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期待が重過ぎる、これが民主党の本音かな?
予想を超える調査結果というわけではまったくありません。
似たり寄ったりの結果を誰もが想定しえたのが、自民党から民主党への交代劇だったといえましょうか。
結論めいたことをいえば、自民党政権の継続はノー、これは否定しがたい。さりとて、民主党への支持が高かったかといえば、これもノーだということです。つきつめていえば、民主党への積極的支持ではなく、消去法的に民主党に入れる、投票するというそれ。ただし、私は、消去法であっても民主党に入れるという行為を強いる現行選挙制度、つまり小選挙区制に強く反発する。小選挙区制は、主権者の意思とは離れたところで、主権者の意思をも規定しているという側面を無視していはいけないのではないかと、こう思っているのです。当ブログではよく収斂と言う言葉を使いますが、自民党ではダメだと有権者が感じ取ったとき、民主党の政策を支持しているわけでもないのに民主党に投票すると考えるようにしむける、収斂させるしくみが小選挙区制度にはあるということです。1人の当選者しか生まないのが小選挙区ですから、結果的に、多くが第一党か、第二党かに入れるようにつくられているというわけです。
朝日の世論調査の結果はそのことを如実に語っているように私には思えます。
今回は、ともかく自民党に対する強い反発、全体的な反発が存在していた。その結果、民主党がこんな形容詞をもちいても誰も違和感を覚えないくらいの歴史的な大勝を果たしました。が、この勝因は、民主党への積極的支持ではなかったことは、世論調査の結果で明白。(民主党の)「政策を支持した」が4割程度なわけですから。政策を圧倒的な有権者が支持するという状況とは今回は異なることははっきりしています。それでも、新政権に期待する人が8割に及ぶというのですから、このことは逆に自公政権への強い批判、これは決定的な潮流として日本中を流れたということを意味しています。あえてふれると、その結果が民主党の大幅議席増に結びつく要因に小選挙区制があることをみておかなくてはなりません。
新政権はただ、自民党政権ではないという一点に強い期待を背負って登場する。正直いって、ここが民主党のいちばん辛いところかもしれない、などと私は密かに思っているわけです。なぜなら、そもそも民主党の年来の(政策的)主張に共感しているわけではない。受け止め方は、自民党とほとんどちがわない、左がかっている等々。それでも、有権者が民主党の政策を支持したとはいえないことだけが調査で明らかになった。
となると、有権者は自民党政権を少なくとも今回は拒否し、自民党ではない政権を選択した。が、政権を担う政党の政策には共感していないのですから、一時期世間ではやった、ねじれがそこに存在する。多くの有権者は、今回、民主党に投票した人の多くも民主党になんらの新味も感じていないような調査結果です。ただ、自民党の政権をかえるということを有権者は選択したということですね。だから、民主党のこれからの態度、一つひとつの対応そのものが逐一、問われることになるでしょう。
それは、一方で、自民党復活を期待している人の割合の多さにも表れているようにも思えます。ここまでくると、党ブログで指摘してきたような、投票行動における自民・民主の間での有権者の移動を裏付けているようにも私にはみえてくるのですが。
それでも、今回の選挙で投じた一票が、現実に政党選択にむすびつき、その結果、自民党の政権ではないものが新たに誕生するという経験を有権者は一旦へたのです。
すでに、国民のさまざまな運動、長年の要求を背景に、政府に求めてきたきた結果、薬害肝炎や原爆訴訟などに端的に表れているように、現実の政治を動かしてきました。それぞれの分野で運動や取り組みに携わってきた人ならば、それを実感するここ数年であったでしょう。国民の側からみた場合の、言葉を選ぶならこうした前進は、一方での長年つづいてきた自民党政治のゆきづまりがいよいよその極みに達する過程のなかでの出来事だという側面を視野に置いておいて、悪くはありません。
今回の選挙が、国民が現実政治を動かしてきたという、こうしたいくつかの事実に加えて、投票という広く有権者がかかわる行動によって政権をかえたという、その意味で一段階前にすすんだことは、他にはかえがたい意味をもっているといえましょう。その限りで、有権者が主体的に政治を動かす方向を加速させる可能性を、今回の選挙は広げたといっても過言ではないと私は思います。
民主党が政治をかえるとは有権者は今のところ思っていない。しかし、のぞんでいるのは自民党とはことなるもの、少なくとも直近の自民党とはちがう何かを有権者が求めているのは確実なのでしょうから、その点で、すでに民主党は矛盾の只中にあるともいえるのでしょう。
(「世相を拾う」09177)
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