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独法83団体の人件費削減へ=300億円、公務員給与減で-政府


「どうなるものやら」と思っていたらさっそく政府は国立大学法人も含めた独立行政法人の人件費削減を打ち出してきましたね。やり方としては「補正予算編成時に減額分を反映」「運営費交付金を削減」とあるので、当初提示された予算が後になって減らされる、という形になるようですね。

恐らくこのまま行くと、各国立大学法人は就業規則等を改定し、大学職員の給与を国家公務員並みに引き下げる処理を行うでしょう。そこで問題となるのはいわゆる「就業規則の不利益変更」の話と考えて良いと思います。手元にある「労働判例百選(第七版)」によれば、「就業規則の不利益変更が合理的なものである限り」、不利益変更は有効だと書いています。さらに、その「合理性の判断」には次の3つの要素、(1)変更の必要性と変更内容の相当性、(2)多数組合との合意と合理性判断、(3)経過措置、が関わってくるようです。以下、国立大学の場合におけるこれらの判断を、自分なりにしてみたいと思います。

(1)変更の必要性と変更内容の相当性
 「変更の必要性」について、「なぜ給与を減額するのか」と言われれば、今回の場合は「東日本大震災の復興財源の捻出が必要であるから」となるのでまず間違いないでしょう。より詳しく言うと「東日本大震災の復興財源を捻出する必要があり、そのために政府予算を変更して人件費を削減する必要があり、公金から運営費交付金を支出している独立行政法人においてもこれに協力する必要がある」という具合になると思います。これに対する考えうる反論は「人件費以外を削減することで復興財源を捻出することが本当に出来ないのか?」など、いろいろあるでしょうが、このあたりの反論が効力を上げるとは思えません。確かに人件費以外で財源を捻出する方法もあるかも知れませんが、それでも(独立行政法人を含め公務員系統の)人件費を削減することが一つの手段であり、そしてこの手段を政府が選択した以上、その合理性はその決定が「高度な政治的な決定」であるため、自動的に推定されても致し方ないと思うからです。この考え方は「合理性の判断」を「政府が決定したから」に丸投げしていてひどく無責任ですが、「じゃあ人件費以外の費用で持って今回の復興財源の捻出が可能であることを誰が、どのように立証するのか」「仮に立証が出来たとしても、それで持っても人件費を削減する方法が即座に不当であると言い切れるのか」などなど、実際に反論するには気が遠くなるような説明が必要であることを考えると、そこまで不当でもない、と、思いたいところです。また、予算削減が「高度な政治的な決定」であるか否かについて特に根拠は示していませんが、これについては「人事院勧告を実施せずに給与削減法案を成立させることの是非」が国会で議論になった際に、人事院総裁が「人事院勧告を上回る削減を行うことについては高度に政治的な決定であるため、その実行については両議院で決めていただき、人事院としてはその違法性については判断しません」みたいなことを言っていた記憶があるため、そこまで的外れな見解でもないと思っています(このあたりは両議院の各委員会の議事録のどこかに書いてあるはずですが、もし自分の記憶違いなら申し訳ないです)。
 「各国立大学法人の予算が減らされたからといって、即座に人件費を削るのはおかしい。まず国立大学は人件費以外の経費の削減が出来ないかどうかを検討してから給与引下げを行うべきだ」という反論は個人的にはアリだと思います。これについて、各国立大学は「政府がそう決定したから」という理由だけで人件費削減を行うべきではなく、まず政府が予算を削減したことを受けて人件費削減(あるいは労働条件の不利益変更を伴う処理)以外の手段を取れないか検討したが、やはり人件費を削るしかなかった、という具合(「具合」っていうも変な書き方ですが…)になるべきだと思います。これは特に、法人化して運営費交付金に使い道を裁量的に決めることが出来るようになった権利に付随する義務みたいなもののはずです。
 とは言え、「国立大学には人件費以外の費用を削減して今回の予算削減に対処する方法もあったはずだ」というのも、実際には主張しにくいと思います。国立大学にはそれぞれ「○○億円」という形で運営費交付金が配分されるものの、実際には「人件費はこれだけ、設備に掛かる費用はこれだけ」というように使い道を定めて予算を出している訳ですから、政府が「人件費として○○億円分、予算削減する」と提示すれば、やはり各国立大学もその削減分を人件費を削減して対処する、というのがもっとも合理的な方法だと思います。もちろん、独自に対処する大学があっても面白いと思いますが、「人件費○○億円分減らされたけど、給与を下げない。その代わり○○事業関係はやっぱり行わないことにするよ」とやると、それはそれでかなりの混乱を招くと思います。あるいは、日本ではあまり現実的ではありませんが、「給与下げない代わりに人減らすよ」として何人か解雇する、という方法だって、考えられない訳ではありません。この点、日本は簡単に解雇することが出来ないシステムになっているので、今回の予算削減で解雇が生じる、というのはまず考えられないと思いますが、これは逆にいうと「なかなか解雇されることが無いんだから就業規則の不利益変更くらい受容しなさい」とも言える訳で、下手にいろいろ考えると逆に給与引下げを是認する結果に終わる気がします。
 あとは「解雇が出来ないなら非常勤を雇い止めにする」という方法もあります。ひどいこと書いているな、と自分でも思いますが、それでも、強引にでも正規職員の給与水準維持を敢行するならありえる方法の一つであり、そして恐ろしいことに合法的にやれてしまう方法の一つです。もっとも、すぐに退職させる、という具合には行かないでしょうから、任期満了した非常勤の後釜に人を入れない、だとか、3年か5年が上限だったけど1年や2年で契約更新を停めることにする、という感じで、比較的緩慢に人員整理は行われると思います。今回は給与引下げの期間が2年だけであり、この方法はあまり現実的ではありませんので実施はさすがにされないと思います。しかし、給与引下げを行わずに無理して給与水準を維持しようとする場合には起こりえる事態として可能性もあることを考慮に入れれば、正規職員の給与引き下げもまた、割と現実的且つ温情的な予算削減への対処方法ではないかなと、個人的には思っています。少なくとも、自分は給与引下げがされるからと言って、「なぜ給与が下がるのか訳が分からない」等とわざと理解できない振りをして(あるいは意識的に無知となって)感情的に反対する方法は嫌いです。
 なお「変更内容の相当性」についてはあまり問題にならないと思います。今回の給与引下げについてはその計算方法も公開されており、「純粋に財源が減らされる分だけ人件費も連動して引き下げる」という大学が取るであろう処理事態には違法といえるほどの非合理性は無く、「国家公務員に準じて給与を引き下げること」には相当性がある、という内容で決着すると思います。

