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くま川鉄道・KT-31形気動車~JRから移籍した異色の存在

2010-06-30 | 鉄道[九州・私鉄等]

 

昨日「MAKIKYUのページ」では、くま川鉄道のリニューアル気動車「KUMA」に関して取り上げましたが、くま川鉄道では「KUMA」を含め、現在定期列車で使用される車両は、1両を除くとNDCと呼ばれる軽快気動車で占められています。

しかし例外的存在と言える車両が1両だけ存在しており、この異色の存在と言える気動車が、KT-31形と呼ばれる車両です。

くま川鉄道では以前、肥薩線の優等列車がキハ58形などによる急行列車だった頃には、朝の通学時間帯にJRの急行形車両を間合いで増結し、NDCと併結して運転するという、他ではなかなか見られない編成が見られた事でも有名でした。

しかしながら九州新幹線開業と共に行われたダイヤ改正で、肥薩線の優等列車が急行→特急に格上げとなった際には、車種も特急形のキハ185形に変更され、そのままではNDCと併結出来なくなっています。
(四国では一般型に転用されたキハ185形が、他の一般型気動車と併結運転を行った事例が存在しますので、その気になれば不可能ではないはずですが…)

そのため朝の通学時間帯における輸送力確保策として、くま川鉄道ではJR優等車両の間合い運用に代わる代替策が必要となり、JR車両乗り入れの代わりに自社車両を増備する事になっています。

とはいえ第3セクター鉄道だけあって新車増備は容易でなく、JRの一般型気動車1両が移籍する事で、自社車両保有数1両の増加(それでもJR優等車両乗り入れ時は2両が乗り入れていましたので、1両の減車になります)を実現しています。

このJRからの移籍車両がKT-31形と呼ばれる車両で、JR九州で活躍中のキハ31形1両が、帯色だけを改めてくま川鉄道に移籍したといっても過言ではない車両ですが、多数のNDCに紛れて1両だけの活躍ですので、余所者がふらりとくま川鉄道を訪れて狙っても、当たるかどうかは運次第です。

MAKIKYUも以前に姿を見た事はあったものの、この車両への乗車は今月が初めてで、乗車した列車は単行ワンマン列車だったものの、通学時間帯などでは他のNDC(勿論「KUMA」が含まれる事もあります)と併結した彩り豊かな編成を見る事もでき、これも趣味的には面白いものです。

このKT-31形は、車体長17mとJR車両にしては小柄な部類に入るものの、NDCばかりのくま川鉄道では最も車体長の長い車両であると共に、唯一のステンレス製車体を持つ車両で、製造がくま川鉄道発足前の昭和生まれというのも特徴です。

車内も座席も転換式クロスシートを装備(座席の背もたれは転換可能ですが、専らボックス配置で用いられており、せっかくの機能は余り活用されていない様です)するなど、他の車両に比べてハイグレードな設備は、くま川鉄道の他車両とは大きく異なるもので、「KUMA」の様な派手さはないものの、列車好きが見れば非常に目立つ車両と言えます。

またキハ31形は国鉄分割民営化直前に大半が製造され、くま川鉄道に移籍した車両もこのグループに属しますが、JR九州の国鉄から継承した一般型気動車の中では最も新しく、JR化後に登場した新形式を含めても中堅格といった所です。

そのためKT-31形となった1両以外は、全てJR九州でローカル輸送に従事しており、くま川鉄道移籍車はキハ31形の中でも、極めて異色の存在と言えますが、JR九州ではもっと古いキハ40系列がゴロゴロしており、近年JR九州で観光列車用に改造される車両の種車も、近隣の肥薩線を走る「いさぶろう・しんぺい」号や「はやとの風」号の車両は、経年車で数も多いキハ40系列が用いられています。

これらの観光列車は、予想を超える人気ぶりに増車が相次ぐ状況ですが、この増車には片運転台で単行運転が不可能な事もあって、他の一般型気動車に比べ使い勝手の悪いキハ47形が次々と種車に充てられています。

JR九州で持て余し気味の一般型気動車はこの形式位…と言いたくなる程ですので、通学時間帯の輸送力を確保するための増結用途に限定するのであれば、キハ47形でも充分だったはずです。

昼間時間帯の単行運転などにも使う事を考慮しても、キハ40形を譲渡する方法もあっただけに、くま川鉄道への移籍話を聞いた時には、よくJR九州も古いキハ40系列ではなく、キハ31形を供出したと感じたもの(様々な事情が絡んでいるかとは思いますが…)ですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?


くま川鉄道のリニューアル車両「KUMA」~テーマ性はやや弱い気も…

2010-06-28 | 鉄道[九州・私鉄等]

MAKIKYUが今月熊本県南部の人吉まで出向いた際には、人吉を起点に球磨盆地を走る第3セクター鉄道・くま川鉄道にも乗車する機会がありました。

このくま川鉄道ではJR九州湯前線からの転換時以来、今日に至るまでずっと新潟鉄工(現新潟トランシス)製のNDCと呼ばれる軽快気動車が用いられています。

その後1両だけJRから購入した中古車両(キハ31形)を除くと、現在のくま川鉄道の旅客列車で活躍する車両は、全てNDCで占められている状況です。

NDCも初期の車両では登場から20年を迎え、日本の鉄道車両にしては比較的簡素な部類に入る車両と言う事もあってか、九州内の他第3セクター鉄道では、同形NDC車両の老朽置き換えも行われている程で、比較的新しい気動車という印象のNDCも今やベテラン、年季を感じる車両も多く見られる様になり、くま川鉄道で活躍するNDCも例外ではありません。

そのためくま川鉄道転換時からの装いで活躍するNDCは、もうそろそろ何らかの手を施した方が…と感じてしまうのですが、くま川鉄道ではJR九州の「SL人吉」号運行と時期を同じくしてNDCのリニューアル車両を登場させており、このリニューアル車両が「KUMA」と呼ばれる車両です。


「KUMA」はKUMA-1・KUMA-2の2両が活躍しており、種車はくま川鉄道に在籍するNDC2形式(KT-100・KT-200)それぞれから1両ずつという事もあり、座席配置は種車同様に一方がセミクロス(「KUMA-2」・KT-103)、もう一方がオールロングシート(「KUMA-1」・KT-203)になっています。

このリニューアルではJR九州などで有名な某デザイナーが絡んでいる事もあり、車両内外の雰囲気はJR九州の車両に近い印象を受けるもので、深緑色となった車体の随所に書かれた英文字やロゴや、木材をふんだんに使用した内装などに、その特徴がよく現れています。

 
車内に足を踏み入れると、元がNDCという簡素な車両にしては随分インパクトのある仕上がりとなっており、NDC自体は全国各地のローカル線で活躍していますが、これだけ強烈な印象を受けるNDCは…と思う程で、とても鉄道車両とは思えない様な形状のロングシートが幾つも並ぶ様は、某デザイナーが手がけた車両ならではといった所です。

「KUMA-2」の方にだけ設置されているクロスシートも、ロングシートとの境界となる部分だけ、木製仕切りが上方向に伸びて半個室風となっているのが特徴で、独特な雰囲気を漂わせています。

クロスシート(ボックス席)は、座席自体は「SL人吉」号に近い雰囲気を受けるもので、座り心地も普通列車用車両としては充分なものですが、グループ利用などを想定して木製テーブルが設けられている事も、大きな特徴となっています。


この木製テーブルは展開する事で結構な大きさとなり、グループ利用で弁当を拡げる時などは便利そうですが、比較的大きなサイズと言う事もあってか、同じデザイナーが手がけ、近隣を走るJR九州の観光列車「いさぶろう・しんぺい」号用改装車の如く、テーブルの脚が床まで伸びています。

