セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「無防備都市」

2016-01-18 23:57:54 | 映画日記/映画雑記
 「無防備都市」(「ROMA, CITTA, APERTA」、1945年、伊)
   監督 ロベルト・ロッセリーニ
   脚本 セルジオ・アミデイ  フェデリコ・フェリーニ
       チェレステ・ナガルヴィッレ  ロベルト・ロッセリーニ
   原案 セルジオ・アミデイ  アルベルト・コンシーリオ
   撮影 ウバルド・アラータ
   音楽 レンツォ・ロッセリーニ
   編集 エラルド・ダ・ローマ
   出演 マルチェロ・パリエロ
       アルド・ファブリーツィ
       アンナ・マニャーニ
       ハリー・ファウスト  ジョヴァンナ・ガレッティ

 今月は「イタリア・ネオリアリズム」がお題でした。
 ネオリアリズムと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、R・ロッセリーニの「無
防備都市」とビットリオ・デ・シーカの「自転車泥棒」。
 「自転車泥棒」は遥か昔、NHK教育で見た事が有るので、今回は見てな
い方「無防備都市」を。

 作品の内容に関しては、今迄観てきた沢山の戦争映画からくる経験の為、
その悲哀、物心両面の荒廃等、特に目新しいものは余り感じませんでした。
(多くの作品の原点と感じましたが)
 降伏後のナチス占領期、街の人々の面従腹背の様子、「無防備都市宣言」
の虚構性、その辺りが伺えて興味深いものは感じるのですが、残念ながらリ
アルタイムではなかった。
 (これ、日本公開当時に生きていたら、強烈な印象を残したと思います)
 只、映画史に於けるネオリアリズム~ドキュメンタリー・タッチ、ロケの多用
(戦争でスタジオ焼失の為)、庶民の視線で物語を作る~を覗いしれたのは
収穫でした。
 黒澤明監督が作った「野良犬」と「無防備都市」の類似性。
 本で読んではいたのですが「無防備都市」を未見だった為、よく解らなかっ
た、でも、漸く解決。(ドラマをロケ多用のドキュメンタリー・タッチで描く)
 今回は、これが一番の収穫で、本当によい機会を与えてもらったと感謝して
います。

※「野良犬」は1949年ですが、「無防備都市」の日本公開は1950年、偶然
 の産物と見るのが妥当だと思います。
 「イヴの総て」と「サンセット大通り」、「サイコ」と「血を吸うカメラ」、似た作品
 が同時期に発表される偶然はまま有る事。
※I・バーグマンは、この作品を観てラブコールを送ったのかな。
 このリアルな世界でバーグマン、皆が言うように目立ちすぎでそぐわないと
 僕も思いました。

 H28.1.15
 新文芸坐
 
 

 
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (宵乃)
2016-01-19 10:27:14
多くの作品に影響を与えた作品でしたか。
長年?気になっていた謎が解けてよかったですね。「無防備都市」を観る時は、「野良犬」も再見してみようと思います。…気力消耗しそう(汗)

>似た作品が同時期に発表される偶然はまま有る事。

発明とかでもよくありますよね。人間って深いところで繋がってるのかなと思ったり。まあ、環境が似ているというのもあるかも。
今回もご参加ありがとうございました!
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-01-19 22:06:26
 宵乃さん、こんばんは
 コメントありがとうございます!

市井の人々をリアリズムで捉える、ドキュメンタリー・タッチ、僕のネオリアリズムに対するイメージですが、リアリスティックに描いていくというのは世界に影響を与えたと思います。
フランスで起こったヌーヴェルヴァーグにも強い影響が有ったんじゃないでしょうか。

長年?気になっていた謎が解けてよかったですね>
いつか観なきゃと思ってたのですが、お陰さまでやっと観る事が出来ました。

「野良犬」>字幕が無いと辛いんじゃないかと。
僕は好きだからいいけど。

企画運営、中々出来る事じゃないと思ってます。
いつも乗っかるばかりですが、大変、感謝しています。
返信する
Unknown (ポール・ブリッツ)
2016-01-29 10:29:12
企画を立案して、イタリアネオレアリズモを9本ぶっ続けで見てちょっと疲れ気味です。

この映画は、そんな企画の引き金となった作品で、わたしは一番大好きな映画です。

ピエトロ神父をやったアルド・ファブリッツィがものすごくかっこいい役でしたね。聖職者というか、真の意味での人格者という感じで。

リアリズムという手法を使っているので真に迫って見えてくる、戦後のイタリアの混乱も含め、あの時代の空気を感じさせてくれる映画だったと思います。

今は黒澤明の「野良犬」と「生きる」が非常に見たいですが、今見ると体力と精神力を極度に消耗してしまいそうで(笑)

企画につきあってくださってありがとうございました(^^)
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-01-30 12:29:11
ポール・ブリッツさん、こんにちは
コメントありがとうございます!

企画立案ありがとうございました、お陰さまで有意義に時間を過ごせました。

ピエトロ神父〉最初は気弱で「便利に使われてる」のかと思いましたが、物語が進むにつれ芯の有る強くて立派な人物と判り意外でした。
「神の子」たちへの非道、理不尽に対する怒りとレジスタント、そこに加わる祖国愛という感じでしょうか。
この主役の居ない?群像劇で一番印象に残る人でした。

リアリズムという手法を使っているので真に迫って見えてくる、戦後のイタリアの混乱も含め、あの時代の空気を感じさせてくれる映画だったと思います。
〉あの当時、この作品を観た人達は物凄く吃驚したでしょうね、この作った感じのしない感覚は非常に新鮮だったと思います。
「自転車泥棒」、「鉄道員」、イタリアの古い作品は、本当に生活感が出ていて庶民の飾らない姿、その中にあるドラマを上手に描いていたと思います。
この作品は戦時下のローマの状況、生活感覚が良く描かれていて、そこが特に面白かったです。

「野良犬」〉僕はゲルマニウムラジオの世代だから音声の悪いのも余り苦にならないのですが、普通の方は字幕を付けたほうが無難でしょう。
物語が似てるのではなく、ドキュメンタリー・タッチという共通点が有ると思います。

観なければならない作品と思っていたので、良い機会でした。
こちらこそ「ありがとうございます」です。
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