(2)多数組合との合意と合理性判断
 これを使って「これから行われるであろう給与引下げの合理性」を否定するのはほぼ無理でしょう。そもそも「従業員の大多数が加入している労働組合」を持っている国立大学なんて無いと思いますし、結局は過半数代表者の合意を得ることで、大学側はこの問題をクリアすると思います。また裁判判例自体も、必ずしも多数組合との合意を必須条件にしている訳ではないので、やはりこのことだけで給与引下げを阻止するのは難しいと思います。
 ただ、その決定過程において労働者に内容を説明したか否かの点は非常に重要だと思います。不利益を被る利害関係人に事前・事後の説明を行うことは説明責任の本質ですし、労働者には「負担を強いられるなら内容を知る権利がある」とも思っています。この点、個人的な経験上、大学事務局などは説明を蔑ろにする傾向があるのではないかと危惧しています。大学にしてみれば説明したところで引下げ内容が変わるわけではありませんし、いちいち忙しい合間を縫って内容を完全に把握するのは非常に面倒くさいとは思いますが、こういった説明は実施に伴う一種の手続き的義務だと考え、もう少し実施に力を入れて欲しいと個人的に強く思います(なんなら自分を2週間くらい、そういう説明をやる担当に入れてついでに資料を集める権限を与えてくれれば、給与引下げに反対している職員たちにぐうの音も言わせないほど完璧に説明し、なおかつその挙句にそのことをネットに公表してやる、とか思うんですが、実現しそうにありませんね)。