そのためボックス席の足元がやや窮屈に感じるのが難点ですが、「KUMA-2」自体がセミクロスシート車で、ロングシートという選択肢も用意されている事を考えると、充分許容できるものとはいえ、くま川鉄道が観光利用よりも生活路線としての役割が大きい事を踏まえると、大きなテーブルは存在意義自体が怪しいかもしれません。

 
また「KUMA-1」では人吉球磨地方の自然、博物館をモチーフにした 「球磨の自然」列車、「KUMA-2」では人吉球磨の見所をイメージした「球磨の観光」列車というテーマ性を持たせており、植物のアクリル封入標本などは特徴的ですが、個性の強い某デザイナーの車内外デザインも影響してか、2両それぞれのテーマ性はやや弱い様に感じてならないのは残念な所です。

この「KUMA」は目玉車両だけあって、人吉温泉駅(=JR人吉)では当日の充当列車を示す案内板まで設置されている程ですが、くま川鉄道では一応「SL人吉」号接続列車に優先充当する以外は、一般の普通列車に充当(くま川鉄道ではそれ以外の列車は存在しないのですが…)しています。


そのため「KUMA」はMAKIKYUが乗車した際、やや「惜しい」と感じる難点もあるものの、かなり大胆なリニューアルを施した車両にも関わらず、優等列車や特別車両扱いではなく、普通運賃のみで乗車できる点は大いに評価すべきものです。

一般車両と同じく、普通列車として活躍している事を考えると、くま川鉄道乗車時は是非「KUMA」の方に乗車したいもので、当たるかどうかは運次第です。

とはいえくま川鉄道では3両程度での運転も多い事を考えると、真っ先に目に入った車両が違う車両でも、他の車両へ足を運ぶと…という事もありますので、2両以上の編成を組む列車に乗車した場合は要チェックです。

またMAKIKYUが乗車したのは、原則として「KUMA」が充当される「SL人吉」号運転日のSL接続列車でしたが、それでも地元学生の利用は多く見られたものの、遠方からの観光客と見られる乗客の姿は、少なく感じたのは残念な所でした。

「SL人吉」号運転開始と共に、肥薩線の観光利用は増加しながらも、JRの観光列車だけを乗り継ぐ利用形態も多い様で、人吉市内や周辺の球磨盆地一帯にはSL利用の観光客は余り…と言われていますが、「KUMA」はJR九州の観光列車に劣らない列車と感じただけに、もっと注目されても良いのではと感じたものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も、有名なJR九州の観光列車などで人吉を訪れる機会がありましたら、是非くま川鉄道にも足を伸ばし、大きく様変わりした軽快気動車「KUMA」にも乗車してみては如何でしょうか?


成田スカイアクセス開業が近づき、様々な情報が…

2010-06-27 | 北総監獄

来月17日には成田スカイアクセス(京成成田空港線)が開業予定となっており、これに伴い直通運転を行う都営浅草線関連各線区で大規模なダイヤ改正が行われる事は、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も、ご存知の方が多いかと思います。

この成田スカイアクセス開業では、最高速度160km/hを誇る新型スカイライナー(AE形)の運行も開始されますので、大きな期待を抱いている方も多いかと思います。

 
成田スカイアクセス開業まで1ヶ月を切った今日では、試運転も最後の山場を迎えており、MAKIKYUもつい先日所用で首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)に出向き、余りに高額過ぎる運賃で悪評名高い彼の地を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)を利用した際にも、試運転列車の姿を幾度も目撃したものでした。

先日「開発を止めた某鉄道」を利用した際、駅に置かれていた「京成らいん」(京成の月刊広報誌)を見ても、今回は新型スカイライナー(AE形)が非常に目立つ形で表紙に用いられ、「始動。」とタイトルが記された表紙を見ると、成田スカイアクセス開業が近づいてきた事を実感させられたものでした。
(ちなみに「開発を止めた某鉄道」が季刊で発行している「ほくそう」の方は、今回は製作に手間取っており、来月になってから出てくる様です)


今回の「京成らいん」は、著名人登場のコーナーにAE形のデザイナーを登場させる辺りも、成田スカイアクセス開業を控えた今日ならでは…という所です。

そして「開発を止めた某鉄道」と共に利用した京成線の駅では「京成らいん」と共に、ダイヤ改正の概要を記した案内が置かれており、こちらにはHPで公開している概要よりも、やや踏み込んだ事も記されていました。

中には失望せざるを得ない内容もあったのは残念な限りで、成田スカイアクセス(京成成田空港線)は余りに高額過ぎる事で悪評名高い「開発を止めた某鉄道」の運賃体系をほぼ踏襲しているため、大手私鉄にしては際立つ運賃の高さが大きな特徴になっており、「現行の京成本線に有効な定期券・回数券は成田スカイアクセス線ではご利用いただけません」というのは予想通りです。

これに加えて回数券の発売に関して、割引率の高い「時差回数券および土・休日割引回数券の発売はいたしません。」という記述が見られたのは呆れた限りです。

都心方面からの空港利用旅客などは、回数券を利用して恒常的に成田スカイアクセスを利用する事は考え難く、チケットショップなどで回数券をバラ売りされるなら…という事もあるのかも知れません。

しかし成田スカイアクセス開通と共に開業する成田湯川駅は、ただでさえ列車本数の少なさや運転間隔のバラツキ、運賃の高さなどで使い勝手が悪く、駅周辺の成田ニュータウン住民は近くの駅を使わず、成田スカイアクセス開業後も頻発する千葉交通バスで成田駅へ抜け、既存ルート(京成・JR)を使うケースが多くなりそうにも関わらず、沿線利用のテコ入れにはどれだけ関心があるのか?と感じてしまうものです。

開発を止めた某鉄道」では、既存乗車券の発売中止告知はありませんので、北総監獄住民が都心方面へ出向くには、割引率の高い昼間と土休日の回数券は今まで通り使える様で、僅かな運賃値下げや運転本数増加で、北総監獄が公共交通の不毛地帯と言わざるを得ない状況には変わりないとはいえ、余りに酷過ぎる惨状が多少は…という事になりそうですが、北総監獄から成田湯川・空港方面へ月に数度利用見込みの利用客にとっても、成田スカイアクセスにおける高割引回数券の未設定は非常に痛い話なのでは…と感じたものです。

また現行の京成本線を走るスカイライナー(AE100形)は、ダイヤ改正以降「シティライナー」と名前を変え、青砥を停車駅に追加して昼間時間帯などに数本走らせる事が、既にHPなどで発表されていますが、この列車の特急券(シティライナー券)の購入方法を記している項目では「シティライナー券は有人カウンターにてお求めください。改札外のライナー券売機では発売いたしません」とあります。

その気になればスカイライナーと共に、券売機での発売に対応させる位の事はさほど難しくないはずで、敢えてスカイライナーと特急券の発売方法に格差を設け、不便な発売方法とするのかも理解に苦しむ所で、これでは都心~成田空港間旅客のシティライナー利用を歓迎せず、座席指定列車の利用を希望する旅客には、強引に成田スカイアクセス線経由の割高なスカイライナーを利用させようと仕向けている様に感じてなりません。


あと成田スカイアクセスの影に隠れ、やや存在感が薄くなりがちな金町線の高架化による高砂駅ホーム&高砂駅周辺の線路切替も忘れてはならない話題で、この工事により上野方面直通が消滅しますので、写真の様な光景はあえなく見納めとなります。

成田スカイアクセス開業よりも少し早く、来月初頭に行われるこの線路切替後は、都内では極めて不便な路線として知られる金町線の列車本数が、現在より増便されて利便性が強化される事は歓迎すべき点です。

