矢野暢 『衆愚の時代』

2016-07-12 11:24:28 | 現代社会

yuka

 

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この本の著者である矢野暢氏も、大学時代に政治学を専攻していた私には注目せざるを得なかった学者でした。

その文体も、その学の奥深さにもやはり驚嘆せざるを得なかったのが事実です。

このかたは、クラシックミュージックにも造詣があり、そのせいか、矢野氏の書く文からはクラシックミュージックのもつ優雅な雰囲気を感じることができると感じたのはわたしだけではないでしょう。

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そういう魅力を有する学者はやはり読んでいて愉しい時間がすごせるのです。

この本は、 『衆愚の時代』と題されていますが、その標的がやはり現代人であることに間違いはありません。

衆愚?この高学歴化した現代で、しかも本や雑誌が多く刊行されているのに衆愚なんておかしい、そう感じる人が多くいても不思議ではないでしょう。

そこで怒らずに虚心坦懐に、この本を全部読み進めてみると、現代社会の弊が潜んでいることが分かるのです。

なぜ現代が衆愚の時代なのか? 興味の湧いた人は、どうぞこの本を読むことをお勧めします。

80年代の後半におきたリクルート事件は、やはりそのリクルート議員のバッシングをメインに解決を試みていましたが、矢野氏に言わせればそれだけではいけない、というのです。

リクルート議員の犯した政治的な不都合の第一は、国民一般が共有できない政治のルールないしスタイルを政治の世界に導入したことである、ということを書いています。

ここを読んで私は、「なんて奥の深い造詣や思考回路の選択肢がある人なんだ!」と思いました。

やはりこういう思考ができる人というのは、常日頃からいろんなジャンルの本を読んでいないと不可能ですね。

そういう状態が現れることをラッセルも危惧していたというのです。

矢野氏のモラルとしては、「民主主義を成り立たせる肝心の事柄は、為政者と被治者、大衆とが価値観や規則を共有することである。」というように書いています。

これも、単に本を読み重ねるだけでは出てこない文言であり、研究を重ねるのみならず、考え続けなくては出てこない文言でしょう。

それでいて、読み手に説得的でなくてはやはり意味がないのです。

私のみならず、本好きな人は、単なる情報の寄せ集めてきな本では満足できません。

やはりその書いた人のオリジナリティあふれる本でなくては。

この矢野氏は非常にオリジナリティのある人だと感心します。

しかし、このような「為政者と被治者、大衆との価値観の共有」のギャップの深まりはやはり日本のみならずどの国でも必然的に起こる事柄でしょう。 終戦直後はやはりその一致があったのです。

だから、持てるものと持たざる者との収入の格差が非常に小さかったのです。

しかし、その格差は非常に開いていっています。

為政者はやはりお金を持っている人がなりやすいです。

しかし、大衆消費社会というように末端消費材が国民万般にいきわたってしまえば、被治者や大衆には富の分配で政治的な要求はなくなる。

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すると為政者たちは、さらに自分たちの懐を肥やそうと考える。

それでも有権者は自分の生活が普通にできるようになればそれほどの不満は出なくなるものです。

それでも、自分の生活を向上させようと思うならば、自分で考え、自分で勉強し、収入を増やすように努力していくのがベストでしょう。 その格差を是正するように選挙候補者に託すのではなく。

それから矢野氏は、「政治の原罪」「政治の原恩」という概念を創り出しています。

政治の原罪とは、政治はもともと汚いものを含まれているのであって、その汚いところがでてきたらすぐさま批判してやまない意識のことを言います。

政治の原恩とは、政治が施行されるだけで無意識にありがたがる意識のことを言います。

現代のマスコミは、前者に多く傾いている、というのです。

世論が厳しく追い込んで本人が自主的に職を辞するか、立候補を断念させる、という手法ですね。

こういった裁きは、歴史的事実関係を妙にあいまいにしてしまう単純化の政治力学が働きがちである、ということです。

またニクソン大統領ウォータゲート事件においても、ニクソンを裁いた側の罪ないし罪の意識の道筋をも明白にしてみるべきだと言っています。

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ニクソン

ニクソン個人の罪だけに還元してしまってよいものかどうか、ということですね。

このところは私も非常に瞠目せざるを得ない分だと思います。

この本の111ページにおいて、矢野氏「正しい裁きとは、実は裁いた市民のほうも罪の共有感の意識に苦悩しつつ、「裁き」のむなしさに絶望し、また人を裁いた罪の意識のもとでひそかに涙するという局面をともなうものなのである」というように書いています。

