余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

私が食べた本

2022-01-12 23:19:42 | マイブック(ま)
「私が食べた本」
      村田沙耶香 著

もうひとつ
いま、助けられた本がある。
童話、童話といっていいとおもう。
簡潔に紹介してくれる本の数々は、
村田沙耶香によって童話となっていく。
言葉に掬われていく。
救われていくより、掬われていくが
あっているとおもう。
食べていく言葉と、
声がきこえてくる。
女性としてのまざまざしさは、
かがやく率直に。


いまは夢かうつつか。
もともとあったものが、晒されているのか。
物語はあり続け、
ぼくは恋を歌い続けた。
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かわいそう

2022-01-12 23:08:28 | 水声の詩
あの人はとってもかわいそう
波に小舟を浮かばせたのに
あっという間に沈んじゃった
小舟はどっかに行っちゃった

あの人はとってもさみしそう
傘を忘れてぽつんと一人
ザンザンぶりの雨の中
なんだか立ち止まっていた

あの人はとってもくるしそう
見ちゃったの
瞳の奥の本当と
言葉の中のおもわずと

あの人はとってもかわいそう
あの人はとってもさみしそう
あの人はとってもくるしそう
あの人はとっても

僕もおんなじ
だからおいでよ 僕んとこ
かわいそがりがり 僕んとこ
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他人

2022-01-12 23:06:44 | 水声の詩
あなたは今 何を考えているの
あなたは今 何を想っているの
あなたは今 何を見ているの
あなたは今 何を苦しんでいるの
あなたは今 何を悲しんでいるの

教えて  お願いだから
教えて  お願いだから

こたえて 話して
こたえて 話して

知りたいの

他人じゃないのよ
他人だとしても 違うのよ
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かわいい手

2022-01-12 23:02:49 | 水声の詩
心はうるおっているはずなのに
なぜか心はかわいていく
瞳の潤みだけは保たれている
レクイエムは厳かに
 月光のにおいと
 朝の色気
 夕焼け小焼けの切なさと
 雨がまじるあなたの感触
助けられる温もりが
夢と幻を囲んでいき
必死でもだえた
偽りの酔い
交わされたいつかの唇は
足元から崩れていく
救難信号は
昔の記憶がさえずっている
出したくなかった敵意は
空を舞う
愛がほしい
  でも苦しい
落ちるなら落ちていきたい
  深いところまで
わかちあいたい
  あえぎはいずる
木漏れ日は
円卓が弁を語る

さ  く  ら

もう春だね
朝食を食べよう
ね、 食べよう
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オレンジレモン

2022-01-12 23:00:35 | 水声の詩
眠りの森からあらわれた
枝を折る音がサワサワと
横たわった姿の静音の
微弱のまぶたがぴくんと動く

 連動して手がぴくんと
続いて上半身がびくんと
  そして下半身がびくんと
繰り返す
波の音色が森に彷徨う

幾本の筋は鍵盤の輝き
二つの房の呼吸のリズムが
森の木々に染み込んでいく
匂いは恋に落ちていく

あなたに触れてもいい?
さあお姫様と手を差し出す
から
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