しかしながら高砂駅の構造上、金町線ホームは他路線と直接繋がっておらず、一旦改札口を出場しての乗り換えとなり、この乗り換えは一旦改札口を出場後、30分以内に再入場しなければならない点は、東京メトロの一部乗換駅などと同様のシステムです。

高砂駅では乗換専用改札機が設置される事も発表されていますが、乗換改札機は東京メトロなどでお馴染み、最近ではJR武蔵小杉駅でも見られる「オレンジ色の改札機」ではなく、「みどり色の改札機」が設置される事が発表されています。

京成は妙な所で独自性を発揮する様ですが、京成では一般の改札機がピンク色ですので、間違って色彩がオレンジに近いピンク色の一般改札機を、乗換改札機と認識してしまう旅客が出てこないかも気になる所です。

この他「開発を止めた某鉄道」のHPでは成田スカイアクセス開業後の新ダイヤが、空港発着以外の列車も含めて掲載され、列車番号も記載された詳細な内容は、MAKIKYUも見て驚きを感じるものが幾つかありましたが、この新ダイヤに関しても機会があれば、別記事で触れるかもしれません。


JR九州のキハ40系列「いさぶろう・しんぺい」号用改造車~指定席券を購入する程の価値は…

2010-06-24 | 鉄道[九州・JR]

今月MAKIKYUが熊本県南部の人吉まで出向き、「SL人吉」号乗などに乗車した際には、他にも様々な列車に乗車する機会があり、その一つがキハ40系列の気動車を改造した「いさぶろう・しんぺい」号用改造車です。

「いさぶろう」号・「しんぺい」号は肥薩線の中でも運行本数が極めて少なく、ループ線やスイッチバックが存在する険しい山中を走る事でも知られる、県境超えの人吉~吉松間を走る普通列車です。

2004年の九州新幹線以降、普通列車ながらも観光列車としてキハ40系列の気動車を改造した専用車両が充当され、定期普通列車ながらもほぼ全席が指定席と言う異色の列車としても知られています。


運行開始当初はキハ140形1両での運転でしたが、予想を超える大評判もあって直ぐにキハ47形1両が追加改造されて2両編成となり、MAKIKYUもこの2両編成で運行している時に一度「いさぶろう」号に乗車した事があります。

昨年には「SL人吉」号運転日の多客対応や、検査時の予備車両確保も兼ねてキハ47形を改造し、3両目の改造車が登場しており、当初1両だけしか専用車を用意していなかった「いさぶろう」号・「しんぺい」号がここまで繁盛する事を予想していた方は、殆ど居られないかと思います。

2両目以降の改造車は、必然的に複数両数での運行となる事や、改造の種車も単行運転可能な両運転台車に比べ、2両以上での運転が必須となる片運転台車の方が確保しやすい事もあって、片運転台のキハ47形が充当されています。

2両目の改造車は急遽改造した事もあってか、工期短縮もあってキハ140形改造車(当初からの「いさぶろう・しんぺい」号用車両)の大きな特徴だった、車両中央部フリースペースの窓サイズ拡大は行われておらず、外見は装いを除くと、一般のキハ47形と大差ないものとなっています。


昨年登場した3両目の改造車も同様ですが、こちらは車椅子対応トイレを装備しているのが特徴で、車内の雰囲気は既存車両と若干異なるものになっています。

車内はJR九州の観光列車らしく、木材を多用した非常に特徴的なものとなっており、雰囲気はなかなか良いものですが、「いさぶろう」号・「しんぺい」号は共に普通列車の普通車扱いだけあって、座席はボックス席を主体としたモノになっています。


4人掛けのボックス席は窓割の関係もあり、殆どの座席でシートピッチは一般のキハ40系列と変わらず、決して広いとは言い難い状況にあります。
(中には3両目改造車の運転席近くの様に、シートピッチが広い当り区画も存在していますが、逆にドア付近の2人掛け座席などに外れ区画も存在しています)

その上真ん中に大きなテーブルが置かれており、下に脚がある事もあって、ボックスの4席全てに乗客が座った場合は、狭さが否めないのが現状ですが、脚位置は真ん中辺りと言う事もあって、通路側の座席だけが極端に外れと感じる「SL人吉」号の座席に比べると、座席位置による格差は軽減されています。


4人掛けのボックス席などは、定期運転の普通列車にも関わらず、「いさぶろう」号・「しんぺい」号では指定席となっており、乗車券の他に指定席券が別途必要になります。

MAKIKYUも以前に一度「いさぶろう」号に乗車した際には、指定席券を購入して乗車したものの、座席のグレードや乗車区間を考えると、余程の混雑時以外は別途指定席券を購入する程の価値はあるのか…と感じてしまったもので、「いさぶろう」号・「しんぺい」号の指定席料金は、設備に対する付加価値よりも、超閑散区間の維持貢献費用と考えた方が良いかもしれません。

また「いさぶろう」号・「しんぺい」号ではほぼ全席が指定席とはいえ、定期運転の普通列車扱いで、それも「いさぶろう」号・「しんぺい」号は列車本数が極めて少ない区間に設定されている事もあり、地元住民の利便性などを考慮して、完全な「全車指定席」ではなく、JR九州の観光列車らしく車内随所に設けられたフリースペースへの立席乗車などの形で、普通乗車券のみでの利用も可能となっています。


普通乗車券のみで「いさぶろう」号・「しんぺい」号を利用する場合も、僅かながら座席が用意されており、キハ140形(吉松寄り先頭車)の吉松方にある木製ベンチは地元客優先の案内が行われているものの、ここは座席位置的には最高なのでは…と感じるものです。
(その代わり「木製ベンチ」だけあって座り心地はおススメできるものではなく、長時間乗車には不適なのは言うまでもない事です)

2両目・3両目の改造車(キハ47形)にも、ロングシート配置の自由席が僅か(1両当り1桁の座席数)に設けられており、こちらは利用した事がないものの、2両目の改造車の座席は余り感心できる雰囲気ではないと感じたものです。


しかしながら最近登場した3両目の改造車で、車椅子対応トイレ近くに設置された座席は、この列車をはじめ、最近のJR九州各種列車などを手がけている某デザイナーが絡んだ車両でよく見られるタイプの座席が装備され、足元が伸ばせる事などを考えると、かえって指定席よりも良いのでは…と感じてしまった程です。

指定席券なしで「いさぶろう」号・「しんぺい」号に乗車する場合、キハ140形の吉松方木製ベンチと並び、ここも狙い目かと思いますが、3両フル編成で運転する場合は良いとしても、車両検査などで減車となった場合、この車両が連結されない可能性もありますので要注意です。

またキハ40系列の気動車を改造した「いさぶろう・しんぺい」号用改造車は、車両基地が熊本にある事もあって、「いさぶろう」号・「しんぺい」号以外に、肥薩線八代~人吉間の普通列車1往復にも充当されています。
(鹿児島本線の熊本~八代間が回送扱いなのは惜しい限りです)

MAKIKYUが今回この「いさぶろう・しんぺい」号用改造車に乗車したのは、行程の関係で人吉以南まで足を伸ばす事がなかった事もあり、観光列車「いさぶろう」号・「しんぺい」号ではなく、こちらの普通列車だったのですが、この普通列車は「いさぶろう」号・「しんぺい」号とは異なり、全車自由席となっています。

そのためこちらは客室乗務員の乗務などはないのですが、MAKIKYUが乗車したのは土曜日の朝という事もあり、1両だけの客扱いでも座席は埋まらない程閑散としており、大勢の乗客で賑わう観光列車とは対照的な雰囲気でした。
(勿論客扱いは3両全てで行っていましたが、最後尾1両は途中駅でドアカットを行っていました)

