「南へ」刺激的～

盛りだくさんに、いろんな話が出てきました。
ネタバレあります。よろしくね。

「南へ」
作・演出：野田秀樹
美術：堀尾幸男
照明：小川幾雄
衣装：ひびのこづえ
出演：妻夫木聡、蒼井優、渡辺いっけい、高田聖子、チョウソンハ、藤木孝、野田秀樹ほか
東京芸術劇場　中ホール　3月1日ソワレ観劇


火山観測所に赴任してきた男（妻夫木）と自殺未遂の嘘つき女（蒼井）
無事山は噴火するのか・・・

天皇ネタから宝永の時代へワープしたと思ったら、
戦時中の兵士が現れたり、北朝鮮からの脱北の話？もあったり、
定番のマスコミ批判もあり。
ちょっと盛だくさんすぎの感じも。

舞台から溢れるイメージで、ちょっと頭ゴッチャに・・・
野田さん、テンポ早すぎですよ。

アンサンブルの方が、大量のパイプ椅子を巧みにあやつってアイデア満載。
テレビの画面になったり、武器になったり。
アンサンブルの方の動きでマグマの流れを表したり、今までで一番洗練されてました。
大勢の方が出てるのに、ゴチャゴチャ感無し。
よっぽどお稽古したんだろうか。

帝の行列が、いつの間にか兵隊の行進になっていて、ちょっとぞぞーっとしました。
それも、元気ある行進じゃなくて、暗いの。
死の影を感じました。

蒼井優ちゃんが今までのおとなし系イメージから大変身。
動きもキレがあって、ステキでした。
できるんですねぇああいう役も。
ぼーっとしたのばかりかと思ってましたよ。
でもデズデモーナの優ちゃんが、お気に入りなんだけど・・・

妻夫木くんは、やっぱりイイ人キャラでした。
悪人にはなれないのね。
ふふ・・・

藤木孝さんの妃のお毒見役には、笑ってしまいました。
藤木さんの濃いキャラが、野田さんの舞台にぴったり。

チョウソンハさんも前回の「キャラクター」よりも伸び伸びしてよかった。
「夏の夜の夢」以来ひそかに応援してます。

「表に出ろいっ！」の黒木華ちゃんが、あまね（蒼井）に似た少女。
太い声で迫力あって、見違えました。
ダブルキャストだった、太田緑ロランスさんも出演してました。
成長した俳優さん観てるのって、楽しい。

野田さん言いたいこといっぱいありすぎて、詰めこみすぎましたって感じ。
ラストもシンプルに切々と心に問いかける作りにしてほしかったな。

情感豊かで台詞が心に沁みこむのが好みなんだけど・・・
野田さんはパターン化するのがキライで、自分の芝居を変えたかったかもしれないけど、
松たか子さんや宮沢りえちゃんみたいに、優ちゃんで締めてほしかったな。
あ、妻夫木くんでもいいけど・・・

けなしてるみたいだけど、さすが野田さんの舞台。
身辺のことだけで小さくまとまってる芝居よりも、ず～っと刺激的でした。

パンフは1000エン、お得です。
稽古場レポートには、本谷有希子さんの文章も。
ラスト2行が本谷さんの本領発揮でナイス。
はは・・・