これは非常に奥の深い学者の言であるといわなくてはなりません。

世紀の大新聞社から出た情報だからだとか、世紀の大テレビ局から出た情報だからだという理由で無批判にしてしまっていいものかどうか、ということは常々思っていました。

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何か納得できない部分が多くあり、信じきれないあいまいさが残ったことが多くありました。

田中角栄中曽根康弘鈴木宗男といった政治家のスキャンダルですね。

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新聞やテレビではいずれも大バッシングでしたが、はやり腑に落ちない部分が依然として残っていました。

それがのちにインターネットの登場で闇の権力者の陰謀であったことが明らかになったのです。

ことはインターネットだけではなく、のちになって本でも明らかになることもあります。

確かにインターネットにある情報がすべて正しいとは限りませんから、吟味は必要です。

ですが、テレビや新聞に出てくる情報のすべてが正しいとも限らないのは間違いありませんから、双方を吟味していくことが重要です。

特定のスケープゴートを求めたうえで裁きを加える、こういうのを「シーラ」というのだそうです。

それと対比する、革命的な情熱が充分満たされなかったときにやってくる反動的な状態を「カリブディス」というのだそうです。

学生時代の私がまさにカリブディスの状態でした。

大学で講義される科学は、社会にある問題点を良き方向にもっていくためにあり、その内容を勉強して、それを良き方向にもっていくために多くの人が行動しなくてはならないのは明白です。

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しかし大学生のほとんどは講義を受けるわけでもなく、本を読むわけでもない。

その状態に辟易していました(笑)。

矢野氏の描写によれば、「シーラは力を失い、そしてカリブディスというしらけでもない。何か別の政治的な心理的状態がしたたかに芽を吹きだしていることは間違いない。」というのです。

あまりに次から次に情報が出てくる現代において、そういった吟味をしていく余裕がなくなり、確かな情報が得れなくなる、また吟味しないで終わってしまう、いくら現代社会において高学歴化していっても。

それがまさに衆愚の時代なのです。

情報を逐一吟味していくのは、非常に骨の折れる作業であり、文字好きな人でないとするのは難しいでしょう。

いくら高学歴化してもその文字好きな人の全体での割合はそう変わらないのは明らかでしょう。

自分がある組織に属すると、その組織の長のことの称賛したことしか書いていません。

すると、その長に対して無批判になってしまうのです。

その内奥について是か非かの検証はやはり、その長の批判者の言を読むことです。

でもその作業をする人は少数派です。

それでその長のいうがままになってしまうのです。

その最たる例は宗教団体ですね。

その教祖に対して無批判になってしまうのです。

そして、その長のやりたい放題、無反省になってしまうのです。

そうならないためには、称賛者と批判者の両方の言を聴く、読むことが大事なのです。

それと大衆が、シーラでもカリブディスでもない政治的無関心が広がっている。

こういう状態は、やはり衆愚の時代といっていいでしょう。

しかし衆愚という文字から誤解を与えてしまっている観がありますが、国民全体が思慮分別のない幼稚な状態に引き下がったというのではなく、確かな情報を得れないでいるがためにその状態を憂えているのです。

また政治的無関心になってしまうのも、経済的に豊かになった国には必然的になってしまうことであり、それだけ日本が経済的に豊かになったということで喜んでいいのだと思います。

しかし正義感の強い人は、やはり昨今の格差社会には怒りを覚えるでしょう。

それを是正するためには政治家にその思いを託すのではなく、自分が豊かになるための努力をしていくのが望ましいでしょう。

自分が正義感の強い思いを持っていてもほかの人も持っているかどうかはわかりませんからね。

それが一番望ましいのです。

その他、この矢野氏の本は、非常に奥深く、いろんな説得的な考えが書かれていて、ものすごく勉強になるのです。

私の大学時代は政治学の専攻でしたが、ゼミの先生は丸山真男の本を何冊も、何回も読んだためにボロボロになってしまった、ということを言ってました。

しかし私は、この矢野暢氏を称賛します。

本を読んで一度きり、それで古本屋に売ってしまうパターンは多くありますが、この矢野氏の本は別格です。

この先、何回読むかわかりません。

それくらいに希望の持てる著者です。

そんな衝動に駆られたいかたは(笑)、この本をお勧めします。

●この本は以下よりどうぞ!

衆愚の時代―「神々は渇く」の政治学

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衆愚の時代―「神々は渇く」の政治学


★その他、矢野暢氏の本の紹介ページ

『フローの文明 ストックの文明』

 


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