「いさぶろう・しんぺい」号用改造車の乗り心地を堪能するだけならば、「いさぶろう」号・「しんぺい」号に乗車するよりも、八代~人吉間の普通列車で、こちらも絶景と言える球磨川沿いの景色を眺めながら…と感じたものです。

普通乗車券のみで乗車できる全車自由席の普通列車(勿論割安な「旅名人の九州満喫きっぷ」や、「青春18きっぷ」(期間限定)でもOKです)であれば、指定席料金を支払うには…と感じる「いさぶろう・しんぺい」号用改造車もなかなか良いと感じたものです。

しかしながら朝の人吉へ向かう「いさぶろう・しんぺい」号用改造車を充当した普通列車は運転時刻が早く、接続の関係もあって熊本市内からでも乗車は少々厳しいと感じてしまうのは難点です。

MAKIKYUはこの列車への乗車狙いも兼ねて、八代市内に宿を確保した程(八代の隣駅至近には比較的割安で快適に過ごせるホテルがありますので、八代発の「いさぶろう・しんぺい」号用改造車を充当した普通列車の乗車を予定しているのであればおススメです)ですが、夕方の八代行き普通列車であれば、日の長い時期なら球磨川沿いの車窓も楽しめ、機会があればこちらの列車にも…と感じたものでした。


JR九州のSL列車「SL人吉」号(2)~車内は最近のJR九州らしく…

2010-06-22 | 鉄道[九州・JR]

今月MAKIKYUが乗車したJR九州のSL列車「SL人吉」号ですが、この列車に用いられる客車は、国鉄末期~分割民営化直後に全国各地のJR線におけるローカル列車で大活躍したものの、近年ではローカル列車の新系列車両導入や、これに伴うワンマン運転実施に伴って次々と運用離脱し、近年では殆ど乗車機会のない50系客車が用いられています。

今日では現役で稼動する50系客車自体が、非常に希少な存在となっており、中にはほぼ原型を留めた状態でSL牽引列車に用いられる車両も、関東地方の第3セクター鉄道に存在していますが、「SL人吉」号で用いられる50系客車は、以前運行していたSL列車「SLあそBOY」号運行時に大改造された車両ですので、外見だけに留まらず、車内も50系客車の原型とは大きく異なるものとなっています。

この50系客車改造車は「SL人吉」号運転開始に合わせ、大規模な改装を施しており、「SLあそBOY」号時代とはまた異なった雰囲気になっている模様(MAKIKYUは残念ながら「SLあそBOY」号時代には乗車した事がありません)ですが、最近のJR九州らしく、某デザイナーが手がけた車両の典型的特徴が随所に現れています。

3両の客車は4人掛けのボックス席を中心に、2人掛けの座席も混在する座席配置となっていますが、3両全てが普通車と言う事もあって、設備的にはどの車両もほぼ同等のもので、通路部分の天井には牽引機関車の形式にちなんだ「86」を模った装飾が幾つも見られる点が特徴的です。

  
内装は使用する木材の材質や色彩を1両毎に変えており、人吉方の客車が最も明るい印象を受け、熊本方の客車は重厚な印象を受けるものであるなど、編成内でも変化が見られる点は興味深いものです。

人吉方の1両以外は色彩の関係で写真が撮り難く、車内の様子を撮影するだけでなく、SL乗車の記念にその様子を撮影…といった場合にも不都合なのは頂けないと感じたものです。

また3両の客車それぞれで色彩を変えるだけでなく、各車両を2つに仕切り、座席モケットを前方と後方で変えることにより、僅か3両しかない客車内で、6通りものインテリアが見られるのは、デザイナーの拘りを感じる所ですが、その座席モケットも革張りや市松模様を用いたモノが幾つも見られる辺りは、JR九州の列車ならではといった所です。

ただ座席はモケットに拘りが感じられ、木材をふんだんに用いた座席フレームなども特徴的とはいえ、「SL人吉」号は快速列車の普通車扱いという事もあって、全席指定席で指定席料金が別途必要になるとはいえ、設備的にはさほど豪華なものではなく、居住性よりも雰囲気重視といった印象を強く受けるものです。


座席自体の座り心地は決して悪いものではないのですが、ボックス席主体の座席配列は、約半数の座席が進行方向と反対側になってしまう事に加え、座席形状や配置の関係で2人掛け席でも足元はさほど広くなく、4人掛け席で反対側に相席の乗客が居ると…というのが現状です。

4人掛け席には観光列車らしく、かなり大きな木製の固定式テーブルが装備されているのですが、このテーブルは床との間に大きな柱もありますので、MAKIKYUが乗車したのは2人掛け座席の窓側で実害がなかったものの、4人掛け座席の通路側は足元がかなり狭くなります。

そのため出来れば当たりたくない座席になっているのは頂けない所ですが、SL人吉号は人気が高い上に、座席数も決して多くないですので、座席指定を押さえる事自体が難しく、この座席でも指定席券が確保できるだけ良いと考えた方が良いのかもしれません。

こんな座席ですので、座席に座ったまま熊本~人吉間を乗り通すともなれば、SL列車ならではの遅さもあって片道2時間以上を要し、いくら快速列車といえども決して快適なものではありませんが、車内は中間車両の物販スペースをはじめ、両端車両には展望室が設けられるなど、自席以外の空間が充実しているのは大きな特徴で、長時間乗車でも決して飽きることがありません。


展望室は客室内と同様に、人吉方と熊本方で内装を造り分けている点に加え、最前部には大人が座るには小さ過ぎる椅子が置かれている辺りも、デザイナーの拘りが見られますが、その気になれば余程大柄な人物でなければ大人でも座れない事はなく、特等席だけあってこの椅子に座る大人の乗客の姿も散見したものでした。
(MAKIKYUも少しだけ試しに座ってみたのですが、子供がやってきたら「子供優先」にしてあげたいものです)

そして「SL文庫」と称する本棚(棚には乗客が車内で自由に閲覧できる本が置かれています)が設けられている辺りも、最近の某デザイナーが手がけた列車ならではの特徴と言えますが、本棚の制約もあって文庫の内容は…と感じたのは惜しい所です。


また車内だけに留まらず、途中停車駅で敢えて余計に停車時間を確保し、一旦ホームに下りる事が出来る様になっている事や、車掌以外に複数の客室乗務員が乗務し、様々な案内を行う辺りも、観光列車ならではの計らいと感じたものでした。

「SL人吉」号は数々の観光列車を走らせ、大成功を収めているJR九州の中でも大目玉的存在の列車だけあり、数々の観光列車の集大成といった印象を受けたもので、車内設備だけを見れば決して良いとは言い難い面もあるものの、観光列車としての完成度はかなりのモノと感じたもので、SL牽引列車でなくてもそれなりに楽しめるのでは…と感じた程です。
(以前JR九州では「SLあそBOY」号の機関車不調時に、ディーゼル機関車牽引による「ディーゼルあそBOY」号を運行した事がありますので、SLが稼動できない時等に「ディーゼル人吉」号でも走らせると面白いかもしれません)

JR九州の観光列車は、MAKIKYUが今回乗車した「SL人吉」号や、2月に乗車した「海幸山幸」号をはじめ、他に類を見ない独特な列車が数多く、MAKIKYUもその幾つかには乗車していますが、特徴的な車両や車内設備だけに留まらず、客室乗務員による案内などの取り計らいも評価できるものです。

九州では来年九州新幹線の全通を控え、今後も更に観光列車の充実が図られる事になると思いますが、今後の展開にも期待すると共に、機会があればまだ乗車していない観光列車にも…と思ったものでした。


