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夢*想*花

人生○○年!!今までは家族のために頑張った。
これからは、自分のために楽しい、好き、糧になるを目標に過ごしたい。

* 一年の計 *

2017-01-04 22:00:23 | 読書
 「一年の計」と言っても何もありません。
 ただただ毎日が平穏に終わって「あぁ!今日も無事終わったか」てなもんです。

 昨年は「きょういく」(今日行くところがある)の言葉に従って、毎日読書にお稽古に
 ボランティアに勤しんでの一年でした。
 今年も同じくです。
 
 読書は、100冊を目指したのですが70冊で終わりました。一昨年は86冊でした。
 ただ「宮本輝」さんをほとんど読破して全9巻の「流転の海」(作者の父君を描いた本です。)
 がまだ発刊されていない9巻を残すのみとなりました。
 「宮城谷昌光」さんの「奇貨おくべし3巻」「太公望3巻」も面白かった。
 中国史が良くわからないので、作品の何から順に読んでいって良いか判りませんが
 今年は、宮城谷さんと山崎豊子さんに取り掛かろうかと思っています。
 新年から「運命の人全4巻」に挑戦しています。
 重たい題材だけど、今でないとだんだん読書能力が落ちてくると思うのでがんばります。
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* 宮本輝 作品 *

2015-10-31 07:41:34 | 読書

宮本輝の「田園発 港行き自転車 上・下」を読みました。
「泥の河」以来大好きな作家の一人で、折に触れて読んでいますが
このところ、ご無沙汰でした。

久しぶりに5月に「にぎやかな大地 上・下」を読んだ時、やはり宮本作品はよいなぁ~と!
この作品の主人公は、求めに応じてこの世で一冊の本を作る作家。
求めに応じて、いろいろなジャンルの本を手がけます。

日本の発酵食品を一冊の本にする。お金に糸目をつけず一冊100万円くらいの本です。
そのために、醤油はどこの何・味噌はと全国を巡るなんとも贅沢な話です。
これが本物のセレブな暮らしだと思います。
話は、これを中心に展開していくのですが、登場人物がよい人ばかりで読後優しい気持ちになります。

この本を、廻した友人は「せめてお塩だけは良い物をつかいたい」と言ってました。
私は、塩はすでに使ってますし、味噌も手作りです。
糠みそ(これも発酵食品です)を良い状態にと、毎日手入れを怠りません。
贅沢はせずに、なるべく本物のよい食品を口にしたいと、心がけています。

「田園発。。。。」は京都・富山・東京、三都市の家族の「縁」という不思議な糸で繋がっている
運命が、知らず知らずに繋がって行く。
この作品も「慈しみの心」を持った、優しい人ばかりで心が洗われる作品です。
中流な人を描いていますが、崇高な心を持った人ばかりだなぁとうらやましい限りです。
作者の品性が表れているのでは!と思います。


特に、富山湾に沿った北国街道。
この美しい景色が文章に滲み出ています。

昔、黒部峡谷・宇奈月温泉を旅行した折、魚津から乗ったホクホク線。
車窓の左側に見える富山湾を眺めての田園風景。海も空もきれいだったことを思い出します。
のんびりとこの風景を歩いてみたい、との思いに捕らわれます。
富山~滑川~魚津~黒部~入善とたどって見たい過程です。

興味のある方は、この二作品是非読んでみてください。

      安保法案に賛成した議員を落選させよう!
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* 鹿の王 *

2015-06-25 05:53:43 | 読書
 
   白壁に紫のクレマチスが素敵でした。

上橋菜穂子さんの「鹿の王上・下」を読みました。
「精霊の木」など、読んで見たいと思っていたのですが、なかなかチャンスがありませんでした。

予約数180人余との数字に、つい、予約してしまいました。(私も、読まなくちゃあ~)と
上・下それぞれ500ページ以上、上巻「生き残った者」は、登場人物の名前・絡まりあった複雑な部族の関係と名前
覚えるのに必死で、内容の把握迄いかず面白いのか?面白くないのか?
あやふやなうちに終わってしまいました。

