大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

二宮尊徳伝(8)

2014年10月10日 | 労働者福祉
身寄りの無い遠縁の老人が亡くなったためお手伝いで怒涛の如き2日間を過ごしました。
昨日の朝、お世話になっていた介護老人ホームからの連絡で亡くなったことを知らされますが、どうしても当日中に引き取って欲しいとのこと。
引き取るといってもそんな家はありませんから、そこから考えなければなりません。
結論から言えば、午後4時半に引き取って、今日の11時に火葬をし、某所にて永代供養していただくようお願いしお骨を預けました。
まさに初体験の連続にどっぷり疲れました。

さて二宮尊徳伝の続きです。

尊徳45歳の時でした。
老中首座になっていた小田原藩主と会った尊徳は、財政再建を果たしたその仕法について尋ねられ、次のように答えました。

「荒地には荒地の力があります。
荒地は荒地の力で起こし直しました。
人にもそれぞれの良さや取り柄があります。
それを活かして村を興してきました」

殿様は「それは『論語』にある“徳を以て徳に報いる”というあれだな」と言われました。
尊徳はこの言葉に感激し、その後「徳」および「報徳」という言葉を中心に据えて、自分の思想体系を練り上げていきました。

尊徳は物や人に備わる良さ、取り柄、持ち味のことを「徳」と名づけ、それを活かして社会に役立てていくことを「報徳」と呼びました。
二宮哲学は「報徳訓」という教訓に集約されていますが、その内容を報徳博物館の佐々井先生は「かなほうとくくん」としてわかりやすく表現しました。

一、てんちの いのちで いきている
  せんぞの いのちで いきている
  おやの いのちで いきている
  しそんに いのちを つたえよう
  いのちを しっかり つたえよう
(天地自然から与えられ、天地の令命に活かされている貴重な生命を大切にして、これを次の世代へ引き継いでいく)
二、ぶんかの めぐみで くらしてる
  せんぞの めぐみで くらしてる
  おやの めぐみで くらしてる
  しそんに めぐみを つたえよう
  めぐみを しっかり つたえよう
(文化や繁栄を世代から世代へと継承し発展させていくべき)
三、ごはんのおかげで いきている
  きものの おかげで いきている
  すまいの おかげで いきている
  たはたの おかげで くらしてる
  やまの おかげで くらしてる
  うみの おかげで くらしてる
  こうばの おかげで くらしてる
  みせの おかげで くらしてる
  みんなの おかげで くらしてる
  もちば もちばで つとめよう
  もちばで しっかり つとめよう
(社会的・経済的な分担と協力の関係性はすべて相互依存関係にある)
四、きのうの ごはんで きょういきて
  きょうの つとめは あすのため
  きょねんの みのりで ことしいき
  ことしの みのりは らいねんへ
  いつでも どこでも おんがえし
  いつでも しっかり とくいかし
(過去・現在・未来という時間的な流れの中での恩徳と報徳の関係)

報徳の心を身につけて、無意識のうちに実践できるようにとの教えです。
家庭や職場、地域社会など、身近なところから始めなければならないと尊徳は説いています。