JR九州のSL列車「SL人吉」号(1)~肥薩線で再出発したSL観光列車

2010-06-19 | 鉄道[九州・JR]

   

先日MAKIKYUが九州へ出向く機会があったのですが、その目的の一つに、JR九州が走らせているSL列車「SL人吉」号への乗車がありました。

JR九州では以前から熊本地区でSL列車を走らせており、かつては阿蘇方面へ向かう豊肥本線の「SLあそBOY」号を中心に運行していました。

しかし豊肥本線は急勾配が続き、蒸気機関車(SL)には過酷な環境である上に、この列車に用いられるSL(8620形・58654号)自体も、日本で活躍中の車両で古い部類に入る事もあって、過酷な環境で走り続ける事で老朽化が進行し、近年重大な故障で運行が出来なくなった程です。

そのため一時は58654号の復活すら危ぶまれた程で、JR九州ではSL列車が長期に渡って運転休止を余儀なくされる程でしたが、昨年58654号は大修復を終え、奇跡の復活を果たしています。

ただ昨年の58654号復活後は、豊肥本線の急勾配区間がSLに過酷な環境という事もあってか、活躍の舞台を肥薩線に移し、熊本~八代~人吉間を結ぶ「SL人吉」号として新たに再出発して現在に至っています。

肥薩線は人吉以南で観光列車「いさぶろう・しんぺい」号(人吉~吉松間)や、特急「はやとの風」号(吉松~隼人~鹿児島中央間)が当初の予想を超える大成功を収め、既存気動車を改造した予定外の増車に追われる程になっています。

しかしながら絶景の球磨川沿いを走る人吉以北では、これらの観光列車に匹敵するインパクトを持つ列車がなかった事(一応この区間を走る「九州横断特急」などは、九州外の人間が乗車すればそこそこインパクトを感じる程度の改装はされていますが…)から、この区間での観光列車登場が待ち望まれていました。

そのためこの区間に設定されたSL列車「SL人吉」号は、ただでさえJR九州の観光列車の評判が良い事に加え、SL列車と言う事や、3つの観光列車を乗り継いで肥薩線を全線踏破する事も可能となっている事もあって大好評を博しており、全席指定席で運転日も限られる「SL人吉」号は、指定席が取り難い列車として有名になっている程です。

しかもMAKIKYUは確実に土日休みが確保できる状況ではなく、来年には九州新幹線の全通を控え、九州新幹線全通後は更に指定席が取り難くなる事も想定される事から、以前から「SL人吉」号運転日で、都合の良い日に指定券が確保できれば…と思っていたのですが、1週間程前の運転日に人吉発片道の指定席券が確保でき、乗車に至った次第です。
(MAKIKYUの乗車日も、熊本発の列車は既に満席と言う状況でした)

この「SL人吉」号運転に当たっては、SL(58654号)と共に以前豊肥本線の「SLあそBOY」号で活躍していた50系客車の改造車3両も、共に肥薩線に舞台を移して再活躍しているのですが、こちらは「SL人吉」号での運転に当たり、再度大きくリニューアルされているのが特徴です。

この客車は以前「SLあそBOY」号用に大改造された事もあって、再度のリニューアルでは車両形状自体はさほど大きく変わっていない様に感じられますが、両端に位置する車両の客ドア付近などに50系原型の面影を感じるものの、両端車両の展望室部分や、折戸となった中間車の客ドアなどは、50系客車の原型とは大きく異なるものです。

装いは「SLあそBOY」号の洋風のイメージから、旧型客車を連想させる鄙びた古風な列車を連想させる装いに様変わりし、塗装が変わった事でこの改造客車も大きく異なる印象を受けるものですが、この装いは写真が撮り難い事が難点です。
(写真が撮り難いと言っても、同じ肥薩線を走る特急「はやとの風」号よりはまだ良いのですが…)

またJR九州の各種列車などで有名な某デザイナーが関わっている事もあり、鄙びた古風な列車を連想させる装いに見える外観も、「SL人吉」号の列車名やロゴ、牽引機(8620形・58654号)名が客車の随所に書かれているのも特徴で、SL列車ならではの古風な雰囲気を持ちながら、今日のJR九州らしさが幾つも見られる点も、大きな特徴と言えます。

この列車はJR九州だけあって、車内も大きな特徴が見られるのですが、そちらに関しては近日中に続編記事で公開したいと思います。


JR九州787系「リレーつばめ」号・DXグリーン車に乗車

2010-06-16 | 鉄道[九州・JR]

  

ここ数日更新を休止していた「MAKIKYUのページ」ですが、この間の数日MAKIKYUは九州へ出向いており、帰還後も仕事で忙しく、PCへ向かう時間が取れない状況でした。

MAKIKYUの九州訪問は、今年に入ってからは2月の「海幸山幸」号乗車などに続いて2回目で、昨年秋に韓国へ出向く際にも博多港から出入国したのを含めると、1年足らずの間に3回も九州へ出向いている事になり、自分でもさすがに最近の九州訪問頻度は…と思ってしまう程です。

ただ九州はJR九州の様々な特徴的な列車だけでも魅力的ですし、私鉄や路線バスなども大いに魅力があり、これらを比較的割安に利用できるフリー乗車券なども充実していますので、機会があればまた行きたいと感じてしまう程です。

まして海を隔てた韓国へ向かう際にも、九州内の行きたい所や、乗車したい交通機関を押さえておかないと、後ろ髪を引かれる思いで出国する事になりますので、さすがに4ヶ月毎の九州訪問はないと思いますが、今後も暫くは年1~2回程度は訪問できれば…と思っています。

ところで前置きが長くなってしまいましたが、つい先日MAKIKYUが九州へ出向いた際には、指定席が取り難いと定評の某列車座席指定券が確保できた事が、今回の旅行動機の一つになった程ですが、それ以外にも幾つもの列車に乗車する機会があり、その一つが特急「リレーつばめ」号です。

九州新幹線(新八代~鹿児島中央)開業前は、特急「つばめ」号として活躍した787系電車で運転される「リレーつばめ」号は、新幹線「つばめ」号と結合する形で博多~鹿児島中央間を結び、九州の南北を結ぶ重要な足となっている事はご存知の方も多いかと思います。

来年には九州新幹線の未開業区間(博多~新八代)も開業予定となっており、全区間開業の暁には山陽新幹線と直通運転を行い、新大阪~鹿児島中央間を直通で結ぶ新列車「さくら」号の運転開始も発表されており、開業が待ち遠しいですが、その際には並行する在来線を運行する現行「リレーつばめ」号をはじめとする特急は廃止か大幅減便が確実な情勢で、来年のダイヤ改正ではどの様な運行形態となるのは気になるものです。

ところで来年のダイヤ改正では、大きな動きが出る事が確実といえる特急「リレーつばめ」号ですが、この列車の大半と、運用上の関係で同一車両を用いる特急「有明」号の一部列車には、かつて個室となっていた空間を活用し、グリーン車をも凌ぐハイグレードな座席を装備した「DXグリーン車」が設定されている事でも知られています。

先日MAKIKYUが「リレーつばめ」号に乗車した際には、JR九州の若者向け会員割引制度・ナイスゴーイングカード(NGC)の割引対象日だった事もあり、少々奮発してこの「DXグリーン車」に乗車してみたものでした。

「DXグリーン車」はグリーン車をも凌ぐ設備を誇るだけあり、利用料金もグリーン車を凌ぐ設定となっていますが、それでも九州内は特急グリーン車は比較的ハイグレードな設備を誇るにも関わらず、他交通機関との競合などを考慮してか、グリーン料金がJR他社よりも割安に設定されていますので、料金的にはJR他社の特急グリーン車と同レベルにあると言えます。

