大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

「3だけ主義」

2014年10月29日 | 日々徒然
「3だけ主義」というものがあるそうだ。
今だけ…カネだけ…自分だけ。

今がよければそれでいいじゃないの。
政府に1000兆円の借金があってもきっと大丈夫だよ。
だって今は誰も困っていないじゃない。

でも困っているとしても、たとえ1円のカネでも他人にやるのは嫌だね。
その代わり、タダ飯、タダ酒は大好きだ。
金持ちほどケチな奴はいない、とはよく言ったもんだ。

マイ・マイ・マイ…いつ頃からかマイブーム。
あまりにマイマイ過ぎて、友達はおろか家族さえも離れていった人がいる。
そりゃそうだ、人は支え合って生きているんだから、いざという時支え手にならない人からは逃げてくよ。
人は一人だけでは生きられず、ともに助け合って生きている。
家庭でも職場でも地域でもそうである。

でも、よくよく観察するとこの「3だけ主義」は私たちの周りにも万延している。

人は裕福になるにつれ思いやりが低下することを社会実験で証明したのは心理学者のポール・ピフ。
敗戦の混乱期を日本人は助け合って生きてきた。
ひたすら経済成長を追い求めながらも貧しい時代の人々は助け合って生きてきた。
臨時工と呼ばれた非正規社員を正社員化するための運動で労働組合はスクラムくんで闘った。
そしてバブルで日本中が舞い上がり裕福になっていく。
皮肉にも労働界の悲願でもあった労働団体の統一が実現した瞬間にバブルは崩壊した。

経団連は「新日本的経営システム」を提唱し、経営者寄りの自民党政権は「労働者派遣法」を改正し、労働者派遣を原則自由化した。
リーマンショックにより首を切られた派遣労働者たちの「年越し派遣村」が話題となった。
労働者の不満が最高潮に達して政権交代が起こった。
労働者派遣法に対する改善に期待がかかったが、民主党の拙い政権運営によりわずか3年で政権を奪い取られた。

そして今。
派遣労働のあり方を巡って国会で審議が始まった。

安倍政権の改正案が通ると確実に「生涯派遣労働」の世界が広がる。
民主党は派遣社員であっても同じ仕事ならば正社員と同じ賃金を得られる「同一労働・同一賃金」制度を進める法案を提出しているが、そもそもそれならば企業は派遣社員を雇用するメリットを失う。
そこで知恵者は考えた。
「同一労働・同一賃金」いいだろう、その第一ステップとして正社員の年功賃金制度を廃止しようと…。
そうなれば派遣会社に無期雇用された人も、派遣先の正社員も同等の賃金制度にできる。
どうりで安倍首相が個々の労使交渉にまで口出すはずだ。
ベアで口を出し、配分にも口を出すことを許したら、労働組合の存在意義など吹っ飛んでしまう。
もっともそれが狙いかもしれないけれど…。

「3だけ主義」の行き着く先は、「明日は我が身」と知り置こう。