下巻「還って行く者」で、やっといろんなことが判って、面白くなって一気に読みました。
折角の予約本。いつも回している友人に急いで回しました。

・・・・生き物はみな、病の種を身に潜ませて生きている。
    身に抱いているそいつに負けなければ、生きていられるが
    負ければ死ぬ。

    生の中には死が潜んでいる。
    (それでも、そうして生きるしかない。かぼそい命の糸を切られてしまわぬように
     懸命に糸をつむぎ直しながら・・・・・)
文中から抜粋

この言葉が、心に残りました。
この年になると、自分の命は勿論。周囲でもいろいろな病と闘っている人たちがいます。

いつも、ノー天気に旅行をしたり・音楽会や美術展に行って、うらやましく思っていた友人が
先日、「娘が乳がんに罹った。」と悲痛な電話。
「大丈夫治るから!」と、励ましたものの30代のお嬢さんに、ちょっと酷な病気です。

詳しいことは聞きづらくて、早く回復されるのを祈るのみです。
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* 朗読者 *

2015-05-08 13:37:18 | 読書
友人の勧めで読み応えのある本に出会いました。
   ベルンハルト・シュリンク 作   松永美穂 訳  「朗読者」
 外国小説は、登場人物の名前を覚えるのが大変で、余程のことが無い限り読みません。
 ドイツ文学で、「ナチスに係わった人の話」だというから、余り気が進まなかったのですが、読んでみました。
 主な登場人物は二人。名前を覚えるのも簡単。

 小説の冒頭は、15歳の少年と彼の母親のような36歳の女性(彼女は元ナチスユダヤ人収容所の看守)との恋愛で始まります。
 不道徳な嫌な小説だなと思いつつ(自分では、この関係に到底納得出来ません)、いったん読み出したら最後まで!
 と読み進むうちに、面白さに引き込まれました。

学校の帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、
それがきっかけで恋に落ちる
そして彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。
ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。
彼女が隠していた忌まわしい秘密とは何だったのか。。。。。
表紙の見開きのあらすじより

彼と彼女の心情というより、私は彼女の心情に思いを馳せました。
さらっと読めるのですが、戦争に巻き込まれていった人々の避けられない立場。
戦後も、その過去を隠しながら生きていかなければならない重荷。戦争がもたらす悲劇・残酷さをしみじみ感じました。

本当に、良い本に出合えたという想いで一杯です。
興味のある方は、是非読んでみてください。
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* かぜのでんわ *

2014-11-07 21:59:24 | 読書
岩手県大槌町の佐々木さんが、自宅の庭に「風の電話ボックス」を置きました。
「会えなくなった人へ伝えたい。。。。」一人っきりになって、電話をかけるように相手に想いを伝える空間で、実際の電話線は
つながってません。

        風の電話は心で話します。
        静かに目を閉じ 耳を澄ましてください
        風の音が又は浪の音が或いは小鳥のさえずりが
        聞こえたなら あなたの想いを伝えてください。

「あまりにも突然、多くの命が奪われた。せめてひとこと、最後にはなしたかった人がたくさんいるはず。そして今回の震災だけでなく、あえなくなった人につたえたい想いを持っている人は多いと思います。どなたでもいらしてください」

この電話の話を基に「いもとようこ」さんが本をかかれました。
     
     やまのうえに1だいのでんわがおいてあります。きょうもだれかがやってきました。
     
     たぬきのぼうやがてっぺんをめざしてあるいています。
     
     「もしもし、おにいちゃん。どこにいるの?はやくかえってきてよ!
      ぼくさびしいよ!いつものようにあそんでよ!ぼくいいこにするからさ!ねっ!」
     
     うさぎのおかあさんは「もしもしぼうや。げんきにしてる?いいこにしてる?
     いつものように「ただいまー」ってかえってきて!
     そして「おかあさーん」ってよんでちょうだい! いつものように いつものように。。。。。。
     
     雨の日、きつねのおとうさんがでんわのまえで いつまでもないています。
     「もしもし、おれ、どうしたらいいんだ!おまえがいないとなんにもできないんだよ~。
     ひどいじゃないか!おれとこどもたちをのこしていっちゃうなんて。。。。。。ひどいよーひどいよー」
     
     ごめん!こんなこというつもりじゃなかったんだ。ほんとうはありがとうをいいにきたんだ。
     ありがとう!ありがとう! いままでほんとうにありがとう!

