「植草一秀の『知られざる真実』」
2019/05/10
消費税廃止最低賃金1500円公約に財源論不可欠
第2327号
ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019051017302954400 ──────────────────────────────────── この夏に参院選がある。
これははっきりしている。
ただし、まだ日程が確定していない。
それは、衆院とのダブル選が想定されているからだ。
国会の会期は6月26日まで。
国会がここで閉幕になると、参院選は7月21日が有力だ。
これが年初来の既定路線である。
拙著『日本を直撃する「複合崩壊」の正体』(ビジネス社) https://amzn.to/2PPBhAE
『金利・為替・株価特報』=TRIレポート http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
に記してきた。
だが、2019年には重要政策問題が存在する。
消費税問題だ。
この中止問題も昨年から明記してきた。
10月から消費税率を10%に引き上げる方針が定められている。
これについて、最終的な判断がまだ示されていない。
それは、消費税増税の再々延期があることを意味している。
実施するならすでに3月の段階で最終判断が示されているはずだ。
ところが、この期に及んでまだ確定していない。
消費税増税強行なら安倍自公勢力は大惨敗する。
間違いないだろう。
憲法改定はその可能性が消滅する。
大惨敗する理由は明白だ。
消費税増税反対勢力が圧倒的多数の主権者の票を得るからだ。
世論調査で多数の国民が消費税増税に賛成であるとの結果が得られているとの 情報があるが、嘘である。
圧倒的多数の国民が消費税増税に賛成しているわけがない。
この手の調査は、いかさまであるか、回答が誘導されているかのいずれかだ。
日本の財政赤字が深刻で、財政破綻の恐れが高く、社会保障制度が崩壊の危機 に直面しているとの嘘の話を刷り込んでおいて、危機を脱却するためには消費 税増税が必要不可欠と答えるように設問が組み立てられているのだ。
財務省は戦々恐々だ。
森友不祥事のあとの人事刷新構想がすべてひっくり返った。
それは、消費税増税を断行することを優先するためだった。
岡本薫明次官をはじめ、主要幹部が私と同年次の職員である。
岡本氏は森友問題に関与した官房長の職位にあった。
人事刷新案が新聞で内示されたがすべて覆されて元の序列通りの決着になっ た。
しかし、首相官邸が判断すると財務省の意向は通らない。
財務省は世論工作活動を展開して、OECDの奇怪な増税提案が日本でアナウ ンスされ、いかさま世論調査結果が流布されてきた。
それでも、首相官邸がNOと言えば通らない。
残る手段は森友疑惑の全真実を財務省が暴露することだ。
これを実行すれば安倍首相は間違いなく辞任に追い込まれる。
しかし、その度胸が財務省にあるだろうか。
安倍内閣は参院選での大惨敗を回避するために消費税増税再々延期=事実上の 凍結に進むだろう。
その場合には、衆院が解散される可能性が高い。
衆院は任期満了の4年務めるのが基本である。
内閣不信任案が可決された場合を除いて衆院を解散するのはおかしい。
天皇の国事行為に列挙されていることを根拠に衆院を解散するのは天皇の政治 利用に他ならない。
勝手な解散は憲法違反である。
しかし、憲法を無視する内閣総理大臣が衆院を解散してしまえば違憲であって も選挙になってしまう。
私たちは、この2019政治決戦でどう戦うのかを決めなければならない。
「ピンチはチャンス」
このチャンスを生かさねばならない。
2019政治決戦を制するには、政策の軸を明確に定めることが必要だ。
政策の軸として提示すべきは
1.消費税減税(廃止)
2.最低賃金全国一律1500円政府補償制度確立
3.原発稼働即時ゼロ
だ。
政策が第一だ。
党派は問わない。
これを主権者が主導する。
この政策を公約として明示する候補者を一選挙区一人絞り込む。
多人数区は複数候補の擁立が可能だが、勝てる人数以上候補者を擁立するべき でない。
野党共闘は歓迎だが、前提は基本公約の共有だ。
基本公約を共有できないのでは主権者の積極支持を得られない。
この政策を提示するときに、大事なことは説得力のある財源論を必ずセットで 提示することだ。
税金が減り、所得補償が実現するなら、それは誰もが歓迎するだろうが、信頼 できる財源論がなければ支持を得られない。
いくらでも財政赤字を拡張できるという議論は成り立たない。
世の中に「うまい話」は存在しない。
「うまい話」で騙されたという話なら無数に存在する。
だから、信頼できる財源論が必ず必要なのだ。
財政運営の根本に置くべき考え方は「健全財政」である。
家計を預かる主婦や主夫は、健全財政を基本に据える。
経常的な支出を借金で賄い続けるわけにはいかない。
政府が全員にカネをばらまいてしまうという話があるが、これを実行すれば、 必ず、その分だけ物価が上がる。
短期ではスレが生じる可能性があるが、中長期では必ずそうなる。
だから、経済政策を「うまい話」でやってはだめなのだ。
予算規模の3割を借金で賄っているなら、これを限度とするべきだ。
ただし、財政支出のなかに利払い比が含まれているから、これを除いて考える ことが経済学的には整理しやすい。
これがプライマリーバランスの考え方である。
10兆円以下の単位の赤字を問題にする必要はないが、プライマリーバランス の収支均衡をベースに置いて考えることは間違っていない。
この「健全財政」の考え方をベースに置いて、政府施策の明確な公約を掲げる べきである。
財源論について二つの柱がある。
一つは税収の構成比を変えることだ。
消費税が導入されてからの27年間に税収構造が激変した。
消費税が14兆円増えて
法人税が9兆円減り
所得税が4兆円減った。
つまり、消費税減税は法人税と所得税を減税するためだけに実行されてきたも のなのだ。
これを基本的には元に戻す。
とりわけ徹底的に優遇されてきたのが大企業負担なのだ。
大企業負担を適正化する。
そして、高額所得者の優遇税制を廃止する。
これだけで消費税を廃止できる。
ただし、直ちに廃止と言うと信用しない人が多いから、まずは5%に引き下げ るとするのでもいいだろう。
もう一つの柱は財政支出から無駄な支出=利権支出を切ることだ。
国の支出のなかに社会保障支出とは別に約50兆円の政策支出がある。
この50兆円が利権の塊なのだ。
この50兆円の利権支出の2割を切る。
すると10兆円の資金を捻出できる。
これは恒久財源になる。
年収200万円の労働者1000万人を年収300万円にするのにいくらかか るか。
10兆円である。
すべて政府が負担するわけではない。
時給1000円で年間労働時間2000時間だと年収200万円だ。
時給1500円になると2000時間労働で年収300万円になる。
決して空想物語ではないのだ。
原発即時ゼロは賛成する人と反対する人がいるだろう。
オールジャパン平和と共生は
原発即時ゼロ・消費税廃止(減税)・最低賃金全国一律1500円
を公約として確約する候補者を公認候補
「ガーベラ推薦候補」
とする。
れいわ新選組の山本太郎参議院議員と詳細を詰めてゆきたいと考えている。