森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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新しい国会を動かすのは国民だ
新しい政権の構成をめぐって、連立のための協議がおこなわれているようです。民主党と連立を組む政党の責任は、もちろんそれだけ重くなることを意味します。
世論と国民の社会的な運動が政治をひっぱっていく状況がつくられれば、とひそかに思います。
鳩山代表が、日本の温室効果ガス削減について、「2020年までに1990年比で25%削減する」との同党の中期目標を堅持し、首相指名後の22日に米ニューヨークで開かれる国連気候変動サミットで、日本の新たな目標として世界に宣言する考えを示しました。
これ自体、少なくとも自公政権がとってきた態度からすれば大きな前進です。評価すべきは評価しなければなりません。その考えを、具体的に実行に移してほしいものです。
たとえば、こうした前進は、おそらく有権者・国民の期待と関心が後押ししているものなのでしょう。それがなければ、私の考えでは、民主党は(国民から離れて)遠くにいってしまうのです。
国民の側のふるまい次第で、大きく様相が変わりうると考えている一つは、社会保障の分野です。
例をあげると、6月に民主・共産・社民・国民新の野党4党が提出した「母子加算復活法案」が参院本会議で与党が棄権し、全員一致で可決しています。この事実は重たい、与党・自公の態度は横に措くとしても、野党4党が共同で提出したのですから。
母子加算廃止は、最も弱い部分への反人権的な対応だと私は考えるわけで、ぜひとも新政権にはこれを元に戻してほしい。共産はもとより、連立するか否かを問わず、理屈の上では、社民も国民新も賛成しなければならないでしょう。当時の与党、自民も公明もこれに反対する態度をとれなかったのですから、今さら反対するにはそれなりの理由がなけれななりません。
なにしろ生活保護基準をこうして引き下げることは、賃金や年金などの一つのものさしに生活保護が置かれている現状を考えると、私たち国民の生活の基盤を壊すことにつながります。2007年の最低賃金法の改定では、「生活保護に係る施策との整合性」に配慮して決定するとされたくらいですから。
したがって、母子加算や老齢加算を元に戻せという主張に賛同が広がる。ちなみに「元に戻せ」というアピールのよびかけ人は以下の人々でした。
雨宮処凛(作家・反貧困ネットワーク副代表)/新井章(弁護士・朝日訴訟主任弁護人)/井上英夫(金沢大学教授)/宇都宮健児(弁護士・反貧困ネットワーク代表)/大谷昭宏(ジャーナリスト)/小川政亮(日本社会事業大学名誉教授)/竹下義樹(弁護士・障害者自立支援法訴訟全国弁護団団長)/多田富雄(医師)/堤未果(ジャーナリスト)/都留民子(広島県立大学教授)/尾藤廣喜(弁護士・生活保護問題対策全国会議代表幹事)/本田由紀(東京大学教授)/湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長)
結果的に、先にのべた野党4党共同提案の法案は衆議院に送付されたものの、審議されずに廃案となりました。
総選挙後の新しい国会では、この「元に戻せ」の切実さを政権を担う民主党がどのように受け止めるか、それが問われています。それだけに、国民・有権者が声をあげ、しっかり監視することがどうしても求められるのではないでしょうか。
(「世相を拾う」09182)
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