「役にたたない日々」
佐野洋子 著
著者60後半。
佐野洋子のエッセイはやっぱり小気味よい。
けれどその小気味よさの裏返しに、
哀しみは埋没などせずにそっと添わす。
この本はそれが際立っている。
経験することで知ることはやはり違う。
近づくことで感じることもある。
年齢ごとに体感すること。
心と体の表裏一体。
思い返して佇むこと、振り返り未来をみること。
生きる意味とは。
答えのない答えがある。
自身で見つけなければいけない答え合わせ。
自然はいきもので満ちている。
鳥が獣が虫が花が木が草が、
そして太陽が月が星が大地が海が、
呼吸している。
呼吸はまわる。
あるものはあり、喜怒哀楽も確かに存在している。
この本を読み、佐野洋子の体験した言葉を僕の心、
そして体の新たに構成し馴染んでいく。
役にたたない日々は生きる不変の物語。