セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「彼は秘密の女ともだち」と「悪魔のワルツ」 (ネタバレです!)

2015-08-15 01:58:07 | 映画感想
 今月の「ブログDEロードショー」、予定外の作品。(笑)
 3章立てなので長くなります。

 「彼は秘密の女ともだち」(「UNE NOUVELLE AMIE」、2014年、仏)
   監督 フランソワ・オゾン
   脚本 フランソワ・オゾン
   原案 ルース・エンデル
   撮影 パスカル・マルティ
   出演 アナイス・ドゥムースティエ  (クレール)
       ラファエル・ペルソナス  (ジル)
       ロマン・デュリス  (ダヴィッド/ヴィルジニア)
       イジルド・ル・ベスコ  (ローラ)

 小学校へローラが転入してきて、クレールとローラは無二の親友となる。
 いつでも一緒の二人は遊びで「血の盟約」を交わしたりもした。
 やがて大人になった二人は、それぞれの伴侶を見つけ、ローラは妊娠、
出産。
 しかし、その直後、ローラは病を得て他界。
 葬儀でクレールはローラの夫 ダヴィッドと名付け親でもあるローラの娘
を生涯見守っていく事を誓う。
 ダヴィッドは赤ん坊がミルクを飲まない事で困るが、亡きローラの服を着
て飲ませる事に成功。
 それが抑えていた「女装趣味」を復活させてしまう(ローラは趣味を承知
してた(笑))・・・。

 男から見たら「ふざけんじゃねぇ!」
 でも、多分、観る角度は、そこからじゃないんでしょうね。(笑)

 ヒロインの夫ジルは、福山雅治似の美形で生活力有って、性格は一点
の曇りもないイイ人。
 (これでヒロインも超美人というなら別だけど、「赤毛のアン」が成長した
ような可愛いけど普通なんですよね)
 「宗教映画」でもないのに、こういう人が出てきたら「物語上、必要なだけ
で実態は「透明人間」」と思えばいいのかも知れません。(笑)

 クレールはダヴィッドの趣味を知った時、嫌悪感を感じて去るのですが、
捨てても置けず、やがて化粧のアドヴァイスや脱毛の手伝いもするように
なります。
 只一人、ダヴィッドの秘密を知る事で、「秘密の共有」者同士の親密さが
増してしまうんですね。
 やがて二人は一線を越えそうになるのですが、その度にクレールの理性
が押しとどめます。
 しかし、そのクレールも亡きローラと「愛し合う」、或いは夫ジルとダヴィッ
ドが「愛し合う」妄想を見るようになってしまう。
 (話の都合上なのかダヴィッドは「女装趣味」で「女」になりたくても、ホモ
ではなくアレはノーマル)
 夫と亡き親友の夫、二人の間で揺れるクレール。
 この作品の惹句は、
 「一度きりの人生を、自分らしく生きたいと願う“女たち”の物語」
 だとか。(笑)

 普通に観れば、大概は惹句とおりの見方で収まるんじゃないでしょうか。
 (話はイイんだけど結論部、全然、納得できません)

  シネスイッチ銀座1
  2015.8.14

 「悪魔のワルツ」(完全ネタバレ)
  (「The Mephisto Waltz(ザ・メフィスト ワルツ)」(1971年、米)
   監督 ポール・ウェンドコス
   脚本 ベン・マドウ
   原作 フレッド・マスタード・スチュアート
   撮影 ウィリアム・W・スペンサー
   音楽 ジェリー・ゴールドスミス
   出演 アラン・アルダ (マイルズ)
       ジャクリーン・ビセット  (ポーラ)
       クルト・ユルゲンス (ダンカン)
       バーバラ・パーキンス (ロクサンヌ) 

 元ピアニストで現在は音楽ライターで生活してるマイルズと、その妻ポー
ラ。
 或る日、名ピアニスト ダンカンを取材した事からダンカンと娘のロクサン
ヌに気に入られる事に。
 マイルズは幾度もダンカンの屋敷に招かれるようになるが、実はダンカン
には死期が近づいていた。
 そしてダンカンの死。
 ポーラがマイルズの変化に気付いたのはベットの中だった。
 急にテクニックが上手くなり、ポーラの肉体はそれまでにない快感に包ま
れる。
 ベットばかりでなくピアノも急激に上達していくマイルズ。
 不気味に思ったポーラは、ロクサンヌの元夫を訪ね、二人が「悪魔崇拝
者」で近親相姦関係にある事を知る。 
 しかし、その元夫もポーラの娘も急死してしまう。
 次に狙われるのは自分と自覚したポーラは反撃に出る。
 「悪魔の儀式」を受け入れ、自らの生命を悪魔に差し出す事でマイルズを
取り戻そうと。
 幾日後、ダンカンの屋敷でマイルズはロクサンヌと抱き合う。
 ロクサンヌの顔には勝利の歓びが浮かんでいった。