しかしながらグリーン車でも比較的ハイグレードな設備を誇るJR九州が、更にその上を行く設備を提供しているだけあって、木材を多用し、電動リクライニング機能を装備した座席のグレードは相当なもので、新幹線や在来線のグリーン車に何度か乗車した事があるMAKIKYUとしても、このDXグリーン車は別格と感じたものでした。

日頃普通列車に2~3時間程度乗車する事も多いMAKIKYUとしては、特急普通車でも一部の遜色特急(何故かMAKIKYUの近所に多い気がするのですが…)を除けば、設備的には充分過ぎると感じてしまう程ですので、場違いな空間の様にも感じたもので、特急グリーン車の中でも豪華な設備を誇る「リレーつばめ」号のグリーン車でも見劣りしてしまう様に感じるこの空間は異質です。

この異質な空間でも、MAKIKYUが乗車した鳥栖→熊本間は100km未満と言う事もあり、乗車券・特急券の他に必要となるDXグリーン料金は、NGC割引適用だと1000円に満たない状況(960円)と言うのは驚異的です。

ただ設定車両・区画が先頭車の車端にあり、しかもグリーン車にも関わらず787系は「クモロ」という電動車になっている事もあってか、時折床下から突き上げる騒音や振動が若干気になった事は、難点と感じたものでした。

NGC割引程度の料金であれば、一度試乗する価値は充分にあったと感じたものでしたが、1時間足らずの乗車は物足りないと感じ、もう少し乗っていても…と感じたもので、来年以降「リレーつばめ」号から他列車への787系転用がほぼ確実な状況では、今後もこの設備が継続されるのか気になる所です。

787系が来年以降、「リレーつばめ」号から他列車へ転用される際には、「DXグリーン車」はなるべく長時間乗車していたいと思う空間ですので、出来れば「DXグリーン車」連結列車は乗車時間の短い列車ではなく、比較的乗車時間の長い列車(にちりんシーガイア号など)に充当されれば…と思ったものです。

またグリーン車をも凌ぐ究極の空間は、長時間乗車となる列車でこそ真価を発揮するのでは…と感じていますが、今年冬に開業予定のJR他社新幹線でも、開業以降に導入予定となっている新形式車両で同種座席(呼び名は異なり、「グランクラス」となる様です)の設定が発表されており、こちらもDXグリーン車に匹敵するだけのグレードになるのかも気になる所です。

写真は787系「リレーつばめ」号(以前撮影した写真です)と、DXグリーン車内に装備された豪華な座席です。


しなの鉄道 169系電車~JRでは絶滅した車両ながらも…

2010-06-10 | 鉄道[甲信越]

 

先日「MAKIKYUのページ」では、長野電鉄の古参特急車・2000系電車に関して取り上げましたが、昨年MAKIKYUが長野を訪問した際には、この古参特急車以外にも様々な列車に乗車する機会があったものでした。

その一つとしては、長野新幹線開業に伴い一部を除く信越本線の新幹線並行区間を経営分離した第3セクター鉄道・しなの鉄道も含まれるのですが、同鉄道では主力となる115系(JRからの譲渡車)への乗車をはじめ、169系(こちらもJRからの譲渡車)電車にも乗車する機会がありました。

169系は急行用電車・165系の碓氷峠協調運転対応車で、旧国鉄~JR東日本では長野地区をはじめ、首都圏などでの活躍も見られた車両ですが、ほぼ同種の交直両用車(475系)などはまだJR線で多数が活躍しているにも関わらず、こちらは現在JRに車籍を置く車両は存在していません。

私鉄への譲渡も、ほぼ同等の車両と言える165系が、秩父鉄道や富士急行へ譲渡されているとは言え、こちらも前者は老朽化で既に廃車され、後者は今日でも活躍中とはいえJR時代にジョイフルトレイン(パノラマエクスプレス・アルプス)に改造されて大変貌した車両ですので、原型をよく留める165系列となれば、しなの鉄道譲渡車が唯一という希少な存在です。

しなの鉄道へ譲渡された車両は、一時期国鉄時代の装いに戻されたリバイバル塗装車が出現したとはいえ、基本的には赤とグレーの派手な装いのしなの鉄道塗装に改められている他は、旧国鉄~JR時代の雰囲気をよく留めています。

しかしながら国鉄末期に更新工事が施行され、その際に座席を廃車発生品の回転式リクライニングシートに改めており、この座席は今日の水準では決して良いとは言い難い代物ですが、更新当初にしては特急並みとも言えるそこそこの設備です。

そのため元々のボックスシートに比べると、居住性はかなり向上しているのですが、窓割を無視して座席を配列しているため、車窓を眺めるにはハズレとしか言い様がない席が多いのは玉にキズです。

この165系列にしては上等な設備もあってか、しなの鉄道ではラッシュ時間帯に運転されるライナー列車(要ライナー料金)にも抜擢され、それ以外の一部列車でも運用されていますが、多数派を占める115系とは連結して運用する事が出来ず、編成数が少ない事もあって、ライナー以外の列車での乗車機会は限られるのが残念な限りです。

とはいえ設備的には普通・快速列車にしては上等な部類に入り、165系列自体が絶滅寸前状態の今日においては、遭遇機会があれば是非乗車したい車両の一つと言えます。

JRから絶滅して結構な年数が経過しているとは言え、今でもJR線(篠ノ井~長野間)に乗り入れ、最大9両の編成で活躍する姿は、塗装を大きく改めたとはいえ、169系の健在振りを強くアピールしている様にも感じられたものです。

しかし車両の老朽化も相当進んでいると想像されますので、同じ会社がメンテナンスを請け負っている長野電鉄2000系(しなの鉄道の車両メンテナンスは、長野電鉄と共に屋代にある長野電鉄の関連会社が請け負っています)が、JRからの253系中古車導入で退役することがほぼ確実となった今日、古過ぎる長野電鉄2000系よりは程度の良い車両とはいえ、こちらも動きが生じる事はないのか気になる所です。

JR東日本における253系余剰車両数の多さをはじめ、部品共用によるメンテナンスの効率化や相互直通運転線区で同種の車両規格、1編成3両という編成両数や車内設備などを考えると、もし169系を取り替えるなら長野電鉄と足並みを揃えて…とも感じたものですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?


JR東日本・五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」(2)

2010-06-08 | 鉄道[東北]

数日前「MAKIKYUのページ」では、先月MAKIKYUが乗車した五能線の観光列車「リゾートしらかみ」号に関する記事を取り上げましたが、今日はその続編としてMAKIKYUが乗車した「青池」編成車内の様子などを取り上げたいと思います。

現在「リゾートしらかみ」号は3編成存在していますが、MAKIKYUが乗車した「青池」編成をはじめ、各編成共に3両で1編成を構成しています。

各編成は外観と共に車内も色彩を変えているものの、両端の車両が運転席寄りに展望スペースを設けた座席車、中間の2号車がボックス席という構成になっています。

MAKIKYUは「青池」編成の後に登場した「ブナ」「くまげら」の2編成には乗車した事がないのですが、各編成を一定期間毎にローテーションしている事もあり、大きな設備差はないものの、「青池」編成だけは改造から結構な年数を要している事もあり、身障者用座席を設けていない関係で座席数が1席だけ多いなど、若干の差異が存在している様です。


座席車内は特急列車などで一般的な、背面テーブル装備の回転式リクライニングシートがずらりと並んでいますが、日本海に沿って走る海岸線の絶景を売りにしている観光列車だけに、窓が非常に大きく取られています。

また座席の造りは特急普通車レベルながらも、前後の座席間隔がグリーン車並に広く、非常にゆったりとしているのは、MAKIKYUが今年初めに乗車した仙台地区のリゾート気動車「みのり」と共通しています。

