森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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歯切れ悪い『朝日』 -高齢者医療制度
抑えようのないほどの怒りと悲鳴に近い、何とかしてくれという願いにこたえるのが政治の責任だろう。
冒頭の廃止法案は、つぎのような2つの柱をもっている。
- 来年4月に後期高齢者医療制度を廃止し、老人保健制度に戻す
- 10月までにとる緊急措置
- 後期高齢者保険料の年金からの天引き中止
- 保険料負担を軽減
- サラリーマンの被扶養者の保険料徴収の中止
- 70―74歳の窓口負担2割の中止
- 65―74歳の国保料(税)の年金天引き中止
後期高齢者医療制度で問われたのは、制度設計上の数々の問題点だけでなく、それぞれの問題点に表現される、制度の根本にある思想だった。つまり、それは、年齢で区分けし、従来加入していた医療保険制度やその扶養家族から強制的に除外し、差別的な医療を強要するものであった。
別制度への移行を強いられる高齢者の怒りと不安の対象はまさにそこにあった。
ようするに政府の医療費抑制ありきにいきつく。人のいのちより医療費削減に結果的に重きを置いたといわれてもしかたがないだろう。
朝日新聞が社説(5・24)で、野党の廃止法案にふれている。朝日の主張は、歯切れが悪い。
廃止法案についての言及部分は主につぎのとおり。
- 制度を「元に戻せ」と言うだけでは、問題は解決しない
- 老人保健制度に戻れば、多くのお年寄りは市町村の運営する国民健康保険に再び入ることになる。今後、お年寄りが増えた時に、いまでも厳しい国保の財政が維持できるとは思えない。
- 老人保健制度では、お年寄りの保険料も現役世代の保険料もまぜこぜで、だれがどう負担しているのかが分かりづらかった。現役世代の負担が際限なく膨らみかねないという不満もあった。
ようするに、国保に戻れば、また国保財政が悪化する、現役世代の負担が明確でない、と旧制度の「弱点」をもちだしているのだ。
けれど、(後期高齢者医療制度は)「国民皆保険を守るためだ」などと弁解したのは舛添大臣だったし、)。「一番医療費がかかる世代というものを明確にしながら現役世代の負担を明確にし、わかりやすい制度とする必要がある」といったのは法案提出時の厚労相・川崎二郎氏だった。
朝日は政府の言い分をそのまま繰り返しているにすぎない。
繰り返すと、医療費抑制策という制度の根本にある思想が問われていると先にのべたが、朝日は、医療費抑制の是非をこそ問うべきだろう。
「元に戻せ」と言うだけではと朝日はいう。しかし、その「元」の国民健康保険制度の財政を悪化させたのは、歴代の政府が国庫負担を減らし続けたことが大きな要因だろう。しかも、この間の日本では、正規雇用の非正規雇用への置き換えによって、非正規雇用のア彼らは社会保険から排除されてきたわけだから、国保が彼らを吸収したのだ。この点にかぎっていうならば、企業は非正規への置き換えによって(企業の)保険料負担を抑えてきたということになる。
つまり、私は、国庫負担を増額するという国の責任、そして不安定雇用を正規雇用に切り替えるという企業の責任を明確にする必要があると思う。この上にたって、制度の財政危機を乗り越えるのが、政治の責任ではないのか。
さすがに朝日も、「税金の投入は後期高齢者医療費の半分と決められているが、必要に応じて増やすことを明確に打ち出すべきだ」と申し訳程度にのべているが、歴史的な経過をふまえて、医療制度の財政危機の原因がどこにあるのか、そこに踏み込まず、目をそらしているのもまた朝日なのである。
(「世相を拾う」08092)
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南米諸国連合と「終わりのはじまり」
南米諸国連合(UNASUR)。
これだけでピンとくる人も多いだろう。
そう、南米では、反自由主義の潮流が大きな流れとしてはっきり認識されるようになってきた。
連合の設立はその到達点だ(写真は日経電子版5・24)。
12カ国が署名している。
前身の南米共同体に参加していたのは以下の諸国。
アンデス共同体(CAN)
- ボリビア
- コロンビア
- エクアドル
- ペルー
- アルゼンチン
- ブラジル
- ウルグアイ
- パラグアイ
- ベネズエラ
- チリ
- ガイアナ
- スリナム
設立条約では、主権平等、核廃絶を明記した。
とくに、「社会的、経済的な不平等の根絶」をうたい、この地域を席巻していた新自由主義によって、各国が貧困と社会的排除という困難に直面してきたことから、この克服をめざしていることが目をひく。
いうまでもなく、中南米ではこの間、中道・左翼政権が連続して誕生した。深刻な貧困、社会的排除を食い止め、打開するには、新自由主義をやめること、そしてやめるには中道・左翼以外にはないという、これらの諸国の選択があったのだ。
日本では、国会のなかの「政治的停滞」の一方で、自民党政治と国民の間の亀裂は、この上なく高まっている。たとえば後期高齢者制度の発足前後の事態。そして医療費削減策として政府・厚生省が位置づけてきた療養型病床の削減を、事実上撤回したことは、社会保障の一部分の現象にすぎないが、つまり自民党政権の端的なゆきづまりを示すものだと思う。
このような自民党政権の「失敗」とともに、最近の「蟹工船」ブームやサンデープロジェクトで資本主義の限界が討論される現象について、当ブログでとりあげてきた。
若者の間の「流行」やメディアの以上のような関心は、むろん日本社会の現状と無関係ではない。
つまり、今日の日本が、小林多喜二の描いた当時の状況と酷似しており、資本主義の終わりをも見通したマルクスの言説を参照して、とらえられるのではないか、という考えが支持をえている要因だろう。
資本主義の終焉かという問いに極端な単純化は避けなければならないが、南米の試みも、日本社会のこうした現状も、資本主義の直面する困難がそれをどこか実感させる現実があるからである。
南米諸国連合の設立というはじまりに考えたことは、資本主義の終わりのことであった。
(「世相を拾う」08091)
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【関連エントリー】
「サンデープロジェクト」と「資本主義の限界」
『蟹工船』がブームらしい。