一部抜粋しました。興味のある方は読んでみてください。
せつなくて、涙が出ます。
この本を4年生の子供たちや、デイサービスの皆さんによみました。
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* 武士の家計簿 *

2014-09-02 21:56:55 | 読書
         磯田道史著「武士の家計簿」
「加賀藩御算用者」の幕末維新 新潮新書を読みました。
御算用物(おさんようもの)「加賀百万石の算盤係」会計処理の専門家であり、経理のプロであります。
作者が神田の古書店で「金沢藩猪山家文書.入掃帳(いりはらいちょう).給禄証書.明治期書状他 天保~明治 一函15万円」也
を手に入れたのが始まりでした。
古い和紙を詰め込んだ段ボールの中身は、天保13(1842)年7月から明治12(1879)年5月まで、約37年間にわたっての、幕末武士が明治士族になるまでの完璧な記録です。


作者は、この文書から当時の幕末の動乱に揺れ動く加賀藩の様子や、長州や薩摩の動きも描かれています。
この時代の、給与体系や下級武士の生活、まず家計簿をつけていたことが驚きです。
それも、奥方や家来でなく当主が家計の実権を握って、事細かに記録を付けています。

薩長が実権を握っている明治維新において、士族の職探しや生活の困窮を書き表しています。
幸いにして、海軍に就職できた猪山家の年収が、現代の感覚で3600万円に対して、官員になれなかった士族の年収は150万円、これが士族にとっての明治維新の現実です。


作者は、新政府を樹立した人々は、お手盛りで超高級を貰う仕組みを作って、さんざんに利を得たのです。
官僚が税金から自分の利益を得るため、好き勝手に制度を作り、それに対して国民がチェック出来ないと言うこの国の病理は、すでにこの頃から始まっている!と


小説でもなく、一種の経済書だと思います。とにかく面白かった。
この書は映画化されました。どのように表されたのか、映画を是非とも見てみたいと思いました。
因みに作者は「史学博士」で、慶応大学.宇都宮大学.大妻女子大学の非常勤講師です。専攻は日本社会経済史です。
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* 読書 *

2014-07-06 22:15:13 | 読書
第150回直木賞受賞作の、朝井まかて作「恋歌・れんか」を読みました。

    君にこそ恋しきふしは習ひつれ
           さらば忘るることもをしへよ


幕末の江戸で熱烈な恋を成就させ、天狗党の志士に嫁いで水戸へ下った中島歌子。
だが、内乱の激化にともない、彼女は夫から引き離され、囚われの身となった。
明治の世に歌塾「萩の舎・はぎのや」を主宰し一世を風靡した歌子は、何を想い、胸に秘めていたのか。
  (帯封 解説より)

久しぶりに面白い小説でした。
徳川幕府崩壊の中で、時代にほんろうされた人々の哀説が身に詰まされます。
「勝てば官軍」の風潮の中で、最初は官軍に属していた水戸の天狗党が、諸生党により藩の内紛を公儀・朝廷への反逆にすり替えられていつの間にか賊軍とみなされます。

幕府軍と諸生党によって、天狗党は敗戦し一家皆殺しの憂き目にあい、中島歌子の主人も死にます。
牢に捕らわれた天狗党の家族は、幼い子供まで首を打たれ悲惨な死を遂げます。
王政復古により天狗党の名誉が回復され、諸政党は幕軍として北越戦争や会津戦争に参加して敗戦して、水戸藩により処刑される。

同じ藩士が争う結果となった水戸藩や朝廷を守護していた会津藩が、薩摩・長州の陰謀で賊軍となって行く経緯は、単純な私には理解できないものがありますが、時代が変わっても戦争が起こると言うことは、このような結末になって行くものではないでしょうか?