この広い座席間隔は、秋田~弘前・青森間などを乗り通すと、新幹線で首都圏から秋田へ到達するのに匹敵する程長い所要時間でも、快適に過ごせる様に設計した事も一因かと思いますが、座席を回転させた状態で最大角度までリクライニングした場合に、最大角度までリクライニングさせた背後の座席と干渉しないという実用面も兼ねており、観光列車らしく「先に倒したもの勝ち」にならない様に配慮したものと感じたものでした。
(「先に倒したもの勝ち」にならない様に配慮した座席としては、小田急の特急ロマンスカーが有名ですが、こちらはリクライニングの角度を小さめにして座席数を確保していますので、長時間乗車だと厳しいものの、観光利用が多く1~2時間程度の乗車であればこれも一つの配慮と言えます。
逆に韓国鉄道(KORAIL)のムグンファ号などは、座席間隔がさほど広くない割にリクライニング角度が大きいですので、夜行列車などでの乗車時は結構快適に過ごせるのですが、座席を回転させた先客が最大角度まで座席を倒した場合などは、その至近の座席に当たると厄介です)


編成両端を占める座席車の運転席寄りには、前面or最後尾の展望と共に、車窓を楽しむ事も出来る展望スペースが設けられ、これも観光列車らしさを感じさせる設備です。

五能線は「日本海に沿って走る海岸線の絶景」が売りだけあって、ロングシート形状の座席は、五能線内で海側を向くように背もたれが固定されており、「みのり」の様な転換式ロングシートにはなっていません。

ただ観光向けに特化した「リゾートしらかみ」号の性質も考えると、日本海に沿って走る区間で敢えて海に背を向けたがる乗客はまずいないかと思いますので、「リゾートしらかみ」号で走らせる限りは現行設備で充分ですが、他線区で走らせる事も考えると、転換式ロングシートの方が便利ですので、他地域へ転用ともなれば、座席の取替えや配置転換(それぞれの座席を窓側に向けて配置するなど)も検討の余地がありそうです。


真ん中の2号車はボックス席となっており、山側に通路を寄せた座席配列になっていますが、各ボックスには扉こそ設けられていないとはいえ、ボックス毎に仕切りが設置されており、半個室状態の車両と言っても過言ではありません。

MAKIKYUが乗車した「リゾートしらかみ」号は、時間帯の関係で最も乗車率が悪いらしいという事もあって、途中で車掌氏がボックスの空席利用を薦める程でしたので、少しだけ座り心地を試してみました。

このボックス席は、各ボックスの定員が4名しか取られていませんので、1両の定員は寝台車並に少なく、空間の広さと言う観点では座席車以上ですので、これで快速列車の普通車扱いともなれば、非常に贅沢なものです。

その上ボックス全体をカーペットカーの如く平面化できるのも大きな特徴で、グループ旅行などでは結構良いかもしれませんが、ただの座席状態では当然ながらリクライニングの機能などはなく、座り心地は座席車の方に軍配が上がると感じたものですし、混雑時の1人旅で3人グループが使用しているボックスに当たるともなれば…とも感じたものでした。


MAKIKYUは「リゾートしらかみ」号乗車時に食料を調達していなかった事もあり、一応停車時間の長い鯵ヶ沢駅で、駅前にあるスーパーに立ち寄る事も出来たものの、せっかくの機会と言う事で車内販売の弁当も購入してみました。

さすがICカードに力を入れているJR東日本だけあって、本州の果てに近いローカル線を走る列車でも、手持ちのSUGOCAで購入できたのはさすがですが、車内販売員によると、販売している弁当は850円の「白神浪漫」1種類のみとの事でした。

これも売り切れになる事がある様ですし、五能線途中駅での食料調達も、停車駅や停車時間次第では厳しいのが現状ですので、出来れば乗車前に何かしら確保した方が無難ですが、「キノコが好きな方であれば…」と車内販売員が薦めた「白神浪漫」は美味と感じ、観光列車の弁当にしてはまあまあの価格といった所ですので、機会があればまた購入しても…と感じたものでした。

 
また「リゾートしらかみ」号は、記念スタンプの設置や景色の良い箇所での徐行運転なども行われ、車両設備以外にも観光列車らしい取り組みが行われていますが、記念スタンプは展望スペースに置かれているだけ、車窓や観光に関する案内も車掌放送で原稿を読み上げているといった雰囲気が漂っていたのは感心できないもので、天気が良ければ絶景の夕日が楽しめる区間を通った際も、生憎の天気だったのは惜しい限りでした。

同じJR東日本が走らせており、MAKIKYUが今年初めに乗車した仙台地区の「みのり」と相通じる印象を受けたもので、ハードは良くてもソフト面が…というのが実情で、この点では特徴的なデザインや観光列車を次々と走らせ、大成功を収めているJR他社などに比べると、「観光列車ならではのサービスに関してはまだまだ」と感じてしまうのは残念な所です。

とはいえ全席指定席で定期券利用が不可とはいえ、快速列車の普通車にしては破格の設備を提供している事は大いに評価できる事で、列車単独の収支だけを考えたら…と感じてしまう程(恐らくJR東日本も、遠方から新幹線などで五能線沿線まで乗客を呼び込む効果を狙っているハズです)でした。

「リゾートしらかみ」号は列車設備をはじめ、運行路線である五能線の沿線景観や観光資源なども素晴らしいものですし、今後新幹線新青森開業の暁には新型車両導入も計画され、より充実したものになるかと思います。

今後の展開にも注目すると共に、機会があれば「青池」以外の編成に乗車しても…と思ったものですが、ハード面だけでなくソフト面でのサービス充実にも期待したいと感じたものです。 


長野電鉄 2000系電車~車齢50年を超える古参特急車もいよいよ…

2010-06-04 | 鉄道[甲信越]

  

最近ネット上で長野電鉄が、JR東日本から特急用車両を購入するという情報が随分飛び交っていましたが、遂に昨日付けで長野電鉄公式HPでもその旨が発表になり、ご存知の方も多いかと思います。

JRからの購入対象となるのは、成田エクスプレス運行開始と同時に導入され、最近E259系が続々と導入されたのと引き換えに、次々と運用を離脱している253系電車で、同系は間もなく成田エクスプレスと言う第一線から姿を消すことになります。

253系は一部がJR東日本の中で他用途に転用される情報も飛び交っていますが、同形の中でも早々と運用離脱した3両編成は、次々と廃車を前提に疎開されている有様でしたので、車齢を考えるとまだまだ使える253系が第2の活躍舞台を見出す事は、歓迎できる事と感じます。

公式HPでの発表によると、長野電鉄がJR東日本から購入したのは3両2編成(6両)との事で、この車両数は現在朝夕を中心に運転しているB特急で用いられる2000系電車の残存数と一致します。

253系は運用離脱車の数が多い事も考えると、長野電鉄が購入するのは2編成だけで終わりなのか、それとも更なる追加購入が行われるのかも気になる所です。

ところで253系導入によって淘汰される事がほぼ確実と言える2000系電車は、昭和30年代に長野電鉄が特急用車両として導入した自社発注車で、一般型車両が全て他社からの譲渡車で占められている今日では、長野電鉄では貴重なオリジナル車両にもなっています。

元号が平成に変わる頃には、下回りの取替えや冷房化改造といった大規模な改造が行われているとはいえ、この改造からも既に20年が経過し、製造から50年を過ぎる状況で廃車も発生しているとはいえ、一部は未だに特急と言う第一線で活躍し続けているのは、驚異的と言うほかなりません。

