文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:・ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?

2016-03-02 08:13:49 | 書評:ビジネス
ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?
クリエーター情報なし
高橋書店

・ジェローム・シュシャン

 著者は、フランス人で高級チョコレートを扱う会社・ゴディバジャパンの社長だ。29歳から弓道を始め、現在弓道連士五段、国際弓道連盟の理事も務めている。著者によれば、弓道とビジネスには共通点が多いようだ。彼は、結果を出せるビジネスの正しい姿勢を弓道から学んだという。

 弓道には「正射必中」という言葉があるという。これは、正しく射られた矢は、必ず的に当たるという意味だそうだ。つまり、正しいプロセスで矢を射れば、的に自ずから当たるということなのである。言い換えれば、目的を果たすためには、目的のことばかり考えていてもだめで、正しいプロセスを踏んでいくことが大切だということなのだ。

 正しいプロセスを踏むことが重要。これは弓道であろうがビジネスであろうが、基本的な考え方としては大きく変わらないだろう。だから弓道とビジネスが似ているのは、ある意味当たり前だと言える。ただ弓道はそのプロセスがある程度確立されているが、ビジネスにおいては、自分でそのプロセスを探求していかなくてはならないという違いはあるのだが。

 本書に述べられているのは、割とオーソドックスなビジネス論である。例えば、マーケティングの4Pをうまく使うことや失敗から学ぶこと、顧客や現場の声を聴くことの重要性など、「弓道」成分を差し引いても、ビジネス書として普通に読めるだろう。しかし、うまく弓道になぞらえて説明しているので、とっつきやすいのは確かだ。

 また、ゴディバジャパンや前職のリヤドロジャパン(スペインの磁器人形の会社)の社長時代の経験を織り込んで書かれているので、著者が、具体的にどのようにビジネスを進めてきたかがよくわかり、ビジネスマンにとって得るところも多いものと思う。

 ところで、我々日本人は「○○道」のような精神修養に近いものを、その対極にあるようなビジネスになぞらえてあまり考えていなかったかもしれない。本書は、著者がフランス人だからこそ生まれた書だと言えるだろう。

☆☆☆☆

※本記事は書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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