(3)経過措置
 これは一種の「緩和措置の存在」を不利益変更実施の要件とすることで、労働者が受ける不利益の度合いを弱めようとするものです。これについては、自分は「存在している」と考えます。「国立大学が独自に緩和措置を行う思う」ということではなく、そもそも「今回の給与引下げ自体に緩和措置が最初から付随している」と考える訳です。
 例えば、そもそも今回の給与削減は2年間の時限立法です。これ自体、かなりの緩和策だと個人的には思っています。なぜなら、そもそも今話題にしている就業規則の不利益変更は恒久的な引下げであっても全然不思議ではなく、それを考慮すれば「2年に限る」という給与引下げは必ずしも違法と言えるほどの不利益を労働者に課すものとは言えないと思うからです。さらに、若年層と中高年層では削減割合に差を設け、国家公務員給与体系で若年層の給与水準が民間に比べて低くなっている、ということへの対処も行うなど、このあたりは割りとポイポイ理由が出てくるはずです。というか、そもそも国を挙げての給与引下げに官僚達が言い分を準備していないわけが無く、今回の国立大学の給与引下げにおいてもその官僚たちの言い分が直接大学側の言い分になる訳ですから、これを論破するのもちょっと現実的ではないような気がします。


 以上のとおり、自分は今回の国家公務員給与削減法案を受けての独立行政法人の給与引下げについては、「恐らく実施されるだろう」、且つ、「実施されることには合理性がある」という見解を持ちます。
 「そもそも実施すべきかどうか」は「内容に合理性があるか」とは別の問題ですが、実はこれについても自分は「(少なくとも予算の削減は)実施されるべき派」です(完全肯定という訳ではありませんが、少なくとも実施に賛成の立場です)。これについて特に難しい主張はありません。国立大学法人の給与は「国家公務員に準ずる」という立場で良いと個人的に思っているため、今回の国家公務員の給与引下げに際しても、国立大学法人も準じて給与引下げをするべきであり、それに応じて予算の削減もするべきだと思っているだけです。ちなみに「大学の予算削減を受けてそれをそのまま大学職員の人件費削減につなげるか否か」はちょっと微妙です。上にも書きましたが、この点については各大学で独自政策があっても良いと思いますし、個人的にそういう方法を考えるのは大好きです。が、「とりあえず予算は減らし、その上でそれを人件費に反映させるかは各国立大学の責任で決定する。とは言え、現状を考えるならやはり人件費分を削減されたのだからそれにあわせて実際に人件費を削減するのが、最も現実的な解決策だろう」というのが、今の自分の立場な訳です。


 今回の政府の決定の受け、各国立大学がどのような動きになるのかは、今後も逐一調べていこうと思います。


 なお、今回は手元にあった労働判例百選を参考にしましたが、労働条件の不利益変更あたりは労働契約法の成立で少し変わっているかもしれません。今回の内容はちょっと古い判断枠組みで書いているかも知れないので、この点ご注意ください(不利益変更の有効性を考えるのに、その「合理性」を問うやり方自体は変わっていないようですが)。

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コメント
 
 
 
鵜呑みにはしないでほしいと願う (FLYING_TO-JO-)
2012-04-10 22:49:38
 やはりというか,来るべきものが来たという感じですね。今回の削減について論理付けがされていていることは,管理人さんのおっしゃる通りだと思います。仮に私が反論する立場だとしても,突破口は見出しづらいですね…。

 これからどのように動いていくのか,末端ながら注視したいと思います。
 特に「執行部の教職員に対する説明機会がしっかり設けられること」,「労組・過半数代表者との交渉が十分に行われること」,「給与改定に際し,国立大学法人としての主体性を示す努力をすること」を期待したいと思います。

 どのようないきさつであれ,主体性を持った運営を可能にするためにしたはずの国立大学法人化です。こういったことで「国でこう決めたから後はよろしく~」と,右倣えで従えという話ばかりでは,国立大学の活気や独自性を持とうというやる気が失せてしまうと危惧します(給料が下がることでのモチベーション低下ももちろんですが)。

 さて,2年間の節約生活に突入ですかね(もう削れるところがないよう…)。
 
 
 
