かつてのレッスン仲間、テノールのSさんのオペラデビューの応援に行ってきました。
演目はRossiniのLa Cenerentolaでラミーロ王子役。
輝く声のReggero、発表会に来た友人には必ず「あの人は音大卒なの?」と決まったように聞かれたし、レッスンでも初めて出講した先生は必ず「研修所は受けないの?」と聞いたものでした。
彼の持ち歌であるベルカントのアリアはどれも素晴らしく、チェネレントラの中で歌われるシンデレラを探し出す!と心に決めるアリアも、発表会で聴いたことがあります。
オペラ歌手の道へ進むかどうかは以前から思案中だったようでしたが、私が紹介した某アッカデミアに昨年から通っていました。初めて1本のオペラに挑戦する今日は、その研修成果発表に場のようなものでもあり・・・
チェネレントラは、一言で言えばシンデレラのオペラ版。
Rossiniですから、登場人物たちのアリアはジェットコースターのように高低さのある坂道をころがるアジリタ万歳で、誰でも一度はチャレンジしてみたくなるオペラでもあります。
歌は原語でしたがセリフは日本語、彼の登場をドキドキしながら待ちました。
最初は王子の召使に変装してチェネレントラの家に現れるのですが、その口から出たセリフのポジションがものすごく低くて、そんな低いところでしゃべって歌にいって大丈夫か!?と心配になったのですが、それは大きなお世話というもの・・・。歌のときにはちゃんといつものポジションに持って行き、タダモノじゃない、と・・・。
セリフをしゃべるのは初めてでしょうから、緊張してそうなったんでしょうね。お話が進むにつれ、セリフの発声のポジションも高いところに移っていました。
アリアはさすがに歌いこんだだけあり表情にも余裕があった大成功でBravoの声が!
ご本人は、大失敗をやらかすのではないかと怖くて仕方なかったそうですが、立派に主役を務めておりました。
タイトルロールのシンデレラ役もまた音楽専攻の方ではありませんでしたが、落ち着いて難曲を歌いこなしており、Sさんとのバランスもバッチリでした。
で、舞台全体のことを言えば・・・会場は私も何度もでかけたこともあるし私自身も歌ったことのある100席ほどのコンサートホール。
いつもなら入って正面がステージなのに、今回は舞台を広く取るためか右サイドに設定されていました。それでもステージは狭いし客席と舞台はすごく近い。照明も客電と舞台にあまり変わりがなかったり、おそらく歌手は歌いづらかったのではないかな。それに奥行きがないことになり、もともと響くホールなので、声がすぐ跳ね返ってきちゃうから逆に声量のあるプロの方たちの声は大ボリュームになり、しかも芸達者な方が多かったため、ちょっと強烈な感じがしました。小さいホールでやるときは、もう少し計算が必要ではないかと。
それから、日本語のセリフの難しさ。日本語はストレートに耳に入りますから意味がわかる点ではメリットがありますが、演技力がバレバレになりますので・・・
ま、いずれにしろ、彼のデビューを見届けて満足。アッカデミアの修了公演も楽しみ。
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