先日、閣議決定された「集団的自衛権」にも、憲法9条が骨なしにされ、子供や孫達が戦争に行く羽目になるのではないかと、危惧する一人です。
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* 舟を編む *

2014-03-14 11:27:34 | 読書
三浦しおんさんの「舟を編む」。これも、昨年5月に予約した本です。
映画が先に上映され、「余程映画を観に行こうかと思いましたが、待て待て原作を読んでから」と踏みとどまっていました。
ほんの題名も、おかしな題名だなと思いましたが、辞書の説明でなるほどな!と納得です。


[ 辞書 ] 言葉と言う大海原を後悔するための舟
[ 辞書編集部 ] 言葉の海を照らす灯台の明かり。
新しい辞書 「大渡海」 を編む仲間として、編集部に移動になった馬締は、定年間近のベテラン編集者・日本語研究に人生を捧げる老学者・徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男(途中で宣伝広告部に異動)と二人の女性スタッフと辞書を編纂した、15年間の苦闘が描かれています。

辞書を作ることの苦労。一つ一つの言葉の重み、辞書の用紙一つ取っても、薄く・裏映りがしない・めくる手触り等細かいところまで配慮がなされています。
普段何気なく辞書を使いながら、辞書が出来あがるまでの過程を、考えたことがありません。
この本を読むと、辞書を大事に使おうと肝に銘じました。
辞書を編纂。この地味な作業や過程を、映画はどのように表現しているか、映画も見たいと思っています。


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* 多湖輝さん *

2014-03-12 14:06:11 | 読書
多湖輝さんの「100歳になっても脳を元気に動かす習慣術を読みました。
  ボケる頭の使い方 ボケない頭の使い方
この本は、2013年7月14日の朝日新聞の「天声人語」で紹介されており、前に述べました「キョウヨウ」(今日用事がある)と「キョウイク」(今日行くところがある)の話にも触れていました。

作者の多湖輝さんは「頭の体操」やゲームソフト「レイトン教授シリーズ」などで有名な方です。
早速予約をして、やっと手元に届いた本です。

ポイントは「毎日毎日」と言うこと、つまり「長い間」と言うことで、長い間、 脳を上手に使うか、上手に使わないかによって、ボケるかボケないかの違いが出てくると言うことです。(裏表紙の説明より)

読んでみますと、私が結構実践しているようなことが書いてあります。
おしゃべり・良く笑う・好奇心旺盛・ほどほどに運動しているし、ボランティアなどで出かけるし。。。。。
これで、ボケたらお手上げだなと思いました。

一つ 気にいった言葉 やらなかった後悔より、やった後悔の方が脳に良い
(何でもやってみないと、気が済まない私にはぴったりの言葉です。失敗して落ち込んだりしますが!)
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* 山岡鉄舟 *

2014-03-08 12:03:41 | 読書
山本兼一作「 もいらず もいらず」上幕末編 ・下明治編
幕末の三舟  勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟  名前だけは知っていましたが、勝海舟の功績は知っていても、他の二人の(なにをした・どんな人?)ことはほとんど知りませんでした。

山岡鉄舟(小野鉄太郎)は、六百石の旗本の次男坊で、飛騨高山の陣屋で幼少期を過ごします。江戸に出て五人の弟の面倒を見ながら、剣の修行に励みます。
住まいの近くの、山岡道場に入門。道場主・山岡静山が死んだあと養子に入って、静山の妹と結婚します。
高橋泥舟は、静山の弟で幼少時に高橋家の養子となっています。

「日本をどうする。お前はどう生きる。最後のサムライ・山岡鉄舟! 堂々の生涯」
鉄舟は、幼いころから剣・禅・書の修行に励みおのれを鍛えた。最後の将軍徳川慶喜の意向を受け、命がけで官軍の陣を突破し、西郷隆盛と談判。和議をまとめ、江戸城無血開城への道を作った。
朝敵であったにもかかわらず、明治天皇の教育係に任じられたのは、一点の曇りもない無私の心の持ち主だったからである。
やがて、禅の悟りの境地に達して剣の道に開眼。名誉・官位・金銭に執着することなく、生涯清貧をつらぬいた。
志高く、他人を思いやり、それでいて図太く堂々たる山岡鉄舟の人生は、日本人としての生き方とは何かを問いかける。
(帯封の言葉より)

駿府まで攻めよせて来た、官軍の将西郷に、将軍慶喜の意向を伝えに交渉に赴く時、清水次郎長に官軍突破の手助けをして貰います。
「命もいらず名もいらず、官位も金もいらぬ人は始末に困るもの也。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬ也」と、西郷に言わしめます。勿論鉄舟には、うまく談判して手柄を立てようとの、気持ちは有りません。
ただただ、江戸の町を焼け野原にしないよう、必死で突き進んできたのです。
鉄舟も西郷のすがすがしさに、英雄の気韻を感じ意気投合します。

