
私は自転車競技、ロードレースというものは知らなかったので、その点もとても興味深かった。
前半はf国内レースで、白石の所属する「チーム・オッジ」のレースを追っている。それで徐々に競技のルール、団体戦での選手の役目などが分かるようになる。
構成も巧みで、レース中に、選手の気持ちや過去の事故のことなどが挿入され、物語が動き出す。
白石の目を通して語る話は、徐々に緊張感を増す。
脚力も勝りチームの軸になっていくが、先頭にたつエースを盛り立て風除けでアシストするのはチームを優勝に導く白石の役目で、エースに続く位置で働きを示す、エース石尾は実力があり先頭をキープしている。
メンバーは様々な思惑を持っているが、白石は走ることだけを楽しみ、出来ればアシストとして、世界に有名なツール・ド・フランスに参加し、世界の選手と走ってみたいと思っている。
ただ走ることが好きで、ゴールを目指すこと、1位で飛び込むことは目標ではない、淡々と懸命に役目をこなす。レース中雑念を捨てたような白石は、走ることだけに夢中で回りに余り関心が薄いが、実力があるだけに雑音を耳に入れるものが多い。
やはりどの世界でも努力なしに楽しむことは出来ない。
エースの地位を守るために手段を選ばないのが石尾だと言う噂が入ってくる。しかし白石は自分の役目をこなすことだけだと単純に考えている。作者もそういう人物を主役にすえている。
そして孤高のエースに見える石尾の微妙な振る舞いが、過去の事件とともにこの先ので何かありそうな不安をもたらす。
ついに選ばれて、ツール・ド・フランスのレースに参加する。そこで次第に石尾を含むチームメイトが、レース外の動きが鮮明になり、白石もその中に巻き込まれることになる。
「サクリファイス」、題名が頭の中に次第にクローズアップされ緊張感が高まる中、レースが進行していく。
とても面白い。スピードを競う団体戦で、位置を間違えば常にクラッシュの危険がある。選手は自転車の車体にまたがりむき出しの体で走っているのだから。
事故で脊椎を損傷し車椅子で観戦している過去のチームメイトがいる、それに寄り添うのは白石が憧れた彼女だった。そういったエピソードも含め、チームメイトのそれぞれの思惑も絡んでいる。
全ての設定がとても面白かった。
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近藤史恵、読まれたんですね。
『サクリファイス』のシリーズ、わたしも楽しんでいます。新しいのが出たらしいですがそれはこれからですが。おもしろいですよね~。
近藤史恵は、20冊くらい読んでいますが、個人的には『タルト・タタン』シリーズとキリコシリーズが好きです。言葉の選び方や、シーンシーンの切り口が、お洒落で好きなんです。外れのない作家ですよね。
これからも読んでいきたいと思います♩