セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「パリ13区」

2023-05-10 12:48:58 | 映画感想
 「パリ13区」(「Les Olympiades(Paris, 13th District)」、2021年、仏)
   監督 ジャック・オーディアール
   原作 エイドリアン・トミネ
   脚本 ジャック・オーディアール  セリーヌ・シアマ  レア・ミシウス
   撮影 ポール・ギローム
   音楽 ローン
   出演 ルーシー・チャン
      マキタ・サンバ
      ノエミ・メルラン
      ジェニー・ベス

 叔母のアパルトマンでシェアルームの相手を探してたエミリー、そこへ女性とばかり思ってた高校教師の男カミーユが訪ねてくる、同じ頃、南仏から人生をやり直そうと憧れのパリへノラがやって来た・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=bXtLH9MaTec

 21世紀の「パリジェンヌ」(1961年・仏)とも言えるような作品、但し、視点は転々とするがオムニバスではないし、皆、生粋のパリジェンヌ、パリジャンでもない、台湾系、アフリカ系、南仏から来た地方人と言うのが如何にもポリコレ優先の今風である。
 もう一つ、作品を敢えてモノクロにした意味を考えると、これはヌーヴェルバーグへのある種のオマージュなのかもしれない、タッチもトリュフォーやゴダールを感じるし、エミリー(台湾系)、カミーユ(アフリカ系・男)、ノラ(地方人)、三人の感情の移り変わりをドラマにするというのは三角形が基本と言われたトリュフォーを連想する。

 エミリーは家族関係、生活の不安定さからか殆どセックス依存症、ノラは義理の叔父との10年近い関係を精算して憧れのパリで大学に復学、だがブロンドのウイッグ、ミニスカートで出席した学生パーティでチャットポルノの有名人アンバー・スウィート(ルイーズ)と間違われ大学に居られなくなる、地元でもパリでもセックスの対象としか見られない自分に自己嫌悪してる、そして二人と関係を持つ高校教師カミーユは何故か女に不自由していない。
 そんな訳でやたらとセックス描写が多いのですが、皆、迷いながらパリの市井で自分なりに懸命に生きてる所は伝わって来ました、また、脚本を担当した一人セリーヌ・シアマ(「燃ゆる女の肖像」の監督)の作風で「見る、見られる(チャットポルノの世界)」関係からの発展も入っていて、そこも面白く感じられました。
 只、収まる所に収まってスッキリと言う結末はフランス映画として、又、ヌーヴェルバーグ風作品としても予定調和過ぎないか(あの二人が長く続くとも思えないが)、もっとフランス映画らしく含みを持たせた方が良かった気はします。
 乱倫?でも大丈夫な方なら観ても悪くないかな。

  シャンゼリゼ モンマルトルも 知らぬまま
    墨田の川に 病葉ひとつ

 R5.5.9
 DVD
 
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