外山滋比古氏は、非常に明快かつ分かりやすい筆致の文章を書くので好印象の著作家でした。
これまでファンになった著作家は、やはりそういう人の出ないと勧めれる気が起きませんから、注意が必要です。
ルイ.アルチュセールや、ハイデガー、丸山真男といった人たちの本は非常に難解で読みづらいです(笑)
ゆえに理解も不能であるばかりか、勧めることなどもっとできない話しです。
しかし、非常にやみやすい本でかつ明快な本は非常に勧めたくなるものです。
この外山氏は、この本で知的な独創力のある論文の書き方のヒントを明記しているのですね。
そのためには、日ごろから丹念な作業が必要ということですね。
そういう文を書くのは、寝させる、温める、という一連の作業であるということです。
これから連想するのは、やはり酒の醸造法と過程は一緒であるということになります。
よい着想の得れる決定的な瞬間をただ待っているだけではなく、日ごろから努力を惜しんではならないということですね。
そのためには、考える習慣を持つことの重要性を説いています。
ノウハウ技術だけで、快刀乱麻で物事が上手く運ぶことはないのです。
ここを読んだときに、現代の情報商材を思い起こしました。
これだけのことをすれば月100万円が得れるといううたい文句で売っている情報商材を何十万で売っているのを買って、それを実際にするも全然稼げない。
それは2つの理由があって、1つはそういう謳い文句で情報弱者を釣って大金を振り込ませる詐欺であること。
あるいは、もう1つは、実際稼げるけれどその買った人に情報の準備のないことがあるため、という2つの理由があるのです。
やはり技術だけで一気に稼げるなどということはないのです。
この本は77年に出された本ですが、現代にも通じるものがありますね。
一度脳内に入れた知識が、そのままでとどまっている状態で良しとするのが日本の教育であるとされていましたが、それでは知的な論文など書けないと外山氏はいいます
自分の頭で考えることによって違う形に変形しているのがいいということです。
これは、ショーペン.ハウエルの『読書について』という本を紹介した時にも同じことを書いてありましたね。
自分の頭で考えろ、読書に逃げるなということですね。
※参考ページ
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その考えるということですが、いろんなテクニックがあるようです。
取捨選択や、忘却といった様々なノウハウが書いてあります。
興味ある方は読むのがいいでしょう。 先に、知的、独創的な論文書くというのは醸造ということを書きました。
個々の着想や思考が有機的に結びつきあって人を酔わすことができる。
醸造はカクテルをつくることではない。酒でないものに化学反応を起こさせ、アルコールを発酵させることである。
これは外山氏の言葉ですが、やはりこういった一連の作業を垣間見ると、高校までの勉強法への批判になってしまうのが大学教育に携わる人の運命でしょう。
文章を書こうとうなってもいいアイデアは浮かばないのは誰しも経験することでしょう。
そうではなく、馬にまたがったり、トイレにいったり、床にはいっているとき、散歩している時、眠れぬ時などに着想がわいたりするのが、研究結果で明らかになっています。
ゆえにそういう人たちは、いつもポケットに小さなノートを用意して、アイデアが浮かんだらいつでも書けるようにしているようです。
それでも大丈夫、自分は思いついたらいつまでも覚えていられるから、という人はそんな工夫をする必要はないでしょう。
それは自分のスタンスで決める事でしょう。
やはり論文を書くという個人プレーでは、おのれの力を知ることが一番大事ですね。
探しても無くなったと思ってあきらめていたものが、いきなり出てきた。
あるいは専門外の本を読んでいたら、このアイデアが使えるんじゃないかといった感じで閃いたということをセレンディピティというのですが、この楽しさも説いています。
専門外のことを、いろんな違う分野の学者を集めて討論させる。
そのことで、ハーバード大学はよき閃きをえれて優れた学者を輩出したということです。
それはそういった知的専門家だけの話ではなく、経営コンサルタントや各種コンサルタントにも必要なスタンスでしょう。
こうこうすれば必ずうまく事が運ぶという頭でいるのは、石頭か傲慢というのでしょう。
経営に苦しんでいる人に単なる上から目線でアドバイスするのではなく、どのような状態か、どのようなことをしてきたか、いくら使ったか、どれだけ売り上げをあげればいいかといったことをキャッチボール式に会話をしていく。
そのことで最高の道が開けるのでしょう。
もちろん、一度知識を得たからといって、そのまま怠惰でいいかというとそうではなく、コンサルタントも経営者も両方、更に知的な昇華に務めなくてはならないのは言うまでもないです。
また、知的創造のために、面白い本との付き合い方、つまらない本との付き合い方等など、いろんなノウハウが書いてありますから、これは知的創造をしていきたい人にはうってつけの本だと思います。
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