西郷が、西南戦争を起こす三年前、鹿児島に帰ってしまった時、天皇に頼まれて鹿児島に説得に行きますが、西郷の気が変わらないことを察すると「西郷と同じ時代に生き、向かい合って生きたことを喜んだ」。。。。。

何時もつぎはぎだらけの着物をまとい、泰然としている姿。
家は、障子も畳も・床板も薪にしてしまい、慕ってくる人に酒をふるまう。とにかく豪快な人です。
その人柄を示す逸話が随所に有ります。読み応えのある面白い小説でした。
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* 冷血 *

2014-02-10 23:09:29 | 読書
高村薫さんの「冷血・上下」を読みました。

ネットの携帯サイトで知り合った二人が、初めは郵便局のATMを襲うつもりが、失敗すると行き当たりばったりに車を盗んで、コンビニ強盗を働きます。
それに満足せず、昔恋人が治療したことがある歯科医院に行って12月20日~23日まで休診の張り紙を見ます。
歯医者なら、金があるだろうとその自宅に20日に盗みに入ります。
留守だと思っていた家に深夜忍びこんで、物音に驚いた大学病院勤務の歯科医を殺し、次に歯科医院の女医をキャッシュカードの番号を聴きだ出すと、これも無慈悲に殺し、2階に寝ている小学6年生の男の子・中学1年生の女の子を布団の上から鉄製の根切りで滅多打ちにして殺します。(殺し方が残忍です)
この子たちは、21日から行くことになっていた「ディズニーシー」を楽しみに眠っていました。

作者は、小説の冒頭で、この一家の頭のよさそうな・幸せな家族を描写しています。
読む方は、何故この子たちが殺されなくてはいけなかったか?せめて子供たちだけでも生かして呉れたら良かったのにと犯人(作者?)の非情さを感じました。
犯人の一人が、教師の両親から小さい時から勉強にせきたてられ、付属に落ちてしまった自分。それから狂った人生を、この子たちが筑波の付属に通っていると言う、腹立ち・妬みから殺してしまったのか?本当に悲惨で冷酷な殺人です。

上巻では、被害者の家族の日常・犯人たちが事件を起こすまでの、それぞれの背景。
下巻では、主に犯人たちの取り調べや、警察や検察の対応。
本当に、読み手にとって根気のいる作品でした。事件そのものは単純な男二人が、場当たり的に起こした事件ですが、何故事件を起こしたのかが、犯人にも判らないし警察その他も理解できないことばかりです。
魔が差したと言いようのない犯人たちの精神状態、難解な気の重い作品でした

(私の拙い粗筋では、うまく作品を表現できないので、ネットで文芸春秋Book倶楽部の掲載を見つけました。参照して下さい)

文芸春秋Book倶楽部に掲載された作者の言葉
 十代で読んだトルーマン・カポーティによる、ノンフイクションノベルの傑作「冷血」が、ずっと作者の心に有った。

「男二人がよく考えもせず強盗に入り、殺さなくてもよい家族四人を殺してしまう。事件というのは本当にとらえがたいものだと思いましたし、一九五〇年代末のアメリカで起きた、言葉にできない『悲劇の塊』は私に強い印象を残しました。華やかでも豊かでもないアメリカを知ったのも『冷血』からです」
日本の殺人事件報道や小説での描かれ方に違和感を覚えたのも『冷血』の読書体験があったからだった。
「その違和感を検証してみよう、見つめ直してみようと書いたのがこの小説です」

事件のなぞが解かれた先の、答えの出ない堂々巡りの世界を言葉で編んでいくのが私の仕事だと思うんですよ
 なぜ殺したのか。明晰に語る言葉を持たない二人に、高村作品でおなじみの刑事合田雄一郎が対峙する。膨大な調書を読み、仮説を立てては「否」と打消して思考を巡らせ、二人に手紙を書く。

「ああでもない、こうでもないと、合田は言葉でもって二人の周りをぐるぐる回っている。昔から、私は人間が言葉ですべて説明できると思いすぎているのが気になっていました。ひとりの人間が罪を犯す、それによって人が死ぬ。それらを言葉で断定して理解した気になることに、もっと慎重になっていい」