Unknown (通りすがり2)
2012-04-12 15:09:13
というか、普通にまず国家公務員の人件費の一方的な切り下げが憲法上明確に違憲である、というところではないでしょうか。

どこの条文を読み直しても今回の人件費切り下げは違憲。できないよね、じゃあどうするのってところの話だったはずなのに、なんにもせずなんか強引にやっちゃった。世論も憲法なんてどこ吹く風でやれっていってるし(笑)というだけの話。地震がどうとか微塵も関係ないですよね。政府自ら2年超えてもやるよといっているし。政府ももうどう見ても憲法上通らない理屈を約束してしまって通さなければいけないことはわかっているので、自らが悪者にならずに裁判所に悪者になってもらうつもりなのでしょう。望みどおり裁判所にさっさと違憲だといって、差し止めてもらいましょう。国立大学の話もまずそこからでしょう。

個人的には人事院勧告に準ずるとして地方公務員、義務教育、全独法で協調して、一切人件費には切り込まず対応する。裁判で万が一負けたらその時はその時で覚悟を決めようということでしょう。

まさに今回のように政治家が自分たちの人気取りのためにじゃぶじゃぶ金を使って減税して財政を苦しくして、少数の公務員をいけにえにして労働3権を奪っているのに一方的に給与を下げるということをさせないための制度なわけですから。今回の理屈が通るなら人気取りのために段階をへて公務員の給料を5割けずっても最低賃金なみにしても違憲にならないはずで今回のことが違憲にならなかったらもう金輪際憲法はいらないでしょう。現在の世論を見てれば7、8%削減で満足するやからなどいないのは明白で、ここを許したら次は2割削減を許さない理屈はありません。民主党が2割削減したら、今度は3,4割削るよという政策を掲げた政党が選挙で躍進するでしょう(もうそういう政策を掲げている政党がありますよね(笑))。今回の違憲は絶対に許してはいけないし、内部の人でそれは一致すべきだと思います。

民主党との関係が深い地方公務員や義務教育の教員を後回しかやらないことにして大学からというのがなめられているな、とは思いますけどね。裁判所を悪者にして切り抜けようとしている件もそうですが、本当に日本の未来のことや憲法のこと、どの国でも保障される権利などではなく、多数派の選挙目当ての目前のこと自分たちの支持団体のことしか考えていない。それが民主主義の本質かもしれませんが、ここまであからさまな憲法無視が許されれば法治国家としての存在すら疑われるでしょう。

 
 
 
Unknown (しん)
2012-04-12 21:27:16
おっしゃるとおり。今回の決定は今後の動向にもつながるでしょうね。2年だけの限定措置で終わるか否かはとてもあやしいです。教員も職員も団結して動かなければいけませんね。でも、どうやって。。。
 
 
 
Re:通りすがり2さん (管理人)
2012-04-12 21:48:07
ご意見ありがとうございます。個人的には通りすがり2さんのような考えは大好きなんですが、当ブログでは成立した法案の違憲性までは判断しないことにしておりますので、成立した国家公務員給与削減法案が合憲であることを前提にした上での自分の意見として、今回のエントリーは見てください。

しかし「憲法上に規定のある団結権を制限されているからこそ、代替措置としての人事院勧告は極力遵守しなくてはならない」という観点は大いに賛成です。団結権を制限されている者にとっての恐怖は「安い給料」よりも「自らコントロールすることが出来ない給料」にある、と個人的には思っております。以前のエントリーにも書きましたが、公務員の給与水準を見直すのであれば、論点とすべきは現在国家公務員の給与水準の基準となっている「従業員50人以上の企業の平均給与水準」という指標であり、これに反対するのであれば、例えばまずそれが国家公務員の給与水準として不適格であることを明確に説明し、そしてその説を人事院が採用して人事院勧告でもこれを発表し、それを受けて政府がその人事院勧告を実施する法案を国会で成立させて実際に国家公務員の給与水準を下げる、というプロセスが、少なくとも人事院勧告によって国家公務員の給与水準を決定している現時点での日本の行政システムにおいて、最も的確な方法だと思っています。

