定の自由席:上りは指定席)としていますので、夜が明けた後(下りの場合)は「ソロ」利用でも狭い個室から抜け出し、こちらへ移動した方が快適に感じる程でした。

ちなみに下り「あけぼの」号で立席特急券の利用対象号車は、「ソロ」の隣に連結されている4号車で、座席(寝台)が埋まっていた場合でも、通路部分に設けられた折り畳み座席に腰掛けながら、移り行く車窓を眺めるのも悪くないものです。

またB寝台開放室は設備的に個室と大きな格差が出る事もあって、一部車両は「ゴロンとシート」として寝台扱いではなく、リネン類の設備を省略して普通車指定席扱いとして運用しているのは、他の寝台列車にはない「あけぼの」号の大きな特徴となっています。

この車両は他の一部寝台列車で特定の区間(専ら起終点付近:夜が明けた後の運行区間など)のみ乗車券+立席特急券or指定席特急券で乗車可能な取り扱いを、深夜帯も含めた全区間に拡大したものと言え、5両のB寝台開放室中、2両が「ゴロンとシート」となっています。

「ゴロンとシート」は設備的に他のB寝台開放室車と大差ないものの、キャラクターのイラストが描かれた「ゴロンとシート」車である事を示したステッカー付きの車両が用いられており、基本的に運用車両は限定されている様です。

 
その内1両は女性専用車「レディースゴロンとシート」になっているのですが、この車両はキャラクターのステッカーもしっかりと「レディ」になっているのも特徴です。

この車両は旧態依然とした開放室B寝台車ながらも、夜を越すのに体を倒せるのか否かでは疲労度も大きく変わる事もあり、座席(指定席)扱いで乗車できるとなればかなりのお値打ちだけあって、B寝台開放室と異なり、利用率が高く指定券も取り難い車両となっています。

その上1利用当りで算定される寝台料金と異なり、指定席特急料金は短距離では比較的割安になり、MAKIKYUが「あけぼの」号を利用した際には酒田からの利用も見かける程(さすがに6300円の寝台料金を要するのであれば、下り列車に酒田から乗車する事はまずないと思います)でした。

「ゴロンとシート」の盛況振りを見れば、寝台列車も運用方法次第ではまだまだ利用が見込めるのでは…と感じると共に、この場合は一つの寝台を区間毎に発売する事で利用効率を向上させる事も可能(中国などでは1つの寝台を区間毎に発売する事も行われていますが、日本ではリネン類を用意する都合などもあり、寝台車は立席特急券での利用などを除いて1泊=1人の利用が原則です)ですので、これなら定員を確保できる3段寝台車が今も残っていれば…と感じた程です。

ただ「あけぼの」号は「ゴロンとシート」設定をはじめ、割引率の高い各種フリーきっぷでのB寝台車利用が可能であるなど、旧態依然とした雰囲気の強い列車でありながらも、運用方法の工夫で今日の情勢に見合う列車としている点は評価できるものですが、MAKIKYUが依然立席特急券で大館~弘前間などを利用した際には秋田以北で乗務していた車内販売が、現在は廃止されている点は要注意です。

また当然ながら食堂車などの連結はなく、それどころか自動販売機での冷凍食品程度の併食設備すらない上に、途中駅の停車時間も比較的短い(下り列車では一応秋田駅で多少の停車時間が確保され、車内で売店の案内も流れるのですが…)など、食料確保が厄介な列車である事は、北海道方面へ向かう一部列車を除いた他の寝台列車と同様です。

そのためこの様な事を知らず、食料の持ち合わせもない乗客は、夜が明けてから朝食になかなかありつけず、一度利用したら空腹に懲りて…という事態にもなりかねないと感じたのは困ったもの(一応駅構内の放送で車内販売などがない事はアナウンスされていますが…)です。

「ゴロンとシート」の様な粋なサービスを展開する列車だけに、余りコストがかかる事は難しいにしろ、夜が明けてからの秋田駅停車時間をもう少し確保するか、冷凍食品の自動販売機(夜行フェリーなどでは良く見かけます)を設置するなど、何らかの一工夫が欲しいと感じたものでした。

「あけぼの」号に関しては、A寝台個室の様子に関しても別記事で近日中に取り上げたいと思います。