MAKIKYUも一年程前に長野を訪問する機会があり、この時に2000系にも乗車する機会があったのですが、現存する2編成は共に今流行のリバイバルカラーに装いを改めており、年代を感じさせるレトロな風貌もあってか、「動く博物館」と言っても過言ではない印象を受けたものでした。

乗車したのは特急の間合いで走る各駅停車だったのですが、長野電鉄は特急料金が比較的割安(100円)とはいえ、この車両では普通運賃以外に追加料金を払うに値する車両とは言い難く、特急運用の2000系に乗車するともなれば、骨董車両の維持費を払う様な感覚だろうと感じたものでした。

この事を考えると、253系は幾ら特急用車両としては設備が見劣りし、割高な指定席のA特急料金を徴収する列車への充当はとんでもないと感じながらも、特急料金100円の特急として走らせるのであれば妥当なのでは…と感じたものです。

長野電鉄に移籍した253系は、今後ワンマン運転対応などの改造を施す事がアナウンスされていますが、どの様な姿で第2の活躍を始めるのか気になる所です。

東急8500系が次々と入線し、一般車の方も車両取替えが進む長野電鉄は、これから面白くなりそうですが、253系が稼動開始した暁には、特急料金は高過ぎ、成田空港にも用事がないMAKIKYUは、成田エクスプレスの姿は良く見ていてもとても乗車する気になれないとはいえ、長野電鉄の特急であれば比較的手頃に乗車できる事になります(長野までの交通費は嵩みますが…)ので、是非一度乗車してみたいと感じたものです。

また来年春を目処に253系が運行開始となると、現在B特急で活躍している2000系電車の活躍も、253系運行開始までの間と言う事になり、2000系に残された時間は限られたものになりますので、興味のある方は早めに乗車や撮影を済ませた方が良さそうです。

それと253系導入に伴い2000系が引退するとなれば、長野電鉄の旅客車両は全て他社からの移籍車両のみで占められる事になりますが、2000系が長野電鉄の看板車として長年活躍した功績は大きく、長野電鉄史上最も影響力の大きな車両と言っても過言ではありませんので、運用を離脱しても保存対象となるのかも気になる所です。

写真は現存する2000系2編成と、年代を感じさせる同系車内の様子です。


JR東日本・五能線を走る観光列車「リゾートしらかみ」(1)

2010-06-03 | 鉄道[東北]

 

先月MAKIKYUが所用(旅行も兼ねてですが…)で秋田県内へ出向く機会があったのですが、その際にはJR東日本が発売している「秋田・大館フリーきっぷ」という乗車券を利用したものでした。

この乗車券は首都圏からの新幹線(寝台特急あけぼの号も選択可)往復に加え、概ね秋田県内のJR線が範囲に含まれるフリー区間が乗り放題(自由席であれば特急・新幹線の立席も可ですが、寝台立席は別途立席特急券が必要です)となっているのですが、このフリー区間は秋田県内以外に五能線や弘前周辺も含まれています。

「秋田・大館フリーきっぷ」は、単純に首都圏~秋田間を新幹線で往復するだけでも、普通に乗車券を購入するより割安ですので、フリー区間までの往復で途中下車不可と言う制約(その気になれば盛岡だけは途中下車する方法も存在するのですが…)はあるものの、新幹線で首都圏~秋田を移動するだけでも利用価値はあります。

普通に乗車券を購入すると新幹線より割高な寝台特急あけぼの号(MAKIKYUも片道はこちらを利用しました)を使うのであれば、尚更利用価値の大きいきっぷですが、単に秋田県内への手段として利用するだけでなく、フリー区間乗り放題の特典を生かすと、更に利用価値が大きなものとなります。

先月のMAKIKYUの秋田県内訪問は、多忙な仕事の合間を縫っての2日間(+車中1泊)という強行日程だった事もあり、秋田周辺を存分に堪能と言う訳には行かなかったのですが、それでも所用ついでにフリー区間末端の弘前周辺まで足を伸ばし、日本海を望む絶景でも知られる五能線にも乗車したものでした。

五能線にはMAKIKYUも既に何度か乗車しており、一般型気動車による普通列車で全線を乗り通した事(今日のダイヤではかなり困難です)がある他、かつて五能線で運行していた「ノスタルジックビュートレイン」と呼ばれるディーゼル機関車牽引の客車列車にも乗車した事がありました。

しかし近年五能線には乗車機会がなかった事もあり、「ノスタルジックビュートレイン」の後釜として登場した観光列車「リゾートしらかみ」号は今まで乗車した事がなく、先月の秋田県内訪問時に初めて乗車機会に恵まれたものでした。

随分前置きが長くなってしまいましたが、本題ともなるこの「リゾートしらかみ」号は、秋田新幹線開業の1997年から走り始めた一般型気動車(キハ48形)改造の観光列車で、五能線を含む秋田~弘前(一部は更に青森まで)間を運行していますが、もう既に運行開始から10年以上もの月日が経過していますので、JR東日本における観光列車としては大ベテランの部類に入ります。

「リゾートしらかみ」号は五能線や沿線観光の活性化に大きく貢献し、閑散としたローカル線の印象が強かった五能線に新駅が開業する程の効果をもたらした程評判が上々な事もあって、当初1編成のみでスタートしたにも関わらず、現在は3編成が運行する程に成長しています。

運行開始当初の1編成は、当初から複数編成での運行を想定していた訳ではなかった事もあってか、「リゾートしらかみ」以外に編成固有の名称は付けられていなかったものの、第2編成となる「橅」(ブナ)編成登場後にはこの編成と識別する事や、青系の装いにも違和感がない名称という事で急遽沿線の観光地である十二湖にちなんだ「青池」という名称が付けられています。

この「橅」編成登場時には、「青池」編成は登場時からの4両編成のままだったのですが、その後第3編成となる「くまげら」編成登場時には中間車1両をこちらに転用して3両編成となり、現在では3編成ある「リゾートしらかみ」号はどの編成で運転しても支障がない状況になっており、この事を生かして時期によって編成をローテーションする事も行われています。

MAKIKYUが先月乗車した「リゾートしらかみ」号は、3編成が存在する「リゾートしらかみ」号の中でも、元祖リゾートしらかみ号とも言うべき「青池」編成で、後に「青池」という名称が付けられた事もあってか、側面に貼られた編成名称のステッカーも、やや苦し紛れな印象を受けたものでしたが、それ以外にも外観などがその後登場した「橅」「くまげら」編成などとは異なっているのが特徴です。

「リゾートしらかみ」号は五能線や沿線観光の活性化には欠かせない存在に成長し、来る新幹線新青森延長に合わせ、更に新編成が導入される計画が発表されており、今度は既存の一般型気動車改造ではなく、最新技術を用いたハイブリッド気動車となりますが、これに伴って1編成が運用離脱する事になっています。

「リゾートしらかみ」号から運用離脱する編成は、他編成と外観などの仕様が異なり、座席配置も僅かに異なる「青池」編成(車椅子対応の1人席が用意されておらず、他編成より座席数が1席だけ多くなっています)である事はほぼ確実かと思います。

そのためMAKIKYUとしては、先月五能線で乗車した「リゾートしらかみ」号で「青池」編成に当たって良かったと感じていますが、五能線の看板列車と言う事もあってか綺麗に使われ、まだまだ使える車両と言う印象を受けたものです。

JR東日本の他地域ではキハ58系列改造の古い観光列車用気動車も複数存在しており、「青池」編成はこの車両に比べれば遥かに程度も良好かと思いますので、出来る事ならこの古い気動車の取替えで他地域に転属し、引き続き活躍する事に期待したいと感じたものでした。

写真は「青池」編成の外観・車内や乗車した際の様子などに関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。