とは言え、今回は地震に加えて消費税増税発表のタイミングもありましたし、個人的には「地震対応のための国家公務員給与引下げ」に「消費税増税の対国民感情対策としての国家公務員給与引下げ」(増税対策としての給与引下げを政府は否定していますが、自分は信用してません)をセットにしてやれたので、これはこれでお得だったんじゃないかな、と思ったりもしてます。「泣きっ面に蜂」で泣いてる子どもをあやす親だって、泣いてる子どもをあやした後に、蜂に刺されてもう一度泣いた子どもをあやすよりかは、いっぺんに泣いてる子どもをあやす方が、手間が省けて楽じゃないでしょうか。
 
 
 
補正予算が国会を通らないと (IT)
2012-04-13 01:45:00
 わざわざエントリを立てて詳しく書いていただいてありがとうございます。
 ところで、「労働条件の不利益変更としての給与減額の必要性」は国全体の事情ではなく、各法人ごとに独立してそのお財布事情で判断される事柄だと思います。運営費交付金を補正予算で減らすのなら、その補正予算が実際に国会を通るまでは、収入(交付金)が確実に減るといえないのだから、給与減額という不利益変更の必要性が生じず、給与を減らせない(職員から裁判に訴えられたら法人側が負ける)と思うんですがどうでしょうか。
 昨年度は震災のために特例的に4次補正まで組まれましたが、通常、補正予算の成立は1回で秋から冬にかけてですよね。しかも今の国会情勢では、補正予算を議論する前に国会が解散になるってこともありそうですし。。。
 給与減が恒久化する可能性が高い今、悪あがきかもしれませんが、1か月でもその実施が遅くなってほしいものだと思います。
 
 
 
Re:ITさん (管理人)
2012-04-13 07:33:02
給与引下げのタイミングについて、これはちょっと判例を確かめて見ないことには明言できませんが、それでも「近い将来において大幅な減額が確実に見込まれる場合」に、それに先んじて給与引下げの合理性が認められるか否かは、判断が分かれるところだと思います。特に今回のような場合、あるいは人事院勧告に則って給与引下げを行うような場合は、引下げを決定した後に過去に遡って給与引下げを行い、その未徴収分をどこかの月で一気に減額する、というやり方が通常だと思います。今回は引き下げ額がかなり大きく、このやり方をすると給与の額が通常のものより極めて低い月が発生してしまう可能性があり、これを避ける意味においても、政府と各法人との間である程度の合意が出来た段階において給与引下げを行ったとしても、その合理性は即座に否定されるものではないと、個人的には思っています。

ちなみに恒久的な給与引下げについてはそうなるのかもしれませんが、自分は現時点での法律の内容が2年の時限立法となっている以上、これを前提とはしません。だからこそ、引下げが2年を超える場合にあっても、2年後に給与を通常の水準まで上げるよう請求する期待権のようなものがあると考えています。
 
 
 
不利益不遡及 (IT)
2012-04-13 19:58:56
いろいろありがとうございます。
一点だけ。

>引下げを決定した後に過去に遡って給与引下げを行い、その未徴収分をどこかの月で一気に減額する、というやり方が通常だと思います。

 公務員が遡及減額する場合でも、私の所属する機構では法人化後これまで、不利益変更時の遡及分の減額はしないということを組合が交渉して認めさせてきました。法人によっても違うようですが、このような扱いをしているところは少なくはないようです。
 法人化後のよかったことがこれだけではないことを祈りたいと思いますが。。。
 
 
 
Unknown (貧乏公務員)
2012-04-21 15:37:07
大学法人は国家2種よりも給与は多くて出世も早いようですから
国2ほどきつくはないでしょうが
それでも削減されると辛いですよね。


 
 
 
Re:貧乏公務員さん (管理人)
2012-04-21 22:15:56
>大学法人は国家2種よりも給与は多くて出世も早いようですから

「これは無いだろう!」と一瞬思ったのですが、そういえば国立大学職員はもともと国家二種で採用された人もたくさんいるし、実際どうなのか良く分からなくなってしまいました。