 この作品、ちょっと変なんですよね。
 確かにポーラはマイルズを取り戻したけど、マイルズの中身ってダンカン
なんだもの。(笑)
 一体、何なんでしょうね?、男としては数少ないJ・ビセットのオッパイが拝
見出来る希少作品なので、それだけで合格!なんですけど。(汗)

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 何が言いたいかっていうと。(笑)
 クレールが愛したのは、本当にダヴィッドなのかという疑問なんです。
 「血の盟友」関係だけども、ダヴィッドと同じく性向はノーマルで二人はレ
ズでもバイでもない。
 けれど、クレールはローラに「愛される」夢を見てるから、ローラに無かっ
たにせよクレールには少なからず「願望」は有った気がする。(ローラが姉、
クレールが妹の雰囲気)
 ヴィルジニア(女装時のダヴィッドの名前)が瀕死の重傷で危篤状態にな
った時、クレールが二人で行ったゲイ・バーで歌われてた歌を口ずさみなが
ら、病室に持ち込んだ衣装でダヴィッドをヴィルジニアに変えてしまいます。
 これが「悪魔のワルツ」の儀式に当て嵌まるなら、ヴィルジニアの姿で覚
醒したのは誰なのでしょう?(笑)
 「血の盟友」関係の二人とローラの娘、親子三人の姿が本当に見た目の
ままなのか・・・。
 この物語はヒロイン・クレールの視点で進行していきますが、本質的な所
は「クレールとローラ」の話ではないでしょうか。
 そうです、これは、普通の映画に見せ掛けた「ホラー」なんです!!

 ・・・な、訳は有りません。(爆)
 (そうでも考えないと男は「やってられねぇ!」(怒))

※ヒロインのアナイス・ドゥムースティエ、いかにもフランス女優って感じ(特
 別綺麗な訳じゃなく、普通っぽいけど魅力が有る)なんだけど、いいなァ。
(エロ目線有り~笑)
8.17 追記
※この作品を観て「自分に素直で何処が悪い」と思った女性陣、ヴェルダ監督の
「幸福」観ても怒らないでね。(笑)

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 忍ぶれど にじみ出るのか わが趣味は おとこ好きかと ひとの問ふまで
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3 コメント

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こんにちは (宵乃)
2015-08-15 16:05:48
>男から見たら「ふざけんじゃねぇ!」

「トッツィ」とか「ミセス・ダウト」は男性ウケ悪いんでしょうか?
コメディじゃないからダメなんですかね?
全然知らない作品なので、なんと言っていいのかわかりませんが、納得のいかない作品だったようで残念でしたね。
男と女の関係も、見ようによってはホラーになることがあるというのは、なんとなくわかります(笑)
今回もご参加ありがとうございました!
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2015-08-15 20:02:23
 宵乃さん、こんばんは
 コメントありがとうございます!

記事に書いた意味でなくても、男にとっては一種のホラー映画です。(笑)
ジルに一つの非もない。
立派な家、高収入、思いやり、優しさが有って、理解もしてくれる。
(一時的に赤ん坊を引き取った時、夜中の授乳でクレールが目覚めたら、ベットにジルが居なくて、探したら赤ん坊の小さな寝床で添い寝してた、ちゅうくらいな旦那)
そして二人の夫婦仲は理想的といっていいくらい安定してる。
なのに・・・。(笑)
話の流れから結末の予想はついていたけど、いざ目にしてみると、やっぱり釈然としない、理解できない感じでした。
結構、酷い話だけどラスト以外は「悪い」という程もなくて、それなりに面白いんですけどね。
(「だから男は単純なのよ」と言われれば、「単純、上等!」と言い返すしかないです)

オゾン監督は「ふたりの5つの分かれ路」以来、2本目ですけど、何か女性に媚を売ってる感じがしないでもないですね。

満員だったから270人以上入ってたと思うけど、男性客20人も居なかったと思います。
希少価値の男性客も殆どが夫婦かカップルで、僕のような「お一人さま」は見掛けませんでした。(笑)
返信する
予告編、貼っておきます (鉦鼓亭)
2015-08-15 20:15:32
https://www.youtube.com/watch?v=H8D4ALVFIUU
返信する

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