文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:問題解決の数理

2016-03-04 10:21:31 | 書評:学術教養(科学・工学)
問題解決の数理 (放送大学教材)
クリエーター情報なし
放送大学教育振興会

・大西仁

 本書は、放送大学のテキストの一つで、主として意思決定に役立つ数理的なアプローチについて解説したものだ。

 大学の正規の科目のテキストである以上、一般書のように概要だけを紹介しているようなものではない。取り上げられている手法が、実際にビジネスシーンで出くわす問題解決に役立つよう、きちんと数式を使って説明が行われているのだ。私の個人的な感触としては、学部の2年程度のレベルだと思うが、高校数学程度の知識があれば十分に読みこなせるだろう。

 紹介されているのは、線形計画法、非線形計画法、ネットワーク計画法、スケジュール管理、在庫管理等ORの勉強をした人ならおなじみのものが多い。ゲーム理論が2章に渡って解説されているのは、経済学などでもこの理論がよく使われるようになったという最近の傾向を反映してのことだろうか。ベイズの定理や遺伝的アルゴリズムが入っているのも、いまどきのテキストらしい。AHPなどは、かって盛んだったQCサークルでもよく使われた手法だ。これは複数の選択肢の中から複数の基準を使ってどれかを選択するような場合に使われるもので、そこそこ納得感のある結論が得られるような手法だ。

 もちろん本書に紹介された手法が万能なわけはない。目の前の問題に必ず適用できるとは限らないだろう。しかし、意思決定をKKD(経験、勘、度胸)で行うより、こういった数理的な方法を使った方が、はるかに納得感のある結論を得られるのではないかと思う。だからこそ意識決定に関わる者は、教養として本書レベル程度のことは知っておかなくてはならないだろう。おそらく適用できそうなことが、自分たちのビジネスにおいてもいくつかは見つかるのではないだろうか。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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