 土地の名前や時代が明示されるのが高村作品の特徴のひとつ。二〇〇〇年代前半が舞台の今作でも、二人が乗る車、好きな漫画、パチスロの機種、鼻歌の曲名、一つひとつが丁寧に書き込まれる。

「私は漫画も読みませんし歌謡曲も聞かない。最初は『パチスロ』って何?という状態でしたけど、ぜんぶ一から勉強しました。車の構造も、戸田は歯が悪いという設定ですから歯学の勉強も。大変でしたけど調べるのは苦痛じゃない、知らないまま書くほうが苦痛ですね」

                                           以上
難解で根気のいる作品でしたが、面白い作品です。一読の価値は有ります。 
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* 読書 *

2014-02-06 23:14:11 | 読書
1月に読んだ本
1、(吉田修一)愛に乱暴  2、(天童荒太) 家族狩り4部 巡礼者たち 3、家族狩り5部 まだ遠い光
4、(石田衣良)水を抱く  5、(篠田節子) ミストレス   6、(道尾秀介) 月と蟹(第144回直木賞)
7、(百田尚樹)風の中のマリア  8、(高村薫)冷血上  9、冷血下

読書の時間がなかなか取れない。本はながらでは読めないので、テレビも見たい・庭いじり・友達とのお茶会etc
あれもこれもと、むらっ気の多い私は、寝る前に布団の中で1~2時間。
朝4時に目が覚めるので、5時半まで布団の中で腹ばいになって読んでいるので、体が冷えるし疲れるので
30分間休憩して、6時に布団から抜け出してラジオ体操に行きます。
勿論、一日本を読んでいる日も有ります。
何せ、100冊が目標ですから、一月に最低8冊は読まないと、と思っています。

分厚い本を読む時は、先ず半分のページにしおりを入れて、またその半分にしおりを入れます。
読むのが嫌にならないように、しおりに辿り着くのを目標に読んでいます。

石田衣良さんの「水を抱く」は、主人公が異常なセックス癖のある女性に振り回されて、そのセックスの描写が赤裸々で、
途中で読むのを辞めようか?と何度も思いました。
でも、読みかけたからには、読んでしまわないと作者にも失礼に当ると、気を取り直して読みました。

高村薫さんの「冷血上下」も1ページが2段組みで、内容も重い作品だったので、必死で読みました。
作者の作品への気力に、こちらも負けないように全精力を使って、しおりを追って行きました。
読み終わってホッとしています。
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* 読書 *

2014-01-21 09:00:08 | 読書
「今年こそ100冊読破!」目指して、頑張っています。
その中で百田尚樹作「風の中のマリア」が面白かったので、紹介します。
内容がどんなだかも知らず、図書館の購入図書案内で、百田さんの本だったら、面白いだろうと予約しました。
主人公の「マリア」とは、オオスズメバチの働き蜂(ワーカー)のことだと知って、「なんだ、ハチの話しか?」と
正直ガッカリしました。

巻末の養老猛司氏の解説に
実に希有な面白さを持った不思議な小説である。
極めて学術的に描かれていながら、同時に冒険小説の様に力強く感動的なドラマがある。(中略)
ハチが代表している社会性昆虫の生活が理解できてくるはずである。
と有りました。

その通りでした。
単にハチと一括り出来ない、キイロスズメバチ・西洋ミツバチ(日本で蜜を取るために飼われているのはセイヨウミツバチ)
ニホンミツバチ・その他の昆虫の生態が描かれています。

1頭の女王ハチから生まれたワーカー(メス)の命は羽化してから30日。(卵から孵って羽化するまで約30日)
ワーカーにはきめられた役割分担はない。狩り・巣作り・巣の清掃・女王バチの世話・巣の見張りetc

肉の食べ残しや成虫たちの排泄物を捨てる清掃の仕事は年若いワーカー(生まれたばかりで未熟だから)
巣の周辺を哨戒飛行しながら敵が近付くのを見張る仕事はベテラン(年を取り遠くまで飛ぶ体力が無い)
巣を離れて遠征するハンターの仕事。ワーカーの中でも力と知恵に優れた物が行う。
(ハンターは全ワーカのうち、平均すると2~3割)