しかし、少なくとも「文部科学省のこれからの話」では、国家二種採用は国立大学法人より給与が高くもらえるのではないでしょうか?国家二種採用でずっと本省あるいは本省管轄の組織で勤務してきた人が国立大学に出向してくるなんてのは日常茶飯事ですが、大抵そういう人達は我々プロパー職員に比べると断然年が若いのが普通だと思います。もちろん国家二種採用の方全員がそういう感じではないにしても、国立大学の事務組織の上の方なんてのは本省のポストみたいなものですし、将来期待できる役職の数の期待値から言っても、大学法人は国家二種よりは給与が安くて出世も遅い(というかあまり出世しない)存在だと個人的には思うんですが、どうでしょう?
 
 
 
金欠 (とおりすがり)
2012-04-22 23:45:39
うちの大学は給与引き下げやりましたよ4月支給から
 
 
 
Re:とおりすがりさん (管理人)
2012-04-23 07:21:42
えぇ~。やったりやってなかったり、足並み全然揃ってないですね~(笑)。こりゃ本格的にやる大学とやらない大学とで分かれてくるのかな?
 
 
 
Unknown (新卒)
2012-04-27 08:34:15
4月から技術員として働いていますが、5月から引き下げになるようです。働き始めたばかりでよくわかっていないのですが、ほとんど国家公務員と同じように扱われるんですね。公務員じゃないのに公務員で、よくわからなくなってしまいます。
 
 
 
退職金は? (neko)
2012-05-25 10:52:49
上司の方々が、結構退職するのですが、給与が引き下げになれば、その2年の間に退職する方は、現在の給与月額をベースにして計算するのでしょうか?もし、そうだとすると、この2年間に定年を迎える方はかわいそうですね。
 
 
 
Re:nekoさん (管理人)
2012-05-26 22:03:28
う~ん。これはどうなんでしょうか。

確かに退職金は退職時の俸給月額をベースにして計算するはずですが、いくらなんでもやめる時期が数年違うだけで退職金の額に大きな違いが出るのは不公平ですし、退職金計算にかかる給与月額の計算には、今回の給与引下げの影響は加味されていないんじゃないでしょうか?

自分はまだ退職金に関する処理をしていないので確かなことはいえないのですが、もし今回の給与引下げが退職金にも影響するのであれば、今回の法律の中に「退職金に関する法律第○条に定める額の算定にあたっては、本法律第○条に定める額に相当する分を差し引いて計算することにする」と言った内容が入ってないといけない気がします。

というのも、今回の法律は「人事勧告の実施」と「特例的な国家公務員給与引下げ」の2つを実施する内容となっているものです。この内、「人事勧告の実施」については確かに国家公務員の給与を定める「給与法そのもの」を変える無いようですが、「特例的な国家公務員給与引下げ」の部分は「給与法そのもの」でなはなく、「給与法にはこう書いてあるけど、次の期間だけはこの法律に基づく特別措置を実施するよ」という内容なはずです。退職金に関する法律が参照する俸給月額は恐らく「給与法そのもの」に書かれている俸給月額を使うと思うので、今回の給与引下げの影響は、退職金には影響しないのではないかな、と思うわけです。

とは言えやっぱり確証は持てません。だれかこの手の話で詳しい人がいたら教えてください。
 
 
 
非常勤職員のばあい (もどき)
2012-05-30 23:45:57
現在、フルタイム非常勤で働いています。

給与は正規職員に準じた形で支給されています。
賞与は貰えますが昇給と退職金は貰えません。
今回の削減で、正規職員に準じて月給3%、賞与5%カットとなりました。

どうにも納得できないのは、労働条件通知書には契約期間とその給与額について
明記されているのに契約期間中に改定ができるのか?ということです。
大学側は運営費交付金削減によるやむを得ない措置と説明していますが
私の場合は、運営費交付金からは独立した研究プロジェクトの補助金によって雇用されている
と聞いたのでなんだか変な話だなと思っています。
 
 
 
