「植草一秀の『知られざる真実』」
2014/11/19
消費増税中止候補を295人に絞り総選挙に勝利する
第1013号
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横暴政治の安倍政権が横暴な解散を断行する。
総選挙では主権者がこの横暴政治・横暴解散に対して審判を下さねばならな
い。
横暴な政治、横暴な解散に主権者は鉄槌を下す必要がある。
それが教育的配慮というものである。
横暴な政治、横暴な解散を容認してしまっては、日本の子供たちが、横暴な行
動を是としてしまうだろう
日本の子供たちに、横暴な行動、自分勝手な振る舞い、自己中心主義による行
動が厳しく制裁されるという現実をしっかりと示してゆく必要がある。
日本の矜持が問われる選挙と言い換えてもよいだろう。
安倍首相は衆議院解散の方針を示した11月18日に、民放テレビ放送に生出
演するなどして自己主張を展開したが、ほとんど支離滅裂、意味不明な内容で
あった。
「キレやすい」子供の増加が問題になっているが、安倍首相のキレやすさに
は、どこかに体調の深刻な悪さの気配が漂うと感じるのは私だけではないだろ
う。
9月の内閣改造の失敗もあり、安倍晋三氏が精神的に追い詰められている状況
が浮かび上がってくる。
安倍首相が提示する、
1.消費税増税の延期
2.国民の信を問う総選挙
3.再増税の際に景気弾力条項を削除すること
の三つの方針には根本的な矛盾がある。
第一に、「消費税増税の延期の是非を問う」と言うが、消費税増税の延期に反
対する政治勢力が存在しない。
これでは争点になりようがない。
消費税増税の延期をめぐって、国民を二分する論争が存在するなら、争点にな
り得るがそうではないのだ。
それにもかかわらず、この年末の忙しい時期に、国費を600億円も投じて総
選挙を実施するのは、横暴、暴挙としか言いようがない。
第二に、安倍氏は消費税増税延期で国民に信を問う理由について次のように述
べた。
「2009年の選挙で民主党は消費税増税をやらないと言ったのに消費税を増
税した。
税制の抜本改革のような問題は、国民の判断を踏まえて行うのが議会制民主主
義国の取るべき態度であって、消費税増税を行ったことはこの原則に反してい
る。
私は消費税増税をやることになっている状況を変更して、これを先送りするの
で、国民の判断を仰ぐ必要がある。」
このような趣旨の説明をした。
安倍氏がこう考えるなら、本年4月の増税実施の前に総選挙を行うべきという
ことになる。
安倍氏は「民主党は2009年の選挙での国民の判断と異なる増税をやった」
と述べるが、増税を実施したのは安倍自民党であって野田民主党ではない。
2012年12月の総選挙の際も、増税実施を争点にする行動は示されなかっ
た。
「民主党政権を維持するのか」、
「新しい経済政策(=アベノミクス)を実行するのか」
などの言葉だけが踊り、2014年4月の消費税増税の是非について国民の審
判を仰ぐ姿勢は存在しなかった。
国民の判断を受けて税制改革を行うと言うなら、2012年8月に強引に消費
税増税法を制定することに加担した自民党の行動は是認されない。
消費税増税法を制定する前に解散総選挙を求める行動を取るべきであった。
2012年の増税を決めた、いわゆる「三党合意」では、「近いうちに国民の
信を問う」とされたが、その肝心の選挙で、消費税増税の是非を問う態度は
まったく示されなかったのだ。
第三に、安倍氏が2017年4月の消費税増税については、景気弾力条項をつ
けないと表明していることの矛盾である。
現在の消費税法では2015年10月に消費税再増税を行うことになってい
る。
これを、衆議院を解散してまで変更して、増税を延期する方針を表明した。
増税を延期する理由について、安倍氏は日本経済の回復を重視するからだと説
明している。
増税実施が法律に定められているが、経済の状況が思わしくないから増税実施
を延期する。
この判断と対応を是とするなら、2017年4月の増税に関しても、同じ条件
を附則に盛り込むのは当然のことだろう。
これを安倍氏は、2017年4月の増税については、景気弾力条項を付さない
との考えを示している。
それは、景気循環の局面で増税実施がふさわしくないという局面でも増税を実
施することを意味するのであって、その対応を取るなら、今回、増税を延期す
ることを正当化することができなくなる。
完全に支離滅裂なのである。
しかし、主権者はこの機会を最大限に活用するべきである。
選挙争点を消費税再増税の
「延期」対「中止」
とするのである。
