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「眠れぬ夜に読む本」 遠藤周作 光文社文庫 (1)

2012-09-26 | 読書


随分前に、このことにちょっと触れた。
眠れないので「眠れぬ夜に読む本」と言うのを読んでいたが、余計眠れなくなってしまった。
というようなことを書いた。

とうに亡くなられてしまったが、著書はほとんど読んで、読み返すたびに、もう先がないのだ、これで終わりだと思う。
それでも完璧でない自分は、全集なら、きっと半分も読んでないだろうということがわかっている。
宿題かもしれない。

「この眠れぬ夜に読む本」は270ページの薄い文庫で、同じシリーズに「私にとって神とは」「死について考える」と言う二冊があがっている。この二冊も、まだ未読なので、私のほとんども当てにならない。
後の二冊は、読んでいないのでわからないが、題名から、もう少し先で考えてもいいだろうと残してある。

眠れないときは何を考えるか、
1 生と死について考える
2 東京について考える
3 自分と他人と動物について考える
4 趣味と興味について考える

という目次に続いて、少し詳細に題名が並んでいる。

名作「沈黙」があるように、狐狸庵先生はキリスト教徒だったけれど、難しい宗教の話や、心理学や、医学の話ではない。

好奇心の赴くままに、過去や、現代や未来を考え、そこにあるべきもの、あったもの、出会うものなどを、ユーモアをこめて、語っている。
不思議な現象を科学に照らしてみたり、人とは何なのかと、遺伝学を紐解いたり、軽い話題の中でも、死後の世界を考えたりしている。
昼間には、生活があり、合理的で、実際的で、複雑な時間が繰り返されていく、だが周囲から離れて自分ひとりになった夜の思考は、混じりけのないむき出しの心と対面できる時でもある。

そんな時、生きていることや亡くなった人や、自然や、伝聞であっても不思議な現象や、気にかかっていながら訪ねたことのない土地への思いに浸ることが出来る。

「眠れぬ夜に読む本」はいつも私の傍にある。難しい言葉もなく理解できない不思議もなく、その世界を共有できるところにこの本の魅力がある。

「地獄の思想」とともに、現実を超えた、人の心の深い底の流れに誘われる本である。

いつか目次に沿って思うことを書いていきたい、とりあえず(1)にした。



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