Re:もどきさん (管理人)
2012-05-31 07:36:23
コメントでも書きましたが、もどきさんのケースは本当にデリケートな問題だと思います。契約期間中に給与を下げる行為は労働条件の不利益変更にあたりますので、これにはそれを行う合理性が必要です。運営費交付金から独立している財源で雇用されている人間の給与を、今回の一連の流れの中で下げる合理性があるのかどうかについて、自分は正直判断を下すことができません。本当に、誰かがこのことで訴訟を起こしたら、訴訟を起こした労働者側が勝つ可能性を、個人的には否定できないと思います(もちろんその一方で、大学側が勝つ可能性も大いにあります)。

もどきさんのような場合の給与引下げを行うことが国としての正義に合致するのかどうかが論点ですから、「これはおかしい」と思った場合は、例えば組合などを通してアクションを起こしてみるというのも、今回ばかりはあながち的外れでもないと思います。
 
 
 
給与削減について (まさ)
2012-06-03 12:24:29
Yahooの記事からのリンクでここに来ました.国立大学の50代の教員(理系)です.非常に豊富な情報が掲載されていて,また色々な考察もあり勉強になりました.

私の大学は給与削減となりました.学内には色々な意見もあり今でも反対論が根強いのですが(しかも学長選挙と時期が重なっているので色々な文書も飛び交っていますが)私は削減は仕方ないと思っています.

法律論はさておき,これだけ国の財政状況が厳しいなか,給与の削減をしないことには,私は心情的に耐えられません.また仮に運営交付金が削減されるなか人件費を維持すれば,そのしわ寄せは研究と教育にいくわけで,それは学生諸君にとって大きな不利益になると思います.

あと法人化されたけど,収入は相変わらず運営交付金頼りというのも問題だよな,といつも感じています.大学としてもっと収入を増やす工夫があれば,こういう時でも胸をはって「給与は削減しません」と言えると思うのですが.
 
 
 
Re:まささん (管理人)
2012-06-03 12:49:50
厚いご声援いただき、感謝の言葉もありません。

Yahooに自分のブログの記事へのリンクが載っていてびっくりしました。議論を深めるために読んでいただければ本望ですが、自分のような若輩にご賛同いただけるのであれば、さらに今後も頑張ろうと思える次第であります。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2012-07-30 21:52:42
いつもブログ読ませてもらってます。
ちょっと違うんじゃないかと思ったところがあるので書かせてもらいます。

まず、「変更の必要性」について、「なぜ給与を減額するのか」と言われれば、今回の場合は「東日本大震災の復興財源の捻出が必要であるから」というところですが、国家公務員はそうであっても、国立大学の場合は今のところ運営費交付金の減額については財務大臣の発言等はありますが、公式にはなにも決まっていません。
その段階で「東日本大震災の復興財源の捻出が必要であるから」という理由で減額することは乱暴な話で、恐らく裁判でも負けるでしょう。
そのような理由で減額している大学は結構あるみたいなんですが、思ったほど減額されなかったらどうするんでしょうね・・・。
仮に運営費交付金の減額が補正予算で決まったとしても、その時にボーナスなりで人件費を調整するの方が説明できます。
今の段階で減額をすることの説明には全くなりませんね。
さらに言えばお金がない時は減額するなら、お金が余って時は給与を上げてよっていう話が成り立つ訳で、財源だけを理由としたら今後の経営上、非常に都合が悪くなるわけです。

つづく。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2012-07-30 22:27:42
それではなぜ今回減額ができるのかと言いますと、国立大学法人の職員の給与は、独立行政法人通則法第63条(国立大学法人法第35条により準用)に、「前項の給与及び退職手当の支給の基準は、当該独立行政法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない。」と定められています。
ここでいう社会一般の情勢が何を指すのかということになりますが、大学独自で民間企業等の給与の調査を行うのは不可能なんで、これまで国家公務員だったことや人事院が民間企業を調査して人事院勧告を行ってることを考慮すると国家公務員の支給基準に合わせることが、社会一般の情勢に適合したものであるという説明ができるというこで、これまでも各大学は毎年、人事院勧告に準拠して給与の改定を行っていたものと考えられます。