「中止」勢力が295の選挙区に一人ずつ候補者を立てる。
そして、安倍政権と全面対決するのである。
主権者を味方につければ、政権交代を実現することも可能になる。
11月21日午後6時から、東京の四谷駅すぐそばのプラザエフ(旧主婦会
館)8階で、
「再度の政権交代を実現する」集い
が開催される。
発言者 辻 恵 (前衆議院議員)
白井 聡 (政治学者)
植草 一秀 (経済評論家)
森田 実 (政治評論家)
特別ゲスト 鳩山由紀夫 (元内閣総理大臣)
が登壇予定である。
参加希望者は、辻恵前衆議院議員事務所まで、氏名とご連絡先住所、電話番号
を明記のうえ、FAXでご連絡を賜りたいとのことである。
FAX 03-3573-7189
消費税再増税の「中止」実現に向けて、主権者が行動を積極的に起こすべきと
きが到来した。
安倍晋三氏は消費税増税の「延期」を安倍政権の「成果」であるかのようにア
ピールして選挙に突入しようと考えているのだろうが、とんでもない勘違いで
ある。
もともと、主権者は消費税増税に反対している。
2009年の総選挙、2010年の参院選で、消費税増税ははっきりと国民か
ら拒絶されている。
この公約を破壊した悪徳政治家が菅直人氏と野田佳彦氏である。
渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、安
住淳、枝野幸男、玄葉光一郎
の10名が民主党悪徳10人衆である。
この悪徳10人衆が民主党政権と主権者国民との契約を一方的に破壊し、日本
政治を破壊したA級戦犯である。
安倍晋三氏が民主党が国民との約束を破って増税を決めたと批判することは正
しい。
しかし、安倍氏がそのように、ものごとの筋道をきちんと通すと考えるなら、
解散総選挙の前に消費税増税を国会で決めてしまうことは避けるべきであっ
た。
百歩譲って国会で先に決めてしまったのなら、その次の国政選挙で、明確にこ
の問題を提示して、国民の判断を仰ぐべきだった。
しかし、2012年12月の総選挙で、消費税増税の是非を問う姿勢は存在し
なかった。
安倍政権は政権発足後に「アベノミクス」と呼ばれる景気回復策を提示した。
金融緩和、財政政策、構造政策の三つが提唱された。
目新しいものではないが、野田政権の財政再建原理主義を排し、景気回復優先
の路線を提示したことは正しかった。
ただし、ミクロの視点では、弱肉強食推進=弱者切捨ての側面があまりにも強
く、日本を間違った方向に誘導しようとするものであった。
マクロでは正しかったが、ミクロでは間違っていたというのがアベノミクスの
適正な評価である。
ところが、この正しかったマクロの政策を大逆転させた。
それが、消費税大増税を中心とする、超緊縮財政政策だったのだ。
私は、財政政策の方向を180度転換し、極度の財政緊縮政策を実行すれば、
日本経済は撃墜されることを強く警告した。
『日本経済撃墜』(ビジネス社)
http://urx.nu/efEq
しかし、安倍政権は財務省路線に乗ってしまい、超緊縮財政政策に突き進ん
だ。
私はこれを、
「日本版財政の崖」=「財政の絶壁」
と表現して、その中止を求めた。
しかし、制止を振り切り、安倍政権は大増税に突き進んだ。
日本経済新聞は「消費税増税の影響軽微」の大キャンペーンを展開したが、現
実は、
「消費税増税の影響激烈」
だったのだ。
この状況で2015年10月に消費税の再増税を実施することはあり得ない選
択になった。
安倍政権は消費税再増税延期に追い込まれたのである。
これを「アベノミクスの失敗」と言わずして、何と表現できるのか。
「アベノミクスに失敗」
して対応を取るのだから、適正な対応は、衆院解散ではなく、内閣総辞職であ
る。
消費税再増税延期を表明して内閣総辞職を選択するなら、筋が通る。
安倍氏は都合の良いところだけ、筋を通し、都合の悪いところは、筋を曲げる
という行動様式を持っている。
「わがままなお坊ちゃん」
の行動様式だと批判されてもやむを得ないだろう。
しかし、世の中の変化はすでに、次の流れに向かい始めている。
それは、この選挙を消費税増税の
「延期」対「中止」
の戦いとすることである。
もちろん、原発、憲法、TPP、基地、格差の問題は、極めて重要である。
しかし、この五つの重要問題と、消費税再増税の「延期」対「中止」の対立
は、相当程度リンク、重なり合っている。
選挙は分かりやすくないと勝てない。
その意味で、今回の選挙を
消費税再増税の
「延期」対「中止」
の選挙にするべきだ。
「中止」の陣営が295選挙区に一人ずつ候補を立てて、総力戦を展開すれ
ば、政権交代実現も夢ではなくなるはずだ。