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鈴虫炒飯

2019-05-26 | 日日是好日

 

図書館に予約したら、すぐに来た。ついでに歯科に寄ったので長い待合時間をまぎらそうと読み始めたがニヤニヤ顔を隠しようがない。あわてて別な本に変えた、くらいおもしろかった。
又吉さん創作の四字熟語が120(目次を数えてみた^^)。全部は書ききれない。例えば題名にもなっているが、裏表紙に
「鈴虫炒飯」 噛むと鈴虫の鳴き声のように美しい音が響く炒飯。急いで食べると「りいんりいん」という音が連鎖して、美しい音を奏でてしまうので、すべての人が仕事を放り出して聴き惚れてしまう。だから、鈴虫炒飯を食べるのは午後からの予定が無い時がいい。鈴虫炒飯は精神的に余裕がある人の質を求めた食事の意。転じて「何よりも内容を求める状態」のこと。
ということで、後は120の熟語から、順番にまたは面白そうなものを選んで読みかえしたりしてみたが、そのたびにいい気分転換になった。
この熟語は、その四文字から 「即落ち」「考え落ち」「説明落ち」というふうな読み方ができるし、大切なのは「書道落ち」これは田中象雨さんという方の書が、これまた内容にぴったりの世界を表した絶品で、ほとんどが右に書、左に熟語という体裁になっている。
「即落ち」ウンわかるわかる、と思ったら又吉さんのユニークな解説でショック。
編曲過剰、溜息影薄、鼻毛鳳凰、放屁和解、銀杏臭過、幹事横領、正月皆無、満塁無視、孤独万歳、呪詛殺人。鸚鵡復唱、鼻歌過激、円卓一人、晴天歯痛、構内抱擁、等々。 満塁無視、、
 
スタンドの大声援にカウントを読み間違ったとか、投手が自信過剰で真っ向勝負に行ったとか(ことなみ甲子園リポート)

 「考え落ち」あるあるなのだが、こう来たかと唸る。又吉哲学開陳。

 馬面猫舌、無惨風情、絶望歌集、納戸化石、前菜放棄、心器百畳、夜半狐憑、配合微妙、返事天才、詐欺地図、裏声柔道、登板黙殺、毅然堕落、居候昼寝、大盛残骸、土産自食、善行無惨、鼻歌過激、等々。
 
 納戸化石は、見つければ鑑定団が歓喜落涙かも (ことなみTVリポート)

 「説明落ち」これが一番面白い、又吉節炸裂。
神様嘔吐、白服伽哩、懲役二秒、欠伸百年、祖母咆哮、元祖偽物、精密乱舞、怪談謙虚、風来坊完、前衛大衆、他人伴走、馬鹿駅員、突撃哲学、月光心猿、仙人事故、蝉声忘却、微風逆風、谷崎打擲、嗚呼唱和、主将補欠、心中真珠、雨男主張、奇妙狂気、桃色墓石、芸術逃亡。等々。
 
桃色墓石なんて、亡くなった人にしたら仰天の出来事でしょう。(ことなみあの世リポート)

 「書道落ち」
「編曲過剰」過剰の「刂」が長い長い。 「構内抱擁」 コンクリート作りの相互乗り入れ駅の線描。 「布団反復」 ふわふわ布団、二度寝に最適。 「祖母咆哮」 一般的に穏やかな印象である祖母が咆哮するくらいだからよっぽどのことだ。悲しみ、怒り、歓こび、あらゆる感情が爆発している状態(又吉)文字も鬱屈状態から爆発!凄い筆力(田中)。 「憶測致死」 【用例】結婚式の二次会なんて、みんな浮かれてんだから下ネタを取り混ぜた替え歌でも唄ってりゃ盛り上がるだろうと思っていたら、信じられないくらい客が静まり返り、新郎新婦もうつむいて、憶測致死の極みだった(又吉)細い線はうねうねとして奇妙なかたちを作っている(田中) 「心中真珠」 ふんわりした心の上の真珠の文字が美しい(田中)

もうきりがなく面白い「同義語」「反語」まであり、おぉと納得しながらも笑える。 でもこの辺で打ち止めに。
 
 
 
 
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