女王バチは300頭近く生まれて、自分の生まれた巣を巣だって、自分で自分の帝国を築かなければなりません。
まず、強そうなオスのオオスズメバチと交尾して(交尾した後オスは死ぬ)帝国を築くに適当なあなぐらや木の穴を探し
木の皮で巣を作り、育房室に卵を産んで幼虫に餌をやり(自分で餌を取りに行く)ワーカーを育てます。
ワーカーがある程度育ったら、自分は卵を産むだけに専念します。(飛ぶ必要の無くなった羽根は退化します。)

女王蜂も未来永劫生きる訳ではなく、力の無くなった女王はオスのハチを生みます。
その時点で、ワーカー達に殺されます。それによって帝国が崩壊するのです。

うまく、表現できていませんが、とにかく面白い小説でした。
ハチや昆虫の生態が擬人化されて、詳しく描かれているので、子供たちへの昆虫記にもなります。
文庫本で552円(税別)ですので、孫に買ってやろうと思います。(講談社文庫)
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* 読書 *

2013-12-19 21:46:06 | 読書
今年も、とうとう100冊読破が叶いませんでした。
80冊は読んだと思いますが?(読み聞かせの絵本を合わせると150冊には成ると思います。)
来年こそ、100冊を目指そうと思っています。

パソコンに、購入図書の案内が来ます。主人の名義で10冊、私の名義で10冊予約図書をしています。
お陰さまで、次から次へと新しい本が借りられます。

垣根涼介著「光秀の定理(レンマ)」
を読みました。

信長・天下布武の闘いの初手である六角氏攻め。光秀が攻めるのは難敵・長光寺城。
その山城に至る山道は四本。うち三本には伏兵が潜む。
光秀は二つの道は見極めた。残るはひとつ。
だがその確率は、本当に五〇パーセントか?(裏表紙から)

(光秀が信長に召し抱えられて、初めての武勲を立てるべき戦。道の選択に光秀は迷います。
その時、愚息が路上で賭をして、四つの器の一つに石を入れて、客に選ばせます。
初めに入っていない二つを除外し、二つから選ばせます。確率は50㌫。のはずなのに、
なぜか愚息がだんだん勝って行きます。この謎を誰も解けません。
で、光秀は敵がいない道を選ぶのに、愚息の知恵を借りて、兵を一人も失うことなく長光寺城を攻め落とします。)

かって、これほどに美しい「ベイズの定理」の応用例が存在しただろうか。
”確率論から読み解く歴史”という、前人未到の領野を切り拓く画期的小説である。
                                  斎藤環氏(精神科医・評論家)(帯封から)

細川藤孝に奇遇していた、若き日の光秀が出逢った、乞食坊主「愚息」と浪人新九郎との交際が描かれています。
信長に仕えた後も、付かず離れずの三人の生きざま・物事の考え方に深く感銘します。
信長亡き後、光秀に少し政権を任せたら歴史はどう動いただろう?との果てなき思いもいたします。

私は「ベイズの定理」の謎解きが理解できませんでした。
一年後くらいに、もう一度読んでみたい本です。とにかく面白い。
興味のある方は、一読をお勧めいたします。

私の手元には、三冊の予約図書が有りますが、この本の余韻に浸りながら、今年の本の読み納めにします。
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* 捨ててこそ空也 *

2013-11-18 21:54:54 | 読書
財も欲もおのれさへ捨てて生きる梓澤要著「捨ててこそ空也」を読みました。

醍醐天皇の皇子ながら、帝に疎まれると常葉丸こと空也。帝の寵愛を失い錯乱する母に虐待され、左肘は折れ曲がってしまう。
絶望の果て都を出奔、下層民と共に野辺の骸を弔いつつ、人の世の苦しみと喜びを知り尽くして行く。
西国から坂東へ、諸国を巡り、仏の救いと生きる意味を探し求め、再び京へ戻った空也が見た光景とは。。。。。
将門の首に祈りを捧げ、比叡山の権威にも屈しなかった空也が、最後に母を許した時、涙の奇跡が起きる。(帯封より)

私は「天台宗・空也上人」の名前だけは知っていましたが、どんな業績の方か知りませんでした。
小説とは言え、今回この本を読んで興味を覚えました。
仏教のことなど良く判りません。予約図書でしたので、駆け足で読みました。
もう一度、じっくり読んでみたいと思っています。感銘した一冊です。

興味のある方は、読んでみて下さい。

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花時計