すなわち国家公務員の支給基準に合わせるということが、社会一般の情勢に適合したものであるということであり、今回の減額についても国家公務員の支給基準に合わせるという理由で減額の説明ができると思います。

国家公務員が減額しているのに、都合のいい時だけ国家公務員の支給基準を無視するというのはできないものと考えています。

ちなみに独立行政法人通則法も改正の予定になってまして、それには具体的に国家公務員の給与を参考とすることが明記されています。

以上、長文で誤字脱字があり申し訳ないですが個人的な感想を書かせて頂きました。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2012-07-30 22:40:36
追記

本来、給与というものは優先順位としては非常に高いものなので、財源で給与を決めるという話にすると極端に言うと、大学の資産を売っぱらってでも保証しないといけないものなのです。
 
 
 
Re: Unknownさん (いち教員)
2012-08-03 01:13:12
>Unknownさん
「社会一般の情勢に適合」というのは重要な判断材用になると思います。そこで問題になるのは,人事院勧告と今回の削減措置の異同でしょう。人事院勧告は一定の調査に基づいたものであって,だからこそ公務員に対する「代償措置」としての性格を持ちます(時々の政治の判断でいくらでも上下できるなら,代償措置になりません)。そして,民間企業や私大でも人勧に準拠するところがあるわけです。しかし今回の削減措置は,民間との給与水準の差(それこそ「社会一般の情勢」)を考慮したのではなく,単に政権与党のマニフェスト達成のためのつじつま合わせでしかありません。人勧とは全く質が異なります。
これまで国立大学が人勧に依拠してきたのは,それが「社会一般の情勢に適合」するための措置だと考えてきたからであって,国家公務員に準じるためではなかったでしょう(少なくとも名目上は)。事実,人勧の適用の方式は,労働契約の関係で,国家公務員と独法職員で異なる部分もありました。これまでも,完全に国家公務員に準じてきたわけではないのです。
そういうわけで,大学によっては削減率を緩和するなど,運営費交付金の削減をにらみつつ独自の判断をしているところもあります。本来,運営費交付金が削減されるまで従来の給与を支払い,削減された段階で賃下げの労使交渉を行い,不足額は借り入れを行って凌ぐ,というのが適法な対応です。数ヶ月分の給与差額くらいであれば,大学財政への影響はそこまででもないでしょう。
なお,独法の給与を国家公務員に準じることとする,という規定を設けるならば,それは事実上労使交渉を否定することになるわけで,独法職員の人権に関わります(公務員並みの身分保障はないのに,公務員と同程度の権利しか認められない)。そうするなら公務員に戻すべきです。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2012-08-06 20:27:46
「社会一般の情勢」というのは、国家公務員の情勢も含んでいるものと解釈しているのですが、違うのでしょうか?
民間企業に限定するのはおかしいと思っています。
元々国家公務員だったということを考えると、給与支給基準を決めるにあたって、国家公務員の情勢というのはかなり大きな要素になるのではないでしょうか?
(もちろん完全に準拠する必要はありませんが)
それに今回は国からの要請も来ていますし、(いいか悪いかは別として・・・)大学としてはその要請に応えるしか選択肢がなかったように思えます。
要請を無視すると批判の的にされ兼ねない風潮ですし・・・。
もちろん自分も納得してる訳ではないですが、経営陣の判断としては妥当だったのかなと思います。

財源を根拠にした減額は、それこそ説明ができませんよね。運営費交付金が減額されるなんてまだ何も決まってないんですから。
減額されなかったら、遡って全額支給するつもりなんですかね?
そんなこと国民が許さないと思いますよ・・・。
 
 
 
理系教員給与 (理系)
2013-01-01 10:03:56
日本の将来は科学技術なくては悲惨なものになることが明らかです。理系の大学教員の給与を下げれば、今まで次世代の科学技術教育のために、日本の産業のために頑張っていたのを、副業に時間を使わざるを得なくなります。さぼることはないでしょうが、全力投球はできなくなるでしょう。また理系の大学教員は同じような仕事をしているメーカーよりも現時点でもはるかに低給与です。最低でも、理系の大学教員の給与は下げてはいけません。
 
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