セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「水の中のつぼみ」

2023-04-25 16:46:21 | 映画日記/映画雑記
 「水の中のつぼみ」(「Naissance des pieuvres」、2007年、仏)
   監督 セリーヌ・シアマ
   脚本 セリーヌ・シアマ 
   撮影 クリステル・フルニエール
   音楽 パラ・ワン
   出演 ポーリーヌ・アキュアール
      ルイーズ・ブラシェール
      アデル・エネル

 アーティスティックスイミングのリーダー フロリアーヌ、彼女の事が気になって仕方ないマリー、やがて二人は親密になっていくが・・・。

  予告編 https://eiga.com/movie/53519/video/

 ソフィア・コッポラ監督「ヴァージン・スーサイズ」(2000年)と同じ感じがした。男の窺い知れない、触れてはならない女性の内緒話を聞いてしまったような居心地の悪さを感じる作品、男には解りづらい作品でした。
 Lと聞いてるからか監督の私小説のような作品に見えます、私小説的映画という意味ではグレタ・ガーウィック監督の「レディ・バード」とも似てるけど監督の性質なのか、こちらは静謐で陰がある。
 物語は思春期の少女の憧れ、その対象となった女神の崩壊と再構築を経ての失恋、脱却という事なのかな。もし、これが私小説なら孤高を保つ主人公マリーと品性に欠ける友人のアンヌは監督の心の分身でマリーとアンヌ二人が合わさってセリーヌ・シアマという一人の人格なのではないかと感じました、そして、もう一人の自分、アンヌを見下しているマリーの侮蔑的視線も正直に描いてる。
 プールに浮かぶ二人のラストシーン、厭がっても、結局、二人は切り離せない同一人物なのだと理解してみる事にしました。(汗)

 「燃ゆる女の肖像」を創ったシアマ監督のデビュー作、まだまだ深さも芸術性も産まれる前という感じだけど、静かに「見る側」と「見られる側」の葛藤という雛形は既に表れていると思いました。
 何にせよ、余り男が立ち入る世界ではないような。(笑)

  目に映る 心はなれぬ 人もみな
   時分の花か 蝶のうたかた

 R5.4.24 
 DVD

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